Thursday, March 17, 2016

日本の企業は安倍の賃上げへの呼びかけを無視【A10面(国際面)】

春闘の回答状況について3月16日の集中回答日の翌日の国際面で速報した。


巨額の利益を計上予定のトヨタが賃上げに充てる費用は、利益の1%にも満たないとして、労働者に冷たい日本企業を暗に批判。利益を労働者に還元しない企業には追徴課税をすべきだというIMFエコノミストのコメントで締めくくっている。

***** 以下本文 *****

「日本の企業が組合所属の従業員に対して4月から与える賃上げ額は昨年より少なる見通しだ。これは、経済成長を促すために、企業に対し直接賃上げを迫ってきた安倍首相にとっては、政策遂行上の障害になる。」
「水曜日にトヨタ自動車は組合要求の半額にあたる月額1,500円(13ドル)の賃上げを提案した。株式評価額で日本最大であるこの自動車会社は、2015年には基本給を4,000円上げていた。」
「その日には、多くの企業が日本の慣例に従って同じ日に4月以降の賃上げの発表を行ったのだが、多くの企業がトヨタ同様、賃上げ幅を昨年より抑えた。」
「安倍首相は、これまでの慣例とは異なった経済政策を次々と打ち出しているが、企業に公然と賃上げを迫るのもこうした手法のの一つだ。これまでのお決まりのやり方では、経済を復活させることは難しい様に見える。」
「1月には日銀が一部の予期に対してマイナス金利を導入した。金利引下げを隅々まで行き渡らせ、借入額を増やすことが目的だ。」
「首相は、企業幹部を官邸に呼び、賃上げを迫ってきた。昨年以前には、ゴルフコースで迫る場面もあった。」
「これだけ世界市場が不安定化し日本の株価が下がっている中でも、トヨタや他の大企業が賃上げを実施したのは、安倍首相の強い要請によるものだという人もいる。」
「『過去2年間の賃上げへの動きが今年も引き継がれたということは、日本のこれからの経済が明るいことを示すものだ。』と経団連会長の榊原定征氏は言う。」
「こうした見方に比べて、エコにミスとの見方はより懐疑的だ。経済全体でみると何年にもわたって実質賃金が落ち込んできており、それによって引き起こされた個人消費の弱さが2015年第四四半期のマイナス成長をもたらした。」
「バンクオブアメリカメリルリンチのヤマシタセツコは、賃上げの幅は『中くらい』で、2月以降の円高傾向が部分的に影響したのだろうと言う。」
「多くの日本企業の利益はここ数年円安の影響もあり急増していた。しかし、労働者には殆ど分配されてこなかった。」
「トヨタは3月31日に終わる会計年度に2兆2,700億円(200億ドル)の利益を計上する見通しだ。トヨタは4月以降、労働組合所属の従業員のボーナスや給与を含めた賃金を平均で2.5%引き上げる。これにより、会社負担は年に180億円追加となる。しかし、その負担増は今年度の利益の1%に過ぎない。」
「労使交渉に携わってきたトヨタ常務役員の上田達郎は為替や発展途上国の環境規制強化などのリスクを考えるとこれ以上の賃上げは難しいと言う。」
「今年の交渉で保守的だったのは経営幹部だけではない。労働側も彼らの要求を緩和してきた。それは、グローバル経済は不安定であることもそうだが、日本のインフレがここ数年ほぼゼロの水準で安定する中、大きな賃上げを要求する理由が見当たらないからでもある。」
「IMFのエコノミストは政府は企業の賃上げを促すためにより攻撃的な対策を仕掛けるべきだと言う。利益を労働者に還元していない企業対しては、税金のペナルティーを科すことも一つのやり方だ。」