Monday, December 31, 2018

** 2018年のまとめ **

2018年のウォールストリートに掲載された日本関係の記事は85件だった。2014年が180件、2015年110件、2016年115件、2017年114件、2018年85件と次第に減少する傾向にある。


テーマ別では、政治関係が24回(2017年:56回、2016年:49回、2015年:39回、2014年:75回)、経済関係が36回(2017年30回、2016年:38回、2015年:40回、2014年:62回)、社会関係が25回(2018年:28回、2016年:28回、2015年:31回、2014年は43回)。ここ数年の掲載回数と比較すると、政治関係が激減、経済関係が横ばい、社会関係が微減という傾向が見られる。

毎年、掲載件数を押し上げるのは、「選挙」「安倍首相訪米」「米大統領訪日」の3つもニュースだ。過去4年間を見ると、2017年は衆議院選挙、安倍首相訪米、トランプ大統領訪日、2016年は参議院選挙、安倍首相訪米、オバマ大統領訪日、2015年は安倍首相訪米、2014年は衆議院選挙と、この3つに関するニュースが毎年取り上げられてきた。2017年も2016年もこの3つの関連ニュースだけで、実に21件も掲載された。

しかし、2018年は「選挙」も「安倍首相訪米」も「米大統領訪日」なく、これが政治関係のニュースを掲載回数を押し下げ、結果として全体の掲載回数も減少させた。

掲載回数減少のもう一つの理由は、掲載回数が5回を超える様な、重大ニュースが少なかったことだ。掲載回数が5回を超えるニュースは、2017年が7件、2016年が4件あったが、2018年がゴーン氏逮捕の1件しかなかった。

また、1面の下に、世界の面白い文化や習慣を伝えるコラムがある。2015年はこのコラムに8 件の記事が掲載されるなど、毎年日本の面白い文化が取り上げられていたが、2017年には1件に減少、2018年はついにゼロとなってしまった。日本も不思議の国から普通の国になってしまったということか。

掲載箇所別では、1面が12回(2017年6回、2016年:13回、2015年:15回、2014年:25回)、国際面が63回(2017年93回、2016年:83回、2015年:87回、2014年:125回)意見欄が5回(2017年11回、2016年16回、2015年:7回、2014年:24回)、その他が5回(2017年4回、2016年:3回、2015年:1回、2014年:6回)となっている。
1件が12回で、2017年に比べると増加したが、12回のうち8回がゴーン氏逮捕関係の記事で、これを除くと4件にとどまった。

これらの85件の記事の中から、恒例の「WSJが選んだ2017年日本の十大ニュース」を、独断と偏見で選んでてみた。 順位は、1面トップ:5点、1面:3点、社説:2点、その他:1点として得点順。同点の場合は掲載回数と掲載順(掲載時期が早いものを上位)で決定

今年は、1点よりも多い得点のニュースは8件しかなく、十大ニュースが成立しなかった。ゴーン氏の32点は過去最高で、このニュースの得点が突出していた。
1位:  ゴーン氏逮捕(32点、12回掲載)
2位:  外国人労働者受入れ(5点、3回掲載)
3位:  日銀金融緩和政策維持(4点、4回掲載)
4位:  大坂なおみ全米オープン優勝(3点、3回掲載)
5位: 日本企業に相次ぐ品質データ改ざん(3点、1回掲載)
6位: 武田薬品、シャイアー買収(3点、1回掲載)
7位: ホンダ、研究開発費削減(3点、1回掲載)
8位: ソフトバンク、ウィワークに資本参加(3点、1回掲載)

8件のうち政治関係は1件だけ。経済関係が実に6件を占め、経高政低だった。

ちなみに読売新聞の読者が選んだ2016年の重大ニュースの上位10は次の通り。
1位:平昌五輪で日本は冬季最多13メダル。フィギュア・羽生結弦は連覇

2位:西日本豪雨、死者220人超
3位:日大アメフト部選手が危険タックル。スポーツ界で不祥事相次ぐ4位:テニス・大坂なおみが全米オープン優勝、四大大会で日本人初5位:日産・ゴーン会長を逮捕6位:北海道で震度7、道内全域で停電7位:ノーベル生理学・医学賞に本庶氏8位:オウム松本死刑囚ら元幹部の死刑執行9位:大谷翔平、メジャー新人王に10位:大型台風襲来、関空が冠水し孤立

WSJ,、読売双方のトップ10に入っているニュースは「ゴーン氏逮捕」と「大阪なおみ全米オープン優勝」の2件。ちなみに、2017年は1件、2016年は1件、2015年はゼロ、2014年は2件だった。

アメリカから見た日本と、日本からみた日本には、微妙な違いがあり、面白い。

*** 12月のまとめ***

12月にWSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された日本関係の記事は10件だった。1月から11月までの月あたり掲載数が、平均6.8件だったので、掲載数として平均を上回った。

テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が5件、社会関係が1件。

政治関係のニュースは、11月は全く掲載されなかったが、12月は4件と掲載数が回復した。
外国人労働者受入法案の成立(6日、8日)、護衛艦「いずも」の空母化決定(12日)、国際捕鯨委員会からの脱退(26日)など、安倍首相が力を入れてきた政策が、これまでの日本の方針を180 度転換させるという意味で、世界中を驚かせた。
外国人労働者受入法案については、成立が濃厚になった6日に社説で取り上げ、成立した8日にも国際面で報道した。米国をはじめとする各国で、外国人受入を制限しようとしている中、日本が世界の潮流とは逆の動きをしていること、労働者不足を目の当たりにして、これまで外国人受入に消極的だった世論も変化していることなどを伝えた。
27日には、国際捕鯨委員会脱退について報道。これまで国際協調主義をとってきた日本が、自国優先主義に転じたことを驚き持って伝えた。パリ協定から脱退した米国やEUから脱退した英国にも匹敵する動きだとしている。

経済関係のニュースは、ゴーン氏関係が3件、日銀の政策維持決定が2件だった。
ゴーン氏関係のニュースは、11月の9件に続くもので、この件に関するWSJの関心の高さを示した。
12月の3件のゴーン関係記事はどれもWSJらしい面白い記事だった。10日の1面には、ゴーン氏が西川社長の更迭を目論んでいたとするスクープ記事を。17日の1面には、質素で勤勉だったゴーン氏が豪華な暮らしに溺れていく過程を描いた渾身の記事を掲載した。いずれも独自取材に基づく読み応えのある記事だ。

社会関係では、米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)のKC130空中給油機とFA18戦闘攻撃機が接触、墜落した事故を12日に封じた。

掲載箇所では、1面が2回、社説が1回、投稿欄が1回、国際面が6回だった。

Wednesday, December 26, 2018

日本は捕鯨を再開【A19面(国際面)】

菅官房長官は26日午前の記者会見で、日本が国際捕鯨委員会(IWC)から脱退することを正式に発表したが、WSJはその日の国際面でこのニュースを速報した。


 米国のパリ協定脱退、英国のEC脱退に続く、自国権益優先・国際協調軽視の行動で、日本がこうした行動を取るのは極めて異例としている。「日本は年間数百頭の鯨を殺している。(Japan kills several hundred whales.)」とか「鯨の肉は日本じゅうのレストランで提供されている。(Whale meat is served in restaurants across the country.)」など、知らない人が読むと日本人が野蛮で残虐な国民と取られそうな記述も散りばめられている。

***** 以下本文 *****
日本はIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、日本の沿岸での捕鯨を再開すると発表した。IWCから商業捕鯨の承認が得られなかった結果だ。
この決定は、水曜日に官房長官から発表されたが、日本が国際組織から脱退するのは極めて異例だ。このところ、自国の権益を国際協調よりも優先させる国が多くなっている。米国のパリ協定からの脱退、英国のEUからの脱退などが、その例だ。
IWC1986年に商業捕鯨一時停止の取決めを行った。それから数十年の間、この取決めを維持しようとするIWCのかたくなな対応に、日本は大きな不満を感じてきた。日本は、商業捕鯨禁止はあくまで暫定的なものだと主張し、生存に必要な数を確実に維持できる範囲での捕獲量の割り当てを求めてきた。
調査捕鯨という抜け穴を使って、日本は年間数百頭の鯨を殺している。鯨の肉は日本じゅうのレストランで提供されている。
日本は、今年、委員会での商業捕鯨の容認を投票で勝ち取ることを容易にするための提案を行った、しかし、IWCはその提案否決した。その際に、日本代表は、IWCから脱退すると仄めかした。
日本は現在、調査捕鯨の目的で現在行っている南極大陸近くの南極海での捕鯨を行っている。2019年半ばに日本がIWCから脱退すると、南極海での捕鯨は出来なくなると菅官房長官は述べた。
菅氏は、日本は、日本の領海での捕鯨が再開されても、鯨が生存可能な数を確実に維持すると述べた。
オーストラリアの海洋保護ソサエティーのCEOのダレン・キンドレイサイズ氏は、日本の決定は、鯨の保護を目的とした国際協調を台無しにすると語った。

Saturday, December 22, 2018

ゴーン氏は古い日本の犠牲者【A15面(投稿欄)】

ゴーン氏は21日、特別背任容疑で再逮捕されたが、WSJは翌日の意見欄に同社コラムニストの意見を掲載した。



ゴーン氏の逮捕は、衰退していく日本が、何としてもグローバルな舞台に戻りたいと考えて、グローバル企業である日産への支配力回復を目的に、なりふり構わずに行っているクーデターだとしている。本当は恩人であるゴーン氏に対して感謝の意を表すべきなのに、反民主的・策略的な手法でゴーン氏を追い込むやり方は、まるでプーチン大統領のやり方の様だと言っているように読めるがどうだろう。こうしたプーチン的な強引なやり方は、日本だけでなく、トランプ大統領も含め、世界全体に広がっているとの懸念で締めくくっている。

***** 以下本文 *****
カルロスゴーン氏は、11月19日以降、複数の容疑で、日本で収監されたままだ。こうした容疑により、会長職を追われた日産のリーダーは、起訴されたり、有罪判決を受けたりしたわけでもないのに、保釈の機会を与えられないまま、日本の司法制度のもとで、収監されている。
彼の元々の収監の理由は、日産・ルノーのアライアンスのトップとして得た未払報酬が、日本で公表される必要があったかどうかという、テクニカルな問題にかかわるものだった。その後、日産が、ゴーン氏が使用するために維持していた家の問題が浮上した。今度は、ウォールストリートジャーナルが、「個人的で付随的な契約」と報道している点について疑問が上がってきた。
まず覚えおいてもらいたいのは、日産が解雇したゴーン氏は、100万台の車を生産するグローバル企業を経営する幹部の標準的報酬から見て、報酬を貰いすぎてはいないということだ。2016年に三菱自動車が日産・ルノー連合に参加したが、ゴーン氏が3社を経営してなかったとしたら、3社がそれぞれ支払わねばならなかった金額はもっと大きかったかもしれない。
しかし、日本やフランスの国内のCEO の標準からすると、彼は貰いすぎだった。彼の報酬は、両国のメデイアをいらつかせる問題だった。さらに、日産とルノーを再生し浮上させるためには、当然、解雇が必要だったのだが、日本とフランスの両国では、統合と解雇が反社会的だとみなされている。
2010年以降、ゴーン氏の報酬の多くの部分を後払いにしたことは、明らかに、フランスや日本の政治家へのプレシャーを和らげつつ、ゴーン氏がリーダーシップを維持するためのゴーン氏のギリギリの策略だった。ゴーン氏が育ったベイルートの家や、ゴーン氏が生まれたブラジルの家に、ゴーン氏が住んでいたことには、彼が常にスケジュールが一杯で、出張で忙しかったことを考慮しても疑問が残る。しかし、これらの家屋は日産の資産なので、ゴーン氏の退任によって、これらの資産は市場で取引され、その相当額が日産の元に戻ってくるだろう。
有効な議論がある。マスコミや取締役会室、民事訴訟などでは、もみ消されてしまう類のものだ。ゴーン氏とその片腕のケリー氏が日本に気に入られるためには何が必要かとか、軽い罪での逮捕に止めるためには何が必要かといった議論は、今回の問題の真髄に迫ることにはならない。ウォールストリートジャーナルには、毎日新しい発見が掲載さているのでみてみよう。
・ゴーン氏が日産・ルノー連合を安定的で永続的なものにし、最終的にはフランスの株主に有利な形で、両者を統合させようと計画していた。
・ゴーン氏は、日産の片腕である西川宏人氏への信頼を失っていた。彼は、合併に反対で、ゴーン氏の逮捕を仕組んでいたと見られる。
・2人は、特に、停滞する日本市場よりも成長する米国市場にもっと投資したいというゴーン氏の計画について言い争っていた。
こうした事実を見ていると、ゴーン氏の逮捕が「プーチン主義」、つまり、ゴーン氏の逮捕が、日産がルノーの1部門になることを避けるためのクーデターということにならないか。我々はそこにもっと注目すべきだった。日本は、米国が見守る中、1980年代以降勢いを失いつつある。1980年代には、日本の投資家たちは、ロックフェラーセンターを買い、パブルビーチの名門ゴルフ場を買った。その頃、東京の皇居の土地の価格は、カリフォルニア州全体の土地の価格よりも高いと言われた。
日本は未だに製造大国としてグローバルに活躍しているが、グローバルなシーンでの文化的影響力は低下してしまった。人口は減少し、高齢化は急速に進んでいる。昨年の新生児の数は949,060人にまで減少し、1899年の統計開始以来、最低を記録した。国民全体が魔法をかけてでも維持したいと考えているのは、日本円と日本国債の価値を維持のようにも見える。日本の一人当たりの国債の額は、断トツトップで、一人当たり9万ドルにもなる。人口に占める子供の数(日本では子供は珍しい存在になってしまった。)は、2060年には1/3まで縮小する見通しだ。
フランスの株主が、日産の回復から、大きな利益を得ていることは事実だ。ルノーは、日産が1999年に倒産しかかっている時に、日産株を買ってくれた救世主だ。フランス政府がルノー株を保有していて、間接的に日産株を保有していることに、日本の株主が懸念を持っていることは理解できる。しかし、ゴーン氏の決断がフランスの国内の権益を守るために歪められていたというのは、事実とは明らかに異なる。日産の成功は、米国市場と中国市場への投資に舵を切ったゴーン氏の功績によるところが大きい。
我々は、企業を擬人化しないので、日産の経営陣や日本のリーダーたちが、救世主であるルノーに感謝を示していないことをとやかくいわない。しかし、ゴーン氏が水の上を歩いたとしても、彼らはゴーン氏に対して犯罪となる容疑を仕立てあげていただろう。衰退する日本は、今蘇った日本のチャンピョンである日産に対する支配を取り戻したいのだ。
でも、日本人は本当にそんなことをしてしまうのだろうか。日本の法制度は、多分、我々の多くが、何となく考えていたものとは異なるようだ。それは、もっと「プーチン主義」に近い。(この点について、私が間違っているなら、ツイートやメールを送って欲しい。米国を含む、世界全体がプーチン主義に向かっている。)
ゴーン氏とケリー氏は、日本の刑務所の中では、幸せなクリスマスを楽しむことはできないだろう。
(かなり難解な文章が多く、一部意訳してあります。誤訳も含まれるかもしれません。)

Friday, December 21, 2018

日銀は金融緩和政策を維持【A16面(国際面)】

日本銀行は20日の金融政策決定会合で、金融政策運営方針の維持を決定したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」、金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で据え置くことなどをコンパクトに伝えている。(前日の20日にもほぼ同様の記事を掲載している。ほぼ同様の記事の2日連続掲載は極めて異例。)

***** 以下本文 *****
日銀は、金融緩和策を維持することにした。日銀は鈍い価格上昇と戦い、貿易紛争を注視している。
日銀は、短期金利をマイナス1%10年物国債の利払いをほぼゼロに据え置いた。
日銀は、更に長期間にわたって金利を非常に低く維持しすることを再確認した。

Thursday, December 20, 2018

日銀の金融政策は現状維持【A11面(国際面)】

日本銀行は20日の金融政策決定会合で、金融政策運営方針の維持を決定したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」、金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で据え置くことなどをコンパクトに伝えている。

***** 以下本文 *****
日銀は、木曜日に。金融緩和策を維持することにした。日銀は鈍い価格上昇と戦い、貿易紛争を注視している。
日銀は、短期金利をマイナス1%10年物国債の利払いをほぼゼロに据え置いた。日銀は、更に長期間にわたって金利を非常に低く維持し、10年物の日本の国際の誘導目標にはある程度柔軟に対応することを再確認した。
日銀は、全般的な景気動向について、緩やかに拡大しているという見方を維持した。

Monday, December 17, 2018

贅沢な暮らしがゴーン氏の日産での失脚を招く【A1面】

WSJ17日の1面に、ゴーン氏逮捕に関する、これまでの経緯をまとめた記事を掲載した。長文だが、独自取材に基づく力作だ。



 特に、記事後半では、2005年以降、それまで質素で勤勉だったゴーン氏が、人が変わった様に豪華な生活に溺れていく過程に迫っていて読み応えがある。また、日産のある監査役がZi-Aという日産の子会社の存在に気づき調査を進めたことをきっかけに、ゴーン氏の影の部分が次々と暴かれていく過程も、小説を読んでいる様だ。

***** 以下本文*****
ゴーン氏の失脚のきっかけとなったバラ色の豪邸は、ベイルートの最高級住宅街の一角にある。
ゴーン氏に近い関係者によれば、その壁には、ゴーン氏の肖像が飾られ、ゴーン氏自身が2人目の妻と共に、1,500万ドルの資産の購入とその改装を指揮した。改装中に発掘された2つの石棺は、ワインセラーに続くガラス張りの床から見ることが出来る。
今年の初めに、日産自動車の幹部たちは、ペイルートの家屋やその他の資産が、シェルのネットワークを通じて、実際には日産によって購入されていたことを知った。日産の幹部たちは、このことをゴーン氏には知らせなかった。日産は、ゴーン氏が1999年から経営しており、最近はフランスのルノーとの連合にほころびがみられていたが、関係者によれば、日産はこうした家屋の改築費まで負担していた。
日産がゴーン氏のジェット機で移動するライフスタイルを資金面で支える役割をしてきたことを知ったことにより、日産の幹部のフラストレーションが爆発し、長い間かけて不満が醸成されてきた。そしてそのことが、ゴーン氏が先手を打って日産幹部への反逆行為の行うことにもつながった。
何十人もの日産関係者や捜査関係者に基づくこうした説明は、隠ぺいされた支払や会社のお金の贅沢な支出が、日産に対するゴーン氏の長期支配に対する大きな不満を醸成していったことを示している。日産の社員は、日産の利益がルノーを支えていることに不満をもらしていて、ゴーン氏がルノーがより大きい日本のパートナーである日産を完全に乗っ取るための準備を進めているのではないかと恐れていた。
何か月にもわたって、日産の幹部は秘密裏にゴーン氏についての情報を収集し、1119日のゴーン氏とその右腕のケリー氏逮捕への準備を進めてきた。日産の幹部たちは、米国で暮らすケリー氏にも、ゴーン氏が日本に到着を予定していたこの日に、日本に来るように説得していた。こうした周到な準備によって、日本の検察は、2人を素早く逮捕し、その数時間後には、ゴーン氏の事務所と東京のマンションを操作することが出来た。
日産のCEOの西川廣人氏は、ゴーン氏が自ら後継に選任した。彼は、本社で社員集会を開催し、明らかになったことを説明した。出席した人によれば、集まった社員たちからは拍手は巻き起こったという。日産の調査の関係者によれば、日産社内でのゴーン氏に対する反感は、火山の様に大きくなっていた。
それは、一時は日産の救世主として崇められた人物にとって、そして自動車業界で最も力を持ったリーダーの一人にとって、大きく急な変化だった。ゴーン氏が11月に逮捕されて以来、日産は間髪いれずにゴーン氏の会長職を解き、ゴーン氏が会長とCEOを兼務するルノーでは、暫定リーダーを置いた。1210日に、日本の検察は、ゴーン氏を、日産の財務報告書でその所得を過少申告した疑いで起訴した。ルノーは、日産に、アライアンスに対する重大なリスクについて討議するために、株主総会を開催する様に迫っている。
ゴーン氏の日本の弁護士にコメントを求めたが、回答は無かった。弁護関係者によれば、ゴーン氏はその無実を主張し続けている。
一方、ゴーン氏は、収監されたままだ。日本の司法制度のもとでは、検察は容疑を追加してくるので、2019年に入るまでは収監されたままで、裁判を待つことになるだろう。
検察は、ゴーン氏の不正支出や会社資産の個人使用については、起訴していないし、その点に容疑があると指摘もしていない。しかし、ゴーン氏がベイルートやリオデジャネイロで個人使用していた日産所有の家屋については、日産が既にそれらを実質的に管理し、鍵を変えているので、裁判所での争点になるだろう。ゴーン氏の家族のメンバーたちは、私物や美術品や現金を取り戻すためにこれらの家屋へのアクセスを求めて訴訟を起こしている。
ゴーン氏の家族は、彼の逮捕や会社のお金を不正使用しているという主張は、会社支配を巡るもっと大きな戦いの一部だと主張している。
「この事件の本質は、ゴーン氏の逮捕がルノーと日産・三菱の間の会社間対立の結果だということだ。」と家族の弁護士は、ブラジルでの裁判所への申し立ての中で述べた。「ゴーン氏の突然の逮捕は、日産がルノーとの連合を弱体化させるための汚い策略だ。」ゴーン家に近い関係者によれば、ゴーン氏の子供たちは、ゴーン氏が日産から得ている報酬は、彼の経営により実現した日産のV字回復と過去20年間ゴーン氏が日産の社員のために創出した富と比較して考えるべきだとしている。
「記憶している限り、毎週日曜日に、我々は必ず父から話を聞いた。父が仕事でどんなに忙しくても。」ゴーン氏の4人の子供たちは、書面で出された声明の中でこう述べている。ゴーン氏は、冗談で、日産は5人目の子供だと言っていた。「父と話せなくなってから、4回の日曜日が過ぎました。父に会いたいです。」
「この幾つもの容疑が出てきているが、これらはゴーン氏の不正行為によるものだ。」と日産のスポークスマンはメールの中で述べた。「これらの不正行為の調査の過程で、東京地検は自主調査を開始し、アクションを取った。」
ルノーのスポークスマンはコメントを拒否した。
1999年に不振の日産を援助するためのルノーによる54億ドルの緊急投資を実現させた後、ゴーン氏はルノーと日産をテクノロジーとプラットフォームを共有するアライアンスへと変化させた。その後、このアライアンスには後に三菱自動車が加わって、世界最大となり、3社の公表数値によれば、ゴーン氏は2017年に3社から1,700万ドルの報酬を受け取った。その報酬額は、日本の競合他社に比べると非常に大きいが、米国の同業に加えると小さい。例えば、GMのバラ氏は2,200万ドルの報酬を得ている。
ゴーン氏にとって、こうした不動産やプライベートジェット、その他の報酬は、彼の仕事の一部であり、家族とは離れた、仕事上の出張目的で使われた。フライトレコードとゴーン氏の家族と親しい関係者によれば、ゴーン氏は少なくとも1年に100日を飛行機の中で過ごした。
関係者によれば、日産がゴーン氏がこうした資産を使用するために、どれ位の金額を払っていたかを知っている日産幹部は一握りにすぎない。
ゴーン氏が自由に使える資産の中で最も高いものは、日産が過去18年にわたって購入してきた数機のプライベートジェットだ。各機の機体には登録番号N155ANが飾られている。
業界紙であるコーポレートジェットインベスターによれば、最新のガルフストリームG6506,450万ドルするが、ゴーン氏関係者によれば、その機内には寝室があり、彼はよくそこで寝ていた。「こうしたライフスタイルは、肉体的にも対人関係的にも、害をもたらす。それだけの価格を払ってでも、きちんと体調管理をしていかねならない。」とゴーン氏は最近日産のウェブサイトにアップされた自伝の中で書いていた。「機内でぐっすり眠れれば、肉体的にも精神的にもとても助かる。」
今年、彼が乗った飛行機は、彼が地球を飛び回った80日以上の期間に、少なくとも35の異なった空港から飛び立っている。フライトレコードによれば、ゴーン氏の逮捕前の7週間だけみても、彼の乗った飛行機はベイルートを8回飛び立っている。
日産内部には、ゴーン氏のライフスタイルは、損益改善のために彼が推進したコスト意識の高い経営スタイルの対極をなすものと映った。彼のライフスタイルに必要なお金が、日産によって支払われていたという主張が明るみに出るにつれて、裏切られたという気持ちが日産内部に広がっていった。
「透明性や質素倹約が日産ウェイだ。」と日産の元幹部は言う。「私は問いたい。透明性はどこへいったのか?質素倹約はどこへ行ったのか?」
ゴーン氏は比較的つつましやかな家庭環境で育った。彼の父方の祖父は、13才の時に、スーツケース1つで、レバノンからブラジルへ移住し、ブラジル内陸部で小さなビジネスを始めた。ゴーン氏の自伝によれば、その後、ゴーン氏が生まれた。ゴーン氏が6才になった時、彼の父は彼をベイルートに送り、彼はそこで祖母、母、姉妹と暮らした。
家族関係者によれば、ゴーン氏のベイルートでの暮らしは中流だった。15才か16才の時に、ゴーン氏は初めてレストランへ行き、グレープを見て豪華なものと思った。その後何年が経って、ゴーン氏は、フルーツを買ったり飾ったりするのが好きになった。
パリの2つのエリート工科学校に通った後、ゴーン氏はフランスの製造業であるミシュランタイヤに入社した。1996年に、ゴーン氏はフランスの自動車メーカーであるルノーに雇用され、家族と共に、フランスに移り住んだ。1990年代後半に、日産は破産の瀬戸際にいた。ルノーは、ゴーン氏の強い後押しにより、54億ドルの緊急投資を実行した。この結果、ルノーは日産の株式の37%を所有、その後43.4%まで比率を増やした。一方、日産はルノーの株式を15%購入した。
1999年に日産のCEOとして東京に移ったが、ゴーン氏はそこで「セブンイレブン」というあだ名を付けられる。長時間働くからだ。彼は、工場を閉鎖し、従業員を解雇し、効率の悪いサプライヤーとの取引を中止した。こうした対策により、日産は目標より1年早く、利益と債務縮小の目標を達成した。彼は、経営の天才としてもてはやされ、彼の活躍は漫画にもなった。
2005年に、ゴーン氏はルノーのCEOにも就任した。不動産記録と日産の捜査関係者によれば、この頃、ゴーン氏は、最近の捜査で明るみに出たアパートの1つを個人使用のために購入している。パリの最高級住宅地である16区にある4,300スクエアフィートのアパートだ。
3年後、日産は、同じ建物に、追加で1,200スクエアフィートのスペースを買い増し、メゾネット形式のアパートにした。
ゴーン氏の家族に近い関係者によれば、その買い増しは、セキュリティー上の不安を解決するものだった。20年前に、ルノーのCEOがパリで左翼による強盗被害にあったのだ。
日本の幹部たちは、ゴーン氏が次第に会社に出社しなくなっていったことにいら立ちを覚えていた。それでも、彼は日産のだれよりも圧倒的に巨額の報酬を得ていた。日産の調査に詳しい関係者によれば、日産はゴーン氏に1,500万ドル払っていたが、この金額はゴーン氏以外の他の9人のトップ幹部全員の報酬合計の2倍を超えていた。
日本は、2010年に開示ルールを改定し、約88万ドル以上の報酬を得ている幹部は、その報酬額を公表しなければいけなくなった。関係者によれば、ゴーン氏は、世間での評判が落ちるのではないかと悩んだという。彼と他の幹部たちは、グローバルリセッションにより、既に報酬カットを受入れていた。ゴーン氏は開示額を少なく見せることを強要した。具体的には、日産に、780万ドルを支払い、残りの200万ドルの支払いを遅らせる様に要求した。
こうした変更は、ケリー氏によって処理され、後には、社長室や人事が関与した。同僚たちは、彼らを、ゴーンへの絶対服従者とか、トラブル処理係などと呼んでいた。後払報酬を新しい開示ルールでどの様に取り扱うかの解釈は、グレイなエリアだった。関係者によれば、日産の監査法人であるE&Y新日本は、日産のこうしたルールの解釈案に、同意しなかった。ケリー氏の弁護士によれば、ケリー氏は外部の専門家を雇い、彼らから自分の解釈を支持する意見を得た。
それでも、ゴーン氏の開示された報酬額は、日本では最高額となり、日産の株主総会では、怒りが巻き起こった。ゴーン氏は、フォードのムラリー社長は彼の報酬額のほぼ2倍の報酬を得ているとして、防戦した。
検察は、これをきっかけにして、その後、後払いにする金額がどんどん増えて、ここ数年は、報酬額の半分以上になっているとみている。日産の内部調査に詳しい関係者によれば、ケリー氏とゴーン氏は、膨らみ続ける後払報酬とゴーン氏退職後の支払い計画について管理するために、詳細なスプレッドシートを準備していたという。
日産によれば、社内で何が起きていたが知っていたのは、数人に過ぎなかった。幹部の報酬を監督する報酬委員会は存在していなかった。このため、経営トップたちがもらう報酬額の決定は、ほぼゴーン氏が一人で行っていた。
そして、その後、特別報酬が加わった。2010年の終わりに、日産はオランダにZi-Aキャピタルという会社を設立した。ケリー氏や、会社登記、関係者情報などによれば、その会社は、日産の取締役会がベンチャー投資を行うことを目的とする会社だ。
Zi-Aは、最終的には8,280万ドルの投資を得たが、日産が、幾つものオフショアのペーパーカンパニーを通して、追加で家屋を購入するための会社となっていった。こうした家屋の中にはベイルートの家屋が含まれている。
その頃、ゴーン氏は、最初の妻であるリタと別れた。リタは、古着を来て、ブリッジを楽しむ女性だった。そして、現在の妻であるカロールとの新しい関係が始まった。その頃のゴーン氏に詳しい人物によれば、カロールは、デザイナードレスやファンシーなイベントが好きだった。
リタ・ゴーンの弁護士は、彼女の代理としてインタビューや質問を受けることを拒否した。
2012年には、ゴーン氏の妹であるクローディン・ビシャラ・オリベイラは、リオデジャネイロのコパカバーナ地区にある4ベッドのビーチに面したマンションの購入をサポートしたと言われる。この取引に詳しい人からの情報だ。Zi-Aの孫会社であるHamsa1が、570万ドル支払って、このマンションは会社資産となった。
ゴーン氏の家族関係者によれば、ゴーン氏は、ビジネスでリオデジャネイロを訪れた際には、そのマンションに滞在していた。ゴーン氏のリオデジャネイロへの出張に詳しい人物やこのビルの2人のドアマンからの情報によれば、1度に10人をもてなせるこのマンションは、ゴーン氏の家族が休日を過ごす場所でもあった。「私たちの家族にとって最も誌的な時は、我々のマンションがあるコパカバーナビーチを一緒に散歩する時です。」とゴーン氏の3人の娘の1人であるナディーン・ゴーンは、ブラジル版ヴォーグ誌に語った。
ゴーン氏が再婚して数ヶ月経った2016年秋には、ゴーン氏とその新しい妻は、結婚とゴーン氏の誕生日を祝うイベントを行った。出席者によれば、そのイベントは、フランスのヴェルサイユ宮殿敷地内の宮殿の1つで行われた。ブラックタイで正装した120名のゲストが、シャンデリアの下、燭台で飾られた長いテーブルに座った。ペーストりーは、出席者の頭の位置より高く積まれた。金のお盆にはぶどうが盛られた。
連邦航空局のデータによれば、その頃、日産はゴーン氏のために、更に速くてスペースが広いジェット機、ガルフストリームG650を購入した。ゴーン氏の子供たちは、その頃、もし父と同じ方向へ旅行する場合には、父と一緒に飛行機に乗るようになっていたと家族と親しい人物は述べた。「飛行機に一緒に乗ることが、子供たちが父と一緒の時間を過ごす手段だったのです。」
フライトレコードによれば、ゴーン氏が再婚した後は、ジェット機はベイルートに以前より頻繁に向かう様になった。ベイルートへの飛行によって日産は追加の費用を計上せねばならなかった。安全上の問題で、日産はジェット機をベイルートの格納庫に駐機させなかったからだ。フライトレコードと関係者によれば、代わりに、乗組員は120マイル離れたキプロスまで飛行させ、ゴーン氏が使用する時にはベイルートに戻ってきていた。
「彼には、警備の1団が取り巻いていた。」とゴーン氏のベイルートの家の近くの床屋は言った。「国の安全保障局のジープが彼に同行していた。彼は重要人物だから。」
日産の話に戻ると、日産社内ではゴーン氏の経営についての不満が膨らんでいた。日産の幹部の中には、ゴーン氏は、日本の幹部よりも、外国人幹部を速く昇格させているという懸念を抱くものもいた。
ゴーン氏は、日産とルノー双方に対し、部品や製造プラットフォームを共通化することによってコストをカットする様に強く求めた。このため、技術者たちは、日産とルノーのどちらの技術や工場を使うか、言い争っていた。日産の売上は株主であるルノーよりも大きくなっていたので、日産の従業員たちは、日産が稼いだ利益がルノー強化のために使われていると感じていた。
昨年、日産のある従業員は、株主総会でゴーン氏に対抗してこう言った。「日産は、ルノーの完全子会社になった感じがします。」するとゴーン氏は怒って次の様に答えた。「貴方が言っていることを示す事実があれば言って欲しい。貴方の言っていることを示す現実の出来事など、実際には無いではないか。」
ルノー関係者は、日産がルノーを支えているというのは言い過ぎだという。「日産従業員もルノー従業員に対しては、ゴーン氏は日産に良くしてくれていると言う。アライアンスの成功にはバランスが重要だから。これは達成が難しいことかって?その通りだ。」
ゴーン氏は、最終的には彼を失脚させた人々が集まっていることは知らなかった。日産の監査会社であるE&Yは、毎年Zi-Aについての質問をあげていた。この会社を通してゴーン氏は家を購入していた。この件は、2014年に日産の監査役となった製造分野のベテランえあるイマヅヒデトシ氏の注意を引くことになった。監査役は取締役の行動を監視するのも、その仕事の1つだったからだ。イマヅ氏は、Zi-Aは何をしているのか暴き出そうとした。しかし、英領ヴァージンアイランドの様な場所で、Zi-A社が使っている沢山の幽霊会社に阻まれて、分からなかった。
6月頃、イマヅ氏は、あるZi-Aの取締役に助けを求めた。彼は、マレーシア生まれで英国で教育を受けた弁護士で、名前をハリ・ナダと言った。彼は、グローバルコンプライアンスと社長室を担当していた。ナダ氏はケリー氏の腹心で、Zi-A社の届け出によれば、2012年以降ケリー氏と共に取締役の地位に就いている。彼は、イマヅ氏を3番目の取締役であるオオヌマ・トシアキ氏に引き合わせた。日産の社内文書と関係者によれば、オオヌマ氏は、長い間ゴーン氏の秘書的な業務を担当し、後払報酬に必要な書類の処理もしていた。
検察の取り調べや日産の内部調査に詳しい関係者によれば、その頃、イマヅ氏は、日産がゴーン氏のために使っているお金と後払報酬の全貌が見え始めていた。この年までに後払報酬は合計で8,000万ドルになっていた。
関係者によれば、反ゴーン氏のグループは弁護士に会って、彼らが発見したことをどう解釈すれば良いか、そうしたことがゴーン氏もしくは社内の他の従業員の犯罪を構成するかなどの調査を依頼した。この時の弁護士の中に、元検察の人間がいて、この人物が日産幹部に6月に発効したばかりの新しい法律を利用するように促した。その法律は犯罪容疑者が検察を助けることと引き換えに減免措置を要求できるというものだ。
夏の終わりまでには、このグループは検察に非公式に相談していた。関係者によれば、10月には検察はこれは犯罪になると判断した。イマヅ氏とそのグループは、正式の内部告発レポートを作成した。その中で、日産の子会社がゴーン氏に無償で家を提供するために使われていること、そして、財務報告書に掲載されている取締役の報酬の記述が不十分であることなどに言及した。
その時になってようやくこのグループは西川氏に全てを報告した。西川氏は2017年にゴーン氏が後継者としてCEOに就任させていた。西川氏はこのグループの行動を全く知らなかった。関係者によれば、最初は、彼の師匠の悪事を暴くストーリーに疑問を表明していた。西川氏は、正式の調査を開始し、結果を彼に直接レポートさせた。WSJによるメール調査によれば、ナダ氏は家屋に関するドキュメントの収集を開始し、行動を調査するためリオデジャネイロに飛んだ。ナダ氏はまた、ゴーン氏を逮捕するための詳細な計画を作成し、検察が犯罪を立証するための証拠集めも開始した。
日産の調査担当者たちはゴーン氏と直接衝突したくなかった。関係者によれば、調査担当者たちは、ゴーン氏がそのことを知ると、調査結果をもみ消すだけの力を持っていることを心配していたのだ。その代りに、調査担当者たちは、ゴーン氏が月例の取締役会に出席するため1119日に羽田空港に到着した直後に、検察が彼を拘束することを計画した。関係者によれば、ナダ氏は、ゴーン氏が逮捕された時に、検察が質問したいであろう人たちが、全員日産の事務所にいるように調整した。
日産の調査担当者のチームには、今度は、ゴーン氏の共謀者とされるケリー氏にも東京に居てもらう必要が出てきた。関係者によれば、ケリー氏はフロリダに反隠居状態で暮らしている。ナダ氏は、ケリー氏に電話をかけ、取締役会に出席して欲しいと告げた。関係者によれば、ゴーン氏は、日産幹部の人事変更を承認するための投票を計画していた。この人事変更で、西川氏をCEOから外し、ケリー氏を再任する予定だった。
ナダ氏は、通常はビデオ会議システムで取締役会に参加するケリー氏に、プライベートジェットに乗って東京まで来て出席して欲しいと迫った。ナダ氏は、ケリー氏が背中の外科手術に間に合う様に米国に帰れると確約した。
フライトレコードや関係者によれば、ケリー氏の飛行機は、1119日の午後早い時間に成田空港に到着した。ゴーン氏が羽田空港に到着する少し前だ。ゴーン氏が拘束されるとすぐに、ケリー氏の運転手は電話をもらった。そして車をパーキングエリアに停めた。ケリー氏は東京地検に引き渡された。
午後10時、いつもになく感情をあらわにした西川氏が記者会見に臨んだ。「申し訳ないを通り越しています。私はこの感情をどう表現して良いのか分かりません。私は強い怒りと失望を覚えます。」と彼は言った。
(お断り:分かりにくい部分は、意訳し、必要に応じて原文にはない補足を加えてあります。)

Wednesday, December 12, 2018

日本政府は空母建造計画を明らかに【A9面(国際面)】

自民、公明両党は11日、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」を改修し、事実上の空母化に踏み切ることを柱とする「中期防衛力整備計画」(中期防)の骨子案を大筋で了承したが、WSJはこのニュースを12日の国際面で速報した。


空母からは米国製のF35Bステルス戦闘機が離陸可能となること、この計画は来週の閣議で決定される見通しであることなどをコンパクトに伝えている。

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日本は、第二次世界大戦後初めてとなる空母の開発に近く着手するだろう。火曜日に発表された策定中の「中期防衛力整備計画」は、日本は甲板が平坦な駆逐艦を、米国製F35Bの様なジェット戦闘機が短距離での離陸が可能な船に転換すべきだとした。この計画は、来週安倍首相の内閣で承認されると見られるが、2019年からの10年間の日本の防衛の優先順位を描く。
ここ数ヶ月、空母建造に対する機運が盛り上がっていた。推進派は、日本は島しょ部防衛能力を強化することが出来るとしている。

空中衝突で6人の海兵隊員が死亡【A9面(国際面)】

高知県沖の太平洋上で6日、米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)のKC130空中給油機とFA18戦闘攻撃機が接触、墜落した事故で、防衛省は11日、発生直後から続けていた行方不明者の捜索活動を打ち切ったが、WSJはこのニュースを12日の国際面で速報した。


1名が救出されたが6名は死亡したこと、事故原因は調査中であることなどをコンパクトに報道している。


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米軍は日本の沖で行方不明となっている5人の海兵隊員の捜索を打ち切った。これで126日に発生した空中での衝突による死者は6人となった。
FA18戦闘攻撃機がKC130空中給油機と日本の南西部で衝突したが、FA18の乗組員のうち1名は衝突後に救出された。もう一人のジャマール・レシラード大尉28才(フロリダ州・ミラマー出身)は遺体で発見された。
その後、3ヶ国からの船や航空機が25,000平方マイル以上もの範囲でKC130の乗組員5名の行方を捜索した。
海兵隊は火曜日に死亡されたとする5名と救出された1名の名前を明らかにしていない。行方不明者の近親者には既に知らされている。
どちらの航空機も日本の岩国海兵隊基地から離陸し、演習に参加していた。
海兵隊によれば、4つのエンジンを搭載したターボプロペラ機である給油機が給油中に衝突したのか調査中だ。

Monday, December 10, 2018

ゴーン氏は日産の西川社長の更迭を目論んでいた【A1面】

ゴーン氏は10日に起訴されたが、WSJは同日の1面で、ゴーン氏が日産の西川社長を更迭しようとしていたするショッキングなニュースを掲載した。



日産は、米国の販売不振、国内の品質問題の課題が山積みで、ゴーン氏は西川氏のこれらの課題への対応に不満をもっていた。11月下旬の取締役会で、社長交代の提案をする意向を示していたものの、1119日に逮捕された。関係者の話としている。


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関係者によれば、日産のカルロス・ゴーン氏は、同社のCEOを交代させる計画だった。ところが、その計画は、ゴーン氏が先月東京で逮捕されたことにより、実現できなかった。
ゴーン氏のこの計画は、日産内部のドタバタ劇に更に新たな展開をもたらす。CEOである西川廣人氏は、日産はゴーン氏による会社資産の私的利用やその他の疑惑について調査を行い、東京地検にその情報を提供したと発言している。
関係者によれば、そうした内部調査が進む一方で、ゴーン氏の西川氏に対する不満は増大していた。米国での売上不振や、日本での度重なる品質問題などの課題に対する、西川氏の対応に不満を持っていたのだ。
一方で、共同通信によれば、月曜日に日本の検察は、日産の財務報告書に自身の報酬を記載しなかった罪でゴーン氏を起訴した。ゴーン氏の弁護を担当する大鶴基成氏の法律事務所にコメントを求めたが、拒否された。関係者によれば、検察が未記載だったとしている報酬は、ゴーン氏の退職まで支払いが繰延されることになっていた。
共同通信によれば、さらに、法人としての日産も同様の罪で起訴された。日産にもコメントを求めたが、拒否された。
月曜日にもう一人起訴されたのが、日産の元取締役のグレッグ・ケリー氏だ。ケリー氏は、日産にゴーン氏の右腕として仕えてきた。ケリー氏の弁護人は、ケリー氏はこの報酬は金額が確定しておらず、従って、財務報告書に記載する必要はないと考えていたとしている。ケリー氏の弁護人であるキタムラヨウイチ氏は、ケリー氏は日産の業務として、外部の専門家の意見を求め、繰延報酬の未記載について問題無いとのコメントを得ていたとしている、
ゴーン氏は、何ヶ月もの間、上層部の刷新の意向を表明し、何人かの幹部には西川氏を入れ替えたいということを知らせていた。
また、ある関係者によれば、ゴーン氏は西川氏の更迭について11月下旬の日産の取締役会での議決したいとの希望を同僚に伝えていたとされる。
結局、取締役会は、西川氏を更迭する代わりに、1122日に、ゴーン氏が会計的不正を行ったとする日産の報告を受け、満場一致でゴーン氏を会長の職から解いた。
この件について、西川氏のコメントを求めたが、コンタクト出来なかった。西川氏がゴーン氏の幹入替え計画について知っていたのかは不明だ。また、日産の内部抗争が逮捕のタイミングと関係しているのかも分からない。
逮捕された際には、ゴーン氏は日産の会長として、同社の最終的な意思決定者と考えられてきた。西川氏は、ゴーン氏は日産内部とフランスの自動車メーカーであるルノーと同社のアライアンスについて、あまりに権力を持ち過ぎていたと語っていた。ルノーは、日産の株式を43%保有し、取締役を3人派遣しているが、ゴーン氏は、ルノーの会長兼CEOだ、
ルノーと日産の間の軋轢は最近になって浮上してきた。日産は、ルノーよりも大きな売上・利益を計上しており、同社の幹部はルノーが日産のビジネスについての決定に口出しすることを快く思っていなかった。
日産内部では、ゴーン氏が逮捕される前の緊迫した状況は、アライアンスの将来だけでなく、日産自身のビジネスの不振によっても引き起されていた。米国での売上は、前年比で8ヶ月の内、6ヶ月も落ち込んでいた。西川氏は日産は米国の利益を強化する必要があると言っていた。しかし、インセンティブをカットすることによって利益を増やそうという当初の試みは、4月の売上下落を招いた。
日本では、1年以上も前の日産の工場での検査に問題があったことが明るみに出て、100万台以上の車がリコールされた。同様の問題がその後も明るみに出ている。金曜日に、日産は日本の労働者がパーキングブレーキとハンドルを誤った方法でテストしていたことが判明したと発表した。
しかし、全員が、西川氏の社長としての地位が危ないと感じていたわけではない。ゴーン氏と西川氏の関係に詳しい関係者は、彼らの意見の違いは、ゴーン氏が西川氏の排斥を考えるまでには悪化していなかったと発言している。
ゴーン氏は日産のCEOとしての最後の年に、世界の自動車市場でのシェア8%と、経常利益8%を実現させようとしたが、日産はどちらの目標も達成出来なかった。
ゴーン氏は、最も規模の大きな企業だけが、自動運転や電気自動車が主流になる将来の市場で生き残ることが出来ると信じていた。彼は、日産、ルノー、三菱の3社連合の販売台数を、昨年の1,060万台から、2022年までに1,400万台へ伸長させると発言してきた。
「今後予測されるテクノロジーの拡張によって、小さな企業は競争についていくのが困難になる。」とゴーン氏は20179,月にウォールストリートジャーナルに話した。
2ヶ月後、西川氏は記者会見で異なる見方を示した。規模を増やそうという日産の取組みは、利益を食い潰すと。
1999年にルノーが日産の大株主になった時に、ゴーン氏はルノーの幹部だった。その年に、日産の再生を目的に日本に派遣され、ゴーン氏は非常に速いスピードで再生計画を実行した。数年にわたって、西川氏はゴーン氏の側近として、サプライチェーンにおけるコスト削減を担当した。

Saturday, December 8, 2018

日本の国会は外国人労働者受入れへ動く【A9面(国際面)】

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が、8日未明に成立したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。


 この法案により今後5年間で30万人以上のブルーカラーを受入れる予定であること、移民アレルギーの日本でも深刻な労働者不足の中「外国人労働者受入れ拡大はやむなし。」とする世論が過半数を占めていること、野党は現状の技能実習制度の問題点を指摘して強く反対したことなどが、詳細に報道されている。

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日本は、労働者不足を解消するために、土曜日に国会を通過した法案のもと、今後5年間で30万人以上のブルーカラーの外国人労働者を受入れる計画だ。
これは、日本は、大規模な移民を長い間拒んできたが、この法案は、日本にとって、大きな方針変換だ。日本では、外国人労働者無しでは多くの産業で労働者不足を補うことが不可能になってきた。建設業や看護ケアなどの業界では、求人数は応募者数の4倍にもなっている。
日本の人口は、慢性的な低出生率により、2010年頃から減少し始めた。一方で、ここ数年の堅調な経済成長により、仕事の機会は増加している。今年の初めに、失業率は、1992年以来最低のレベルまで低下した。
経済団体は、外国人労働者に対する規制を弱めることを求めるロビー活動の先頭に立ってきた。
新しい法律により、2種類のビザが新設される。ひとつは、一定の技能を持つ労働者に与えらえるもので在留期間は5年間。もう一つは、熟練労働者に与えられるもので、在留期間は無期限だ。日本政府は、最初の5年間で34万人の労働者に在留許可を与える計画だ。
日本の世論調査によれば、日本では歴史的に移民に対する反対が根強いが、外国人労働者の受入れについては、僅差で受入れを支持する人の方が多い。移民に対する懸念は、外国人が社会に溶け込めるかどうかにある。日本の人口の約2%が、外国人だ。
新しいのビザの申請者は、基本的な日本語の能力を持っていなければならない。多くの申請者が、平均賃金が日本よりも低いアジア諸国からになると見られている。
安倍首相は、高齢者や女性を労働人口に組み込もうと努力してきたが、労働者不足が深刻な特定の分野には、外国人労働者を受け入れるしか選択肢が無いと発言した。
法案が審議された木曜日の国会議論で安倍首相「我々は、外国人と共存出来る社会の創設を計画しています。」と述べた。
法案は、土曜日の早朝に、賛成票161対反対票76で、参議院を通過した。衆議院は既に通過しているので、これにより最終的に法案は成立した。日本政府は、新設されたビザの適用を来年4月に開始したい意向だ。
野党議員は、法案は、健康保険や福祉プログラムなどを含む、社会に対する影響をきちんと評価しないままで、議論が拙速だとしている。現状のプログラムでの残業代の不払いを問題視する議員もいる。現状のプログラムでは、外国人は技能実習目的で日本に5年間滞在できる。
技能実習制度は、開発途上国の人々の技術ノウハウの習得を支援するために設けられた。しかし実際には、日本人労働者を見つけることが出来ない企業が、安い労働者を雇う手段となっている。最新のデータによれば、201710月現在、約258千人の外国人技能実習生が働いている。
木曜日に野党立憲民主党の有田芳生議員は、国会の委員会で、法務省のデータによれば、2015年から2017年の間に、69名の外国人労働者が事故、病気、自殺などの原因で死亡したと述べた。同省はデータを調査すると述べた。

Thursday, December 6, 2018

日本で移民受入れが始まる【A18面(社説)】

「外国人材拡大」法案の審議が国会でヤマ場を迎えているが、WSJ6日の国際面でこの法案について報道した。


「この世界は驚きに満ちている。日本が他の先進諸国の潮流に逆行して移民を受け入れる方向に進むとは!」という書き出しで始まるこの記事。移民の国のイメージがある米国が、実は日本並みに移民受入れに厳しいという驚きの事実を報じている。その傾向が移民受入れに後ろ向きなトランプ大統領のせいで、加速していることを批判し、米国とは逆の方向に進む安倍首相の英断を賞賛している。

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この世界は驚きに満ちている。日本が他の先進諸国の潮流に逆行して移民を受け入れる方向に進むとは、一体誰が想像しただろうか。だが安倍晋三首相率いる自由民主党が高齢化社会と労働力不足に対処するために推し進めている政策は、まさにそういうことだ。
企業は、日本経済が7年連続で成長する中、労働者の確保に血眼になっている。出生率が低いので、人口は毎年30万人以上減少している。労働市場は逼迫しており、失業率は2.4%まで下落した。東京商工リサーチによれば、従業員不足による倒産件数は、2016年から2017年で倍増した。
熟練技能を持っていない外国人労働者に5年間の滞在を認める新しい在留資格を与える法案が、先週、衆議院を通過した。法務省の推計によれば、現在日本に滞在している130万人の外国人労働者に加えて、新制度の最初の5年間に、最大で345千人の新たな外国人が日本にやってくる。
この新しいビザは、14の業種をカバーする。例えば、レストランの53,000人、農業の36,500人などだ。また、60,000人の看護士アシスタントも許可を得るだろう。高齢化に伴い、日本では特に看護士の不足が深刻だ。米国では、65才以上の比率は16%だが、日本では28%にのぼる。
多くの熟練技能を持っていない労働者が、現在は研修ビザで入国している。このビザは、労働者が暴行を受けても、賃金が未払いでも、仕事を変更することを許していない。米国のゲストワーカープログラムも同様の規制を設けている。日本の新しいプログラムは、労働者に仕事を変更する自由度を与えている。これにより、雇い主はいやでも、労働者の労働環境を改善し、賃金を上げねばならなくなる。
日本は島国根性で有名だが、野党は、そんな日本に移民を受け入れるという安倍首相に大反発している。外国人による犯罪の増加が問題だし、特に日本人の心の中では、日系人が問題だ。南米の多く住む日本人の日本への移住は、1990年代に歓迎された。しかし、その後金融危機により、日本政府は彼らに現金を与えて帰国する様に申し出た。そうしないと、日本人の仕事が奪われるから。
しかし、外国人労働者に代わる、良い対策は無いのが実状だ。より多くの女性に働いてもらおうという努力は、ある程度の成果を出した。このために、出産後の母親にフレックス勤務を認めたりした。しかし、2017年時点で、既に3/4以上の女性が既に職に就いている。AIにも可能性がある。日本の製造業は、中国や米国に比べると、ロボットへの依存が非常に高い。だた、ロボットは全ての仕事をこなせるわけではない。
日本の政治の標準的考え方からすれば、今回の法案は大胆なのだろうが、それでも提案された受入労働者数の増加案では、日本の労働者のニーズを満たさないだろう。よく分からないのは、政府が、345千人を受入れ上限とし、それ以上の外国人労働者の受入れを制限するかどうかだ。米国では、あまりに厳しい外国人受入れ条件により、造園業から漁業まで多くの産業が苦しんでいる。
日本の様な高齢化社会で、移民受入れの代替となりうるのは、経済停滞や衰退でしかない。労働者不足を解決するために、日本人の移民へのタブーを打ち破ろうとしている安倍首相は賞賛に値する。米国の原住民保護主義者も日本の例から学ぶことが出来る。