Thursday, March 31, 2016

** 3月のまとめ **

3月にWSJに掲載された日本関係の記事は9件。1月、2月が5件と低い水準が続いていたが、3月は少し増加した。日本関係の記事の月掲載回数は、2014年が15件、2015年が9.2件、2016年は今のところ6.3件。減少傾向であることに変わりはなく、日本人として寂しい思いだ。

テーマ別では、経済関係が2件、社会関係が7件、政治関係は0件だった。
先月、このブログ開始以来初めて、政治関係の記事がゼロになったが、今月もゼロ。夏の参議院選挙を意識して、安倍首相が政治的争点になりやすい案件の議論を避けていると言うことだろうか。

掲載箇所では、1面が1件、社説が1件、国際面が7件だった。


経済関係の記事では、「春闘で大企業が安倍首相の呼びかけにもかかわ大幅賃上げに応じなかったこと」を国際面で、「シャープが鴻海に買収されたこと」を社説でそれぞれ取り上げた。前者では、最高益を計上しながらも、その利益を労働者に還元しない、日本企業の姿勢を批判、後者では、海外企業に門戸を開かない日本のやり方が遂に崩れたことを歓迎している。自分たちでは変われない日本が、外圧を利用して変わっていく姿が浮き彫りになっている。

社会関係7件のうち、6件は原発関係の記事だった。

3月11日の翌日の紙面では、国際面で東日本大震災から5年が経過したことを報じると同時に、1面に祈りをささげる少女の写真を大きく掲載、その前後には2つの特集記事を組んだ。ひとつは「福島第一の廃炉に向けて東京電力が悪戦苦闘している姿を描いた記事」(3月10日)、もう一つは「避難指示が解除された楢葉町へ戻った住民たちの楽ではない生活ぶりを描いた記事」(3月30日)だ。どちらも綿密な取材に基づいた力作。
また、2月29日の東京電力幹部強制起訴、3月9日の高浜原発3、4号機運転差止めについても翌日の国際面で速報した。原発の記事はきめ細やかに取り上げている。
これらの記事を読むと、原発事故が起きた場合の代償の大きさを改めて痛感させられる。

社会関係の残りの1件は、日本の研究者がペットボトルを食べるバクテリアを発見したという記事。ペットボトルが分別ゴミでなくなる日も近いということか。暗い記事が多かった3月で、唯一明るい記事だった。

日本のシャープな方向転換【A12面(社説)】

シャープは3月30日に鴻海の買収を承認したが、WSJはその翌日の社説で取り上げた。

日本は政府主導で、外資や海外の経営慣行に対して抵抗を続けてきたが、人口減少、高齢化により、貯蓄の取り崩しが始まる中、外資導入を積極的に進めるしか生き残りの道はないとしている。そして、外資導入だけでは不十分で、海外企業からベストプラックティスを謙虚に学ぶべきだとしている。鴻海によるシャープ買収が、日本政府、日本企業による、株式資本主義への抵抗が崩れる第一歩だとして評価している様に読める。
(WSJ日本語版に同じ記事が掲載されていたので、下記に引用させて頂きました。)
***** 以下本文 *****
先月にはぶざまにもつまずいた「日本株式会社」を変化させる取引がようやく実現した。経営難に陥っているシャープの取締役会は30日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収提案を受け入れることを決めた。買収額は3888億円と、2月25日にシャープが受け入れた当初の提示額を大幅に下回る。シャープが総額3500億円ほどの「偶発債務」を明かしたのを受け、鴻海が最後の最後で買収条件を見直したためだ。
 先が思いやられるスタートではあるが、台湾式の経営と日本の技術との結びつきは、硬直した日本企業にとって良い前例となろう。日本の電機大手が初めて外資傘下に入るのを受け入れた記念すべき取引だからだ。
 シャープは2月、2015年4-12月期(第3四半期)の最終赤字が1000億円ほどに上ったと発表。2012年以降、主要銀行団は同社を2回救済してきた。これまでの日本流の伝統的な解決策は政府が国内の同業他社との合併を促すことで、政府系ファンドの産業革新機構はまさにこれを提案してきた。革新機構はシャープの液晶部門をジャパンディスプレイに統合させるのを目指していた。機構主導で設立されたジャパンディスプレイは、苦戦していたソニー、東芝、日立製作所の中小型ディスプレー事業が統合された会社だ。
 鴻海は当初から革新機構の倍以上の条件を提示したばかりか、最終的な条件にも破格のプレミアムが付けられたままだ。同社のシャープ再建計画は株主にも債権者にも受け入れられた。日本政府でさえ、鴻海の傘下に入ることがシャープの液晶パネル技術への投資を維持する最善策だと認識しているようだ。
 シャープ買収劇は日本経済が直面するジレンマの縮図だ。第2次世界大戦後、日本企業が貿易を積極化させてアジアでのサプライチェーン構築に注力した半面、日本政府は意図的に外資や海外の経営慣行から距離を置いてきた。人口が増加し、貯蓄率が高い時はそれが機能してきた。ただ、労働人口が減少して退職者が増えてくると、日本人は貯蓄を取り崩し始めた。日本企業は海外から投資を呼び込むだけでなく、国際的なベストプラクティス(最善の慣行)から効率性向上を学ぶ必要がある。
 買収は企業文化を変える強力で破壊的な道具であり、外資による買収を許容することで潜在的な買い手のすそ野も広がる。しかし、株式の相互持ち合いという日本の構造は市場に企業を支配させないよう設計されたもので、日本政府は1980年代に企業価値を引き出す機会と捉えた米国企業の侵入を防いできた。
 安倍晋三首相は日本企業がリスクを取る必要があると述べ、経営者に株主価値を重視させる新たなコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を策定した。ただ、2015年に倒産した上場企業数は3社にすぎず、14年にいたってはゼロだ。4人の社外取締役を持ち、企業統治の模範生と目されていた東芝では、昨年に累計で2248億円の不適切会計が発覚した。
 当時の米リップルウッド・ホールディングスが日本長期信用銀行を新生銀行に変身させたことが2000年代の日本の銀行再編につながったように、鴻海によるシャープ再建は日本の電機業界が向かう道筋を示すかもしれない。支援が成功するかどうかに関わらず、日本政府が買収を認めたことは、ようやく株主資本主義への抵抗が崩れだしたことを示唆している。

Wednesday, March 30, 2016

日本は津波の被害地域の復興に苦労している【A8面(国際面)】

3月29日に平成28年度予算が国会で承認され、震災復興予算も承認されたが、翌30日の紙面で、復興への道のりが険しいことを報じた。


楢葉町を例にあげ、避難勧告が解除された地域に戻ってくるのは、健康保険の負担が重いが税金を払わないお年寄りが多いこと、若者は戻ってくると放射能汚染を恐れられて結婚が難しくなることなど、被災地の復興が容易では無いことを丁寧に報じている。

***** 以下本文 *****
「津波が近くにある福島第一原発を襲った一日後、イガリマサフミとその家族は犬と猫をトラックに積んで、渋滞の中を非難した。5年後の今、イガリ氏は64歳になったが、彼の故郷である楢葉町に戻ろうと考えている。しかし1人で戻る。」
「政府にとってそれは問題だ。楢葉町は、約380平方マイルの避難区域の中にある自治体の中で、政府が安全だと認めて、避難指示が解除された最初の町だ。火曜日、日本の議会は地域再建のために今後5年間で570億ドルの援助をすることを承認した。これまでに既に2,000億ドルの援助をしている。」
「避難区域の約3分の1が放射能レベルが高いため立入禁止となっているが、政府は楢葉町が復興の象徴となってくれることを望んでいる。政府は今後避難区域にあるその他の地域の避難指示解除も予定している。避難区域には以前は81,300人が暮らしていた。」
「しかし、以前住んでいてまだ生存している7,379人の住民のうち、戻ってきたのは459人だ。楢葉町役場によれば、戻ってきた人の3分の2が60歳以上で、その多くが一人暮らしだ。」
「住民の医療費は記録的な高さで、補助金を使い切った後は、少ない納税者では町の金庫を満たすことが出来ない。」
「2011年に日本の北東部を襲った大災害は、16,000人が死者と2,600人の行方不明を出し、福島でのメルトダウンを引き越した。そして、地域住民の間のつながりも奪った。」
「家族は、愛する人を失ったことに対する悲しみ、罪の意識そして非難によって引き裂かれた。福島では、放射能への恐怖と補助金支払額の違いについての恨みが、住民を引き裂いている。」
「イガリ氏は以前住んでいた家に住むわけではない。その代りに農家を購入して、彼の様な一人暮らしの人達のための避難所を作ろうと計画している。彼の妻と子供達は帰って来ないと彼は言う。」
「家族と地域の繋がりが引き裂かれ、イガリ氏と楢葉町への帰還者達は、再建への道のりが長いことを知っている。」
「2011年に家を離れてから数か月間は、イガリ氏の小さな家族は親戚の家や仮設住宅を転々とした。避難生活が何年にも及ぶ中で、犬や猫と別れるのを拒否するイガリ氏は次第に住むところを見つけるのが難しくなった。彼の妻は、年老いた母のことを心配した。イガリ氏によれば、彼はお酒を沢山飲む様になり、妻と義理の母は福島の息子や娘の所へ出て行った。」
「『もう元の様な暮らしに戻ることは出来ません。』とイガリ氏は言う。『出来ることは、残りの人生を意義あるものにすることだけです。』」
「政府の最新の援助金は、主に楢葉町の様なコミュニティに学校や診療所を建てることを目的にしている。また、果実や野菜の農家から花の農家に転換するための器具を買うことにも向けられる。果実や野菜は放射能汚染を恐れる消費者が避けるからだ。シロアリと津波に破壊された家を建て替えるための木材が積み上げられている。トラックが車を運転できないお年寄りのために食料や生活必需品を運んでいる。」
「町役場では、鮭の加工所の再建を期待している。また、ロボットや再生可能エネルギーの会社に、計画中の工業センターに店を構える様にお願いしている。」
「『もし以前の住民が戻って来ないのなら、我々は楢原町を以前とは違った家族や労働者にとって魅力的にする方法を見つけなければならない。』と町役場のヤマイチケンイチは言う。」
「多くの若者は原発から遠く離れた地域での新しい家や学校や仕事に慣れてしまった。汚染土が入った黒いバッグが以前苺が栽培されていた土地を埋め尽くしている。そういった土地に戻ることは、子供達が放射能への恐怖から結婚出来ないことにつながる。福島原発の解体作業に携わる独身男性を心配する人もいる。」
「『楢葉町は以前とは変わってしまいました。夜外出するのが怖いです。』と36歳のイトウフミコは言う。彼女は夫と7歳の息子と一緒に隣の栃木県に住んでいた。」
「多分、最大の課題は、原発を運営していた巨大企業である東京電力での仕事を失った人々だろう。原発が稼働していた時には最大の雇用主だったが、今は補助金を支払っている。」
「楢葉町ではサービスも不足している。銀行は週に2日しか営業していない。町のショッピングセンターにはプレハブ作りのスーパーマーケットと郵便局があるだけだ。」

Thursday, March 17, 2016

日本の企業は安倍の賃上げへの呼びかけを無視【A10面(国際面)】

春闘の回答状況について3月16日の集中回答日の翌日の国際面で速報した。


巨額の利益を計上予定のトヨタが賃上げに充てる費用は、利益の1%にも満たないとして、労働者に冷たい日本企業を暗に批判。利益を労働者に還元しない企業には追徴課税をすべきだというIMFエコノミストのコメントで締めくくっている。

***** 以下本文 *****

「日本の企業が組合所属の従業員に対して4月から与える賃上げ額は昨年より少なる見通しだ。これは、経済成長を促すために、企業に対し直接賃上げを迫ってきた安倍首相にとっては、政策遂行上の障害になる。」
「水曜日にトヨタ自動車は組合要求の半額にあたる月額1,500円(13ドル)の賃上げを提案した。株式評価額で日本最大であるこの自動車会社は、2015年には基本給を4,000円上げていた。」
「その日には、多くの企業が日本の慣例に従って同じ日に4月以降の賃上げの発表を行ったのだが、多くの企業がトヨタ同様、賃上げ幅を昨年より抑えた。」
「安倍首相は、これまでの慣例とは異なった経済政策を次々と打ち出しているが、企業に公然と賃上げを迫るのもこうした手法のの一つだ。これまでのお決まりのやり方では、経済を復活させることは難しい様に見える。」
「1月には日銀が一部の予期に対してマイナス金利を導入した。金利引下げを隅々まで行き渡らせ、借入額を増やすことが目的だ。」
「首相は、企業幹部を官邸に呼び、賃上げを迫ってきた。昨年以前には、ゴルフコースで迫る場面もあった。」
「これだけ世界市場が不安定化し日本の株価が下がっている中でも、トヨタや他の大企業が賃上げを実施したのは、安倍首相の強い要請によるものだという人もいる。」
「『過去2年間の賃上げへの動きが今年も引き継がれたということは、日本のこれからの経済が明るいことを示すものだ。』と経団連会長の榊原定征氏は言う。」
「こうした見方に比べて、エコにミスとの見方はより懐疑的だ。経済全体でみると何年にもわたって実質賃金が落ち込んできており、それによって引き起こされた個人消費の弱さが2015年第四四半期のマイナス成長をもたらした。」
「バンクオブアメリカメリルリンチのヤマシタセツコは、賃上げの幅は『中くらい』で、2月以降の円高傾向が部分的に影響したのだろうと言う。」
「多くの日本企業の利益はここ数年円安の影響もあり急増していた。しかし、労働者には殆ど分配されてこなかった。」
「トヨタは3月31日に終わる会計年度に2兆2,700億円(200億ドル)の利益を計上する見通しだ。トヨタは4月以降、労働組合所属の従業員のボーナスや給与を含めた賃金を平均で2.5%引き上げる。これにより、会社負担は年に180億円追加となる。しかし、その負担増は今年度の利益の1%に過ぎない。」
「労使交渉に携わってきたトヨタ常務役員の上田達郎は為替や発展途上国の環境規制強化などのリスクを考えるとこれ以上の賃上げは難しいと言う。」
「今年の交渉で保守的だったのは経営幹部だけではない。労働側も彼らの要求を緩和してきた。それは、グローバル経済は不安定であることもそうだが、日本のインフレがここ数年ほぼゼロの水準で安定する中、大きな賃上げを要求する理由が見当たらないからでもある。」
「IMFのエコノミストは政府は企業の賃上げを促すためにより攻撃的な対策を仕掛けるべきだと言う。利益を労働者に還元していない企業対しては、税金のペナルティーを科すことも一つのやり方だ。」

Saturday, March 12, 2016

日本は津波のアニバーサリーに祈りをささげる【A12面(国際面)】

3月11日で東日本大震災から5年が経過したことを翌12日の国際面で伝えた。


共同通信の配信をベースにした短い記事だが、未だに再建されない地域があることも伝えている。

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金曜日、巨大地震が18,000人以上の犠牲者を出した津波を引き起こし、福島原子力発電所の原子炉を水に浸けてから、5年が経過した。この日、日本の人々は東京や破壊された北東の海岸に集まって黙とうをささげた。
両手を合わせ、頭を下げてお祈りする間、涙を流す人達も見られた。明仁天皇、美智子皇后、安倍晋三首相は、生存者が出席した東京での式典を主催した。5年が経過したが、最もひどい被害を受けた地域は未だに再建されていない。

日本は地震の大災害のアニバーサリーを迎えた【A1面】

3月11日に東日本大震災から5年が経過したことを、翌日12日の1面トップで伝えた。


***** 以下本文 *****
厳粛な式典:日本の北部で、幼い女の子が灯篭の中にたたずんでいる。5年前の地震と津波の犠牲者の冥福を祈る式典での一枚。この災害は、18,000人以上の死傷者を出し、福島原子力発電所を水に浸した。

Friday, March 11, 2016

日本の研究者がプラスチックを食べるバクテリアを発見【A11面(国際面)】

日本人研究者がプラスチックを分解するバクテリアを発見したというニュースが国際面に掲載された。


これまで、プラスチックは木材などとは異なり、自然界では分解されないと言われていたが、京都工芸繊維大学が米科学誌サイエンスに掲載した記事によれば、プラスチックを食べるバクテリアを発見した。

***** 以下本文 *****
「バクテリアは漏出した油、放射性廃棄物に加えて、いまやプラスティックを食べ尽くすことが出来る。日本の研究者が、食物容器、瓶、合成繊維などに使われるポリマーであるPETを食べる微生物を発見した。」
「科学者たちによれば、このバクテリアを使用すれば、ゴミ処理場やリサイクリング工場にある生物的に分解されないゴミを分解させることが出来るかもしれない。」
「『我々はついに広範囲に使用されているプラスティックPETを生物学的に分解することが出来るかもしれれない。』とドイツのグライフスバルト大学の生化学者であるウウェ・ボンシュアーは言う。『これは重要な業績です。』」
「しかし、彼は、消化のプロセスはゆっくりなので、このバクテリアが、増え続ける膨大な量のプラスティックゴミ対策としてどれだけ有効かを判断するには更なる研究が必要だとする。」
「ボンシュアー博士は、日本の研究についてコメントをしたが、研究には関与していない。」
「研究と解説は今週のジャーナル誌サイエンスに掲載された。」
「過去の研究では、幾つかの菌類だけがPETを生物的に分解することが出来るとされてきた。吉田昭介は京都工芸繊維大学の微生物学者だが、バクテリアもPETを消化し、大量のプラスチックごみ問題を解決する可能性を秘めていることを理論づけた。」
「リサイクリング工場で吉田博士と彼のチームは、250のPETごみのサンプルを集め、それらの間に住む多くの微生物を発見した。」
「研究者達は、PETを食べて生きている様に見えるこの微生物を調査し、イデオネラ・サカイエンシスという種類がポリマーを分解していることを発見した。」
「低級のPETフィルムに付着して培養したところ、バクテリアは2つの酵素によってプラスチックを環境に優しい成分に分解することが分かった。プラスチックが彼らの主食になっているのだ。」
「吉田博士は、イデオネラ・サカイエンシスの集団は低級のプラスチックのウォーターボトルを6週間で完全に分解すると述べた。」
「しかし、殆どのボトルはより高級なPETで出来ており、吉田氏によれば、プラスチックは温めたり冷やしたりして、バクテリアが食べやすい様に料理してやる必要がある。」
「ボンシュアー博士によれば、この微生物を、ゴミの分解促進のためにゴミ埋立地に加えてやると良い。」
「『分解のスピードはゆっくりだが、機能する。』と彼は言う。『この種族を更に研究することによってもっと改善されるだろう。』」
「アリゾナ大学環境安全センターの教授でディレクターのロルフ・ハルデンによれば、バクテリアを適用すれば、プラスチックの製造過程での産業廃棄物も減少させることができるだろう。」
「『PETを食べるバクテリアの発見は、プラスチックをよりグリーンで持続可能な代替物質に変えることと並んで、科学の発展にとって素晴らしいことだ。』とハルデン博士は言う。」

Thursday, March 10, 2016

原発推進に対する反対の中で裁判所は原子炉を停止させる【A11面(国際面)】

3月9日に出された大津地方裁判所の高浜原発3・4号機運転差し止めの仮処分決定について、10日の国際面で速報した。


WSJはこれまではどちらかといえば、原発推進派であったが、この記事では、国民の原発不信に対して十分な対応をしていないとして、電力会社や政府の対応を批判している様に読める。

***** 以下本文 *****
「日本の裁判所は、日本の電力会社により再稼働されていた4つの原子炉のうちの2つについて稼働停止命令を出した。2011年3月の福島原発事故の再発を恐れる住民たちの主張を支持したかたちだ。」
「水曜日に出された大津地方裁判所の判決によれば、関西電力は高浜原発の3、4号炉の稼働についての安全性を国民に十分に示していないとしている。関西電力はこの判決は受け入れられないとし、不服申し立ての手続を行う。」
「2つの原子炉は、福島原発事故の後制定されたより厳しい原子力安全基準をクリアしている。福島でのメルトダウンの後、全ての原子力発電所を強制的に停止させていたが、安倍首相は原子力発電を再稼働させ、当面の電力源として利用する方針だ。この判決は、安全基準そのものにも疑問を投げかけており、安倍首相にとっては大きな打撃だ。」
「この判決は、電力会社と政府両方が原子力発電に対する不信について十分に対応してこなかったことを露呈した。」
「『耐震性能や津波対策、避難計画の双方について疑問がある。』と山本善彦裁判長は述べた。」
「原告は事故は近隣の件にも影響し、日本の中央に位置する湖から摂取する飲料水に汚染をもたらす可能性があると主張する。」
「事故を起こした福島原発を運営している東京電力は、同電力が運営する最大規模の発電所であり柏崎刈谷原発の7つの原子炉のうちの幾つかを再稼働させようとしている。」
「日本は化石燃料が殆ど採れず、そのほぼ全量を輸入に依存している。日本は43の原子炉を保有している。水曜日の決定の前には、関西地区で2つ、南の島でる九州で2つの合計4つの原子炉が稼働していた。」

日本は福島のクリーンアップに取り組んでいる【A11面(国際面)】

東京電力が福島第一の廃炉に向けて悪戦苦闘する姿を描いた記事が、3月10日の国際面に掲載された。


汚染水除去、燃料デブリの除去の問題をはじめとして、廃炉に向けて東電が取組みべき課題について、紹介している。

***** 以下本文 *****

「放射能に汚染された瓦礫は片付けられた。流し込まれたコンクリートが有毒な塵を閉じ込めた。そして多くの労働者が必要としていた化学防護服は外科用マスクと変わった。」
「5年前巨大地震が津波を引き起こし、福島第一原発は水に浸かった。それにより、この4半世紀で最悪の原発事故が引き起こされた。原子力発電所の近くでは、多くの住人が未だに家に戻れないことに怒り、亡くなってしまった愛すべき人達のことを悲しんでいる。しかし、レーザーワイヤーのフェンスの中では、目に見える傷は無くなり、心地悪い静けさが戻ってきている。」
「『これでようやく普通の仕事場に戻れる。』と所長のオノアキラは言う。『ようやく下準備が終わり、次の仕事への準備が出来る。』」
「しかし、汚染除去の最も難しい部分はまだ始まってすらいない。この事故では、放射性の高い核燃料が金属容器から溶け出し、3つの原子炉の底に溜まっている。福島第一原発を運営する東京電力はこれらをどの様に除去するのかについての計画を示していないのだ。」
「東電はそれ以外にも、最も難しい問題に直面している。発電所の中に入ってくる水にどの様に対処するかだ。こうした水は放射性物質によって汚染されている。地下に作られた凍土の壁は、一日400トンの雨水や地下水が規制区域から住居に流れ出すのを防ぐことになっている。」
「東電は、福島第一の解体には200億ドルが必要で、期間20~30年かかるとみている。解体費用以外にも、避難民への支払いには500億ドル必要で、こうした費用を含む損害やクリーンアップ関連費用は1,000億ドル以上に上ると言われている。この事故に関係する法廷闘争も続いている。2月には3人の東電元幹部が業務上過失致死の疑いで起訴された。」
「東電は少し前進した。災害時には稼働していなかった4号炉では、1,500の使用済燃料棒を除去した。発電所の近くのサッカー練習場は、災害以来汚染物除去の指令センターとして使用されているが、2020年の東京オリンピックまでには復旧される見通しだ。」
「東電と他の会社は、未だに災害の後遺症と戦ってる。何人かの労働者が、知らないうちに、彼らの健康を危険に晒していたと言っているのだ。」
「スドウカズアキは災害直後に燃料くみ上げを手伝っていた。彼によれば、多くの東電の下請け業者の労働者が賃金を全額受け取っていない。彼と他の元労働者達は、未払いについて東電を訴えている。」
「東電は、スドウ氏の件についてのコメントを拒んでいる。東電は、下請け業者による支払い問題について、東電には法的責任はないとしている。しかし、仕事や安全の条件を改善し、労働者からより多くのフィードバックを得たいとしている。」
「今後の最大の問題は原子炉だ。誰も、溶け出した核破片が原子炉のどこにあるのか、それをどうやって除去するのか、誰も分からないのだ。人間が格納容器の中の作業には耐えられない。そのため、東電はコンピュータシミュレーションとビデオイメージによってガイドされるロボットを使用したいとしている。しかし、過去2回の試みは、いずれもロボットが瓦礫の上で転んでしまい断念した。」
「『瓦礫の特徴は、核燃料とコンクリートの反応のタイミングによる。』とフランスの代替エネルギーと原子力エネルギーに関する委員会のパスカルピルソは言う。『我々は、極めて多様性があり複雑な瓦礫について取り扱っているのです。』」
「東電と政府は、燃料デブリの除去の計画について合意し、10年以内に作業を開始したいとしている。しかし専門家は、放射性物質を扱う際の安全性を確かなものにするためには、より洗練されたロボット技術が必要にあるとしている。」


Tuesday, March 1, 2016

幹部は原発事故で告発された【A8面(国際面)】

2月29日に福島第一原発事故で、東京電力の元幹部3名が強制起訴されたことを、翌日の国際面で速報した。


「3人の幹部が、巨大津波による事故を予測できたにもかかわらず、コスト削減を優先させたことが事故の原因。」と伝える一方、「有罪とするには検察側による結果回避可能性(東京電力が対策を講じていれば事故を防げた。)の立証が必要で、無罪となる可能性が高い。」としている。

***** 以下本文 *****
「3名の東京電力の元幹部が2011年の福島原発事故で起訴された。検察官役の指定弁護士が、東京電力の元会長の勝俣恒久、元原発部門トップの武藤栄、武黒一郎を、業務上過失致死の罪で起訴した。」
「津波が福島第一原発を水没させ、それにより6個の原子炉のうち3個がメルトダウンした。検察官役の弁護士は、東京電力は設計基準を上回る津波が襲来する可能性を知っていたにもかかわらず、コスト削減を優先したとしている。」
「幹部らは無罪を主張すると予想される。法律の専門家によれば、彼らは無罪となるだろう。なぜなら、検察は津波から原発施設を守ることを怠ったことが、刑法上の過失となることを立証しなければならないからだ。」