Wednesday, March 30, 2016

日本は津波の被害地域の復興に苦労している【A8面(国際面)】

3月29日に平成28年度予算が国会で承認され、震災復興予算も承認されたが、翌30日の紙面で、復興への道のりが険しいことを報じた。


楢葉町を例にあげ、避難勧告が解除された地域に戻ってくるのは、健康保険の負担が重いが税金を払わないお年寄りが多いこと、若者は戻ってくると放射能汚染を恐れられて結婚が難しくなることなど、被災地の復興が容易では無いことを丁寧に報じている。

***** 以下本文 *****
「津波が近くにある福島第一原発を襲った一日後、イガリマサフミとその家族は犬と猫をトラックに積んで、渋滞の中を非難した。5年後の今、イガリ氏は64歳になったが、彼の故郷である楢葉町に戻ろうと考えている。しかし1人で戻る。」
「政府にとってそれは問題だ。楢葉町は、約380平方マイルの避難区域の中にある自治体の中で、政府が安全だと認めて、避難指示が解除された最初の町だ。火曜日、日本の議会は地域再建のために今後5年間で570億ドルの援助をすることを承認した。これまでに既に2,000億ドルの援助をしている。」
「避難区域の約3分の1が放射能レベルが高いため立入禁止となっているが、政府は楢葉町が復興の象徴となってくれることを望んでいる。政府は今後避難区域にあるその他の地域の避難指示解除も予定している。避難区域には以前は81,300人が暮らしていた。」
「しかし、以前住んでいてまだ生存している7,379人の住民のうち、戻ってきたのは459人だ。楢葉町役場によれば、戻ってきた人の3分の2が60歳以上で、その多くが一人暮らしだ。」
「住民の医療費は記録的な高さで、補助金を使い切った後は、少ない納税者では町の金庫を満たすことが出来ない。」
「2011年に日本の北東部を襲った大災害は、16,000人が死者と2,600人の行方不明を出し、福島でのメルトダウンを引き越した。そして、地域住民の間のつながりも奪った。」
「家族は、愛する人を失ったことに対する悲しみ、罪の意識そして非難によって引き裂かれた。福島では、放射能への恐怖と補助金支払額の違いについての恨みが、住民を引き裂いている。」
「イガリ氏は以前住んでいた家に住むわけではない。その代りに農家を購入して、彼の様な一人暮らしの人達のための避難所を作ろうと計画している。彼の妻と子供達は帰って来ないと彼は言う。」
「家族と地域の繋がりが引き裂かれ、イガリ氏と楢葉町への帰還者達は、再建への道のりが長いことを知っている。」
「2011年に家を離れてから数か月間は、イガリ氏の小さな家族は親戚の家や仮設住宅を転々とした。避難生活が何年にも及ぶ中で、犬や猫と別れるのを拒否するイガリ氏は次第に住むところを見つけるのが難しくなった。彼の妻は、年老いた母のことを心配した。イガリ氏によれば、彼はお酒を沢山飲む様になり、妻と義理の母は福島の息子や娘の所へ出て行った。」
「『もう元の様な暮らしに戻ることは出来ません。』とイガリ氏は言う。『出来ることは、残りの人生を意義あるものにすることだけです。』」
「政府の最新の援助金は、主に楢葉町の様なコミュニティに学校や診療所を建てることを目的にしている。また、果実や野菜の農家から花の農家に転換するための器具を買うことにも向けられる。果実や野菜は放射能汚染を恐れる消費者が避けるからだ。シロアリと津波に破壊された家を建て替えるための木材が積み上げられている。トラックが車を運転できないお年寄りのために食料や生活必需品を運んでいる。」
「町役場では、鮭の加工所の再建を期待している。また、ロボットや再生可能エネルギーの会社に、計画中の工業センターに店を構える様にお願いしている。」
「『もし以前の住民が戻って来ないのなら、我々は楢原町を以前とは違った家族や労働者にとって魅力的にする方法を見つけなければならない。』と町役場のヤマイチケンイチは言う。」
「多くの若者は原発から遠く離れた地域での新しい家や学校や仕事に慣れてしまった。汚染土が入った黒いバッグが以前苺が栽培されていた土地を埋め尽くしている。そういった土地に戻ることは、子供達が放射能への恐怖から結婚出来ないことにつながる。福島原発の解体作業に携わる独身男性を心配する人もいる。」
「『楢葉町は以前とは変わってしまいました。夜外出するのが怖いです。』と36歳のイトウフミコは言う。彼女は夫と7歳の息子と一緒に隣の栃木県に住んでいた。」
「多分、最大の課題は、原発を運営していた巨大企業である東京電力での仕事を失った人々だろう。原発が稼働していた時には最大の雇用主だったが、今は補助金を支払っている。」
「楢葉町ではサービスも不足している。銀行は週に2日しか営業していない。町のショッピングセンターにはプレハブ作りのスーパーマーケットと郵便局があるだけだ。」