8月8日に放映された天皇陛下のビデオメッセージについて、翌9 日の国際面で速報した。
ビデオの中で、天皇は生前退位という言葉を使わなかったが、 その内容から判断して生前退位を希望しているのは明らかだとして いる。しかし、大きな変化を望まない日本では、 天皇の希望を叶えることは難しいと言っている様に読める。 そもそも、天皇の希望をかなえる前に、女性も天皇にすべきとか、 天皇は象徴ではなく元首であるべきとか、 天皇は職業ではないとか、様々な議論が出てきて、 検討に時間がかかるだろうと見ている。 今回のビデオメッセージは退任演説(Valedictory Address)の様だったとか、 徳仁親王は父親同様その職務をこなしているが、皇后( 美智子様と雅子様)の果たしている役割には大きな違いがある( 雅子様は公の場にあまり姿を現さない。)など、 日本のメディアでは言いにくいことも報道している。
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明仁天皇が年齢と健康を理由に退位の意向を示唆した。 戦後の天皇制を大きく変化させる可能性がある。
「天皇が病気になり、その病状が深刻になった時に、 過去に経験した様に、社会が停滞し、 人々の暮らしに様々な面で影響を与えることを懸念しています。」 と82歳の天皇は月曜日に放映された10分間のビデオの中で述べ た。
安倍首相は、天皇のお言葉を重く受け止めると述べた。 現状の法律は天皇の生前退位を想定していないが、 政府は法律改正について議論を開始する見通しだ。
「天皇陛下の年齢と重責を考えると、 陛下のご心配について配慮し、何が出来るか熟考する必要がある。 」と安倍首相は述べた。
天皇のスピーチは、退任演説の様で、これまでの在位期間である2 8年間を総括し、56歳の長男である徳仁親王にその地位を譲りた いと述べた。
天皇がこうしたビデオメッセージをリリースしたのは今回を含めて 2回しかない。1回目は、日本の北部を襲った2011年の地震と 津波の後にお見舞いを述べるためだった。
天皇は、行動しつづけねばならないその生活に触れた。 遠隔地や離島を含めて列島じゅうを訪問し、人々の傍らに立ち、 その声に耳を傾け、思いに寄り添おうと努力してきたと述べた。
そして、体力が次第に落ちていく中で、 こうした行動をこれ以上続けていく自信が無いとも述べた。
天皇は、2003年に前立腺癌の治療を受け、2012年には心臓 の手術をした。
「次第に進む身体の衰えを考慮する時、 全身全霊で象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではない かと案じています。」と天皇は述べた。
明仁天皇は、生前退位という言葉を直接には使わなかった。 しかし、 天皇の仕事を行うために摂政を置くことでは不十分だと述べおり、 退位が彼の望みであることには疑いの余地は無い。
世論調査では多くの日本国民が生前退位を支持している。しかし、 日本では変化はそう簡単には起きないとする人もいる。 成城大学準教授であり、天皇家を研究してきたモリヨウヘイは、 法律改定を検討するプロセスは、 パンドラの箱を開けることになり、 天皇制に対する多くの疑問点が指摘されることになるだとうと言う 。
女性天皇を禁止する条項を排除すべきだという人もいれば、 憲法を改正して、天皇を現憲法が定めている日本国の象徴から、 日本国の元首に変更すべきだとする人もいる。
戦前、天皇は神であると見られてきたが、 そうした戦前の天皇のイメージを持っている人からみれば、 天皇を仕事だとみる明仁天皇の見方そのものが問題だろうと森氏は 述べる。「そういった考え方は保守派の人々にはなじまないです。 保守派の人々からみれば、天皇は24時間勤務で、休みは無く、 私的な生活もないのです。」
天皇は、 特定の法律の変更を示唆しない様に非常に慎重に対応している。 占領軍によって草案が作成された1947年の憲法により、 天皇は政治力をもっていないからだ。
しかし、彼は、法律変更を提唱する様な発言を織り込んだ。 例えば、ある天皇の葬儀を行うと同時に、 次の天皇が即位するというのは、 天皇家にとって重荷になると述べた。
森氏は徳仁親王は、彼の父親同様、 その仕事に真摯に取り組んでいると指摘する。しかし、 一つの違いは皇后の役割だ。
明仁天皇の妻で81歳の美智子皇后は、 天皇の重要な訪問に同行してきた。
徳仁親王の妻である雅子様は、ストレスに関係する病気を理由に、 あまり公に姿を現さない。