Wednesday, March 12, 2014

日本と米国は輸出のギャップを埋めるために努力している【A14面(国際面)】


TPP日米実務者協議に関する記事が国際面に掲載された。TPPは米国にとって非常に重要であり、日本に妥協をしてでも合意に向け一歩踏み出すべきだと言っていると読めるがどうだろうか?全文を掲載する。

この記事は、まず、日米合意が、TPP合意にとって極めて重要である点を強調する。
「日米両国は11日、ワシントンで、米国の農家とデトロイトの自動車メーカーが日本市場に全面的に入れないという数十年来の問題を解決するため、再び実務者協議を始めた。」
「両国の合意は、12カ国が参加する環太平洋連携協定(TPP)交渉をまとめ、米議会のいら立ちを抑える上でカギとなる。」
「米国と日本が長年の市場アクセス問題―昨年12月にバイデン副大統領と安倍晋三首相が東京で会談して以来行き詰まっている―を乗り越えられれば、12カ国が知的財産や環境規則などもっと複雑な問題での相違点を解決する道が開ける可能性がある。」
その上で、日米合意には農産物での妥協が必須だが、この点に関するオバマ政権の取組みに懐疑的な目を向ける。
「オバマ政権の通商担当者や議員は、米農産物の対日輸出を拡大できるように合意できれば、農業に依存する一連の州の支持を得られ、TPPも議会に受け入れられやすくなるとみている。下院と上院の民主党指導者は最近、政府に通商権を一任する大統領貿易促進権限(TPA)法案への反対を表明した。」
「民主党のサンダー・レビン下院議員(ミシガン州)は『市場アクセスで日本との間の極めて基本的な点で突破口が開かれない限りTPPが成功するとは思えない。』と語った。同議員はオバマ政権の通商政策に懐疑的だ。」

さらに、TPP合意に向け、既に日本はかなり妥協しているのに、オバマ政権が何もしないのは、臆病だとも言っている様だ。
「日本は昨年、TPP交渉に参加する前、米国産牛肉の輸入を増やし、米金融業界の主たる目標である保険市場へのアクセス拡大という若干の譲歩をした。しかし、両国の交渉はそれ以降、ほとんど進展をみせていない。」
「クリントン政権下で米通商代表部(USTR)代表を務めたミッキー・カンター氏は『これは臆病者のための交渉ではない。』と語った。同氏は1990年代に、米国の自動車、農産物、ガラスを日本が輸入する際の規則を緩和させるのに努力した。」

そして、TPPはアメリカにとっても重要なのだから、妥結に向けて努力すべきという、オバマ政権に対する期待を表明。
「地政学的な要素もある。日本はTPP交渉に参加していない中国との間に緊張関係を持ち、一方で米国は戦略的、経済的重心をアジアに移そうとしている。米当局者は、環太平洋諸国の関係強化は同時に中国を孤立させ、その結果同国が市場を開く可能性があるとみている。」
「また、現在日本と経済連携協定(EPA)交渉をしている欧州連合(EU)が先に合意すれば、米国の企業は不利益を被ると警告している。

最後に両国の首脳が、TPPの重要性を強調するコメントを掲載している。
「バイデン副大統領は2月、民主党議員グループに対して、米国製自動車の市場アクセスを拡大するため、いかに安倍首相に強く働きかけたかを語り、TPPの戦略的重要性を強調した。」
「甘利明TPP担当相は11日、今週の協議から『大きな進展』」を期待していると述べた。この協議は4月のオバマ大統領の訪日を前に突破口を開くチャンスとみられている。」

TPPに関するニュースは、米国ではあまり目にしないが、この記事はその重要性と、米国の妥協の必要性を強調していて、好感が持てる。