8月2日に閣議決定された28兆円規模の新経済対策について、 翌日3日の国際面で速報した。
この経済政策について、規模は28兆円と大規模だが、財政支出は 7.5兆円に過ぎず、かつ支出期間も2年にも及ぶしている。 その上で、 この対策について為替市場や株式市場がネガティブに反応している こと、 エコノミストがその効果を疑問視していることなどを挙げている。 7月29日に決定した日銀の追加金融対策が小粒だったことに加え 、今回承認された政府の財政支出も力不足で、 規制緩和に本気で取り組まないと、金融政策、 財政政策を実施しても有効に機能しないと言っている様に読める。
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日本の内閣は、7.5兆円(約730億ドル) の財政支出を含む新しい経済政策について、承認した。 低成長に苦しむ日本を再び成長軌道にのせるための安倍首相の最新 の取組だ。
事業規模28兆円のこの経済政策は、 日本経済に新たな息吹を吹き込もうと言う取組みだが、 同時に継続的な成長をもたらすことに失敗し続けてきた安倍首相に とってはその政治力が試されるものとなる。
政府は、 大型旅客船を受け入れ可能な港湾や農産物の輸出基地の整備などの インフラ整備にお金を投下する。今年度中に4兆円を支出するため の補正予算が今月にも組まれる。この経済政策は、この3年半のア ベノミクスで十分な恩恵を受けていないと感じている人々を援助す ることも目的としている。政府は、1,200万人の低所得者へ現 金15,000円(約147ドル)を一括給付し、 年金受給資格を緩和してより多くの国民が国民年金を得られるよう にし、大学入学のためのスカラーシップを拡大する。
それに加えてこの計画には、 働く女性のために保育所の数を増やすことや育児休暇促進のための 雇用者支援などが盛り込まれることになっている。 いずれも労働者不足解決を狙った対策だ。安倍首相は、 彼のこれまでの政策が大企業ばかり利してきたという批判に応える ために、多くの国民が活躍できる社会の実現を約束した。 企業に対する減税や安倍内閣の主要目標でもある円安誘導等の政策 により、企業は記録的な利益を生み出した。しかし一方で、 多くの消費者、とりわけ38%を占める低賃金の非正規従業員は苦 しい生活を強いられている。
この政策は、 規模でいうとリーマンショック後で最大規模のものになるが、 直接の財政支出(真水)は7.5兆円にすぎず、支出期間も2年に わたる。
安倍首相は2日(火曜日) には公の場でこの経済政策について発言しなかった。 彼の側近である菅官房長官によれば、 首相は閣議でこの計画は将来への投資だと語った。
この政策の詳細が発表された後、円は更に円高へと向かった。 この政策の概要が明らかになった先週以来、 円高傾向が続いている。そして、29日(金曜日) に発表された日銀の追加政策は市場を失望させ追い打ちをかけた。 ニューヨーク市場では、米ドルが円に対して1.6%値下がりし、 1ドルは100.79円となった。
2日(火曜日)の東京株式市場は、 この計画が閣議決定される前に、引けた。
中国や途上国の経済減速、イギリスのEU離脱決定等の不安要素が ある中、 安倍首相のこの政策は日本経済を強くすることを目的としている。
日本は、最近、四半期単位で拡大と縮小を繰り返している。 日本経済調査センターが43人のエコノミストを対象に行った調査 では、4月~6月期の経済成長は、その前の期の1.9%から0. 1%に減速すると予測されている。実績値は8月15日に発表され る予定だ。
エコノミストたちは、この経済政策が、 経済成長を促進する効果はそれ程大きくないとみている。SMBC 日興証券のミヤマエコウヤは、この政策は今年度は経済成長を0. 4%だけ押し上げると予測している。
明治安田生命のチーフエコノミストであるコダマユウイチは、 この経済政策は経済に若干の良い影響をもたらすだろうが、 こうした財政支出だけでは継続的な成長を生み出していくのは難し く、規制緩和に取り組むことが重要だとしている。 アベノミクスを批判する人々は、 政府は約束した規制緩和を実施していないとしている。 児玉氏は農業、医療サービス、看護ケア、教育、 新ビジネスなどの分野で、規制緩和が必要だとしている。
このところ金融政策だけでは日本の経済を活性化することは出来な いとするエコノミストや政治家が増えてきており、 そうした状況の中、安倍首相は財政支出に踏み切った。6月には、 経済が弱いことを理由に、予定されていた消費増税を2年半延期し た。
日銀は先週、その金融政策を小幅に修正するに止めた。これは、 多くのエコノミストに、 日銀の成長やインフレを実現するための力が限界にきているという メッセージを送った。
日本の政府関係者は、財政政策と金融政策の協調を約束している。 麻生経済産業大臣と黒田日銀総裁は、 経済政策を閣議が承認した後の2日(火曜日)午後に会談した。 記者会見で麻生氏は、 そうした協調へのコミットについて再確認したと述べた。