国際面で、東北大震災から3年を迎えたが、未だに精神疾患に悩む被害者が多数いることを伝えている。本当にやるせない記事だ。
「岩手県陸前高田市では2011年3月の東日本大震災で起きた津波で市民の10人に1人が亡くなった。岡本啓子さん(50)は肉親とともに生き延びた。」
「経理の仕事に就き、今は住まいもある岡本さんだが、多くの市民と同様に絶望感と不安感に苛(さいな)まれている。昨年の息子とのけんかをきっかけに絶望的になり自殺を考え始めたという。」
「家を流された岡本さんは現在、市内の親戚の家で暮らしている。津波で親友を亡くし、『夫や母には心配をかけてしまう』と悩みを相談できなかった。『発作的に絶望的になってしまうことがあった。でも頑張らなくては(多くを失った方たちに)申し訳ない』」と語った。」
岡本さんの例にある様に、被災地には、精神疾患に悩む人々が多数いる。この記事は、この問題について、3つの課題を挙げている。
第一に、東北人特有の我慢強さが、カウンセリングを拒んでしまうために、精神疾患を悪化させている点である。
「医療専門家によると、精神疾患につきまとう悪いイメージ加えて、地域とのつながりがなくなったことや、生き残ったことに対する罪悪感が、最も助けを必要としている人々の足を遠ざけてしまうことが多いという。」
「地元の医師の鵜浦(うのうら)章さんは『震災から約1年半後に、ストレスによるとみられる腹痛や不眠、目まいの訴えを受けるようになった。』と言う。しかし忍耐強く、精神的な訴えを人にしゃべることを恥ずかしいとする風土がある陸前高田では、『カウンセリングを勧めている患者の約半数は拒む。』と話した。」
第二に、避難生活の厳しさが、精神疾患を悪化させている点である。
「震災から逃れた陸前高田市の市民約2万人の4分の1は今も仮設住宅で生活している。高齢者には不自由の多い古い家では生活しにくく、仮設住宅に戻った岡本さんの母親(78)もその1人だ。平均面積が約30平方メートルという狭い仮設住宅に住む人々は、プレハブ暮らしのストレス対処のために頼れる場所はほとんどないと話す。」
「津波で母親と52人の同僚を亡くした消防団員の菊池一男さん(54)は『壁が薄くて隣の人のいびきまで聞こえる。』と話した。仮設住宅の住人の多くは高齢で、食品や日用品の買い物は移動販売車に頼っている。菊池さんは主にコンビニの既製品を食べているという。」
第三に、行政の対応の悪さが、精神疾患を悪化させている点である。
「陸前高田市の2014年度(14年4月〜15年3月)予算は約1300億円。約18メートルに達した津波で中心部が壊滅的な被害を受けたため、同市は沿岸地区の300ヘクタールの標高を最大12メートル高くする計画を立てている」