Saturday, July 29, 2017

日本は、米国産牛肉に50%の関税を課税【A6面(国際面)】

麻生財務相は28日、冷凍牛肉の輸入量が超過したことを受けて、セーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表したが、WSJは翌29日の国際面でこのニュースを速報した。


この措置により、日本への冷凍牛肉の関税が通常の38.5%から50%へと引き上げられること、但し、日本とEPAを締結している国にはこのセーフガードは適用されないことなどが詳しく説明されいる。その上で、米国がTPPを締結していればこのセーフガードの適用は避けられたとして、トランプ大統領の政策を暗に批判している様に読める。

***** 以下本文 *****
日本は、金曜日に、米国及びその他数国からの冷凍牛肉に対して、一時的に50%の関税をかけると発表した。この動きに対して、米国は、重要なパートナーである日本との間で、貿易に関する緊張関係が再燃する可能性があると言っている。
この動きについて、日本は、最近の輸入急増に対する必要な措置だとしているが、トランプ大統領は日本を米国の貿易赤字の原因となる国の一つとして名指ししたばかりだ。
日本の政府関係者によれば、牛肉関連としては14年ぶりとなるこの関税引き上げは、1994年の世界貿易協定の後に執行された枠組みの下で行われるものだ。この枠組みは、米国と日本を含む12ヶ国で締結しようとしていたTPPが締結されれば、撤廃されることになっていた。トランプ大統領は、TPPが批准のために議会に提出される前に、米国のTPPからの離脱を表明してしまった。
関税は通常の38.5%から50%へ引き上げられるが、財務省によれば、実施は8月からで、日本と経済パートナーシップ協定を締結していない国からの冷凍牛肉に対して課される。対象国には、豪州に続く日本への牛肉供給量2位である米国に加え、カナダやニュージーランドが含まれる。
この動きは、日本と自由貿易協定を締結しているオーストラリアには影響を与えないし、冷蔵や生鮮に対しては影響を与えない。
米国の農業長官であるソニーペルデゥー氏は「関税引上げは米国の輸出を減少させ、日本との間の貿易赤字を増大させ、農業製品についての日本との重要な貿易関係に悪影響を与えるだろう。」と述べた。
米国畜産物輸出協会は、日本の行為は、米国の牛肉生産者、米国の冷凍牛肉に依存する日本のレストランチェーンの双方に対して、悪い影響を与えるとした。同協会のCEOであるフィリップセング氏は「我々は、日本のパートナーと協力して、影響を和らげるために努力する。」と述べた。
予測できないことではなかったが、こうした日本の動きは、米国側の神経を逆なでしている。トランプ政権は、数ヶ月かけて、米国牛の中国への輸出に道筋をつけた。これは量的には小さいが政治的には大きな勝利だ。
水曜日には、議会の農業委員会の公聴会で、農業団体が米国のTPP離脱について遺憾の意を表明した。農業地域出身の米国議員は、TPPを、日本、カナダなどの主要国へ、より多くの米国農産物を送り込むための手段として、支持していた。
トランプ政権は、複数の2ヶ国間協定を通じて、アジア太平洋地域での自由貿易を利用していくとしている。しかし、米国の農業ロビーストたちは、日本は2ヶ国間協定では、農業市場を十分に解放しないのではないかと心配している。なぜなら、米国は、その見返りとして日本の輸出業者のために開放すべきエリアがないからだ。
日本は、4年前にカナダとメキシコを抜いて、世界最大の米国産牛肉の購入国となっている。