Wednesday, May 31, 2017

*** 5月のまとめ ***

5月にWSJに掲載された日本関係の記事は4件。2015年10月の3件に次いで2番目に少なかった。しかも、4件のニュースの内、1件は東京三菱UFJ銀行のものと思われる広告、2件はWSJが開催したCEOカウンシルでの安倍首相と黒田総裁の発言記事(実質的にWSJの広告)であり、これらを除くと日本が取り上げられたニュースは1件だけ。実質的には、このブログ開始以来最低という、非常に深刻な事態。

(なお、2016年の掲載数も、1月が12件、2月が15件、3月が11件、4月が7件、5月が4件と、下降線をたどっている。)


国会が開催されているが、野党による加計学園問題追求に膨大な時間が使われていて、WSJが取り上げる様な重要な議論はなされていないということだろう。安倍首相が重要な法案を国会に持ち込んでも、野党がこの姿勢では、実りのある議論は期待出来ない。眞子さまのご婚約や宮里藍の引退など、私から見ると、WSJが取り上げても良さそうなニュースも取り上げられなかった。この2人も米国ではそれほどのインパクトは無いということか。


テーマ別では、政治関係が1件、経済関係が3だった。

政治関係では、WSJ主催のCEOカウンシル(東京で初開催)で安倍首相が「北朝鮮の暴走を阻止するために、中国にもっと影響力を行使してもらいたい。」との趣旨の発言をしたことが取り上げられた。

経済関係では、日本は投資対象国として魅力ある国だとする全面広告、WSJ主催CEOカウンシルでの黒田総裁の金融緩和策支持発言、そして、2107年第1四半期(1月~3月期)の日本のGDPが2.2%成長と好調だったことが報じられた。

掲載箇所では、広告覧が1件、国際面が3件だった

Thursday, May 18, 2017

日本の成長は加速し2.2%上昇【A16面(国際面)】

内閣府が18日発表した1~3月期のGDPは前期比年率2.2%増だったが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。

5四半期連続でGDPが増加していること、増加幅がエコノミストの予測を上回ったこと、今後共この傾向が続くと見られることなどに触れている。
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2017年の最初の3ヶ月、日本経済は成長のスピードを上げた。安倍首相による四半期成長の連続期間を5に伸ばしたが、これは2006年以来最も長い連続期間だ。
木曜日に内閣府が発表したデータによれば、テクノロジー関係を中心にしたグローバル規模での力強い需要と消費者支出の改善によし、GDPはその前の3ヶ月から年率換算で2.2%上昇した。
成長のペースは、ウォールストリートジャーナルによるエコノミスト調査数値の1.8%より速かった。その前の四半期は改定数値で1.4%の上昇だった。
この数値は、日本が地道な成長軌道に戻ったとの期待を抱かせる。安倍首相はこの4年間、政府支出と金融緩和を組合わせた政策であるアベノミクスにより、数十年に渡る経済の停滞とデフレに終止符を打とうと努力してきた。多くのエコノミストは、成長は今四半期も継続するとみている。
輸出は、年率換算で8.9%上昇し、3四半期連続での上昇だった。

Wednesday, May 17, 2017

安倍氏は北朝鮮への圧力を中国に迫る【A8面(国際面)】

516日に東京で開催されたウォールストリートジャーナル主催CEOカウンシルで安倍首相が、北朝鮮の脅威の阻止に中国はもっと貢献して欲しいとする講演を行ったとする記事が、17日の国際面に掲載された。


安倍首相が「北朝鮮の暴走を止めるには北朝鮮の最大貿易国である中国の動きが重要」として中国の積極的行動に期待を滲ませたことを取り上げている。また、安倍首相の盟友であるトランプ大統領も同じ見方だとする一方で、中国にはあまり期待すべきではないとする専門家の意見も取り上げている。また、日米韓が協調して北朝鮮問題に取り組むことも重要との認識が3間で共有されている一方で、文新大統領の就任で、慰安婦問題が再燃し日韓間の関係が悪化する可能性があることを米国が懸念していることにも触れている。
ウォールストリートジャーナルCEOカウンシルについては、こちらの記事を参照下さい。


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日本の安倍首相は、中国が北朝鮮の脅威にもっと真剣に取り組むべきだと述べると同時に、最近のミサイル発射からみて北朝鮮は米国本土を攻撃する能力をもつことに向け着々と前進しているとの見方を示した。
安倍首相は、東京で開催されたウォールストリートジャーナルのCEOカウンシルで講演し、日本は外国人労働者や観光客をもっと呼び込むことによって日本スタイルの包括社会を実現したいと考えていると語った。また、一方で、こうした世界との関係を強化しようという取組みが、北朝鮮のミサイルや核兵器のプログラムによって脅かされているとも語った。
「平和や安全保障が確保されなければ、成長や繁栄はあり得ない。」と安倍首相は語った。
日曜日(514)に、北朝鮮は新型ミサイルのテストを行ったが、専門家によれば、このミサイルは沖縄やグアムの米軍基地に到達するのに十分な射程距離をもっていると推測される。
安倍氏は、このミサイルは1,240マイルの高さに達したと考えられるが、その弾頭が大気圏に再突入する際の熱や圧力に耐える能力のテストも行った様だと語った。ミサイル発射について、北朝鮮は成功したと語っている。
中国は北朝鮮と緊密な経済関係を築いており、北朝鮮に核やミサイルへの野望を思いとどまらせるために重要な役割を果たすことが出来る。
「中国がきちんとその役割を果たせば、北朝鮮の政策を変えることが出来る。」と安倍氏は述べた。石炭は北朝鮮にとって最大の輸出による収益源だが、中国は既に北朝鮮からの石炭の輸入を停止することを約束している
安倍首相は、2012年に首相の地位に就いて以来、日本で最も安定した政権を築いてきた。またトランプ大統領とも良い関係を築いてきた。二人は、この2に、フロリダのトランプ大統領が保有するリゾート地でゴルフをした。この安倍首相の米国訪問の際にも、北朝鮮はミサイルテストを行ったが、それを受けて、トランプ大統領は「米国は偉大な同盟国である日本を100%支援する。」と述べた。
安倍氏同様、トランプ氏も中国に、北朝鮮が武器開発を加速させているのを止める様に要求している。北朝鮮の貿易の80%以上が中国との貿易だ。
しかし、外交官やアナリストの中には、北朝鮮の政情不安や政権崩壊につながる様ないかなるアクションも、中国が取る可能性は低いと見る者もいる。
ウォールストリートジャーナルのCEO会議でのインタビューで、北朝鮮政策に関与していた米国の元外交官は、中国に頼ればなんとかなるという考えは希望的観測にすぎないとする、
「もし、中国が北朝鮮に圧力をかけて、ミサイル実験を止めてくれると考えているなら、完全に失望することになる。」とオバマ政権の国防副長官であったカート・キャンベル氏は述べた。
最近行われたミサイル発射に対応して、日曜日に中国の外務省は、関係諸国に対し、過激な行動を慎み、地域の緊張を更に高める様な行動を取らない様に強く求めた。
安倍氏は、韓国の新大統領との電話会議において、北朝鮮問題にどの様に対処するかについて、基本的な合意を得たとも述べた。
しかし、共に民主党の文在寅政権との間で日韓間の問題が再燃する可能性がある中、安倍氏は韓国の慰安婦についての歴史的な合意について再検討するつもりはないことを示唆した。
日本と韓国は、第二次世界大戦中に日本軍によって慰安婦として徴用された韓国人女性に対する資金援助と安倍首相からの謝罪からなる包括契約に、201512月合意した。文氏は、この合意は元慰安婦達の要求を反映していないとして、この合意を批判し、再交渉が必要だとしている。
「私は、現状の合意が最後まで遵守されることを望んでいる。」と安倍氏は述べた。

韓国と日本の間の緊張が高まっていることに、米国は懸念を持っている。米国は、両国が連携して北朝鮮に立ち向かうことを望んでいるのだ。日本の政府関係者によれば、安倍首相と訪日中のハリー・ハリス米太平洋軍司令官の間で行われた会談において、二人は米国、韓国、日本の3ヶ国による防衛協力が必要だと言う点で一致した。

日銀総裁は景気刺激策を擁護【A8面(国際面)】

5月16日に開催されたウォールストリートジャーナルCEOカウンシルでの黒田日銀総裁の講演を、翌17日の国際面で速報した。



緩和策を継続するのは適切な判断であり、緩和策が長年に及んだとしても、そこからの脱却によって経済に混乱が生じつ恐れはないとの考えを示したことを報じている。


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日銀の黒田東彦総裁は、彼が進めてきた金融刺激策大きく膨らんでいるものの、インフレを刺激しており、また彼の後継者には問題を残さないとして、その政策を擁護した。
黒田氏は政策の有効性についての疑念と、更には日銀が出口戦略を日本経済を不安定にすることなく実行できるのかという疑念と戦っている。
ウォールストリートジャーナルCEOカウンシルでの講演で、これまでのところ、価格の上昇は緩やかで、賃金の上昇は期待外れではあるが、インフレは2019年3月には日銀目標である2%を達成するだろうという見方を繰り返し、こうした疑念を押し戻した。
また、超低金利政策は、インフレを目標に押し上げるために必要で、日銀がそれを推進するのは極めて適切だと述べた。

Friday, May 5, 2017

日本経済は強くなっており、日本はさらに改革を推し進める【A7(全面広告)】

55日のWSJに、日本は直接投資先として魅力ある国だとする全面広告が掲載された


広告主は示されていないが、内容からみて三菱東京UFJ銀行と推測される。まず、安倍首相は、木内、佐藤両氏の退任により空席となる日銀審議員のポストに、片岡剛士氏と鈴木人司氏を充てる人事を発表したことに触れているが、片岡氏と鈴木氏の2名は東京三菱UFJ銀行のOBだ。木内、佐藤両氏はアベノミクスに批判的だったが、片岡氏と鈴木氏はアベノミクス支持派なので、インフレ率2%達成までは日銀の金融緩和策が継続されることが確実となったので、安心して日本に投資出来るとしている。また、東京三菱UFJ銀行のレポートから数値等を引用しながら、日本ではアベノミクスが機能していること、安倍首相は日本を海外からの投資先として魅力的な市場にするための政策を本気で実施していること、従って日本は海外からの投資先として有望な市場であることを強調している。最後に、GDPに占める海外からの直接投資の割合は、OECD加盟国の平均が32%であるのに対し、日本は3.5%過ぎず、日本は大胆な投資家にとって有望な投資先だとして締めくくっている。

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今年は酉年だが、日本の57代目の首相である安倍晋三にとって、最も輝かしいスタートを切る年というわけにはいかなかった。ワシントンでは、新しい大統領が喜々としてTPPを白紙に戻し、「アメリカ第一主義」を宣言した。こうしたトランプ大統領の行動は、アジアの政治家たちに地域の政治、経済の将来に対する懸念を抱かせた。
北朝鮮は、日本にとって好戦的で益々予測のつかない隣国となりつつあるが、その主席の金正恩は日本海に向けてミサイルを撃ち込みたいという尋常では野望をもっている。一方、安倍首相は(北朝鮮から自国を守る政策について)日本国内での反対意見をかわさなければならない。
最初の数ヶ月はあっという間に過ぎた。桜が、有名な皇居の堀を埋め尽くす頃までは、ことは予想以上に順調に進んでいた。トランプ大統領と中国の習近平主席は、今後に望みをつなぐ会談を行ったし、ペンス副大統領がアジア地域に派遣され、日米韓間の鉄の結束を支持することを再確認した。また、森本学園スキャンダルもあった。金主席の常軌を逸した弾道ミサイル計画だけが問題だった。
とりわけ、2017年の日銀短観は良いニュースだった。2016年度の日本企業の税引前利益は523,000億円(4,800億ドル)にのぼった。製造業が強く、輸出が伸びたため、前年度比で大きく伸びた。
輸出は、前年度比で12%伸びて、72,291億円となった。2月が対前年度比11.3%だったので更に改善した。4ヶ月連続で数値は改善しており、過去2年間で最も早い成長となっている。鉄鋼や自動車部品の輸出が伸びたが、海外での好調な需要によって楽観的な見方が広がっている。
好調な経済指標を見て、安倍首相は経済再生計画を更に推し進めるために、まもなく空席となる日銀の政策決定委員会の2つのポジションに、アベノミクスを支持する人物を指名することとした。木内登英と佐藤健裕は、安倍首相の政策に批判的だったが、この2名を交代させる。こうした行動により、安倍首相は、批判もある中、日本を活性化させるために、改革を成し遂げるという強い意志を示した。
安倍首相による指名は国会の承認を必要とするが、三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席研究員でリフレ派を自認する片岡剛士氏と、三菱東京UFJ銀行の元副頭取で経験豊かな銀行員である鈴木人司氏を指名したことは、安倍首相の決意の固さを示している。こうした状況下では、インフレ率が安倍首相が公約した2%以下にとどまる限りは、日銀の金融政策が変更されることは無いだろう。
三菱東京UFJ銀行は、東京に本店を置きグローバルに展開するファイナンスマネジメント企業だが、安倍首相の政策は正しいと考えている。20172に同行は「日本経済に次にくるものは?」というタイトルのレポートを発行したが、その中で、安倍首相が、20年以上続いた経済不振とデフレから日本を脱却させるために、日本の生産性を改善し、経済を再生させる政策であるアベノミクスを開始してから4年が経つが、最近の数値を見る限り、アベノミクスは機能しており、新たなる安定と自信が見えつつあると述べている。
三菱東京UFJ銀行のレポートは内閣府が発表する統計に基づいている。同統計によれば、日本の2016年度第四四半期のGDP1.2%成長しており、以前の予測を上方修正したことになる。「明らかに、これらの数値は、日本の長期的な潜在成長率を上回っており、成長は4四半期続いている。過去3年間見られなかった明るい動きだ。」とレポートは結論付けている。「同様に明るい指標としては、日本の名目GDP527兆円(61,000億円)になったことがあげられる。1997年以降なかった水準だ。」
日銀レポートと同様に話題になっているのが、フィリピンに拠点を置くアジア開発銀行が発行したレポートであるアジアの開発展望2017だ。このレポートは、アジア地域において、いかなる政治的経済的な分断が起きようとも、2017年にはアジアは世界経済の60%を占める巨大な勢力となるとしている。
「発展するアジアは順調に成長していくでしょう。海外の政策の不透明さに起因するいかなるリスクにもうまく対応するでしょう。アジアの開発展望2017は、アジア地域のGDP2017年には5.7%2018年には5.8%成長すると見ています。」と中尾武彦アジア開発銀行総裁は言う。
「他地域の旺盛な需要、コモディティー価格の復調、国内の改革などが、広範囲にわたる成長を促進している。地域の45ヶ国のうち、2/3の国々で成長が見られる。最大の経済大国である中国の発展に鈍化が見られるものの、発展するアジアは引き続き世界経済の発展に大きく寄与している。発展するアジアの将来は、米国、ユーロ圏、日本などの主要先進国の経済の復調にも支えられている。
アジア開発銀行のレポートは、生産性を向上させるためには、イノベーション、人的資本、インフラ等の開発に集中する必要があることを強調しているが、日本企業がこうした分野で役割を果たしたいと考えている。さらに重要なことは、同レポートが、アジア全体への富の分散を指摘していることだ。これは、同地域の成功にとって鍵となる。「1960年にアジア開発銀行が操業を開始した際には、地域の殆どの人々が低所得者層に属していた。」と中尾氏は語る。
「それ以降の国家開発の努力の積み重ねが、地域を変えた。今日、人口の多い中国、インド、インドネシアを含む殆どの国々が所得の階段を順調に上っており、人口の約95%が中産階級に属している。今後の課題は更に高い所得を目指して階段をもう一段上ることだ。
アジアの広範な地域が繁栄することは、日本に対しても確実に影響を与えるだろう。特に、安倍首相は、海外からの直接投資をアベノミクスの成功の中心に据えている。2013年の選挙で、安倍首相は、東京でオリンピックが開催される2020年までに、日本への直接投資額を倍増させ35兆円とすることを公約した。2015年の終わりまでに、244,000円(2,238億ドル)に達したが、これは安倍内閣が発足した2012年の終わりの178,000億円(1,633億ドル)から増えている。
EUコミッショナーで、現在はイギリスで同様の役割を果たしているピーターマンデルソン公は、2008年に日本を訪問した際に、日本を「先進国で最も閉鎖的な投資先」として激しく非難した。それから10年経って、安倍首相は、海外投資に対して税制優遇措置を適用すること、そして国家戦略特区によって日本を世界で最もビジネスをしやすい国にすることをを公約した。
安倍氏が首相を務める日本は、地球上で10番目に人口の多い国だ12,700万人の国民がいて、一人当たりのGDP378万円(48,500ドル)あり、真剣な海外直接投資家にとっては魅力的な市場だ。それに加えて、政治や社会は安定しているし、インフラの充実、スキルがあり安定した労働力、非常にレベルの高い研究開発、居住性と安全性などは、他に国にはマネできない水準にある。更に2020年の東京オリンピックに向けて、沢山の機会が待ち受けているだろう。日本は、海外直接投資先として、更に魅力的なものとなっているのだ。

しかし、安倍首相の夢を実現させるには、まだ長い道のりがある。海外直接投資のGDP比率は、OECD加盟国の平均が32%であるのに対し、日本は3.5%2014年現在)に過ぎない。大胆な投資家にとっては、これは絶好に機会だ。日本では「大胆に行動するものが勝利する。」と言われているのだ。