Monday, December 10, 2018

ゴーン氏は日産の西川社長の更迭を目論んでいた【A1面】

ゴーン氏は10日に起訴されたが、WSJは同日の1面で、ゴーン氏が日産の西川社長を更迭しようとしていたするショッキングなニュースを掲載した。



日産は、米国の販売不振、国内の品質問題の課題が山積みで、ゴーン氏は西川氏のこれらの課題への対応に不満をもっていた。11月下旬の取締役会で、社長交代の提案をする意向を示していたものの、1119日に逮捕された。関係者の話としている。


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関係者によれば、日産のカルロス・ゴーン氏は、同社のCEOを交代させる計画だった。ところが、その計画は、ゴーン氏が先月東京で逮捕されたことにより、実現できなかった。
ゴーン氏のこの計画は、日産内部のドタバタ劇に更に新たな展開をもたらす。CEOである西川廣人氏は、日産はゴーン氏による会社資産の私的利用やその他の疑惑について調査を行い、東京地検にその情報を提供したと発言している。
関係者によれば、そうした内部調査が進む一方で、ゴーン氏の西川氏に対する不満は増大していた。米国での売上不振や、日本での度重なる品質問題などの課題に対する、西川氏の対応に不満を持っていたのだ。
一方で、共同通信によれば、月曜日に日本の検察は、日産の財務報告書に自身の報酬を記載しなかった罪でゴーン氏を起訴した。ゴーン氏の弁護を担当する大鶴基成氏の法律事務所にコメントを求めたが、拒否された。関係者によれば、検察が未記載だったとしている報酬は、ゴーン氏の退職まで支払いが繰延されることになっていた。
共同通信によれば、さらに、法人としての日産も同様の罪で起訴された。日産にもコメントを求めたが、拒否された。
月曜日にもう一人起訴されたのが、日産の元取締役のグレッグ・ケリー氏だ。ケリー氏は、日産にゴーン氏の右腕として仕えてきた。ケリー氏の弁護人は、ケリー氏はこの報酬は金額が確定しておらず、従って、財務報告書に記載する必要はないと考えていたとしている。ケリー氏の弁護人であるキタムラヨウイチ氏は、ケリー氏は日産の業務として、外部の専門家の意見を求め、繰延報酬の未記載について問題無いとのコメントを得ていたとしている、
ゴーン氏は、何ヶ月もの間、上層部の刷新の意向を表明し、何人かの幹部には西川氏を入れ替えたいということを知らせていた。
また、ある関係者によれば、ゴーン氏は西川氏の更迭について11月下旬の日産の取締役会での議決したいとの希望を同僚に伝えていたとされる。
結局、取締役会は、西川氏を更迭する代わりに、1122日に、ゴーン氏が会計的不正を行ったとする日産の報告を受け、満場一致でゴーン氏を会長の職から解いた。
この件について、西川氏のコメントを求めたが、コンタクト出来なかった。西川氏がゴーン氏の幹入替え計画について知っていたのかは不明だ。また、日産の内部抗争が逮捕のタイミングと関係しているのかも分からない。
逮捕された際には、ゴーン氏は日産の会長として、同社の最終的な意思決定者と考えられてきた。西川氏は、ゴーン氏は日産内部とフランスの自動車メーカーであるルノーと同社のアライアンスについて、あまりに権力を持ち過ぎていたと語っていた。ルノーは、日産の株式を43%保有し、取締役を3人派遣しているが、ゴーン氏は、ルノーの会長兼CEOだ、
ルノーと日産の間の軋轢は最近になって浮上してきた。日産は、ルノーよりも大きな売上・利益を計上しており、同社の幹部はルノーが日産のビジネスについての決定に口出しすることを快く思っていなかった。
日産内部では、ゴーン氏が逮捕される前の緊迫した状況は、アライアンスの将来だけでなく、日産自身のビジネスの不振によっても引き起されていた。米国での売上は、前年比で8ヶ月の内、6ヶ月も落ち込んでいた。西川氏は日産は米国の利益を強化する必要があると言っていた。しかし、インセンティブをカットすることによって利益を増やそうという当初の試みは、4月の売上下落を招いた。
日本では、1年以上も前の日産の工場での検査に問題があったことが明るみに出て、100万台以上の車がリコールされた。同様の問題がその後も明るみに出ている。金曜日に、日産は日本の労働者がパーキングブレーキとハンドルを誤った方法でテストしていたことが判明したと発表した。
しかし、全員が、西川氏の社長としての地位が危ないと感じていたわけではない。ゴーン氏と西川氏の関係に詳しい関係者は、彼らの意見の違いは、ゴーン氏が西川氏の排斥を考えるまでには悪化していなかったと発言している。
ゴーン氏は日産のCEOとしての最後の年に、世界の自動車市場でのシェア8%と、経常利益8%を実現させようとしたが、日産はどちらの目標も達成出来なかった。
ゴーン氏は、最も規模の大きな企業だけが、自動運転や電気自動車が主流になる将来の市場で生き残ることが出来ると信じていた。彼は、日産、ルノー、三菱の3社連合の販売台数を、昨年の1,060万台から、2022年までに1,400万台へ伸長させると発言してきた。
「今後予測されるテクノロジーの拡張によって、小さな企業は競争についていくのが困難になる。」とゴーン氏は20179,月にウォールストリートジャーナルに話した。
2ヶ月後、西川氏は記者会見で異なる見方を示した。規模を増やそうという日産の取組みは、利益を食い潰すと。
1999年にルノーが日産の大株主になった時に、ゴーン氏はルノーの幹部だった。その年に、日産の再生を目的に日本に派遣され、ゴーン氏は非常に速いスピードで再生計画を実行した。数年にわたって、西川氏はゴーン氏の側近として、サプライチェーンにおけるコスト削減を担当した。