Wednesday, August 31, 2016

*** 8月のまとめ ***

8月にWSJに掲載された日本関係の記事は12件。1月~9月までの一月当りの平均が9.7件だったので、平均より少し多かった。

テーマ別では、政治関係が5件、経済関係が4件、社会関係が3だった。

政治関係では、1日に東京都知事に小池百合子氏が就任、、4日には防衛大臣に稲田朋美氏を任命と、女性が重要な地位に就いたことを相次いで報じた。(蓮舫が民進党の党首に立候補したことは報道されなかった。党首になったら報道されるか?)また、9日には、天皇陛下がテレビで生前退位の意向を示されたことが報じられた。女性が都知事や重要閣僚に就任したり、天皇制の見直しを迫る発言を天皇陛下自らがされたりと、これまでの古い日本が少しづつではあるが変化していることを印象付ける記事だった。残りの2件は、4日に北朝鮮の打ち上げた弾道ミサイルが秋田沖に落下したことを8日に尖閣諸島周辺での中国による扇動的行為に日本が抗議したことを報じた。こちらは逆に、周辺国の理不尽な行動に対して何も出来ない(何もしない?)古い日本を印象づける記事だった。稲田氏の防衛大臣就任で少しは変わるか・・・。

ところで、毎年この時期には、広島や長崎への原爆投下、閣僚の靖国神社訪問などが報道されるが、今年はこうした記事が一件もなかった。オバマ大統領の広島訪問で核廃絶へ向けた取組が期待される中、原爆関連の記事が皆無だったのは残念。靖国には丸山珠代氏や高市早苗氏らが参拝したのに、全く報道されなかったのは、何か裏取引でもあったのだろうか?

経済関係では、3日に28兆円規模の新経済政策が閣議を通過したことを、一方で15日に7~9月期のGDPの伸びが低かったことを伝えた。「安倍首相の大胆な経済政策」と「それにもかかわらず低迷する経済成長」の両方を報道し、アベノミクスに思い切った規制緩和が欠けていることを指摘するのは、ここ数か月の傾向。10日には山本経済再生担当大臣が、賃金目標を設定する考えを示したことを伝えたが、規制緩和を実施すべき時に、主要閣僚が新たな規制を提案しているところはコミカルですらある。23日には東京オリンピックに向けた投資で日本のGDPが押し上げられることを報道。日本国民の昂揚感も重なって、このイベントが日本経済復活の起爆剤になることを期待している様にも読める。(というか、安倍首相が規制緩和を断行するとはとても思えないので、日本経済復活にはオリンピック効果くらいしか期待出来ないということか?)

社会関係では、11日に日本で貧困にあえぐ高齢者が増えていることを報道。「人々を幸せにするはずだった長寿社会は、逆に労働生産性が低下し貧困者が増える暗い社会だった。」というブラックユーモアとも取れる記事。この難しい問題に本気で取り組む政治家が出てこないことも皮肉っている。同じく11日に、日本の音楽マニアの凝り性は常軌を逸していて、自分の庭に専用の電柱を設置することが流行っているという記事が掲載された。29日には台風10号が東北に上陸する恐れがあることを報道した。「高齢化」「エキセントリックな日本人」「自然災害」というのは良く取り上げられるテーマだ。

掲載箇所では、1面が1回、国際面が11件だった。


Monday, August 29, 2016

台風が2011年地震の被害地域に接近【A6面(国際面)】

台風10号が東北に上陸する可能性があることを29日の国際面で速報した。




アメリカでは、この台風を「ライオンロック」と呼び、風速を時速(しかもマイル)で表現、太平洋側のことを「東海岸」と表記するので、日本の新聞で読むのと随分と印象が異なる。

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台風ライオンロックは、東海岸に向かっており、2011年の地震と津波の被害を受けた地域を横断する可能性がある。日本の気象庁によれば、この台風は、時速100マイルの風と、134マイルもの突風を伴っている。
火曜日の朝までに、東京の東に位置する千葉の海岸に接近する見通しで、今シーズン日本に上陸する4番目の台風となる。気象庁によれば、その後北西の方向に進み、日本を横断する見込み。

Tuesday, August 23, 2016

日本は2020年に向けてメダル以上のものを得ようと努力する【A6面(国際面)】

日本が東京オリンピック効果で経済再生を目論んでいるという記事23日の国際面に掲載された。


東京オリンピックに向けて、競技場建設等で大きな投資が見込まれる上に、交通インフラ整備等の関連投資も期待される。こうした投資により、今後数年の間、日本のGDP0.3-0.4%押し上げられるとしている。それに加えて、関連商品販売による企業収益の増加(既に成功している例として、マクドナルドの五輪必勝期間限定バーガーが紹介されている。)、観光客の増加などが期待出来るとしている。また、安倍首相はこれを契機に日本のスポーツ産業を基幹産業の一つとして育成したいと表明したことを紹介している。

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安倍晋三首相は2020年の東京オリンピックが日本に心理的な昂揚感をもたらし、低迷する経済の再生に一役買い、スポーツ産業に息吹を吹き込むことを期待している。
今年のリオデジャネイロでのオリンピックは閉会したが、日本は過去最高の41個のメダルを獲得し、既に期待が高まっている。

日曜日の閉会式で、オリンピック旗は、女性初の東京都知事となる小池百合子氏へ正式に渡された。閉会式のイベントでは、安倍首相は任天堂のビデオゲームのキャラクターであるマリオの衣装を着てステージに登場し、日本を象徴する企業の宣伝に一役買うと共に、日本が近代的で楽しい場所であることをアピールした。
一方、小池都知事は、着物を着て登場し、日本の歴史と伝統をアピールした。小池氏は着物を着て登場することにより、東京がおもてなしにコミットしていることを示したかったと語った
日本の文化は伝統的価値と最新のテクノロジーの融合により進歩している。」と彼女は述べた。
日本は、新スタジアムやオリンピックに向けた他のインフラの整備に、既に73億ドルを確保しており、この金額は増えることが期待されている。それに加えて、交通網の整備に数10億ドルが支出される。日銀によれば、こうした投資は、今後2-3年の間、日本のGDPを年率0.3%押し上げるとしている。
既にオリンピック効果を報告している会社もある。マクドナルドは、日の丸をイメージしたサンドイッチなどのオリンピックメニューにより、売上が好調だ、
安倍首相は、彼の任期完了時期の2年後の2020年までに、日本への観光客を現在の2倍の4,000万人に増やすことを目標として掲げており、オリンピックが目標達成に一役買うことを期待している、
安倍首相はまた、日本のGDP2015年の水準から20%引き上げるようとしているが、そのためにスポーツを主要産業にすることを提案している。
スポーツ用品の製造・販売、スポーツイベントの開催・放送、スポーツ施設の運営等のスポーツ産業は、日本では2012年に550億ドルの売上を生み出した。政府によれば、この金額は2002年から見て、1/5以上縮小している。人口の高齢化と減少がその原因だ。
国勢調査によれば、平均的な日本の家庭でスポーツ観戦に使うお金は年に6.6ドルにすぎない。政府はこの金額は大きく増えるだろうと考えている。

Monday, August 15, 2016

落ちこむ輸出と低調な投資が日本経済を直撃【A12面(国際面)】

内閣府は15日発表した、201646月期のGDP国内総生産)速報値について、同日の国際面で速報した。



4-6月期の経済成長は予測を下回る0.2%に止まり、政府による公共投資が無ければマイナスになっていたとする。但し、日本は(人口の高齢化等の)構造的な問題で潜在成長率が落ち込んでおり、ゼロ成長は今や驚くべきことではないとする。政府は景気刺激策と同時に構造改革に取り組むべきだし、企業に賃上げを促し家計支出を増やすべきだと言っている様に読める。 

***** 以下本文 *****

輸出の落ち込みと、企業投資の弱さの中、第二四半期の日本経済はほぼ成長停止状態だった。これは、日本が未だにその成長を公共投資に頼っていることを示している。
月曜日の内閣府の発表によれば、4-6月期の日本経済の成長は年率換算で0.2%にとどまり、1-3月期の2%を下回った。
もし公共投資の増額がなければ、4-6月期の経済は縮小していた。政府は、日本の会計年度の最初の四半期である同期に、公共投資を前倒しで支出した。安倍内閣は8月初旬に28兆円(2,760億ドル)規模の景気刺激策を承認したので、政府による支出は下期も継続する。この対策の中には、2,200万人の低所得者への15,000円の支給も含まれる。
「この先も輸出は低調な状況が続くが、公共投資の増額は成長を助けるだろう。」、みずほ調査機構のエコノミストであるトクダヒデノブ氏は述べる。「構造的に日本の成長の潜在力は落ちている。これが意味するところは、政府は、景気刺激策だけでなく、構造改革を続けていく必要があるということだ。」
輸出が前年比で5.9%落ち込む中、企業投資は2四半期連続して減少した。船、鉄鋼製品、石油関連製品の輸出が落ち込んだ。データについて説明した政府報道官は、米国や欧州での日本製品への需要が弱いと発言した。
エコノミストは年初からの円高が輸出を直撃したと述べた。
家計支出もほぼ横ばいだった。消費支出は、日本のGDPの約60%を占める。エコノミストは、ここ数年多くの大企業が記録的な利益を計上しているにもかかわらず、多くの国民がそれに見合った賃金増加を受け取っていないので、消費者は支出を差し控えていると言う。日本の従業員が受け取った給与の総額は、前の四半期から、0.3%しか増加していない。
安倍氏は3年半前に数10年続いた不況を終了させると約束して首相の地位に就いた。しかし、経済はコンスタントに成長して来なかった。6月に安倍首相は、当初2017年に予定されていた消費増税を2019年まで遅らせるとした。2014年に実施した消費増税は、その後の景気冷え込みの原因となった。
第二四半期の数値は予測よりも少し低かったが、多くのエコノミストはほぼ横ばいの成長というのは、日本の潜在成長率を考えると驚くべきことではないと指摘する。日銀の最新の予測では、日本の潜在成長率は0.21%であり、内閣府の予測でも0.3%だ。輸出減少など、少しでもネガティブな要因があると、日本経済は簡単に縮小に転じてしまう。
住宅投資は前年比21.3%も伸びたが、これは2011年以来最大の増加だ。政府関係者は、日銀の金融緩和策により金利が落ち込んでいることが、住宅需要を刺激しているとみている。

日本の音楽狂はマイ電柱が欲しい;「電気は血液の様なものだ。」【A1面】

日本のオーディオマニアの間で、「マイ電柱」なるものが流行っているという記事が1面に掲載された。



この記事よれば、世界中どこでもオーディオマニアのこだわりは相当のものだが、日本のマニアの完ぺき主義は際立ているそうだ。ピュアな電源を確保することが非常に重要だということで、自分の庭に、自宅専用の電柱を設置するマニアが増えているという信じられないブームについて、面白おかしく紹介している。
(WSJ日本語版に同じ記事が掲載されていたので、下記に引用させて頂きました。)

***** 以下本文 *****
オーディオシステムの音質を極限まで高めるために、森田武男さん(82)は電柱を一本買うことにした。
弁護士の森田さんは、6万ドル(約607万円)する米国製アンプのほか、劇場で使われていた1960年代のドイツ製スピーカー、金と銀を使用している日本製のケーブルなど、多くの高級オーディオ機器を使っている。
通常の電源ではとても満足できない――。森田さんは「ピュアな」電源を求め、約1万ドルをかけて庭に高さ12メートルほどのコンクリート製電柱を設置した。電柱の真ん中に付いている円柱形のトランスから自分の家だけに電気が供給される「マイ電柱」だ。
「電気は血液みたいなものだから、そこが悪いと体すべてがよくなくなってしまう。どんな高級な機器を使っても血液部分で駄目だとどうしようもない」と森田さんは言う。
クイーンの「Im in Love With My Car」のレコードをターンテーブルに乗せ、満足げにソファに腰をかける森田さん。電柱を設置する前と比べると、ボーカルはライブのような音に変わり、まるでクイーンが家に来て自分のためだけに演奏しているようだと語る。

際立つ日本の完璧主義 
世界中どこでもオーディオマニアのこだわりは相当なものだが、日本のマニアの完璧主義は際立っている。アンプやスピーカだけでなく、ピュアな電源を確保することが非常に重要だと彼らは主張する。
通常の電柱ではトランスを近隣の多くの家と共用しているため、電気的干渉で信号にノイズが生じ、微妙な音が聴こえなくなったり、演奏に奥行きがなくなったりするのだという。
森田さんの電柱工事を担当したのは、出水電器というオーディオ電源工事専門の会社。マイ電柱を建てると「音が部屋の空間に溶け込んでゆく」と出水電器の島元澄夫社長は説明する。同社は過去10年ほどで全国に約40件のマイ電柱設置工事を担当したという。 
日本には「電源&アクセサリー大全」という、マイ電柱も含めたオーディオ用電源に特化した雑誌がある。
「日本のオーディオマニアはとても熱心に音を追求する」と語るのは、米カリフォルニア州を拠点とするオーディオ機器販売会社ロータスグループのジョー・コーエン社長。「一度はまったら全てを犠牲にする」
マイ電柱によって音にどれほどの違いが生じるのかについては、オーディオファンの間でも懐疑的な意見がある。
しかし、米ロチェスター大学で音響工学プログラムのディレクターを務めるマーク・ボッコ教授は「マニアたちは音に関して少しの妥協もしない」と指摘。「隣の家で使われている家電製品による電気的干渉が、共用する電柱のトランスを通じて(自分の家の)音に影響を与える可能性はある。根拠のない話ではない」と語る。

ワインの良し悪しと同じ 
元銀行員の吉原幸雄さん(62)は昔から、昼間よりも近隣が家電を使っていない深夜の方がオーディオの音が良いと感じていた。そこで業者にオシロスコープで自宅の電源を調査してもらったところ、「どれほど汚れているかわかった」という。家電に使われるインバーターがノイズの原因になるとの見解だ。
吉原さんは5年ほど前から、マイ電柱とトランス、さらにいろいろな電源関連の機器を合計4万ドルほどかけて導入した。
電源工事の後で初めてアルテュール・グリュミオーとクララ・ハスキルのモーツァルトのヴァイオリンソナタを聴いたときは涙が出たという。「音がすごく鮮明で、目の前で演奏しているようだった」
「(夫のこだわりは)到底私には理解できない」と妻の令子さんは言う。「でも、やめさせたら生き甲斐をなくしてしまう」
音の良し悪しは聴き手の感覚によって決まる部分もあるというのが青山学院大学でハイエンドオーディオマニアの文化を研究している中野勉教授の見解だ。
ワインの良し悪しを化学的な成分分析によって決めたりはしない」。音も同様で、人間の想像力に関わる神聖な側面があると中野教授は言う。

キース・ジャレットの息づかい
マイ電柱とトランスのサイズや形状は規制で決まっている。東京都内の電柱メーカーは、グレーの電柱の他に、茶色と緑色の電柱も作っている。
佐賀県に住む平野勝広さん(60は家の色にマッチする茶色の電柱を建てたかったが、電力会社からグレーしか無理だと言われたという。
4万ドルのアンプと4万ドルのスピーカーを使っている平野さんは、「既にこれだけお金をかけたので、どうせここまでやるなら」と考えてマイ電柱を建てることにした。
電力会社は地元に前例がなかったので当初は難色を示したが、2月の交渉で許可が出た。
昨年6月、電柱を積んだトラックが家に来て作業員が敷地に穴を掘り電柱を建てた。平野さんは既に窓のないオーディオルームの建物を敷地内に建てていたので、近所の人々は電柱についてもいろいろ質問してきたという。建物は倉庫で、空調設備のために電柱が必要なのだと説明したが、「何か違法なことをやっていると思われたかもしれない」と話す。
マイ電柱の効果は、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」を聴くとはっきりわかるという。ピアノの音、ピアニストの息づかい、聴衆からの音などが、それぞれ別々に聴こえるようになったという。「自分がコンサート会場にいて、キース・ジャレットがどこにいるかはっきり分かる」
クイーンのレコードをかけていた森田さんは、都内ですでに電柱を設置していた家を訪問して音の違いを体験したことでマイ電柱設置を決意した。ボーカルが圧倒的に良かったという。
電柱設置を検討しているときに電力会社に相談したが、エンジニアは柱上トランスによって音が変わるはずがないと主張した。あまりに頑として否定されたので、余計に設置したくなったという。
電柱の設置工事では、トラックが庭に入れるように庭の門を完全に撤去した。
最初は庭にコンクリートの柱が立っているということに違和感があった」と振り返る森田さん。「でも今では家の一部になっていて、愛着を感じる」

Thursday, August 11, 2016

日本の高齢者は増大する貧困の危機に直面【A12面(国際面)】

日本で貧困にあえぐ高齢者が増えているという記事が掲載された。


40代、50代の日本人が老後の生活に不安を感じていて、それが日本の消費が停滞している一因だとしている。特にいまや労働者の3人に1人を占める非正規従業員は、正規従業員に比べ十分な老後の福利厚生が期待出来ず、停滞に拍車をかけている。人々を幸せにするはずだった長寿社会は、労働生産性の低下を招き、貧困を増やすという暗い側面がある。移民受け入れなどの思い切った政策に取り組むべきだが、不人気な政策に敢えて真剣に取り組む政治家は出てこないとして、日本の将来に警鐘を鳴らしている様に読める。

***** 以下本文 *****

記録的な数の高齢者が貧困にあえぐ中で、社会に不安が広がっているが、シミズヨシツグさんの生活はそういった不安を象徴するものだ。
シミズさんは、以前は革製品の起業家だったが、一年前に破産を宣言し、その後離婚した。現在は、横浜市寿町にある55スクエアフット(注:約5平方メートル)の部屋で生活保護に頼って生活している。寿町には安いホステルが密集し、酒を手にした高齢者が集まっている。
「まさか私がこんな状況に陥るとは全く想像していませんでした。」と63歳のシミズさんは言う。
日本ではシミズさんの様な貧困にあえぐ高齢者が増えている。3には、生活保護を受給している人達の中で、高齢者が占める割合が半分を越えた。
こうした高齢化社会をどう生き抜くかという不安は、安倍首相が直面する課題が如何に大きいかを示している。安倍首相は、日本に刺激を与え、過去20年間続いている経済停滞状態から脱却させるべく努力をすると同時に、人口の構成変化(高齢化)に対する対応をしければならない。多くのエコノミストが、何もしなければ確実に日本は衰退に至るとみている。
勤労世代の人々の多くは、政府は、多額の負債と人口の高齢化に押しつぶされ、老後を寿町の様な場所で過ごさねばならない状況から守ってくれないのではないかと心配している。日本では賃金や年金支給額が長期的にみて減少する中で、社会保障費の支払い額は増えており、多くの労働者が定年後にお金を残せなくなってきている。

「定職につき、普通の生活を送って来たにもかかわらず、なぜか貧困に追い込まれた人々と話をしてきた。」と社会福祉士で、ベストセラーとなった「下流老人」の著者でもある藤田孝典氏は言う。
お金の無い老人になることへの恐怖は、長期化している消費不振を悪化させ、経済の重荷となるだろうとゴールドマンサックスは4月のレポートで報告した。2013年の生命保険機構による調査によれば、80%以上の人が年金が十分に支払われないことに不安を表明していた。
特に40代、50代の人々が消費を抑える傾向にあるが、この世代は節約することにより、こうした不安に備えようとしているとゴールドマンサックスは言う。
OECDによれば、2009年には65歳以上の日本人の5人に1人が貧困層だったという。ある大学の調査によれば、2014年までにこの割合は26%に達した。
非正規従業員が定年にさしかかり、問題は更に悪化するものとみられている。非正規従業員は、今や労働者の3人に1人とみられるが、正規従業員の様な福利厚生や給与を受け取っておらず、定年退職時に所有するお金は少ない。
安倍首相はこの問題を解決するために、高齢の貧困者に現金を給付し、医療費をカットし、高齢者の雇用を促進しようとしている。しかし、他の問題を解決しようとする政府の取組みが彼らの苦しみを悪化させている。膨らみ続ける福祉の費用を削減しようという努力が高齢者を苦しめているのだ。家賃が安くなっていることを理由に、厚生労働省は昨年、福祉の受給者に対する家賃補助の金額を減らした。これにより横浜市は寿町の住人に対する家賃補助を減らし、何人かの住人が住めなくなってしまった。
人口問題の専門家であるマツタニアキヒコは、長寿には労働生産性の低下が伴うと言う。「長寿は貧困と密接に関係しています。人が長く生きると言うことは、長く働くことも意味するかというとそうではありません。」
高齢者の間でも所得格差が発生しており、多くの専門家は、移民を受け入れることによりこうした長期的な問題に対応すべきだと主張する。しかし、この不人気な政策に、敢えて真剣に取り組もうという政治家は現れない。
そうしているうちに、かつては日本の戦後高度成長を支えてきた日雇い人夫の街だった寿町の住人にも変化が表れている。ある68歳の住人は、彼の持ち物で一杯となっている小さな部屋に住んでいる。
「この街は以前は、仕事の後の一杯を楽しむ人々で満ち溢れていたが、今や高齢者か病人しか住んでいない。」

Wednesday, August 10, 2016

日本の官僚が賃金目標の考え方を打ち出す【A12(国際面)】

WSJは山本耕三地方再生大臣へのインタビュー記事を810の国際面に掲載した。




山本大臣をアベノミクスの仕掛け人として紹介し、彼が、デフレ脱却のためには財政支出、金融緩和に加えて、「賃金目標設定」を検討する必要があると発言したと報じている。

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安倍晋三首相の成長戦略の仕掛け人とされる閣僚の一人が、日本は財政支出、金融緩和による経済再生を促進すると同時に、賃金目標設定の様なより踏み込んだ政策について検討する必要があると述べた。
日本の国民はいまだにデフレマインドから脱却することが出来ていない。」と山本幸三氏は述べた。山本氏は先週地方再生担当大臣に任命されたばかりだ。
生鮮食品を除いたコア消費者物価は6月まで4ヶ月連続で前年から低下した。全般的な賃金は殆ど上昇していない。
山本氏は政府はデフレを退治するための手段として賃金目標の考え方を議論すべきだと述べた。安倍首相の企業に対する賃金引上げの要求は一定の成果を出してはいるものの、「われわれはこれを粘り強く進めていく必要がある。」と主張した。

Tuesday, August 9, 2016

日本の天皇は生前退位の用意がある【A6面(国際面)】

88日に放映された天皇陛下のビデオメッセージについて、翌9日の国際面で速報した。



ビデオの中で、天皇は生前退位という言葉を使わなかったが、その内容から判断して生前退位を希望しているのは明らかだとしている。しかし、大きな変化を望まない日本では、天皇の希望を叶えることは難しいと言っている様に読める。そもそも、天皇の希望をかなえる前に、女性も天皇にすべきとか、天皇は象徴ではなく元首であるべきとか、天皇は職業ではないとか、様々な議論が出てきて、検討に時間がかかるだろうと見ている。今回のビデオメッセージは退任演説(Valedictory Address)の様だったとか、徳仁親王は父親同様その職務をこなしているが、皇后(美智子様と雅子様)の果たしている役割には大きな違いがある(雅子様は公の場にあまり姿を現さない。)など、日本のメディアでは言いにくいことも報道している。

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明仁天皇が年齢と健康を理由に退位の意向を示唆した。戦後の天皇制を大きく変化させる可能性がある。
「天皇が病気になり、その病状が深刻になった時に、過去に経験した様に、社会が停滞し、人々の暮らしに様々な面で影響を与えることを懸念しています。」82歳の天皇は月曜日に放映された10分間のビデオの中で述べた。
安倍首相は、天皇のお言葉を重く受け止めると述べた。現状の法律は天皇の生前退位を想定していないが、政府は法律改正について議論を開始する見通しだ。
「天皇陛下の年齢と重責を考えると、陛下のご心配について配慮し、何が出来るか熟考する必要がある。」と安倍首相は述べた。
天皇のスピーチは、退任演説の様で、これまでの在位期間である28年間を総括し、56歳の長男である徳仁親王にその地位を譲りたいと述べた。
天皇がこうしたビデオメッセージをリリースしたのは今回を含めて2回しかない。1回目は、日本の北部を襲った2011年の地震と津波の後にお見舞いを述べるためだった。
天皇は、行動しつづけねばならないその生活に触れた。遠隔地や離島を含めて列島じゅうを訪問し、人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添おうと努力してきたと述べた。
そして、体力が次第に落ちていく中で、こうした行動をこれ以上続けていく自信が無いとも述べた。
天皇は、2003年に前立腺癌の治療を受け、2012年には心臓の手術をした。
「次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊で象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています。」と天皇は述べた。
明仁天皇は、生前退位という言葉を直接には使わなかった。しかし、天皇の仕事を行うために摂政を置くことでは不十分だと述べおり、退位が彼の望みであることには疑いの余地は無い。
世論調査では多くの日本国民が生前退位を支持している。しかし、日本では変化はそう簡単には起きないとする人もいる。成城大学準教授であり、天皇家を研究してきたモリヨウヘイは、法律改定を検討するプロセスは、パンドラの箱を開けることになり、天皇制に対する多くの疑問点が指摘されることになるだとうと言う
女性天皇を禁止する条項を排除すべきだという人もいれば、憲法を改正して、天皇を現憲法が定めている日本国の象徴から、日本国の元首に変更すべきだとする人もいる。
戦前、天皇は神であると見られてきたが、そうした戦前の天皇のイメージを持っている人からみれば、天皇を仕事だとみる明仁天皇の見方そのものが問題だろうと森氏は述べる。「そういった考え方は保守派の人々にはなじまないです。保守派の人々からみれば、天皇は24時間勤務で、休みは無く、私的な生活もないのです。」
天皇は、特定の法律の変更を示唆しない様に非常に慎重に対応している。占領軍によって草案が作成された1947年の憲法により、天皇は政治力をもっていないからだ。
しかし、彼は、法律変更を提唱する様な発言を織り込んだ。例えば、ある天皇の葬儀を行うと同時に、次の天皇が即位するというのは、天皇家にとって重荷になると述べた。
森氏は徳仁親王は、彼の父親同様、その仕事に真摯に取り組んでいると指摘する。しかし、一つの違いは皇后の役割だ。
明仁天皇の妻で81歳の美智子皇后は、天皇の重要な訪問に同行してきた。

徳仁親王の妻である雅子様は、ストレスに関係する病気を理由に、あまり公に姿を現さない。

Monday, August 8, 2016

日本は中国の侵入とレーダ設備に抗議【A5面(国際面)】

尖閣諸島周辺での中国の扇動的な行動について、87日に日本は中国に抗議したが、このニュースを翌8日の国際面で速報した。


尖閣諸島の領有権を巡っては日本と中国は立場を異にすること、最近中国は尖閣諸島周辺で領海侵犯、レーダー設置といった扇動的な行為をしていること、こうした動きが南シナ海における中国の動きと似ていること、南シナ海における中国の動きは益々エスカレーションしていることなどを伝えている。


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日本は87日(日曜日)、東シナ海での中国の行動について、中国に対し数回の抗議を行ったと述べた。日本は中国が東シナ海のガス田関連の構造物にレーダーを設置しているとしているが、それに対する抗議も含まれる。
日本の外務省はまた、87日(日曜日)に2隻の中国の沿岸警備船が東シナ海の尖閣諸島の領海に侵入したと述べた。尖閣諸島は日本によって領有されているが、中国も領有権を主張している。、86日(土曜日)にも尖閣諸島の接続水域に侵入している。
尖閣諸島は中国では釣魚群島と呼ばれているが、今回の事件により、この諸島についての日本と中国の緊張関係がさらに高まった。中国は南シナ海でも別の諸島の領有権を巡って近隣諸国と対立している。7月に裁判所は、南シナ海における中国の領土の主張は法的根拠がないとする判決を下した。
中国は東シナ海の公海上に16のガス田海洋プラットフォームをもっているが、日本の外務省によれば、6月にそのうちの一つに海洋レーダーと監視カメラが設置されているのが見つかった。
外務省の広報官は「日本はレーダー設置を許すことは出来ない。速やかに撤去することを求める。」と発言した。このレーダーについて中国の外交防衛省にコメントを求めたが、回答は無かった。
外務省の広報官によれば、日本もまた、北京の日本大使館を経由して、中国に抗議を申し入れた。日本は、中国が東シナ海における資源開発を一方的に行っているとしてきたが、以前にこの件で抗議したこともある。
海洋プラットフォームへのレーダーの設置は、もし確認されれば、中国が南シナ海で行っていることと同様のことを東シナ海でも行っていることになる。南シナ海では、中国は人工島に軍事施設を追加した。2013年には、中国は東シナ海に防空識別圏を設定し、米国、日本との間の緊張が高まった。杉山晋輔外務事務次官は「今回の中国による一連の行動は、一方的に行われているもので、地域の緊張を高めている。我々は一切受け入れることは出来ない。」と述べた。日本の外務省によれば、杉山氏は、在東京の中国大使と話をした。
中国は、同諸島は中国の領土であり、中国の行動は国際法に従ったものだと述べた。
日本の抗議に対して、86日(土曜日)に、中国の広報官であるHua Chunyingは、日本に対して冷静な対応を求め、状況を複雑にする様な行動を取らない様に要求した。
この問題とは別に、中国は週末に、南シナ海の係争地域に爆撃機、戦闘機などの軍用機を飛ばしたと発表した。フィリピンのラモス前大統領が領土問題を解決するための話し合いを目的に中国訪問の準備を進めているが、この発表はこれに同期をとって行われた。

Thursday, August 4, 2016

安倍首相は国家主義者を防衛大臣に任命【A12面(国際面)】

8月3日に行われた内閣改造で、稲田朋美氏が防衛大臣に任命されたことを、翌日の国際面で速報した。


WSJで日本の内閣改造取り上げられること自体が異例だが、ひとりの閣僚がこれだけスポットライトをあてられるのも異例だろう。稲田氏を、次の首相候補であり、安倍首相同様国家主義的思想の持ち主で、憲法改正派であるとしている。また、2011年に韓国が彼女の入国を拒否したエピソードも紹介している。

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安倍晋三首相は新しい防衛大臣に国家主義者として知られる人物を選んだ。彼女は、安倍首相の後継者と目される人物であり、この抜擢により彼女は政府内においてさらに躍進することになるだろう。
稲田朋美(57歳)は、7月の参議院選挙で勝利をおさめた安倍首相が行った内閣改造でこのポストを手中におさめた。彼女は議員経験が11ヶ月しかないにもかかわらず既に次の首相と言われている。
稲田氏は元弁護士で、第二次世界大戦における日本の行為についてのこれまでの見方について何回か疑問を呈し、そのたびに中国や韓国を怒らせてきた。2011年には、韓国は稲田氏をはじめとする数名の保守派の日本の政治家について、韓国への入国を拒否した。
日本の憲法は国際紛争を解決する手段としての戦争を禁じているが、安倍首相同様、稲田氏は憲法の改正推進派だ。

日本は北朝鮮のミサイルが日本の近くに落下したことに抗議【A12面(国際面)】

8月3日、北朝鮮の弾道ミサイルが秋田県沖の排他的経済水域に落下したが、WSJはこのニュースを翌4日の国際面で速報した。



北朝鮮はこれまでも頻繁にミサイル発射を繰り返してきたが、今回の様に他国への直接の脅威となる様な打上げ方は極めて異例であること、2月には中距離ミサイルの打ち上げに成功しており、日本やグアムにある米軍基地が射程内に入ったこと、米国は北朝鮮の脅威に備えるため韓国にミサイル防衛網の設置を計画していることなどを、詳しく伝えている。日本については、安倍首相の「きぜんと対応していきたい。」という発言を引用しているが、具体的な対策をしないことを非難しているようにも読める。

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北朝鮮は83日(水曜日)午前、弾道ミサイルを発射したが、そのミサイルは日本に異常に近い地点に落下した。北朝鮮の兵器開発の進展に不安を感じていただけに、日本は強く抗議を行った。
北朝鮮は国連の禁止決議を無視して、しばしば弾道ミサイルを発射している。しかし、他国への直接の脅威になる様な打上げは行ってこなかった。日本の防衛大臣によれば、今回のミサイルは日本の北部にある秋田県沖、約150マイルの地点に落下した。
1998年に北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過して太平洋に落下したが、今回は日本の近くへ接近したという意味では、その時以来だ。2009年には、北朝鮮のミサイルが日本の北部を通過して東へ進み太平洋に落下した。安倍首相は「わが国の排他的経済水域に落下したとみられ、わが国の安全保障に対する重大な脅威であり、許しがたい暴挙だ。」の述べた。また「明白な国連安保理決議違反であり、北朝鮮に対し断固抗議した。米国・韓国と連携し、きぜんと対応していきたい」とも付け加えた。
北朝鮮は通常、ミサイル発射について事前警告を出さないし、また発射後も何の声明も出さない。専門家によれば、今回のミサイルは爆薬を弾頭に装着しておらず、着弾しても被害はミサイルそのものの力によるものに限定されていたと思われるが、ミサイルに燃料が残っていた場合にはそれが爆発を引き起こす可能性もある。北朝鮮は、金正恩の指導のもと、ミサイルと核弾頭の開発を加速させてきた。2011年に金正恩が権力を握ってから、30発以上の弾道ミサイルを発射している。それらの殆どは日本の方向にある海に向けて発射された。6月には、北朝鮮は、グアムや日本にある米軍基地にとって脅威となる新しい中型ミサイルの実験に成功した。
1月の核爆弾実験、2月のミサイルとみられる長距離ロケットの発射に呼応して、国連は北朝鮮に新たな制裁を課した。
北朝鮮は、アメリカとその同盟国による侵攻に先制して対抗するために、攻撃することも辞さないとして、アメリカや韓国ばかりでなく、日本にも頻繁に脅しをかけている。82日(火曜日)に発行された防衛白書の中で、日本は北朝鮮で核弾頭付ミサイルの開発が進んでいることに大きな懸念を示している。
北朝鮮の増大する武力への対応力を強化するために、アメリカと韓国は、韓国に最新のミサイル防衛網を設置する計画だ。この防衛網のレーダーが中国の一部をカバーするので、この計画は中国を怒らせている。
統合戦略軍によれば、北朝鮮は2発のミサイルを発射したが、そのうちの1発は発射直後に爆発してしまった模様だ。また、発射されたミサイルはノドン中距離ミサイルとみられる。ノドンの射程距離は約800マイルであり、西日本の殆どの地域が北朝鮮からの射程距離内にある。


Wednesday, August 3, 2016

日本は経済活性化に挑戦【A9面(国際面)】

82日に閣議決定された28兆円規模の新経済対策について、翌日3日の国際面で速報した。



この経済政策について、規模は28兆円と大規模だが、財政支出は7.5兆円に過ぎず、かつ支出期間も2年にも及ぶしている。その上で、この対策について為替市場や株式市場がネガティブに反応していること、エコノミストがその効果を疑問視していることなどを挙げている。729日に決定した日銀の追加金融対策が小粒だったことに加え、今回承認された政府の財政支出も力不足で、規制緩和に本気で取り組まないと、金融政策、財政政策を実施しても有効に機能しないと言っている様に読める。

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日本の内閣は、7.5兆円(約730億ドル)の財政支出を含む新しい経済政策について、承認した。低成長に苦しむ日本を再び成長軌道にのせるための安倍首相の最新の取組だ。
事業規模28兆円のこの経済政策は、日本経済に新たな息吹を吹き込もうと言う取組みだが、同時に継続的な成長をもたらすことに失敗し続けてきた安倍首相にとってはその政治力が試されるものとなる。
政府は、大型旅客船を受け入れ可能な港湾や農産物の輸出基地の整備などのインフラ整備にお金を投下する。今年度中に4兆円を支出するための補正予算が今月にも組まれる。この経済政策は、この3年半のアベノミクスで十分な恩恵を受けていないと感じている人々を援助することも目的としている。政府は、1,200万人の低所得者へ現15,000円(約147ドル)を一括給付し、年金受給資格を緩和してより多くの国民が国民年金を得られるようにし、大学入学のためのスカラーシップを拡大する。
それに加えてこの計画には、働く女性のために保育所の数を増やすことや育児休暇促進のための雇用者支援などが盛り込まれることになっている。いずれも労働者不足解決を狙った対策だ。安倍首相は、彼のこれまでの政策が大企業ばかり利してきたという批判に応えるために、多くの国民が活躍できる社会の実現を約束した。企業に対する減税や安倍内閣の主要目標でもある円安誘導等の政策により、企業は記録的な利益を生み出した。しかし一方で、多くの消費者、とりわけ38%を占める低賃金の非正規従業員は苦しい生活を強いられている。
この政策は、規模でいうとリーマンショック後で最大規模のものになるが、直接の財政支出(真水)は7.5兆円にすぎず、支出期間も2年にわたる。
安倍首相は2日(火曜日)には公の場でこの経済政策について発言しなかった。彼の側近である菅官房長官によれば、首相は閣議でこの計画は将来への投資だと語った。
この政策の詳細が発表された後、円は更に円高へと向かった。この政策の概要が明らかになった先週以来、円高傾向が続いている。そして、29日(金曜日)に発表された日銀の追加政策は市場を失望させ追い打ちをかけた。ニューヨーク市場では、米ドルが円に対して1.6%値下がりし、1ドルは100.79円となった。
2日(火曜日)の東京株式市場は、この計画が閣議決定される前に、引けた。
中国や途上国の経済減速、イギリスのEU離脱決定等の不安要素がある中、安倍首相のこの政策は日本経済を強くすることを目的としている。
日本は、最近、四半期単位で拡大と縮小を繰り返している。日本経済調査センターが43人のエコノミストを対象に行った調査では、4月~6月期の経済成長は、その前の期の1.9%から0.1%に減速すると予測されている。実績値は815日に発表される予定だ。
エコノミストたちは、この経済政策が、経済成長を促進する効果はそれ程大きくないとみている。SMBC日興証券のミヤマエコウヤは、この政策は今年度は経済成長を0.4%だけ押し上げると予測している。
明治安田生命のチーフエコノミストであるコダマユウイチは、この経済政策は経済に若干の良い影響をもたらすだろうが、こうした財政支出だけでは継続的な成長を生み出していくのは難しく、規制緩和に取り組むことが重要だとしている。アベノミクスを批判する人々は、政府は約束した規制緩和を実施していないとしている。児玉氏は農業、医療サービス、看護ケア、教育、新ビジネスなどの分野で、規制緩和が必要だとしている。
このところ金融政策だけでは日本の経済を活性化することは出来ないとするエコノミストや政治家が増えてきており、そうした状況の中、安倍首相は財政支出に踏み切った。6月には、経済が弱いことを理由に、予定されていた消費増税を2年半延期した。
日銀は先週、その金融政策を小幅に修正するに止めた。これは、多くのエコノミストに、日銀の成長やインフレを実現するための力が限界にきているというメッセージを送った。
日本の政府関係者は、財政政策と金融政策の協調を約束している。麻生経済産業大臣と黒田日銀総裁は、経済政策を閣議が承認した後の2日(火曜日)午後に会談した。記者会見で麻生氏は、そうした協調へのコミットについて再確認したと述べた。