日本銀行は20日の金融政策決定会合で、物価上昇2%達成時期を「 2018年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りしたが、 WSJはこのニュースを翌21日の国際面で速報した。
日銀による達成時期の先送りはこれで6回目であり、当初よりも5年達成が遅れることになるとした上で、多くのエコノミストが今回の日銀予測ですら達成するのは困難と見ていることを紹介している。また、黒田総裁が、欧米の中央銀行でも先送りはやっているとか、原油価格の様な予測困難な要素があり予測維持は難しいと述べるなど、先送りに対して開き直りとも取れる発言をしていることも取り上げている。全体としては、日銀がなかなか約束を果たせないことにいら立ちを感じている様に読める。
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安定したインフレを達成しようという日本のタイムテーブルは、またもや 1年間延期された。
木曜日に日本銀行は2%のインフレが実現できる時期を後ろ倒しにした。黒田総裁のもとで、延期されるのはこれで 6回目だ。日銀は、今回は、目標は 2020年3月までに達成されると言っているが、これは、黒田総裁は当初言っていた時期より実に 5年遅れだ。
連邦準備銀行やその他の主要な中央銀行が金利レートを上げ、欧州中央銀行が景気刺激策の縮小を匂わせる中、日銀は主要金利レートを維持し、暫くの間超低金利による景気刺激策を維持する。
黒田総裁は、度重なるインフレについての修正は遺憾に思うが、それは日銀の信頼性を損ねることになならないと述べた。黒田総裁の任期は、来年までだ。
「米国や欧州の中央銀行もインフレ目標達成の次期を何回か後ろ倒しにした。原油価格の様に予測困難な要素があるため、中央銀行が予測をコントロールするのは非常に難しい。」と黒田総裁は記者会見で述べた。
しかし、多くのエコノミストは日銀の最新の予測ですら非現実的だと考えている。
木曜日にリリースされた四半期経済見通し(展望れポート)で、日本銀行は生鮮食料品を除くコア消費者物価は、 2018年3月に終わる会計年度で 1.1%上昇するとし、4月に公表した予測の1.4% から下方修正した。
日銀は、また、2019年3月に終わる会計年度の予測を1.5%とし、前回の 1.7%から引き下げた。データのある最新月である5 月の消費者物価指数は、0.4%だった。
7月にシンクタンクである日本経済リサーチセンターが実施した調査によれば、エコノミストの予測を平均すると、今年と来年のインフレ率は 1%を若干下回る。
日銀は価格目標達成には苦しんでいるが、日本のその他の経済指標は決して悪くない。日銀は、経済成長予測を上方修正し、 2018年3月に終わる会計年度の経済成長を、前回の 1.6%から1.8%へ情報修正した。
目標とするインフレレートの達成には時間がかかるとする一方で、日銀の金融政策決定会合は、 10年物国債の利子を0程度で維持し、短期預金の金利をマイナス 0.1で維持することにしたが、これは概ね予測された通りだった。
日銀はまた、国債を毎年80兆円(約7.150億ドル)規模で購入することにも言及した。投資家たちは、これを景気緩和策に対するコミットメントとみているが、最近の購入額はこの水準を下回っている。