65才以上の日本人の実に23%が働いているそうだ。 これは先進国で最大の率だとして、 高齢者労働の実態をポーラや大和証券の例を引き合いに紹介してい る。この記事の主人公のイイダさんは、 ポーラのセールスウーマンとして週6日バリバリと働いているが、 年齢は実に85才だそうだ。ポーラでは、70才台、80才台、9 0才台の社員が1,500人もいるそうで、 ただただ驚くばかりだ。これまで、70才以上の継続雇用に消極的 だったポーラの様な大企業が、考え方を変え始めたのが、 日本における最近の変化だとしている。
***** 以下本文 *****
85才のイイダヨシコさんは、流行仕掛け人だ。 東京近郊にあるポーラ化粧品の店で、 しわ防止用クリームと美容化粧品を販売している。彼女は、週に6 日働き、セールスウーマンのチームを率いている。彼女たちは、 全員、日本の標準的な退職年齢よりも上の年齢だ。 彼らの店舗売上は、他地域の店舗売上を上回っている。
「私は、健康でいる限り、この仕事を続けたい。」と彼女は言う。
日本では、人口の1/4が65才以上であり、 彼女の顧客もその年齢層だ。イノウエトモコさんは、 そうした顧客の一人だが、35年の長きにわたってポーラの顧客だ 。それだけ長い間ポーラの顧客だた主たる理由は、 彼女にとってエネルギーの源であるイイダさんのおかげだ。
イイダさんのこの話は、 日本の企業やその従業員が考え方を変えようとしている大きな話の 一つの例にすぎない。日本政府は、 高齢者を支える費用の増大に懸念を持っており、 企業に高齢者を出来るだけ長く雇用する様に促し、65才以上の労 働者を雇用する企業に補助金を与えている。
多くの日本企業は、未だに、正規労働者に対しては、2段階からな る厳格な退職プランを適用している。彼らは、60才になると好条 件の仕事を辞めさせられるが、その後5年~10年低賃金の契約社 員として働くことが出来る。しかし、その後は、全員が同時に、 会社から追い出されるのだ。
多くの企業はこうすることによって、 旬を過ぎた高給の社員を排除することが出来ると考えている。 しかし、こうした見方が近視眼的だと気付く企業も出てきた。 イイダさんの様な営業職では、企業を退職する人は、 何十年もかけて気づいてきた顧客リストを持っている。 彼らよりも更に高齢の顧客を攻略するのに、 彼ら以上にうまく出来る人はいない。
ポーラは、ポーラ・オービス・ホールディングズの一企業だが、4 2,000人の営業職の内、1,500人は70才台、80才台、 90才台だ。
「彼らは長年にわたって働いてきました。 顧客との関係も同じだけ長いものになっています。」 とポーラで化粧品ビジネスを担当するオイカワミキさんは言う。「 そこには大きな信頼があるのです。」
大和証券グループは、以前は、 ベテランの営業が契約社員として働ける上限を70才としていた。 最近、その上限を取り払った。
「これにより、60才から80才のコンサルタントをより多く持て る様になります。 この年代がまさに大きな金融資産をお持ちなのです。」 と同社の中田誠司社長は言う。
2016年現在、65才以上の日本人のうち、実に23%が働いて いる。OECDによれば、この数値はG7の中で最も多く、米国の 19%に比べても前を行っている。
化粧品メーカーであるポーラの様な企業にとっては、 高年齢の営業職を雇用し続けるのは比較的簡単だ。 なぜなら契約社員は、 コミッションベースで雇用されているからだ。従って、企業は、 高齢者が休憩ばかりとっていても、何のリスクもない。
イイダさんの場合、そうしたリスクは極めて低い。
彼女は、1964年以来顧客を追い求めてきた。当時、彼女は、 ポーラの製品をおしめを入れる袋に詰め込んで、 家から家へと営業活動をしていた。
「人生は、競争が全てですよ。」とイイダさんは言う。