日本ではクリスマスにフライドチキンとケーキが人気だという記事が、1面に掲載された。
クリスマスにフライドチキンを食べる習慣はケンタッキーフライドチキン(KFC)が、ケーキを食べる習慣は不二家が作ったそうだ。年末に第九を歌う習慣や、湖池屋が今年発売した苺ショートケーキポテトチップスなど、日本のクリスマスシーズンのユニークな習慣を取り上げていて楽しく読める。
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「クリスマスがやってくる。日本では、フライドチキンとケーキを予約する時だ。」
「日本では12月25日は公式の祝日ではないが、この非公式の祝日に、これら二つの食べ物の消費は確実に伸びるのだ。他の国では少し異なったクリスマス料理が好まれることを知る日本人は殆どいない。」
「22歳の大学生であるモリモトリュウヤさんは、『チキンとケーキがアメリカのクリスマスの主食では無いとは全く知りませんでした。』と述べる。」
「『私が子供の頃、家族でチキンを食べ、メリークリスマスと書かれたチョコレートがのったクリスマスケーキを食べました。』と彼は言う。」
「彼の様な家族により、日本のケンタッキーフライドチキンでは、クリスマスの時期が最も忙しい。」
「KFCでは、クリスマス用のチキンの予約を10月末から始める。クリスマスイブにKFCのバケットを買おうとする人々は、下手をすると、サンタクロースのスーツを着たカーネルサンダースが見守る中、6時間も行列の中に立っていなければならないのだ。」
「日本でクリスマスにチキンを食べる習慣が出来たのは1970年代初頭に遡る。外国人が七面鳥の代わりにフライドチキンを買い求めに東京のKFCを訪れた。当時、KFCは脂っこい食べ物を指で食べると言う習慣を日本に根付かせるのに苦労しており、新しいクリスマスの習慣を作ろうというアイデアが生まれた。」
「この試みは家族の間で流行となり、新しい習慣が生まれた。『ケンタッキーがなければ、クリスマスは退屈です。』と18歳の高校生であるナカジマユナは言う。日本ではKFCはケンタッキーと呼ばれるのだ。」
「ナカジマさんは既に今年のチキンを予約済だ。彼女はクリスマスイブにこの伝統の食事を楽しむ予定だ。」
「日本ではキリスト教徒の数は1%を若干下回る。日本では、殆どの人が仏教徒か、土着の神道徒か、場合によって仏教徒になったり神教徒になったりする。伝統的に、結婚式は神道方式で行われるが、葬式は仏教方式で行われる。」
「にもかかわらず、日本ではキリスト教の習慣が幅をきかせる。第一次世界大戦のドイツ人捕虜が日本でベートーベンの交響曲第9番を演奏したことが、日本中の交響楽団がクリスマスシーズンに合唱を含んだこの作品を演奏する習慣を作り出した。」
「百貨店や事務所はクリスマスツリーを飾る。11月にオンラインメディア会社であるアクティンディが母親を対象に実施した調査では、3歳から7歳の子供の90%が、ショッピングモールに時々現れるサンタクロースを信じている。」
「日本のクリスマスのもう一つの習慣は、白い粉砂糖がかけられたイチゴのケーキだ。1910年に不二家が最初のクリスマスケーキを販売した。そのケーキはクリームのかかったプラムケーキだった。1950年までは、そうしたケーキの需要が大きかったと不二家のスポークスマンは言う。」
「苺のショートケーキが人気を得るのは、1960年半ばになってからだと彼は言う。その頃、多くの多くの家に冷蔵庫が普及し、温室育ちの苺が人気になった。1970年には、ショートケーキは、クリスマスの代名詞となり、バタークリームケーキの売上を抜いた。」
「『ある説によれば、日本は昔から何かをお祝いする時には甘いものを食べる習慣があったのです。』とそのスポークスマンは言う。そうした習慣がクリスマスケーキが人気を博す要因となったのだろう。」
「『もちろん、毎年クリスマスケーキを買います。』と32歳のエンドウマミは言う。彼女は2人の子供を持ち、東京の結婚サービス会社で働いている。『子供が生まれてからは、大抵はショートケーキですね。』」
「アメリカや欧州では、苺と言えば、夏の果物だが、日本では、多くの収穫が11月から始まる。温室栽培で、需要のピークに合わすためだ。」
「チキンと同様に、クリスマスケーキを買い求めるのも大変だ。人気のベーカリーやホテルでは、10月から予約を受け付ける。」
「ほっぺたが落ちそうなほど、美味しいケーキもある。東京のパレスホテルでは、178ドルのリーブという名前のケーキを販売するが、それは食べられるチョコレートの箱に入っている。東京のニューオータニホテルの495ドルのケーキは、ドンペリニオンのマカロンが上にのっている。」
「ちょっと高すぎるというのなら、スナックメーカーの湖池屋が月曜日に発売した苺ショートケーキ味のポテトチップスはどうだろう。1箱に12袋入って15ドルだ。『クリスマスを一人寂しく過ごす人も沢山います。』とスポークスマンは言う。『特に2015年は、クリスマスが平日なので。大きなケーキやチキンが1人で食べきれないという人には、苺ショートケーキ味ポテトチップが最適です。』」
「ソーシャルメディアによれば、このポテトチップスは予想以上に大きいとのこと。『味についての意見は分かれています。』と彼は言う。」
「しかし、何と言っても、フライドチキン無には、クリスマスは語れない。KFCのベーシックなクリスマスチキンセットは、35ドルを少し切る値段で、チキンとサラダとケーキが入っている。」
「日本KFCのスポークスマンによれば、12月の売上は通常月の倍になるそうだ。日本KFCは、Yum Brand Inc.とのフランチャイズ契約に基づいて操業する上場会社だ。」
「日本KFCは、昨年のトライアルの後、今年初めて、多くの店舗でオンライン予約を開始した。顧客はバスケットを12月19日~25日の間にピックアップすることが出来る。」
「最近、幾つかのコンビニエンスストアが、KFCで買うより彼らの店で買った方がお得ですと言い出した。ファミリーマートのプレミアムチキンバスケットの値段は20ドルからだ。日本全国に11,000店舗を展開する同社は、その広告で『フライドチキンが無ければ、クリスマスじゃない。』とうたっている。」
「対照的に、七面鳥と豚は、この時期日本では人気が落ち込む。アメリカやヨーロッパでは、クリスマスに七面鳥や豚を食べることは、日本では殆ど知られていないのだ。」
「学生のナカジマさんが、七面鳥がアメリカでは人気のクリスマス料理だと聞いてびっくりして言った。『クリスマスとチキンはワンセットです。』」