Thursday, December 31, 2015

** 2015年のまとめ **

2015年にウォールストリートジャーナルに掲載された日本関係の記事は、110件だった。2014年の180件に比べて約39%減。日本に関する関心が一気に薄れた感じだ。

テーマ別では、政治関係が39回(2014年は75回、約48%減)、経済関係が40回(2014年は62回、約35%減)、社会関係が31回(2014年は43回、約28%減)となっており、政治関係のニュースが激減した。

その政治関係では、安倍首相の政策が多く取り上げられ、なかでも安保法制や軍備増強を含む安全保障政策が好意的に報じられた。経済関係では、次第にアベノミクスへの失望感が強まり、年の後半では規制緩和等強い政策を求める論調が主流となった。軍事面では強いリーダーシップを発揮して大きな成果をあげたが、経済面では物足りない安倍首相が浮かび上がる。

日韓関係についても、継続的かつ詳細に報じた。WSJは、関係悪化の原因を朴首相の頑なな態度と慰安婦問題に対する日本の立場にあるとして、日韓双方に改善を求めていた。年末に慰安婦問題についての電撃的合意が実現した際には、社説を掲載し、歓迎の意を表したが、背景に詳しくない米国の読者が読むと、日本が慰安婦問題への軍の関与を認め、謝罪したかの様な印象を抱かせる記事になってしまったのは残念。

社会関係では、高齢化や女性の社会進出に加えて、原発関係への関心が高い。3.11の前後には特集記事を組み、4月の高浜原発稼働再開禁止仮処分、10月の福島第一原発作業員への労災認定など、大きな事件があるたびに、継続的に取り上げた。

最も掲載回数が多かったのは、8月の18回だが、この月は原発が再稼働された月だ。また、戦後70年ということで、70年談話、靖国関係の記事に加え、これまであまり取り上げられることのなかった原爆関係の記事が4件も取り上げられたのが印象的だった。

掲載箇所別では、1面が15回(2014年は25回、約40%減)、国際面が87回(2014年は125回、約30%減)意見欄が7回(2014年は24回、約71%減)、その他が1回(2014年は6回、約83%減)となっている。

これらの110件の記事の中から1面に掲載された15件の記事を詳細に分析し、昨年同様「WSJが選んだ2014年日本の十大ニュース」を、独断と偏見で選んでてみたいと思ったが、2015年は1面に掲載されたいわゆる「重大ニュース」と言われるものが4件しかなく、「十大」ニュースが成立しなかった。

1面に掲載される記事には、連載物やインタビュー記事などのいわゆる「企画もの」と、重大性や緊急性を考慮した「重大ニュース」がある。今年1面に掲載された記事15件のうち、「企画もの」は11件(2014年は9件、約22%増)と増加したが、「重大ニュース」は4件(2014年は16件、75%減)と激減だった。ここに2015年の特徴が顕著に現れている。

重大ニュース4件は下記の通り。順位は昨年同様回数と掲載時期(掲載時期が早いもの程上位)で決定した。
1位: ホンダの社長交代(1件 - 2月)
2位: 日本の米国国債保有残高再び1位に(1件- 4月)
3位: 安倍首相訪米(1件 -4月)
4位: タカタのリコールが米国史上最大のリコールになる見通し(1件 -5月)
5位以下 なし)

重大ニュースが掲載されたのは、2月が1件、4月が2件、5月が1件で、6月以降は1面を飾る日本関係の重大ニュースは皆無だった。2015年の後半は、日本から世界に影響を与えるニュースは発信されなかったことになる。

一方で、企画もの11件の内、8件は、世界の面白いニュースを取り上げる1面下のコラム。その内6件が9月以降の4ヶ月に集中した。2015年の後半は、重大ニュースに代わって日本のユニークな文化や習慣が1面で大いに紹介されたということだ。政治、経済面で世界に影響を与える国から、文化的にユニークな不思議の国に逆戻りした感じだ。

企画もの11件の内、残り3件はソニー、サントリー、ソフトバンクといった企業の特集だった。1面に掲載されるWSJの企業の特集記事は独自の取材に基づく力作が多く、日本の企業が3社も取り上げられたことをみると、まだまだ日本の経済力は捨てたものではない。

ちなみに、読売新聞の読者が選んだ2015年の重大ニュースの上位5つは次の通り。
1位:  ノーベル賞に大村、梶田氏
2位: ラグビーW杯、日本は3勝の歴史的快挙
3位: 「イスラム国」が日本人2人を拘束、殺害映像を公開
4位: マイナンバー制度がスタート
5位: 関東・東北豪雨、茨城などで8人死亡

WSJ,、読売双方のトップ5に入っているのはニュースは無く、3位のイスラム国、5位の豪雨以外のニュースは、1面以外でもWSJでは全く取り上げられなかった。

アメリカから見た日本と、日本からみた日本には、微妙な違いがあり、面白い。

** 12月のまとめ **

12月にWSJに掲載された日本関係の記事は、7件だった。今年の月平均が9.1件なので、若干少ない。

テーマ別では、政治関係が2件、経済関係が2件、社会関係が3件だった。

政治関係では、「24日に閣議決定された2016年度予算案」「28日に日韓間で歴史的合意が実現した慰安婦問題」を取り上げた。前者の記事では、日本の防衛費予算が過去最大になったことを歓迎し、後者の記事(社説)では、この和解が日韓の軍事面での協力強化につながることへの期待を表明した。WSJは、米国の国防費負担が東アジアで拡大する軍事的脅威に追いつけない中、同盟国である日韓の軍事力強化に期待を寄せており、軍事力強化に批判的な日本のマスコミとは随分とトーンが異なる。

経済関係では、「8日に内閣府が発表した7月~9月期のGDP改定値」「18日に日銀が発表した政策の微修正パッケージ」を取り上げた。前者の記事では、7~9月のGDPが上方修正され、日本はかろうじてリセッション突入を免れたと伝えた。後者の記事(社説)では、日銀の金融政策だけに頼る安倍首相の政策を批判し、思い切った規制緩和や税制改革を迫っている。WSJは、日本経済再生の処方箋として、これまでも「労働者不足の解消」「企業の賃上げ実施」をあげているが、前者については規制緩和による移民受け入れ、後者については、税制改革による企業所得税軽減が必要としているのだろう。なお、日銀の政策微調整のニュースは、日本ではそれ程大きく取りあげられなかったが、WSJでは社説で取り上げる程の熱の入れようで、この問題についての日米のマスコミ間での温度差を感じた。

社会関係では、「26日の『民法で夫婦別姓を認めていない民法の規定は合憲』とする最高裁判決」「クリスマスにフライドチキンとケーキを食べる日本のユニークな習慣」「20日に最終回が放送された下町ロケット」を取り上げた。日本独自の文化や風習は、海外のメディアで良く取り上げられるが、経済紙であるWSJの報道姿勢もその例外ではない。「世界で唯一夫婦別姓を認めていない日本」「クリスマスにフライドチキンとケーキを食べるとう珍しい習慣をもつ日本」「家族的経営の美徳を重視する日本」が取りあげられた。

12月の7件の記事から浮かび上がる日本のイメージは、軍事力を強化して地域の安定に寄与しようとしているが、経済政策は中途半端、しかし独自の面白い文化を持っているといった感じで、以前の経済大国のイメージとは随分と異なるイメージになっている様に思える。

掲載箇所別では、1面が1件、社説が2件、国際面が4件だった。

Wednesday, December 30, 2015

日本と韓国が前進【A12面(社説)】

1228日に日本と韓国が慰安婦問題で合意したことを、30の社説で取り上げた。


今回の合意は、「安倍首相が軍による性行為の強要を認めたのか。」「日本が法的責任を認めたのか。」について、極めて曖昧である。WSJは、前者については「安倍氏がかつて疑問視していた歴史的事実を受け入れた。」として、回りくどい言い方だが、安倍首相が軍による性行為の強要を認めたと報じている様に読める。また、後者については「日本政府から女性たちに支払われる資金は公式な責任を示している。」として、日本政府が法的責任を認めたとしている様に読める。

***** 以下本文 *****

日本と韓国は28日、激しく対立していた問題の一つに決着をつけることで合意した。旧日本軍が第2次世界大戦中に、韓国人など数万人の女性を性奴隷として軍の慰安所に連行したとされる「慰安婦」問題だ。今回の合意により、2つの民主国家が今よりも協力的な関係に向かう道が開かれるはずだ。

 安倍晋三首相は共同記者発表の中で、「慰安婦としてあまたの苦痛を経験し、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた。日本政府は存命の元慰安婦46人を支援する資金として10億円を拠出し、韓国政府はそれが実施されることを前提に、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたとみなすことで合意した。
慰安婦問題、写真で振り返る

 慰安婦にまつわる恥ずべき歴史は、1990年代初めに複数の書籍が取り上げて注目されるまで、ほとんど忘れ去られていた。旧日本軍がかつて侵略・植民地化した国々で怒りが高まるなか、日本政府はこの問題について調査することに合意した。93年には河野洋平官房長官(当時)が、軍による性行為の強要を認めて謝罪する談話を発表している。

 だが、日本政府は、韓国その他の国と合意して存命の元慰安婦に賠償することはせず、戦時賠償請求権は条約で放棄されているとの見解を変えなかった。国際法の専門家は、一つの団体に賠償をすれば、より多くの要求を誘いかねないと警告した。そのため、日本政府は存命の元慰安婦を支援するために募金を使った基金を設立した。

 こうした融通が利かない日本政府の姿勢は失敗だった。それが民間の基金だったことから、韓国と中国で多くの人の怒りを呼び、問題は解決しなかった。河野談話は一方的かつ拘束力がなかったため、安倍氏など日本の一部政治家はこれを破棄するよう呼びかけ、引き続き強制的な行為だったことを否定した。

 今回の日韓合意でそうした問題は解決するはずだ。韓国は、安倍氏がかつて疑問視していた歴史的事実を受け入れたと満足できる。日本政府から女性たちに支払われる資金は公式な責任を示しており日本政府が賠償ではなく支援だと言い張ったとしてもそれは変わらない。 

 安倍氏は1年前、韓国との関係を改善し、戦後70年の談話で戦時中の残虐行為を謝罪する方針を示した。だが、韓国の朴槿恵大統領が安倍氏の歴史認識を理由に会談すら拒否したため、和解の見通しは遠のいていた。


 これは、日本と韓国が中国と北朝鮮に関して直面している安全保障面の課題を考えたときに特に重要だ。米国の国防費が各地域で拡大する脅威に追いつかないなか、同盟国は自国の能力を強化すると同時に、一段と緊密に協力しなくてはならない。慰安婦問題の解決で、それが今までよりも容易になるだろう。

Thursday, December 24, 2015

日本は過去最大の軍事支出を目論む【A12面(国際面)】

12月24日に閣議決定された2016年度予算案について、同日の国際面で速報した。


来年度予算案では、防衛費は過去最大となり、野党からの強い批判が予想されるが、国会では自民党が過半数を得ているので、この予算案は通過するだとろうとしている。全体のトーンとしては、防衛力増強を実現するという予算方針を支持し、アベノミクス効果による税収増で国債依存度が3分の1に圧縮されたことも評価している様に読める。

***** 以下本文 *****

「安倍内閣は、木曜日に2016年度予算を承認した。中国と領有権を争っている諸島の防衛を強化するという安倍首相の意向を反映し、防衛費は最高額となった。」
「4月から始まる会計年度の予算は、この四半世紀で最大の税収を見込んでいるが、防衛費は1.5%増加し、5兆500億円(418億ドル)に達する。防衛費が5兆円を超えるのは初めてで、安倍内閣が発足した2012年度以降4年連続での増加になる。」
「この防衛費増大は、9月に成立した安保法案の方針を反映したものだ。この法律は、日本がアメリカや同盟国と協力して海外と戦う能力を増大させる。安倍首相は、この法律は違憲だとする野党の批判の中、この法律成立を押し切った。」
「来年度予算は国会の承認が必要になる。国会は、安倍首相率いる自民党が衆議院、参議院共に過半数を制している。」
「防衛相の購入機器のリストには、F35攻撃機、攻撃用水陸両用車、V22輸送用オスプレイや、通常の戦車よりも遠方の島で展開しやすいタンク銃付の攻撃用車両等が含まれる。」
「東京と北京の関係は最近少し改善されつつあるが、両国は日本で尖閣諸島、中国でダイユと呼ばれる東シナ海の諸島を巡って見解の不一致が続いている。これらの島々は、日本によって実質的に支配されているが、中国によって領有権が主張されている。」
「日本の防衛相は、その地域の軍備とレーダーの増強や、米国の海兵隊に似た水陸両用部隊の増設の準備を進めている。予算には、E-2D早期警戒機やエージス艦の購入費用も含まれる。」
「来年度予算の総額は96.7兆円(8,000億ドル)で0.4%の増加だ。税収やその他の収入が支出の約3分の2をカバーする。2009年度には税収がその他の収入のカバー率は半分以下だった。」


Monday, December 21, 2015

日銀は卵を産む【A22面(社説)】

日銀が12月18日に発表した政策の微修正パッケージについて週明け21日の社説で取り上げた。

日銀のここ数年の政策が、インフレ脱却に結びつかなかったことに、失望感を表明すると共に、金融緩和だけで日本経済の再生を図るのは困難と指摘している。規制緩和や税制改革なしに、日本経済の成長は無く、安倍首相にそれを迫るコメントで締めくくられている。(WSJ日本語版に同じ記事が掲載されていたので、以下に引用させて頂きました。)
***** 以下本文 *****
日本銀行は18日、量的・質的金融緩和の下での資産買い入れについて、ETF(上場投資信託)の新規枠設定、長期国債買い入れの平均残存期間の長期化、適格担保の拡大といった変更を発表した。
 しかし黒田東彦総裁が、こうした新たな措置で日銀にはインフレ目標を達成できるだけの力があると市場を安心させようと考えていたのであれば、それが間違いであることに直ちに気付かされただろう。この発表を受けて、国内株式相場は下落し、為替相場は円高に振れた。
 今回の出来事は、日銀の信頼性に関わる問題を浮き彫りにしている。黒田総裁は2013年3月の就任時に、日銀にはデフレを止める力はあるがそれを行使してこなかったのだと主張した。昨年には、自分が生きている間は物価上昇率が再び1%を割ることはないとの見通しを示した。ところが、その数カ月後に物価上昇率は1%を割った。日銀が事実上全ての新発国債を含む年間約80兆円もの資産買い入れを行っているにもかかわらずだ。
 これは日銀のバランスシートが、第3弾まで続いた米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和のどれよりも速いペースで拡大していることを意味している。このままでは、日銀が数年以内に2%のインフレ目標を達成できる確率はゼロに近い。12月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)の「企業の物価見通し」は1年後の予想が1%と、前回9月調査の1.2%から低下した。
 物価目標を達成できずにいる黒田総裁には、資産買い入れをさらに拡大するよう求める圧力がかかっている。だが、黒田総裁と安倍政権は、資産買い入れを拡大しても効果はなく、それを実施することさえ難しいことに気付いているようだ。円相場をさらに押し下げることができたとしても、米国や中国など貿易相手国との緊張が高まるだろう。
 今回の新たな措置により、企業の意思決定に政治が介入することへの懸念も高まっている。日銀は「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる」企業の株式を対象とするETFを買い入れる方針を示した。政府は経済界に対して投資拡大と賃上げを強く迫っている。
 日銀は、当初は企業の利益率やガバナンス(統治)の高い企業を対象としたJPX日経インデックス400に連動するETFを買い入れ対象とする方針なので、政策に混乱を来しているように見える。政府の政治目標を後押しするために日銀の力を使うことは、資源の配分を誤るリスクもある。そうなれば成長を損なう。日銀の独立性を脅かし得る先例ともなるだろう。
 日本の潜在成長率が低いため、国内企業は借り入れや投資に消極的だ。日銀の推計では、潜在成長率は0.5%にとどまる。安倍晋三首相が競争力強化に向けた規制緩和や税制改革にまたも失敗すれば、金融政策にできることはあまりない。
 黒田総裁による今回の微調整に失望感が広がった結果、日本経済の命運は日銀ではなく安倍首相が握っていることに、あらためて気付かされた。

Saturday, December 19, 2015

日本では企業ドラマが胸にぐっとくる【A10面(国際面)】


12月20日に最終回が放送された「下町ロケット」について、その前日の19日に国際面で取り上げた。

コンパクトな記事だが、ドラマのあらすじや、その素晴らしさがコンパクトにまとめられている。

***** 以下本文 *****
「佃航平はロケットエンジンの開発を夢見ている。彼が経営する従業員200人の会社は一流の技術を持っている。しかし、彼らは、帝国重工の横柄な重役、ケチな銀行マン、中小企業を見下すビジネス文化と戦わねばならない。」
「このドラマはフィクションだ。しかし、多くの日本人にとって、このドラマはあまりにもリアルだった。こうした日本人たちが、この勇敢な社長を描いたテレビドラマを大ヒットに結び付けた。安倍首相もこのドラマのファンだと述べ、最終回は最高視聴率を獲得することが期待されている。」
「このテレビドラマは、産業の基軸を、有名ブランド製品の中に組み込まれる精密部品の供給に置いている日本において、多くの共感を呼んだ。例えば、アップルのiPhoneは、日本の多くの無名企業からの部品供給に依存している。」
「『ドラマを見た時、私は感動して泣きました。』と大和合金の3代目社長である萩野源次郎氏は言う。同社は、銅合金から作られる板金やディスクを製造している。」
「萩野氏は、ドラマで描かれる社長よりも、ずっと成功している。日本最大の銀行である東京三菱UFJ銀行からお金を借り、ヤマハに部品を供給しているのだ。しかし、彼の父親である萩野茂雄氏は、このドラマは、彼の家族が、数年前にある大企業との間で起こしたトラブルを思い起こされるという。既にリタイアした彼によれば、その大企業は彼の会社から精密部品を購入し、その技術を横取りしようとした。」
「安倍首相は、彼が首相に就任してからの3年間の経済成長は、大企業に記録的な利益をもたらしたが、中小企業を十分に助けるには至っていないことを認めている。」
「このドラマは、日曜日のプライムタイムにTBSで放送されている。主人公が特許訴訟や医療品規制と戦う姿を描き、涙なくしては見られないメロドラマに仕立てあげられている。直木賞を受賞した池井戸潤氏のベストセラー小説をもとしたこのドラマは、佃氏が日本のロケット公社を辞めて、家業である佃製作所を引き継ぐところから始まる。この会社は、労働者層の多い下町に本社を置いているため、ドラマのタイトルは『下町ロケット』という。」
「ドラマの最初の方で、ライバル企業が特許侵害で佃を訴え、佃は銀行からお金を借りるのが難しくなる。そこに、帝国重工が登場する。同社は、佃の特許が必要となり、その購入を申し出る。帝国重工の幹部社員が佃の小さな工場を訪れ、要求をわめきたてる。しかし、佃は屈しない。彼は、佃製作所を、エンジンそのものを製造し、大企業に販売する会社にしたいのだと主張する。」
「佃が従業員に『我々は、会社の規模では負けるかもしれないが、技術ではけして負けない。』と言ったところで、ドラマの効果音が盛り上げる。そして、遂に帝国重工が屈する。」
「佃社長役の阿部寛の大声でのスピーチは、もう一人の演説者である安倍の関心を引いた。そう、安倍首相である。」
「安倍首相は、12月14日の講演で、この番組で描かれる佃製作所について『ものづくり大国日本をひっぱっていく日本の中小企業そのものであります。』と述べた。」
「TBSの川鍋昌彦氏は、この番組の夢を追いかけるというテーマが成功の秘訣だと語る。彼によれば、日曜日の夜にこのドラマを見て、月曜日から働く英気を養ったという、視聴者からのメッセージがTBSに寄せられている。」
「このドラマはフィクションだが、三菱重工が、日本や世界中の何百という中小企業の支援によって成功させた三菱リージョナルジェットの初飛行の様な、最近の明るい出来事を思い起こされる。」
「精密部品会社の萩野茂雄氏は、この番組は、家族経営企業の良い面を描いてくれていると言う。『利益は重要だ。しかし、もっと重要なのは、自分たちがお客様や従業員に貢献していると感じられることだ。』」

ここではクリスマスのお祝いにはカーネル氏の予約が必要だ【A1面】

日本ではクリスマスにフライドチキンとケーキが人気だという記事が、1面に掲載された。


クリスマスにフライドチキンを食べる習慣はケンタッキーフライドチキン(KFC)が、ケーキを食べる習慣は不二家が作ったそうだ。年末に第九を歌う習慣や、湖池屋が今年発売した苺ショートケーキポテトチップスなど、日本のクリスマスシーズンのユニークな習慣を取り上げていて楽しく読める。

***** 以下本文 *****
「クリスマスがやってくる。日本では、フライドチキンとケーキを予約する時だ。」
「日本では12月25日は公式の祝日ではないが、この非公式の祝日に、これら二つの食べ物の消費は確実に伸びるのだ。他の国では少し異なったクリスマス料理が好まれることを知る日本人は殆どいない。」
「22歳の大学生であるモリモトリュウヤさんは、『チキンとケーキがアメリカのクリスマスの主食では無いとは全く知りませんでした。』と述べる。」
「『私が子供の頃、家族でチキンを食べ、メリークリスマスと書かれたチョコレートがのったクリスマスケーキを食べました。』と彼は言う。」
「彼の様な家族により、日本のケンタッキーフライドチキンでは、クリスマスの時期が最も忙しい。」
「KFCでは、クリスマス用のチキンの予約を10月末から始める。クリスマスイブにKFCのバケットを買おうとする人々は、下手をすると、サンタクロースのスーツを着たカーネルサンダースが見守る中、6時間も行列の中に立っていなければならないのだ。」
「日本でクリスマスにチキンを食べる習慣が出来たのは1970年代初頭に遡る。外国人が七面鳥の代わりにフライドチキンを買い求めに東京のKFCを訪れた。当時、KFCは脂っこい食べ物を指で食べると言う習慣を日本に根付かせるのに苦労しており、新しいクリスマスの習慣を作ろうというアイデアが生まれた。」
「この試みは家族の間で流行となり、新しい習慣が生まれた。『ケンタッキーがなければ、クリスマスは退屈です。』と18歳の高校生であるナカジマユナは言う。日本ではKFCはケンタッキーと呼ばれるのだ。」
「ナカジマさんは既に今年のチキンを予約済だ。彼女はクリスマスイブにこの伝統の食事を楽しむ予定だ。」
「日本ではキリスト教徒の数は1%を若干下回る。日本では、殆どの人が仏教徒か、土着の神道徒か、場合によって仏教徒になったり神教徒になったりする。伝統的に、結婚式は神道方式で行われるが、葬式は仏教方式で行われる。」
「にもかかわらず、日本ではキリスト教の習慣が幅をきかせる。第一次世界大戦のドイツ人捕虜が日本でベートーベンの交響曲第9番を演奏したことが、日本中の交響楽団がクリスマスシーズンに合唱を含んだこの作品を演奏する習慣を作り出した。」
「百貨店や事務所はクリスマスツリーを飾る。11月にオンラインメディア会社であるアクティンディが母親を対象に実施した調査では、3歳から7歳の子供の90%が、ショッピングモールに時々現れるサンタクロースを信じている。」
「日本のクリスマスのもう一つの習慣は、白い粉砂糖がかけられたイチゴのケーキだ。1910年に不二家が最初のクリスマスケーキを販売した。そのケーキはクリームのかかったプラムケーキだった。1950年までは、そうしたケーキの需要が大きかったと不二家のスポークスマンは言う。」
「苺のショートケーキが人気を得るのは、1960年半ばになってからだと彼は言う。その頃、多くの多くの家に冷蔵庫が普及し、温室育ちの苺が人気になった。1970年には、ショートケーキは、クリスマスの代名詞となり、バタークリームケーキの売上を抜いた。」
「『ある説によれば、日本は昔から何かをお祝いする時には甘いものを食べる習慣があったのです。』とそのスポークスマンは言う。そうした習慣がクリスマスケーキが人気を博す要因となったのだろう。」
「『もちろん、毎年クリスマスケーキを買います。』と32歳のエンドウマミは言う。彼女は2人の子供を持ち、東京の結婚サービス会社で働いている。『子供が生まれてからは、大抵はショートケーキですね。』」
「アメリカや欧州では、苺と言えば、夏の果物だが、日本では、多くの収穫が11月から始まる。温室栽培で、需要のピークに合わすためだ。」
「チキンと同様に、クリスマスケーキを買い求めるのも大変だ。人気のベーカリーやホテルでは、10月から予約を受け付ける。」
「ほっぺたが落ちそうなほど、美味しいケーキもある。東京のパレスホテルでは、178ドルのリーブという名前のケーキを販売するが、それは食べられるチョコレートの箱に入っている。東京のニューオータニホテルの495ドルのケーキは、ドンペリニオンのマカロンが上にのっている。」
「ちょっと高すぎるというのなら、スナックメーカーの湖池屋が月曜日に発売した苺ショートケーキ味のポテトチップスはどうだろう。1箱に12袋入って15ドルだ。『クリスマスを一人寂しく過ごす人も沢山います。』とスポークスマンは言う。『特に2015年は、クリスマスが平日なので。大きなケーキやチキンが1人で食べきれないという人には、苺ショートケーキ味ポテトチップが最適です。』」
「ソーシャルメディアによれば、このポテトチップスは予想以上に大きいとのこと。『味についての意見は分かれています。』と彼は言う。」
「しかし、何と言っても、フライドチキン無には、クリスマスは語れない。KFCのベーシックなクリスマスチキンセットは、35ドルを少し切る値段で、チキンとサラダとケーキが入っている。」
「日本KFCのスポークスマンによれば、12月の売上は通常月の倍になるそうだ。日本KFCは、Yum Brand Inc.とのフランチャイズ契約に基づいて操業する上場会社だ。」
「日本KFCは、昨年のトライアルの後、今年初めて、多くの店舗でオンライン予約を開始した。顧客はバスケットを12月19日~25日の間にピックアップすることが出来る。」
「最近、幾つかのコンビニエンスストアが、KFCで買うより彼らの店で買った方がお得ですと言い出した。ファミリーマートのプレミアムチキンバスケットの値段は20ドルからだ。日本全国に11,000店舗を展開する同社は、その広告で『フライドチキンが無ければ、クリスマスじゃない。』とうたっている。」
「対照的に、七面鳥と豚は、この時期日本では人気が落ち込む。アメリカやヨーロッパでは、クリスマスに七面鳥や豚を食べることは、日本では殆ど知られていないのだ。」
「学生のナカジマさんが、七面鳥がアメリカでは人気のクリスマス料理だと聞いてびっくりして言った。『クリスマスとチキンはワンセットです。』」

Thursday, December 17, 2015

日本は夫婦は同姓を名乗らねばならいことを確認【A16面(国際面)】

12月16日の「夫婦別姓を認めない民法の規定は合憲」とする最高裁判決について、17日の国際面で速報した。

中立的な記事になっているが、選択的夫婦別姓を認めるべきだというトーンに読める。

***** 以下本文 *****

「日本の最高裁判所は、夫婦は同じ姓を名乗らねばならないという19世紀に遡る法律を支持し、3人の女性と1組の夫婦によるこの法律が彼らの権利を侵しているという訴えを却下した。」
「この判決には日本で大きな関心が寄せられた。日本では安倍晋三首相が、企業や官公庁における女性の進出を推進してきた。水曜日の判決は、職場で旧姓を維持している女性が、彼らの法的な名前が異なるため、追加の書類が必要になったりなどの余計な手間がかかるという状況が継続することを意味する。」
「日本は、夫婦が夫か妻かいずれかの姓を選択することを要求する数少ない国のうちの一つだ。性による差別撤廃を求める国連が、日本に対し何回もこの法律を改定する様に要求してきた。」
(途中省略)
「表面的には、この法律は両性に対して中立だ。なぜなら、夫が妻の姓を名乗ることも出来るからだ。しかし、実際には96%の夫婦が夫の姓を名乗っている。」
「最高裁判所は、下級裁判所の判決を支持し、1つの姓を要求する習慣は日本では十分に確立されており、この法律は婚姻は個人の尊厳と男女の平等の観点から行われるとする憲法の要求を犯していないと述べた。」
「与党である自民党は、2010年のマニフェストで、夫婦別姓に反対するとした。しかし、今年の初め、党の政策研究会の会長である稲田朋美氏は、党内にも様々な意見があることを認めた。」
「15名の裁判官のうち、3名の女性裁判官全員と2名の男性裁判官が、この法律は憲法違反だとして、この判決を批判した。岡部喜代子裁判官は、女性に姓の変更を強制することは、女性に危害を及ぼすと述べた。例えば、旧姓で取得した特許が認識されなくなってしまう。今はネットで誰かの名前を検索することが世界的に出来る時代だとし、結婚前の名前の有益性と必要性は高まっていると述べた。」
「水曜日に出た婚姻関係のもう1つの判決で、最高裁は、女性にだけ離婚後6ヶ月の再婚禁止を定めた法律を違憲とした。」

Tuesday, December 8, 2015

経済が拡大し、リセッションは回避【A10面(国際面)】

内閣府が8日発表した7月~9月期のGDP改定値について、同日の国際面で速報した。


短い記事の中で、事実を淡々と伝えている。

***** 以下本文 *****

「日本は安倍政権になってから2度目のリセッションに陥るのを免れた。予想以上の設備投資に助けられ、経済は第三四半期に成長した。」
「日本のGDPは第三四半期にその前の四半期に比べて年率換算で1.0%成長したと火曜日に内閣府は発表した。経済は、0.8%縮小したと推定されていた。」
「この改定により、安倍晋三首相は、経済は第二四半期の0.5%の縮小の後、回復しつつあると言うことが出来る。改定の主な理由は、当初5%縮小したと推測されていた企業投資だ。改定によれば、企業投資は2.3%伸びていた。」