Monday, July 31, 2017

*** 7月のまとめ ***

7月にWSJに掲載された日本関係の記事は15件と、2月と並んで今年最も多い掲載数となった。

ここ数ヶ月、日本関係の記事、特に政治関係の記事の掲載数が少なく、「これは、安倍首相が仕事をしていない(野党やマスコミの追求で仕事が出来ない。)ことの裏返し。」だと指摘してきたが、この1ヶ月は野党やマスコミの狙い通り、安倍首相の支持率が急落し、政治が劇的に動いた。
「7月2日の東京都議会議員選挙で自民党が惨敗」「翌週実施された各種世論調査で安倍政権支持率が急落」「24,25日には国会の閉会中審査で安倍首相が追求を受け」「27日は蓮舫民進党代表が、翌28日には稲田防衛大臣が辞任」と、日本のマスコミ同様、WSJも激動の1ヶ月を詳細に追った。
日本のマスコミと異なる点は「日欧経済連携協定の大筋合意(社説も含め3回掲載)」や「日米印合同軍事演習」など、安倍政権の成果も詳しく報道している点。日本のマスコミがこうした成果を大きく伝えないのは何故だろう。

テーマ別では、政治関係が8件、経済関係が3件、社会関係が4件だった。

政治関係の8件は上述の通りだが、経済関係では、「7月3日に発表された『日銀短観』で景況感に大きな改善が見られたこと」「21日の『日銀金融政策決定会合』で日銀がインフレ達成時期を先延ばししたこと」「28日に財務省が冷凍牛肉へのセーフガード発動を発表したこと」を取り上げた。
日銀短観、日銀金融政策決定会合については、WSJは常に速報している。セーフガードは、米国への影響が大きいのか、詳細に報道した。

社会関係では、「6月30日に東電元幹部3名に対する刑事裁判初公判」「日本の高齢者の労働実態」「九州北部豪雨」「米駆逐艦衝突事故の続報」の4件。
WSJは、福島原発事故のついては追跡報道しているし、九州北部豪雨の様な自然災害についても取り上げることが多い。日本では65才以上の実に23%が働いているとする高齢者の労働実態の記事は力作だった。

掲載箇所では、社説が1件、国際面が14件だった。

Saturday, July 29, 2017

日本は、米国産牛肉に50%の関税を課税【A6面(国際面)】

麻生財務相は28日、冷凍牛肉の輸入量が超過したことを受けて、セーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表したが、WSJは翌29日の国際面でこのニュースを速報した。


この措置により、日本への冷凍牛肉の関税が通常の38.5%から50%へと引き上げられること、但し、日本とEPAを締結している国にはこのセーフガードは適用されないことなどが詳しく説明されいる。その上で、米国がTPPを締結していればこのセーフガードの適用は避けられたとして、トランプ大統領の政策を暗に批判している様に読める。

***** 以下本文 *****
日本は、金曜日に、米国及びその他数国からの冷凍牛肉に対して、一時的に50%の関税をかけると発表した。この動きに対して、米国は、重要なパートナーである日本との間で、貿易に関する緊張関係が再燃する可能性があると言っている。
この動きについて、日本は、最近の輸入急増に対する必要な措置だとしているが、トランプ大統領は日本を米国の貿易赤字の原因となる国の一つとして名指ししたばかりだ。
日本の政府関係者によれば、牛肉関連としては14年ぶりとなるこの関税引き上げは、1994年の世界貿易協定の後に執行された枠組みの下で行われるものだ。この枠組みは、米国と日本を含む12ヶ国で締結しようとしていたTPPが締結されれば、撤廃されることになっていた。トランプ大統領は、TPPが批准のために議会に提出される前に、米国のTPPからの離脱を表明してしまった。
関税は通常の38.5%から50%へ引き上げられるが、財務省によれば、実施は8月からで、日本と経済パートナーシップ協定を締結していない国からの冷凍牛肉に対して課される。対象国には、豪州に続く日本への牛肉供給量2位である米国に加え、カナダやニュージーランドが含まれる。
この動きは、日本と自由貿易協定を締結しているオーストラリアには影響を与えないし、冷蔵や生鮮に対しては影響を与えない。
米国の農業長官であるソニーペルデゥー氏は「関税引上げは米国の輸出を減少させ、日本との間の貿易赤字を増大させ、農業製品についての日本との重要な貿易関係に悪影響を与えるだろう。」と述べた。
米国畜産物輸出協会は、日本の行為は、米国の牛肉生産者、米国の冷凍牛肉に依存する日本のレストランチェーンの双方に対して、悪い影響を与えるとした。同協会のCEOであるフィリップセング氏は「我々は、日本のパートナーと協力して、影響を和らげるために努力する。」と述べた。
予測できないことではなかったが、こうした日本の動きは、米国側の神経を逆なでしている。トランプ政権は、数ヶ月かけて、米国牛の中国への輸出に道筋をつけた。これは量的には小さいが政治的には大きな勝利だ。
水曜日には、議会の農業委員会の公聴会で、農業団体が米国のTPP離脱について遺憾の意を表明した。農業地域出身の米国議員は、TPPを、日本、カナダなどの主要国へ、より多くの米国農産物を送り込むための手段として、支持していた。
トランプ政権は、複数の2ヶ国間協定を通じて、アジア太平洋地域での自由貿易を利用していくとしている。しかし、米国の農業ロビーストたちは、日本は2ヶ国間協定では、農業市場を十分に解放しないのではないかと心配している。なぜなら、米国は、その見返りとして日本の輸出業者のために開放すべきエリアがないからだ。
日本は、4年前にカナダとメキシコを抜いて、世界最大の米国産牛肉の購入国となっている。

Friday, July 28, 2017

日本の野党党首が辞任【A6面(国際面)】

7月27日に蓮舫が辞意を表明したが、WSJは翌28日の国際面でこのニュースを速報した。


民進党は、安倍首相が支持率低下に苦しむという願ってもないチャンスが到来しているにも関わらず、支持率回復が回復せず、蓮舫氏はその責任を取ったとしている。しかし、蓮舫氏が辞めても、他に強いリーダーは見当たらず、寄合所帯の民進党の党勢回復は難しいと言っている様に読める。にもかかわらず蓮舫氏が辞任に追い込まれたことは、ようやく日本にも訪れた政治のメイン舞台への女性進出の動きが後戻りすることを意味し、残念だとしている。

***** 以下本文 ****
日本の主要野党の党首が、安倍内閣がスキャンダルに苦しんでいるにもかかわらず、選挙で勝てる見通しが無いことの責任を取って辞任した。
蓮舫が民主党の党首として活躍した期間は10ヶ月にすぎず、木曜日の辞任劇は、日本の野党の弱さを露呈した。これにより、安倍首相の政治的なリスクは自民党内の不安定さに移行した。
安倍首相は、安倍首相の友人に安倍内閣が特別な計らいをしたとして追及を受けている。安倍首相はそれを否定しているが、追求をかわることに苦労している。世論調査によれば、内閣支持率は30%を下回っており、これは2012年に安倍内閣が発足して依頼最低だ。
安倍首相は8月はじめに閣僚の一部を入れ替えると言っているが、この内閣改造は支持率向上が目的とみられている。
日本のメディアは、木曜日に、稲田朋美防衛大臣が早ければ金曜日にも辞任する見通しだと伝えた。スーダンに派遣した日本の平和維持部隊の安全について、稲田氏や他の幹部が矛盾した発言をしたことに対する責任をとったものだ。
防衛省の広報官は、本件についてのコメントを拒否した。
蓮舫氏は、それ自体が苗字であり名前だ。彼女は、先頭に立って、安倍首相や稲田防衛大臣を批判してきたが、彼女が率いる政党もまた世論調査では苦しんできた。
最近実施された東京都議会議員選挙では、安倍首相率いる自民党と共に敗退した。有権者の支持は、小池百合子都知事が率いる新政党に集まった。
テレビ放映された短い記者会見の中で、蓮舫氏は、選挙結果が彼女の決断に影響を与えたと語った。彼女はまた政党内での政策の不一致についても言及した。専門家はこうした政策の不一致が世論の強い支持を得るための足かせになっているとみている。
「私には、リーダーとしての能力が欠けていた。」と蓮舫氏は語った。「私は、党幹部が党の団結力を強化してくれることに期待している。」
民進党は、様々な政治的な見解をもつメンバーで構成されている。蓮舫氏の下、共産党を含む他の野党との連携を強化してきた。このことが、民進党の保守派の反発を買った。
東京のテンプル大学の日本政治専門家であるマイケルクセック氏は、民進党が強いリーダー候補が不在であり、分裂したままの状況が続くだろうと述べた。
蓮舫氏(49才)と稲田氏の辞任は、日本の政府高官への女性登用にとって大打撃だ。日本では国会議員に占める女性の割合は約10%に過ぎない。

Wednesday, July 26, 2017

首相は激しい追及に直面【A8面(国際面)】

7月24、25日に加計学園問題を巡る閉会中審査が行われたが、WSJはこのニュースを26日の国際面で速報した。



安倍首相が過去の答弁を修正し陳謝したことを伝え、激しい追及に防戦一方であったとしている。加計学園問題についても、獣医学部の申請者が安倍首相の長年の友人であったことを伝える一方で、日本では獣医学部が50年以上も新設されていないことや、日本のマスコミが数週間にわたってこの問題ばかりを取り上げてきた異常さも取り上げている。全体としては、マスコミの過剰報道により、国民が安倍首相を嘘つきと思う様になり、その結果、安倍首相の政治目的達成が危うくなっている言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
日本の安倍首相は、その政治生命を脅かす様な不人気に苦しんでいる。友人を優遇したのではないかという追求に対する回答を変えたり、彼自身が間違いと称する点についてお詫びしたりして、不人気を払拭しようとやっきになっているが、いまのところそうした試みはうまくいっていない。
安倍氏の支持率は幾つかの世論調査で30%を切っており、安倍氏は政治生命をかけて支持率回復のために戦っている。安倍首相の長年の友人が昨年、獣医学部開設の申請書を提出したが、元文科省事務次官は、内閣府のスタッフがこの申請の許可に関与したと主張した。
安倍氏は、内閣府のスタッフは、適切な手続きに従っているとして、獣医学部の承認についてのいかなる関与も否認した。日本では、50年以上にわたって獣医学部が新設されていない。これは、日本には十分な数の獣医学医師がいると主張する獣医学会からの反対が反映されている。
友人を優遇したことに対する追求とそれに対する怒りは、ここ数週間、日本のニュースを賑わせてきた。そして、安倍内閣の支持率は、2012年に政権が発足して以来最低の水準にまで落ち込んだ。多くの世論調査回答者が、安倍首相を信頼出来ないと回答しており、与党は今月の東京都議会議員選挙で惨敗した。安倍首相は、来週内閣改造を行うとしており、これにより問題のある大臣を入れ替えようとしている。
支持率が30%を下回った首相が、支持率を回復させた例が殆どない。このことが、日本の平和憲法の改正を含む、安倍首相の政治目標について様々な憶測を呼んでいる。
安倍首相は、来年実施される、自民党の党首選で勝利し、3期目をつとめることが確実視されていた。しかし、いまやアナリストたちは、党の内部からも激しい挑戦があるだろうとする。
火曜日に、安倍首相は、国会の閉会中審査で、国会議員からの追求を受け、その主張を繰り返した。


Monday, July 24, 2017

日本とインドの中国抑制策の進展は遅い【A6面(国際面)】

日米印の3ヶ国は7月10日よりインド洋で海上共同軍事訓練「マハバール」を実施したが(日本は初の公式参加)、WSJは24日の国際面で、この訓練の背景にある日本とインドの防衛面での連携強化への取り組みとその難しさについて取り上げた。


日米印ともに中国のインド洋進出の野心に対応したいが、米国は中国に気を使ってなかなか積極的に支援が出来ない。そこで、支援に積極的に乗り出したのが日本だとしている。しかし、インド側の対応の悪さもあり、日本の支援は期待程には進んでいないとしている。インド洋への中国進出を食い止めるために、日米印がどの様に協力すべきかという難しい問題について、問題提起をしている様に読める。

***** 以下本文 *****
日本は最近、第2次世界大戦以降で建造した最大の護衛艦をインド洋に派遣し、インドおよび米国との海上共同訓練を実施した。米印とともに中国のインド洋進出の野心に対抗する姿勢を鮮明にするのが狙いだった。
 しかし問題は、日本のインドとの協力強化がゆっくりかつ漸進的に進んでいるのに対し、中国は近年、インド洋を囲む国々で重要な港湾・施設の開発を飛躍的に進めていることだ。
 日本とインドの関係は、中国封じ込めの取り組みを進める上でますます重要になっている。地域に対する米国の軍事的コミットメントがどの程度かをめぐる不透明感が日印両国で強まっているからだ。
日本は島国として海上貿易と自由航行できるシーレーンに大きく依存しており、海上防衛力を増強してインドとの安全保障関係を強化しようと努めている。例えば重要なインフラの構築や、水陸両用機やその他の軍装備品の売却をインドに申し出ている。

 日本の当局者は、南シナ海や東シナ海における緊張がインド洋にも広がるのではないかとの懸念を表明してきた。緊張が拡大すれば、日本が原油輸入の9割近くを依存する中東や、成長著しいアフリカ諸国との貿易上のつながりが脅かされるとの懸念だ。
 しかし、インドとの協力は漸進的で、課題も少なくないことが分かってきた。日米印3カ国は今月、毎年恒例の海上共同訓練「マラバール」を行った。訓練には潜水艦や駆逐艦、戦闘機なども参加。最大の成果の一つとされるのは、インド海軍による日本の艦船1隻に対する少量の燃料の販売と引き渡しが首尾良く実現したことだった。
 日本側指揮官である海上自衛隊の伍賀祥裕・第1護衛隊群司令は、米空母「ニミッツ」上でウォール・ストリート・ジャーナルに対し、この燃料販売は「極めて画期的な出来事」だとし、両国間の信頼の深まりを示していると述べた。
 複数の米当局者によると、米軍もインド海軍から燃料を購入した。これは、昨年8月に米印間で署名した兵站支援協定の最初の活用ケースとなる。
インドが日米との連携を深めるべく、このような小さな歩みを踏み出した背景には、中国の急速なインド洋進出に直面しているという現実がある。専門家によれば、インドは長年、自国の陸と海の長大な国境線は未開発のままとするのが最善策だと信じてきた。潜在的侵略者にとって有用なインフラを提供するのを避けられるからだ。
 だが、ここに来て、中国はヒマラヤ山脈のインド国境沿いに幹線道路を建設したり、インドの近隣諸国で港湾を建設したりしている。インドが直面しているのは、こうした動きに追い付くために、多額のインフラ支出をする必要に迫られているという現実だ。
 例えば、アンダマン・ニコバル諸島は、インド洋に入る東方の入り口にあって、インドにとって戦略的要衝だが、開発はされていなかった。中国がパキスタンやスリランカに新たな港湾を建設しているにもかかわらずだ。
 米国は支援提供でおおむね無力だった。インド当局は近年、米海軍によるアンダマン諸島への寄港要請を6回にわたって拒否した。ある当局者によれば、こうした拒否は、インド洋での米国の役割に対して中国から不快感の表明が強まっていることと関連しているという。
 米国の支援の代わりを申し出たのが日本だった。
 ニューデリーのシンクタンク「オブザーバー研究財団(ORF)」のアブヒジット・シン氏は「日本は、インド洋上の諸島開発でインドのプロジェクトを支援しようとする唯一の国だ」と述べた。その理由として同氏は、他の国々、とりわけ米国がこうした支援を対中国で余りに挑発的だと考えていることにあると付け加えた。
 インド内務省は、アンダマン諸島を訪れて当局者に取材するとのWSJの要請について、安全保障上の懸念を理由に拒否した。
 昨年、日本の安倍晋三首相は「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を発表。これは、アフリカ東岸から太平洋に至るまで海洋上の野心的役割を中国が強めているのに対応した戦略だ。日印は2015年末、防衛技術の移転に関する協定に締結している。
しかし、これまでのところ、アンダマン諸島の開発支援は停滞している。日本の開発機関が同意した同諸島での発電所の建設は書類作業のなかで行き詰まっており、港湾や滑走路の建設を支援するという提案は進展していない、と在インド日本大使館の曽根健孝公使(経済担当)は言う。
 同公使は「実際のプロジェクトレベルで、(インド政府内の)意志決定プロセスを理解するのに苦労している」と述べた。
 日本は、関心の一部を東アジアとアフリカの中間に位置するインド洋上の島国スリランカに移した。安倍首相は4月、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相との会談後、同国北東にあるトリンコマリー港の整備に10億円(約900万ドル)を無償資金協力すると発表した。
 オーストラリアのシンクタンク「ローウィ研究所」のユアン・グレアム氏は、トリンコマリー港は海軍基地として「大きな潜在性」があると述べた。それは日本の潜水艦にも言えることで、スリランカの他港に対する中国のアクセスに対抗し得るものだという。4月の合意の一環として、日本は巡視艇2隻の供与もスリランカに約束した。また日本は昨年、スリランカの主要空港の拡張支援に4億ドルを融資している。
 一方、インドの自国の武器開発プログラムは停滞しているか、あるいは破棄されてきた。この間、中国は自国の海軍力を増強している。
 マラッカ海峡やアンダマン諸島を通過してインド洋に入る中国軍潜水艦の数は増えており、潜水艦を追尾する手段が比較的貧弱なインド海軍にとって頭の痛い問題となっている。
 またインドが計画している空母群の整備は何年も遅れており、設計上の欠陥があると批判されている。

























Saturday, July 22, 2017

日本での衝突事故の原因は米海軍側に【A7面(国際面)】

6月に静岡県・伊豆半島沖で米イージス駆逐艦フィッツジェラルドとコンテナ船が衝突し、米兵7人が死亡した事故で、WSJ22日の国際面でフィッツジェラルドの乗組員が衝突を回避する作業を怠るなど複数の過失が原因だった可能性があると伝えた。



国防省関係者の発言として、フィッツジェラルド号乗組員はコンテナ船が近づいていることに気づかなかったため「衝突の直前まで何もしなかった」としている。

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先月、日本の沖合で発生した衝突事故で、米海軍フィッツジェラルド号に搭乗していた7人の米国人乗組員が死亡したが、金曜日に初動調査の結果として米国国防省が発表したところでは、この事故の原因は米海軍の過失にある。
調査はまだ継続しているが、これまでに分かったところでは、フィッツジェラルド号の乗組員が、フィリピン船籍の貨物船を回避するための適切な対応をとらなかった。国防省によれば、これが原因で、617日に日本で最も混雑する航海路で発生したこの事故で、フィリピン船が、海軍の駆逐艦の右舷に衝突した。
長さ730フィートの貨物船であるACXクリスタル丸は、長さ500フィートの駆逐艦に、夜の暗闇の中で衝突した。この衝突により、何十人もの船員が就寝していた寝室エリアに水が浸入し、船長の客室は破壊された。フィッツジェラルド号の船長が負傷し、航空機で病院へ緊急搬送された。船員たちは、沈没を避けるために奮闘した。水没した寝室エリアで、7人の乗組員が死亡した。
米海軍の近年の歴史で最悪と言われるこの事故について、国防省は発生直後から操作を開始した。国防省の関係者は、詳細は話せないとしながらも、これまでに分かったところでは、フィッツジェラルド号の乗組員に過失があると語った。
米海軍の主席情報オフィサーである、ドーン・カルター海軍少将は、調査はまだ初期段階にあり、「原因などについて憶測するのは早すぎる。」と語った。
調査結果が明らかになる中、海軍や商用船の元船長らは、フィッツジェラルド号が貨物船に航路を譲らなかった点に過失があるのではないかと語った。

Friday, July 21, 2017

日本はインフレ達成のスケジュールを先延ばし【A9面(国際面)】

日本銀行は20日の金融政策決定会合で、物価上昇2%達成時期を「2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りしたが、WSJはこのニュースを翌21日の国際面で速報した。



日銀による達成時期の先送りはこれで6回目であり、当初よりも5年達成が遅れることになるとした上で、多くのエコノミストが今回の日銀予測ですら達成するのは困難と見ていることを紹介している。また、黒田総裁が、欧米の中央銀行でも先送りはやっているとか、原油価格の様な予測困難な要素があり予測維持は難しいと述べるなど、先送りに対して開き直りとも取れる発言をしていることも取り上げている。全体としては、日銀がなかなか約束を果たせないことにいら立ちを感じている様に読める。

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安定したインフレを達成しようという日本のタイムテーブルは、またもや1年間延期された。
木曜日に日本銀行は2%のインフレが実現できる時期を後ろ倒しにした。黒田総裁のもとで、延期されるのはこれで6回目だ。日銀は、今回は、目標は20203月までに達成されると言っているが、これは、黒田総裁は当初言っていた時期より実に5年遅れだ。
連邦準備銀行やその他の主要な中央銀行が金利レートを上げ、欧州中央銀行が景気刺激策の縮小を匂わせる中、日銀は主要金利レートを維持し、暫くの間超低金利による景気刺激策を維持する。
黒田総裁は、度重なるインフレについての修正は遺憾に思うが、それは日銀の信頼性を損ねることになならないと述べた。黒田総裁の任期は、来年までだ。
米国や欧州の中央銀行もインフレ目標達成の次期を何回か後ろ倒しにした。原油価格の様に予測困難な要素があるため、中央銀行が予測をコントロールするのは非常に難しい。」と黒田総裁は記者会見で述べた。
しかし、多くのエコノミストは日銀の最新の予測ですら非現実的だと考えている。
木曜日にリリースされた四半期経済見通し(展望れポート)で、日本銀行は生鮮食料品を除くコア消費者物価は、20183月に終わる会計年度で1.1%上昇するとし、4月に公表した予測の1.4%から下方修正した。
日銀は、また、20193月に終わる会計年度の予測を1.5%とし、前回の1.7%から引き下げた。データのある最新月である5月の消費者物価指数は、0.4%だった。
7月にシンクタンクである日本経済リサーチセンターが実施した調査によれば、エコノミストの予測を平均すると、今年と来年のインフレ率は1%を若干下回る。
日銀は価格目標達成には苦しんでいるが、日本のその他の経済指標は決して悪くない。日銀は、経済成長予測を上方修正し、20183月に終わる会計年度の経済成長を、前回の1.6%から1.8%へ情報修正した。
目標とするインフレレートの達成には時間がかかるとする一方で、日銀の金融政策決定会合は、10年物国債の利子を0程度で維持し、短期預金の金利をマイナス0.1で維持することにしたが、これは概ね予測された通りだった。
日銀はまた、国債を毎年80兆円(約7.150億ドル)規模で購入することにも言及した。投資家たちは、これを景気緩和策に対するコミットメントとみているが、最近の購入額はこの水準を下回っている。

Tuesday, July 11, 2017

日本の安倍首相は支持率下落により新たな困難に直面【A6面(国際面)】

 710日にマスコミ各社は安倍首相の支持率を発表したが、WSJは翌11日の国際面でそのニュースを伝えている。


支持率は過去最低を記録しており、アベノミクスの推進が難しくなっただけでなく、来年の党首選での安倍首相の再編にも黒雲がたちこめたとしている。支持率急落の背景にある加計学園の問題についても詳しく伝えている。

***** 以下本文 *****
日本の首相は5年前にその地位について以来最大の政治的危機に陥っている。彼の友人を政府が有利に取り計らったという追求を受けて以来、国民の支持が最低を記録しているのだ。
安倍首相はその地位を維持したいが、アナリストによれば、日本を海外からの競争に対して開かれた国にし、円安を維持するという彼の経済政策を推し進めることが難しくなるだろう。また、来年の党首選でも大きな危機に直面するだろう。
つい数ヶ月前までは、安倍首相は、今後数年間にわたって、その強固な地位を維持するかに見えた。しかし、対抗する政治家からの追求によって、彼の信頼は損なわれた。特に、安倍首相の長年の友人が開設を希望している獣医学部について、特別な取り計らいをしたという追求は、彼の信頼を大きく傷つけた。
安倍首相はそういった追求を否定し、友人を優遇したことが証明されたなら、政治家を辞めると発言した。
マスコミは月曜日に世論調査の結果を公表したが、そこでは、この追求が悪影響を及ぼしたことが明らかに見て取れる。日本最大の日刊紙である読売新聞は、週末に世論調査を行ったが、安倍内閣の支持率は36%となり、6月中旬に行われた前回調査から13%も下落した。
月曜日には、安倍首相を最も鋭く批判している元文部科学省副大臣が議会に対して、政府のトップが獣医学部の許可の承認に関与したと述べた。

安倍首相は、獣医学部の許可に関する決定に全く関与していないし、承認のプロセスは公正だったと述べた。

Friday, July 7, 2017

洪水と土砂崩れにより2人死亡、被害は更に拡大【A16面(国際面)】

福岡、大分両県は記録的な大雨により甚大な被害が発生しているが、WSJはこのニュースを7日の国際面で速報している。

2名(福岡県で1名、大分県で1名)の死亡が確認されたとしている。

***** 以下本文 *****
木曜日、自衛隊は、日本の南部で発生した洪水により孤立した数百人の人達の救出に当たった。家屋や道路、水田に甚大な被害を与えた洪水により、少なくとも2人が死亡し、20人が行方不明のままだ。
九州の福岡県当局によれば、1名が土砂崩れで生き埋めになり死亡した。6人が怪我をし、4人が行方不明で死亡したのではないかと心配されている。
隣の大分県では、43才の男性が土砂崩れ後から見つかったが死亡が確認された。15名が行方不明だ。
今週の前半に台風ナンマドルが日本を直撃した後、日本南部の島である九州の多くの部分を豪雨が襲っていた。

日欧EPAが発する警告【A14面(社説)】

7月6日、日本とEUが経済連携協定で大枠合意に達したが、WSJはこのニュースを翌7日の社説で取り上げた。

トランプ政権が保護主義的な政策を続ければ、貿易問題でのリーダーシップを失い、米企業や消費者が受けるはずの利益を他国に奪われかねないと危機感を示いている。
トランプ大統領はTPPから離脱したほか、EUと進めていた環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の交渉も凍結したとした上で、日欧EPAによって米農産物の輸出拡大が狙えた日本市場を欧州の農家に奪われたと指摘。トランプ政権が多国間ではなく2国間の貿易交渉を優先する方針に関しても、鉄鋼などを対象とした米国の保護主義政策が世界貿易機関(WTO)で争われることになれば、交渉を進めること自体が困難になろうと批判した。更に、TPPが、米国抜きの11カ国で発効すれば、米国は高い代償を支払うことになると警告している。
(WSJ日本語版に同様に記事が掲載されていたので、同記事を引用させて頂きました。)

***** 以下本文 *****
日本と欧州連合(EU)の首脳は6日、貿易品目の99%について関税などの貿易障壁を撤廃することで大枠合意に達したと発表した。撤廃は長年かけて段階的に行われ、一部の障壁も残るが、食品市場の開放に消極的な日本と日本車の自由な取引に抵抗を示してきた欧州は難題を克服したことになる。この日欧の経済連携協定(EPA)を「チーズと車の交換(カーズ・フォー・チーズ)」とやゆする人たちもいるが、その効果は二者間貿易よりも広範囲に及ぶ。
 とりわけ、この取り決めにはドナルド・トランプ米大統領へのメッセージが込められている。トランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退し、EUとの環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の交渉を中断している。米国が参加しようがしまいが、世界中で貿易は続く。米国がTPPにとどまっていれば、米国の農家や輸出業者は日本への販売増加を享受できた可能性があるが、そのチャンスは今や欧州に与えられている。
 一方、トランプ政権は、1962年に制定された法律のよく知られていない条項に基づいて、鉄鋼などの製品に報復関税を課すことを検討中だ。これは、米輸出業者に対する報復関税や世界貿易機関(WTO)への提訴を招く可能性があり、外国市場を米国製品に開放させるのが一段と難しくなる可能性がある。
 他国が広範な貿易協定を追求する一方で、米国がこうした保護主義を貫いた場合、その影響は予想がつく。米輸出業者は資材コストが増加し、海外では競合他社よりも高い障壁に直面することになる。米消費者にとっては物価が上昇する。その結果、米国の雇用が失われ、米国民の収入が減ることになる。
 トランプ政権は、二国間の貿易協定を追求すると述べており、これは外交も商取引と同じように考えるトランプ氏の姿勢と一致する。しかし、米国が関税引き上げを行い、同時に貿易相手国がWTOに提起した訴訟の弁護をするような場合、それは難しくなる可能性がある。
 TPPのような貿易圏が米国抜きで推進され、他の地域と関係が構築された場合、米国はさらに高い代償を払うことになる。他国の企業が新しい多国間ルールの恩恵を受ける一方で、米国は二国間協定の乱立によるルールの複雑化に対処していかなければならなくなる。コロンビア大学の経済学者ジャグディーシュ・バグワティー氏が言うところのルールの「スパゲティボウル現象」だ。
 例えば、特定の品目に対する特恵関税を享受しようとすれば、輸出業者は特定の割合の構成品がその国で生産されていることを証明する必要がある。この手続きは官僚的で複雑なため、多くの企業が二国間協定で提供されるそうしたメリットの適用申請さえしない可能性がある。その結果、世界に顧客を有する米企業は競争力を維持するために工場を米国から他国に移さざるを得ないかもしれない。
 だからこそ、ほとんどの消費財の構成部品を取引している複雑なサプライチェーンの形成には、多国間協定がカギを握る。EPAはまだ日本とEUの二者間協定にすぎないが、米国を除外したさらなる協定の基礎になるかもしれない。米政府が貿易の主導権を譲り渡せば、他国がルールを設定して貿易を拡大することになり、米国が取り残されるリスクがある。
 皮肉なのは、米国の製造業の生産性が世界をリードしており、雇用は回復していることだ。米企業が輸出を拡大できる可能性があるときに、トランプ政権はチャンスを台無しにしている。日本と欧州のEPAは、他の国々が貿易の主導権を奪い、米国民が享受するはずだった繁栄を手に入れることになるという警鐘だ。

日本とEUは貿易協定で保護主義と戦うと発言【A6面(国際面)】

76日、日本とEUが経済連携協定で大枠合意に達したが、WSJはこのニュースを翌7日の国際面で取り上げた。



この協定は、トランプ大統領が推進する保護主義への流れを吹き飛ばす効果があるとして、暗に絶賛している様に読める。

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日本とEUは木曜日に新しい貿易協定について合意に達した。グローバルな貿易がどの様に機能するかについて、日本、欧州を含む世界各国が、トランプ大統領と衝突するであろう日の前日に。
木曜日に行われた発表は、トランプ大統領の「米国第一」政策に対して、世界の主要国がどの様に対応していくかについての新たなサインだ
承認されれば、かつては大きく保護されていた日本の市場を開放するという重要な意味を持つ協定となる。
日本は、トランプ大統領がTPPから撤退した後、新たな輸出の機会を求めてきた。
トランプ氏は木曜日にG20サミットに出席するために、ドイツのハンブルグに到着した。そこでは、貿易についての異なった意見が顕在化するだろう。
EUと日本の間の輸出入額は2016年に1,250億ユーロ(1,420億ドル)あり、この協定が成立すれば、経済圏間の協定としては最も重要なものとなるだろう。関係者によれば、この協定により、年間約10億ユーロの関税が撤廃される。
交渉は既に4年にわたており、大きなハードルも残ったままだ。
それでも両方のリーダーたちは、この合意を大いに喜んだ。この協定は2年以内に施行され、保護主義を吹き飛ばす効果が期待出来る。
「孤立主義や統合に逆行する動きが、再びやってくるという人達もいます。しかし、そんなことはないのだということを、我々は身を持って示したのです。」と欧州議会のトゥスク大統領は発言した。
国内では、この協定に対する反対の動きも高まっている。規制の様な、関税、非関税の障壁を問題としているのだ。
しかし、ここにきて、両国のトップレベルの政治的関与により、交渉は、自動車と銃製品という、最も難しい問題を解決した。

Wednesday, July 5, 2017

EUと日本は、貿易協定成立を急ぐ【A8面(国際面)】

日本とEUが経済連携協定の大枠合意を目指して、76日にブリュッセルでトップ会談を行うというニュースを、WSJはその前日75日の国際面で取り上げた。



G20開催前日に、巨大経済圏間での自由貿易協定を成立させて、保護主義に走るトランプ大統領を牽制すると共に、世界の自由貿易の牽引役としての地位を確立しようという、EU政治的な意図が見えるとしている。また、日本もトランプ大統領就任後、この協定の早期成立を強く求めだしたとも指摘している

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EUと日本のリーダーたちは木曜日にブリュッセルに集まって、広範囲にわたる貿易協定について発表することを目指す。これは、米国の保護主義に対抗してグローバルでの協調しているという、強いシグナルを、G20サミットの1日前に送るものだ。
両者からの役人が、安倍首相の到着前に、EUの首都で、短期間での合意に向けて話し合いを再開する。東京での2日間での交渉では、両者の見解の相違を埋めることが出来なかった。
EUと日本の間の交渉の進展は、G20のリーダーたちが、G20年次総会の中で、トランプ大統領が進める保護主義政策について非難しようと準備する中で進められているものだ。ホワイトハウスが、進めていた貿易交渉を中止し、2国間での再交渉をし、国家の安全保障の観点から輸入を制限するための調査に乗り出す中、金曜日と土曜日にドイツに集まるリーダーたちは、トランプ氏の行動が貿易戦争を巻き起こすのではないかと懸念している。
「世界中で保護主義を助長する動きがある中で、欧州との自由貿易協定について迅速な合意に至り、自由貿易の旗を振ることが非常に重要です。」と木曜日の閣議で安倍首相は述べた。安倍首相はまた、交渉全般を統括させる目的で、岸田外務大臣をEUの首都へ派遣した。
EU側の関係者によれば、欧州との経済関係強化についての日本の関心は、トランプ氏が選挙で大統領に選ばれた後に、急速に強まった。その結果、3月にブリュッセルでトップ会談が行われ、安倍首相と、欧州議会のトゥスク大統領、欧州委員会のユンケル委員長が、2013年以降続いている交渉を加速化させることで合意した。木曜日にEUと日本のトップは、この合意に基づく成果の発表を目指している。
「この新たな枠組みは、2つの大きな経済圏が保護主義に立ち向かうという非常に強いシグナルを、世界中に送ることになるでしょう。」と東京での会議の後に委員会は発言した。
EUと日本の間の輸出入額は1250億ユーロ(1,420億ドル)に達しており、両地域の貿易協定が成立すれば、経済ブロック間で合意した貿易協定としては最も重要なものとなる。カナダとの貿易交渉も成立させて、自分たちを世界の中での自由貿易のチャンピョンと位置付けようとしているEUにとって、EUと日本の貿易協定成立は、政治的な勝利としての意味も持つ。
関係者によれば、EUと日本の貿易協定が成立すれば、年間10ユーロの関税が無くなり、欧州は加工食品、化学・医薬品などの輸出を促進することが出来る。
しかし、EUと日本は、日本の自動車輸出とEUの農産物輸出について、それぞれの国内からの執拗な抵抗に直面している。EUと日本の交渉は、このいずれの点についても、妥協点を見いだせていない。

Monday, July 3, 2017

景況感はここ3年で最高に【A5面(国際面)】

73日に日銀は短観を発表したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



大企業製造業の業況判断指数がプラス17で、前回3月調査(プラ12)から5ポイント改善したこと、改善は20143月調査以来の高水準だったこと、世界的な景気拡大を反映していることなどを、コンパクトに伝えている。

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日銀調査によれば、第二四半期、日本の大企業の景気への自信は強まり、ここ3年で最高レベルとなった。世界経済の好調と株式市場の回復が、日本企業の将来への見方を明るいものにしている。
日銀の短観調査によれば、大企業製造業の景気判断を示す主要指標が、4月~6月期には、前期のプラス12から、プラス17へ上昇した。
ウォールストリートジャーナルがエコノミストに調査した予測数値15だった。この指標は、景気が良いと答えた企業の比率から、景気が悪いと答えた企業の比率を差し引いたものだ。
この調査によれば、大企業非製造業の景況感も改善しており、今後3ヶ月の業績や今年度の利益にはあまり自信がないが、投資計画は増大している。
この改善は、安倍首相にとって、このところ見られる元気づけられるデータをまた一つ増やすもので2006年からの最長の経済成長後、日本経済が新たな強さを取り戻したことを示すものだ。
アナリストによれば、この結果は、経済とインフレは強みを増しているという日銀の見方を裏付けるものだ。日銀は今月、4半期予測を発表する。しかし、物価の上昇は日銀の目標とする2%からほど遠い。この最新の結果も、金融政策の変更を促すものとはならないだろう。

より多くの高齢労働者が、退職しないことをためらわない【A6面(国際面)】

日本では多くの高齢者が働いているという記事が、73日の国際面に掲載された。


65才以上の日本人の実に23%が働いているそうだ。これは先進国で最大の率だとして、高齢者労働の実態をポーラや大和証券の例を引き合いに紹介している。この記事の主人公のイイダさんは、ポーラのセールスウーマンとして週6日バリバリと働いているが、年齢は実に85才だそうだ。ポーラでは、70才台、80才台、90才台の社員が1,500人もいるそうで、ただただ驚くばかりだ。これまで、70才以上の継続雇用に消極的だったポーラの様な大企業が、考え方を変え始めたのが、日本における最近の変化だとしている。

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85才のイイダヨシコさんは、流行仕掛け人だ。東京近郊にあるポーラ化粧品の店で、しわ防止用クリームと美容化粧品を販売している。彼女は、週に6日働き、セールスウーマンのチームを率いている。彼女たちは、全員、日本の標準的な退職年齢よりも上の年齢だ。彼らの店舗売上は、他地域の店舗売上を上回っている。
「私は、健康でいる限り、この仕事を続けたい。」と彼女は言う。
日本では、人口の1/465才以上であり、彼女の顧客もその年齢層だ。イノウエトモコさんは、そうした顧客の一人だが、35年の長きにわたってポーラの顧客だ。それだけ長い間ポーラの顧客だた主たる理由は、彼女にとってエネルギーの源であるイイダさんのおかげだ。
イイダさんのこの話は、日本の企業やその従業員が考え方を変えようとしている大きな話の一つの例にすぎない。日本政府は、高齢者を支える費用の増大に懸念を持っており、企業に高齢者を出来るだけ長く雇用する様に促し、65才以上の労働者を雇用する企業に補助金を与えている。
多くの日本企業は、未だに、正規労働者に対しては、2段階からなる厳格な退職プランを適用している。彼らは、60才になると好条件の仕事を辞めさせられるが、その後5年~10年低賃金の契約社員として働くことが出来る。しかし、その後は、全員が同時に、会社から追い出されるのだ。
多くの企業はこうすることによって、旬を過ぎた高給の社員を排除することが出来ると考えている。しかし、こうした見方が近視眼的だと気付く企業も出てきた。イイダさんの様な営業職では、企業を退職する人は、何十年もかけて気づいてきた顧客リストを持っている。彼らよりも更に高齢の顧客を攻略するのに、彼ら以上にうまく出来る人はいない。
ポーラは、ポーラ・オービス・ホールディングズの一企業だが、42,000人の営業職の内、1,500人は70才台、80才台、90才台だ。
「彼らは長年にわたって働いてきました。顧客との関係も同じだけ長いものになっています。」とポーラで化粧品ビジネスを担当するオイカワミキさんは言う。「そこには大きな信頼があるのです。」
大和証券グループは、以前は、ベテランの営業が契約社員として働ける上限を70才としていた。最近、その上限を取り払った。
「これにより、60才から80才のコンサルタントをより多く持てる様になります。この年代がまさに大きな金融資産をお持ちなのです。」と同社の中田誠司社長は言う。
2016年現在、65才以上の日本人のうち、実に23%が働いている。OECDによれば、この数値はG7の中で最も多く、米国の19%に比べても前を行っている。
化粧品メーカーであるポーラの様な企業にとっては、高年齢の営業職を雇用し続けるのは比較的簡単だ。なぜなら契約社員は、コミッションベースで雇用されているからだ。従って、企業は、高齢者が休憩ばかりとっていても、何のリスクもない。
イイダさんの場合、そうしたリスクは極めて低い。
彼女は、1964年以来顧客を追い求めてきた。当時、彼女は、ポーラの製品をおしめを入れる袋に詰め込んで、家から家へと営業活動をしていた。
「人生は、競争が全てですよ。」とイイダさんは言う。