Wednesday, July 5, 2017

EUと日本は、貿易協定成立を急ぐ【A8面(国際面)】

日本とEUが経済連携協定の大枠合意を目指して、76日にブリュッセルでトップ会談を行うというニュースを、WSJはその前日75日の国際面で取り上げた。



G20開催前日に、巨大経済圏間での自由貿易協定を成立させて、保護主義に走るトランプ大統領を牽制すると共に、世界の自由貿易の牽引役としての地位を確立しようという、EU政治的な意図が見えるとしている。また、日本もトランプ大統領就任後、この協定の早期成立を強く求めだしたとも指摘している

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EUと日本のリーダーたちは木曜日にブリュッセルに集まって、広範囲にわたる貿易協定について発表することを目指す。これは、米国の保護主義に対抗してグローバルでの協調しているという、強いシグナルを、G20サミットの1日前に送るものだ。
両者からの役人が、安倍首相の到着前に、EUの首都で、短期間での合意に向けて話し合いを再開する。東京での2日間での交渉では、両者の見解の相違を埋めることが出来なかった。
EUと日本の間の交渉の進展は、G20のリーダーたちが、G20年次総会の中で、トランプ大統領が進める保護主義政策について非難しようと準備する中で進められているものだ。ホワイトハウスが、進めていた貿易交渉を中止し、2国間での再交渉をし、国家の安全保障の観点から輸入を制限するための調査に乗り出す中、金曜日と土曜日にドイツに集まるリーダーたちは、トランプ氏の行動が貿易戦争を巻き起こすのではないかと懸念している。
「世界中で保護主義を助長する動きがある中で、欧州との自由貿易協定について迅速な合意に至り、自由貿易の旗を振ることが非常に重要です。」と木曜日の閣議で安倍首相は述べた。安倍首相はまた、交渉全般を統括させる目的で、岸田外務大臣をEUの首都へ派遣した。
EU側の関係者によれば、欧州との経済関係強化についての日本の関心は、トランプ氏が選挙で大統領に選ばれた後に、急速に強まった。その結果、3月にブリュッセルでトップ会談が行われ、安倍首相と、欧州議会のトゥスク大統領、欧州委員会のユンケル委員長が、2013年以降続いている交渉を加速化させることで合意した。木曜日にEUと日本のトップは、この合意に基づく成果の発表を目指している。
「この新たな枠組みは、2つの大きな経済圏が保護主義に立ち向かうという非常に強いシグナルを、世界中に送ることになるでしょう。」と東京での会議の後に委員会は発言した。
EUと日本の間の輸出入額は1250億ユーロ(1,420億ドル)に達しており、両地域の貿易協定が成立すれば、経済ブロック間で合意した貿易協定としては最も重要なものとなる。カナダとの貿易交渉も成立させて、自分たちを世界の中での自由貿易のチャンピョンと位置付けようとしているEUにとって、EUと日本の貿易協定成立は、政治的な勝利としての意味も持つ。
関係者によれば、EUと日本の貿易協定が成立すれば、年間10ユーロの関税が無くなり、欧州は加工食品、化学・医薬品などの輸出を促進することが出来る。
しかし、EUと日本は、日本の自動車輸出とEUの農産物輸出について、それぞれの国内からの執拗な抵抗に直面している。EUと日本の交渉は、このいずれの点についても、妥協点を見いだせていない。