Friday, February 28, 2014

**2月のまとめ**

2月は、ウォールストリートジャーナルに、日本の記事が20回掲載された。新聞発行日が23日なので、ほぼ連日、日本の記事が掲載されたことになる。

日本を中国や韓国との関係から論じた記事が6回、原子力発電を軸にした記事が3回、マウントゴックス破綻の記事が2回、掲載され、これらの問題への関心の高さが際立った。面白いところでは、佐村河内氏(日本のベートーベン)の記事が、1面掲載も含めて2回も掲載されたことだ。

掲載箇所では、1面が4回、国際面が11回、社説を含む意見欄が4回、オリンピック特設面に1回。
1面に掲載されたのは、(1)佐村河内氏(日本のベートーベン)、(2)トヨタ車リコールの件が和解へ、(3)日本人の愛国心が高まっていること、(4)マウントゴックスの破綻の4点で、バラエティーに富んでいる。
社説には、(1)安倍首相の集団的自衛権への取組み評価、(2)日本は韓国経済に学ぶべきの2点が取り上げられた。その他に、読者の意見欄に、米国の対中国政策が弱気だとする意見、専門家の意見欄に、マウントゴックスの破綻は予測可能だったとする意見が掲載された。

テーマ別では、政治関係が8回、経済関係が7回、その他が5回。
政治関係は、日中関係(韓国も含めた東アジア問題含む)が6回、原発関係が2回で、この2つの案件に集中。
経済関係は、マウントゴックスの破綻が2回取り上げられた以外は、貿易赤字拡大、春闘、日銀発表、トヨタリコールの件和解へ、日本は韓国に学べ、等、バラエティーに富む。
その他は、佐村河内氏が2回。それ以外は、アンネの日記が破られた事件、羽生の金メダル、原発での汚染水漏れ事件と、やはりバラエティーに富む。



ビットコインのパラドックスがマウントゴックスを滅ぼした【A13面(専門家意見欄)】

専門家の意見欄に日本に関する意見が掲載された。

「東京のマウントゴックスが運営するビットコインの主要市場が閉鎖された。関係者はこのことに驚いているが、自分は驚いていない。こうした新しいテクノロジーには、当初は規制をもちこまないとこうした結果を招くのは必然だからだ。」という主旨。

ビットコインはブロックチェインという電子財布が全てのトランザクションを記録するので、規制が不要、つまり、テクノロジーが規制を不要にするというのが特徴だが、やはり初期には規制がないと3つの問題が発生するとして次の様に述べる。
「こうした問題は、ビットコインの現在のパラドックスだ。ビットコムは規制の枠組みと金融システムを壊すことを目的にしてきたが、ビットコムの安定と成長のためには、まさにその規制の枠組みと金融システムに依存せねばならないのだ。」

長い記事なので、規制がないと発生する3つを問題を下記に要約する。

まず第一に、政府による規制が無いと、リスクが高いために、ペイパルの様な信用できる決裁業者が市場運営者として参入して来ないことがあげられる。結果として、市場がブラックマーケット化してしまう。

そして第二には、政府による明確な規制ルールが無いと、トランザクションが法律違反だという理由で、ビットコインが没収されてしまう危険があることだ。

そして、第三には、政府による預かり金の保全ルールが無いと、業者が顧客からの預かり金を他の目的のために使ってしまった場合に預かり金が返金されないリスクがあることだ。実際、マウントゴックスが保有していた預かり金は$32Mも不足していた。

こうした状況は、オンラインポーカーの初期の状況と似ているとした上で、政府の規制を持ち込み、信頼のおける決裁業者が市場運営にあたることが重要としている。そして、そうした取組みの例として、ニューヨーク州当局が提案している「ビットライセンス」をあげた上で、次の様な文章で記事を締めくくっている。
「長期的にはビットコインは、その分権化が自主規制を十分に強くし、自律的に発展してくだろう。しかし、ビットコイン業界のリーダーは、短期的には、規制者がセーフガードを作る努力を否定するよりも、規制者と緊密に付き合っていくべきだろう。」

米国では、ビットコイン規制の議論が行われ、ニューヨーク州では「ビットコイン」という規制の案が具体的に出てきている。一方、市場閉鎖を招いた日本では、こうした動きが遅いのが気になる。

投稿者のGalston氏は、シカゴのベンチャーキャピタリスト。

Thursday, February 27, 2014

アジアにおける緊張が日本におけるナショナリズムの台頭を煽っている【A1面】


A1面に日本でナショナリズムが台頭してきているという記事が掲載されている。この記事はA12面に続いているが、A12面の殆どを使い、3枚のカラー写真やグラフを入れた力作だ。

日本におけるナショナリズムの台頭を示す事例や辻本清美氏のコメントを紹介した後で、若い政治家の右傾化を紹介する。
「日本人の間には未だに平和主義が深く根付いている。右傾化はまだ初期段階にある。しかし、右傾化は、特に30才台、40才台の若い候補者の出現により、日本の政治に影響を与え始めている。彼らは強固な保守主義的考え方を持っており、アメリカにおける茶会党の様だ。」

長い記事なので、その後の文章を要約すると次の様になる。
日本のナショナリズム台頭による日中間の対立については、東アジアはもちろんのこと、米国も懸念を持っており、学者や政治家が警鐘をならしている。しかし、日本の多くの役人や政治家が、「中国や韓国が戦争責任への謝罪をしつこく迫ること」をあからさまに批判する一方で、中国や韓国の政治家や学者も「日本の過去の過ちを否定する様な態度」をあからさまに批判しており、両者の対立は止まるところを知らない。
日本のナショナリズムは1920年代にも台頭し、これが日中戦争へのひきがねとなった。しかし、今日の日本は、民主主義、平和主義国家であり、軍隊は文民統制されており、国民も地域紛争にはあまり興味がなく、今日のナショナリズムが戦争へと繋がるものでは無い。
しかし、ナショナリズムは、日本人の間に中国や韓国嫌いを蔓延させているし、最近では米国嫌いの風潮すら出てきている。

中国や韓国嫌いの例として次の様な事例をあげる。
「そうした心配は、現代文化にも影響を与えている。週刊誌は、中国や韓国を攻撃する見出しで、競い合っている。『韓国の暗部をえぐり出す』と週刊文春が言えば、週刊新潮は『中国の反日プロパガンダ、国際的な大嘘』と対抗する。」
「日本のベストセラーリストには、中国や韓国の運命の日を予測するかの様に『中国は転覆し、日本が栄える』『サムソンの真実』といった本が書棚に踊る。」

そして、ナショナリズムが出てきている現象として、若者の右傾化、都知事選での田母神候補の意外な健闘、多くの政治家の靖国訪問、映画「永遠のゼロ」大ヒット、神風ブーム等多くの事例をあげ丁寧に紹介している。さらに、永遠のゼロの作家百田氏がNHK経営委員の地位にあるにも係わらず、原爆投下と東京大空襲を虐殺と読んだことまで、丁寧に紹介している。

こうしたナショナリズムの台等は、中国、韓国に対する挑発的とも言える政策を展開する安倍首相にとって有利に働いているとした上で、ナショナリストの典型として、34歳という若い政治家である武藤貴也氏のコメントで記事を締めくくっている。
「『アメリカが超大国であった時代は終わった。』と彼は言う。『自分のことは自分で守れる様にせねばならない。』」
「どの様にして、自分ことは自分で守るのですかという質問に対して、武藤氏は、ナショナリストの政治家の間ですら未だに異例となっている答えをした。『核武装ですよ。』」

日本の様な、民主主義、平和主義国家で、何故、若者を中心にナショナリズムが台頭しているかよく分からないという当惑の気持ちと、ナショナリストのコメントや行動に不気味さを感じている気持ちが感じられる記事だ。


Wednesday, February 26, 2014

歴史の恐怖を生かし続ける【A12面(国際面)】

「中国の世界」といシリーズ記事にまた日本と中国の対立に関する記事が掲載された。南京事件を認めない日本と、南京事件を国民の記憶に植えつけようとする中国の、どちらもおかしいとした上で、地域の安定のためには、日本、中国共に冷静になって欲しいと言っている様に感じる。A12面(国際面)の記事。

この記事は、「北アジアの政治は歴史的な記憶で形作られている。中国においてはそうした記憶は、日本に対する嫌悪感で満ち溢れている。」という書き出しで始まり、そうした記憶形成には、国営放送や学校教育に加えて、南京博物館における南京大虐殺の展示も大いに寄与しているとしている。

「南京博物館の証言の広間は、地獄への80階段と言われる長い階段を下りた所にある部屋だが、そこには、白黒写真が証拠として陳列されている。口にタバコをくわえた若い中国人の切り落とされた首の写真、日本兵が服を脱がせようとして、苦悶と当惑の表情を浮かべる年老いた女性、揚子江の川岸へと打ち寄せられる沢山の裸の死体たち、こうした写真が3.500枚も陳列されているのだ。」
「毎年、500万人もの訪問客がこの階段を下りる。中には、学校の生徒達の集団もある。」

学生を含めた500万人もの中国人が毎年、日本人による虐殺の写真を見ているのだから、確かに南京博物館は、中国人の間に日本人への敵対心を形成することに寄与してきたのだろう。

日本では、この博物館の展示写真は偽者であるという主張が多く見られるが、ウォールストリートジャーナルは、下記の様に述べる。

「中国は、30万人が大虐殺で殺されたと主張する。これに対し、多くの日本の歴史家は。中国の死亡者数は間違っていると主張している。しかし、大規模な犯罪があったことは明白だ。」

諸状況からみて、日本軍が大規模犯罪を犯したことは明白として、日本に対して手厳しい。

一方で、中国に対しても、厳しいコメントが続く。南京博物館の展示は、共産党の維持が目的で、動機が不純と言っている。
「こうしたつらい記憶を活かし続けることは、共産党にとっての幾つかの目標に貢献する。こうした悲惨な状況から人民を開放したのは共産党であることを強調し、その正当性を強化するのが目的の一つだ。また、人民の不満を共産党からそらし、外敵や外からの脅威へ不満が行く様にすることがもう一つの目的だ。」

特に、天安門事件以来、マルクス主義に代わるイデオロギーとして、反日を利用しているということの様だ。
「1989年に政府を転覆しかけた天安門事件の後に、外国による脅威の歴史をことさら強調しようとしたのは単なる偶然ではない。天安門事件以来、マルクス主義を捨て、市場主義に走った中国にとって、イデオロギーの空白を埋めるためのナショナリズムの精神的中核となったのが、外国による脅威の強調なのだ。」

最後に、毛沢東は、革命に勝利をもたらした勇敢な中国人の話が好きだったが、今の中国共産党は日本軍の犠牲になった可哀想な中国人の話が好きだという、猛烈な皮肉で記事を締めくくっている。
「毛沢東は彼の時代の中国について、全く異なる物語を語った。彼は、革命の勝利をもたらしたヒーロー達の物語が好きだった。日本の蛮行は、こうしたエピソードの中では語られなかった。しかし今は、国家についての新しい物語では、勝者は犠牲者となったのである。」

南京事件が無かったとする日本の主張はおかしいと明確に主張した上で、いつまでも南京事件の記憶を国民に思い出させ日本への嫌悪感を煽る中国の姿勢もおかしいとして、お互いに冷静な対応を求めている様に感じる。

閉鎖がビットコイン市場を動揺させている【A1面】

2月25日(火)に東京にあるビットコイン取引所であるマウントゴックスが閉鎖されたことをA1面とA8面の多くの部分を使って、詳細に報道している。
閉鎖と共にウェブサイトも消滅し、ビットコイン価格は1時23%も下落したことを報じた上で、ビットコインについて、「サトシナカモトなる人物もしくはグループにより作られたこと、安く送金出来る事から利用者が増えていること、但し中央銀行の規制がないので危険であること、2013年に$13で取引開始したのが11月には$1,100に達していること」等を詳しく説明している。
また、マウントゴックスについても、「2009年に当初ゲームカードの取引所として設立されたがが、すぐにビットコインの取引所となり、一時はビットコイン全体の80%の取引を行っていた。」ことなどを伝えている。

面白いのは、その後、今回の閉鎖で影響を受けたアメリカの著名人を実名入りで報道していることである。
「双子のCameron Winklevoss氏と Tyler Winklevoss氏は、フェースブック創設時にマーク・ザッカーバーグ氏と戦ったことで有名だが、彼らは仮装通貨への大きな投資家だ。彼らは、また、ビットコインの価格に連動する投資信託の設立を提案していた。」
「ベンチャーキャピタリストでインターネットの先駆者であるMarc Andreessen氏はもう一人のビットコインへの大きな投資家だ。様々なスタートアップ企業に投資してきた。」
「Erik Veerhoos氏は、もう一人のビットコインスタートアップへの投資家だが、彼はマウントゴックスに預けた550以上のビットコインを諦めざるを得ないと語った。彼によれば、約$300,000に相当する。」
「『それは無くなってしまった。』とVeerhoos氏は言う。彼は、パナマのパナマシティーを拠点にしている。『取り戻せる可能性は無いだろう。』」

また、この記事によれば、「マンハッタンの連邦検察当局が、マウントゴックスに対して召喚状を送った。」とのこと。また、「マウントゴックスもしくはその従業員がマンハッタン経由で電子メールを流したり、金融取引をしていれば、検察が訴訟権を主張出来る。」とも伝えている。

仮想通貨はリスクを伴うため、規制当局がその対応に苦慮していることを詳細に説明した上で、最後はビットコイン関係者の発言で記事を締めくくっている。
「新しい産業はいつでもそうだが、駆逐されるべき悪者がいるものだ。今日、我々が目にしているのは、その悪者なのだ。」



米国はアジアにおける弱々しい結合者【A16面(読者投稿欄)】

読者投稿欄に日本に関する投稿があった。珍しい。

ウォールストリートジャーナルは、2月10日の社説で、「安倍首相の集団的自衛権を巡る取組み」を取り上げ評価した。その社説に対する読者からの声である。
「中国への対応については、安倍首相は必死で取組んでいるのに、オバマ大統領は弱腰。このままでは、安倍首相は益々ロシアとの関係を強化せざるを得ない。」というもの。

「2月10日付、貴誌社説の『アメリカと日本の"集団的"防衛』は米国の安保権益を満足させるために政策を変えるべきなのは日本だと主張されていますが、それは全く逆だと思います。真実に目を向けると、日本はその防衛能力を高め、長年の懸案である憲法による制約を変更するために全速力で動き、中国の脅威に対してより強固な対応が出来る様にしています。中国を押さえる必要があるのなら、オバマ政権の弱々しい政策こそ変更されるべきです。」
「太平洋に『軸足』を置くと言いながら、ワシントンは日本を守るために中国に立ち向かうことを拒み続けて来ました。特にワシントンは、米国の西太平洋における基盤に位置づけられる日米安保条約への完全な支持を宣言することを拒み続けてきました。平均的なアメリカ人は、ワシントンの行動を見ただけでは、中国の尖閣諸島への圧力が、実質的には安全保障条約における米国のコミットメントに対する挑戦であることに気がつかないでしょう。ワシントンは最近、日本に関係のない南シナ海における中国の行動について、中国に注意を促しましたが。日本が関係のある東シナ海での中国の行動に対しては何もしませんでした。多分、それが安倍首相が他の国から助けを求めようと決めた理由ではないでしょうか。モスクワにおいて。」

投稿したのは、ジョージワシントン大学のリチャード・ソントン教授という方。日本、中国、ロシア、米国の歴史が専門の様だ。

Tuesday, February 25, 2014

日本は原発再稼動を求める【A9面(国際面)】

日本政府は、25日に発表したエネルギー基本計画案で、原発を重要電源と位置づけたという記事。国際面で比較的大きく扱われている。
日本側に原発関係の記事を隠す意図は無いとは思うが、日本経済新聞でも3面(総合2面)での比較的小さな扱いであり、原発問題に関する日米での扱いの違いが気になる。

この記事は、「この案は、2011年の東北大震災以来強まる反原発の世論の中で決定された前政権の案を覆すものだ。」とした上で、「今回の案は原発を火力、水力と並ぶベースロード電源と位置づけていること、但し、原子力が全体の中でどの程度の比率を占めるのかは示されていないこと。」を丁寧に説明している。「震災前には、原発の比率が30%で、当時の政府は50%まで比率を上げようとしていたこと」にも触れている。

記事の最後は次の様なコメントで締めくくっている。
「安倍首相は、全ての原発を取り壊すと、大きな廃却費用が必要なばかりでなく、電力費用が上がるので、産業競争力を保つ上で、原発は非常に重要だと考えている。」
「フジテレビが22~23日に実施した世論調査では賛否が分かれている。1,000人の内、53%が48の原発を一つでも再稼動することに反対する一方で、53%が安部政権を支持している。」

ウォールストリートジャーナルは、原発から汚染水が流れ出ていること等日本のずさんな対応を継続して報道しており、震災後の東京電力の対応には極めて批判的。その一方で、原発再稼動については中立的な態度を取っている。むしろ、一日も早い原発再稼動を実現して、安倍首相の進める経済再生策が成功することを願っている様に感じる。

Saturday, February 22, 2014

本が破られた事件が調査されている【A10面(国際面)】

アンネの日記が破られた事件をA10面で報じている。これで、日本に関する記事は2月18日以降5日連続となった。

「内閣官房長官菅 義偉によれば、東京の図書館にある200冊のアンネの日記もしくはそれに関する本が破られたとのこと。動機は不明。最初に見つかったのは1月。」

アメリカの経済新聞が何故この記事を取り上げるのだろう?やはり、アメリカではユダヤ人の力が強いのか?

Friday, February 21, 2014

高度汚染水が破壊された原子力発電所で漏れる【A10面(国際面)】

高濃度汚染水が漏れた事件をA10面の囲み記事で報じている。

汚染水は海には流れ出てないとした上で、災害初期に一部処理した汚染水であり、以前漏れた汚染水よりも毒性が高いことを報じている。

そして「東京電力は100トンの汚染水が雨どいを通じて漏れたとしている。発電所の職員は漏れるのを防ぐためにごみ袋をかぶせた。」と述べている。事実なのかもしれないが、先進国とは思えない対応の様に聞こえる。

最後に「漏水は職員がバルブを閉めて止まった。太平洋には流れ出ていない。」として、アメリカに流れ着く可能性を否定している。

Thursday, February 20, 2014

安倍首相への逆風の中で貿易赤字が増加【A10面(国際面)】

日本が1月としては、最大の貿易赤字を計上したというニュースがA10面に掲載された。

この傾向は、円安が景気回復につながるとしてきた安倍政権にとって逆風とした上で、「円安の効果は、大手製造業が、顧客に近い所で生産し、為替変動のリスクを避けるために、製造拠点を海外に移転する傾向によって、薄らいでいると経済学者が言っている。」として、構造的な問題が解決しない限り、円安によって景気を回復するのは難しいというコメントで記事を締めくくっている。

日本企業は労働者の賃上げに好意的【A10面(国際面)】

「春闘が開始されが、製造業の主要企業が賃上げに肯定的である。」という記事。

日本の賃金は90年以降下降線を描き、それがデフレーションを招く一因になっていたが、賃上げは楽観的な気分を醸造し、それが景気回復を助けるだろうとした上で、1950年以降続いている春闘という日本独特の慣習を詳しく説明している。

最後に「より高い賃金は、既に実行中の景気高揚策に追随することになる。消費者物価はここ数年無いペースで上昇しているし、失業率はここ6年で最低の3.7%で推移している。」として、賃上げを歓迎するコメントで締めくくっている。

Wednesday, February 19, 2014

より筋肉質の日本を具現化【A9面(国際面)】

「中国の世界」と題するシリーズ記事に、2月12日に続いて、日本のことが書かれている。本来、中国のことを書くことを想定したシリーズなのだろうが、何故か日中対立を煽るような記事が多い様に感じる。12日に続いて、日本が、靖国参拝を肯定し、それが中国をはじめとする周辺諸国に不必要な軋轢を生んでいるとの記事。
12日の記事では、「日本の国民が周辺諸国への謝罪にうんざりしており、そうした世論が安倍首相の靖国訪問を支持している。普通の国を目指す安倍首相の政策は支持するが、靖国神社訪問によって、不必要な軋轢を生み出す行動は、いくら世論の支持があっても、謹んで欲しい。」というものだった。
今回の記事は、「一般国民だけでなく、安倍首相のブレインとなっている側近にも、靖国訪問をはじめとする周辺諸国との軋轢を生み出す様な、安倍首相の行動を擁護する発言がある。」というもの。

この記事は、安倍首相の主要ブレインである本田悦朗氏が安倍首相の靖国訪問を支持していることについての、センセーショナルな書き出しから始まる。
「本田悦朗氏。安倍晋三首相の経済再生計画で中心的な役割を担う顧問(内閣官房参与)だが、戦時中の話を熱く語るナショナリストでもある。」
「本田氏はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、第2次大戦中の神風特攻隊の『自己犠牲』について語りながら、涙ぐんだ。」
「昨年12月の安倍首相による靖国神社参拝については、特攻隊員など戦争で死んだ数百万の兵士たちを追悼するために、首相が参拝したことを喜んでいるとし、『誰かがこれをしなければならなかった』と語った。その上で、『私は首相の勇気を高く評価する』と述べた。」
  
そして、「安倍首相の経済政策のアベノミクスの目標の一つは、実は、お金を儲けて軍事力を強化し、中国と軍事的に対峙することだ。」という、本田氏のショッキングな考えを披露する。
「安倍首相の経済分野での政策を練るブレインの1人である本田氏は、『アベノミクス』の背後にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない。同氏は、日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語った。同氏は中国に『深刻な脅威を感じている』としている。」
 
最後は、「経済力を付けて中国に対峙するだけでは十分ではなく、この問題は日本人の精神と魂に係わる深い問題なのだ。」という本田氏の見解を紹介し、その見解が非論理的だという気持ちを滲ませる。
「本田氏のナショナリスト的な感情は中国に対するものにとどまらない。同氏にとっては、中国の脅威から日本を守れるような経済力をつけるだけでは十分でない。」
「本田氏は、日本が世界の舞台で主体的行動を取れる活力があり、後見人としての米国にも頼らない、周辺国とのしがらみに左右されない国になることを望んでいる。」
「本田氏の主張は、日本は日本が望むように歴史を解釈し、それを表現する権利を持たなければならないというものだ。同氏はそれが『純粋に日本人の精神と魂に関わる問題だ。』と述べた。」

日本という国が、中国との対立を回避するために戦略的に取組むのでは無く、精神論を前面に出した、論理的でない思考を持ち込んで、不必要な軋轢を生み出していることに触れている。これを読んだアメリカ人は、日本という国にどういうイメージを描くのだろか?戦略的思考よりも、感情的なものを優先する考え方を不気味と思うだろうか?

Tuesday, February 18, 2014

日銀が貸出増加のためのインセンティブを拡大【A8面(国際面)】

A8面の小さな囲み記事で、日銀が、成長分野などに融資する金融機関向けの低利融資制度を1年延長し、規模を倍増することも決定したことを報じている。

「日銀は、デフレ撲滅を目的とした金融緩和策の効果を最大化するために、銀行の貸出しを促進するためのインセンティブを倍増すると発表した。その他の主要政策プログラムは変更しない。」
「日銀は、3月末に期限切れとなる予定の、2つの貸出プログラムを延長し、規模を拡大する。どちらのプログラムも商業銀行に低金利の貸出を行う。日銀は、『銀行が低金利のキャッシュをビジネスへのより多くの貸出しのために使用し、成長を助け、金融緩和策を補完してくれることを希望している。』と述べた。」


Saturday, February 15, 2014

若者が優勢、羽生がスケートで金メダル獲得【A13面(五輪特集面)】

A13面(五輪特集面)で、羽生がフィギアスケートで金メダルを獲得したことを、写真付で詳細に伝えている。日本人として、本当に誇らしい。

「金曜日、羽生結弦がフィギアスケート男子で初めてのメダルを日本にもたらした。この試合はループジャンプへの要求が高まる中、新しい国々が新興勢力として出てきたことを感じされる試合だった。過去30年間、表彰台の最も高い部分は、アメリカやロシアの選手がほぼ独占してきた。しかし、今回は米ロ共に、メダル争いに加われなかった。」

その後、記事は、銀がカナダ、銅がカザフスタンと、米ロ以外の選手にわたったことを伝えている。

「19才の羽生は、アメリカのバットンが1948年のサンモリッツ大会で18才で金メダルを獲得して以来、最も若いスケートの金メダリストだ。」

記事は、ルール変更により4回転ジャンプを入れた方が有利になったため、各選手の転倒が相次ぎ、一部の批評家はこのスポーツの芸術性が無くなったことを嘆いていると伝える。その上で、だ羽生と2位のチャンの演技で転倒が相次いだことを指摘、どちらがまだましかという勝負だったと皮肉る。そして、チャンのコメントを詳細に伝えた後、羽生のコメントも伝えている。

「羽生は、最初の失敗によるネガティブな思いを振り払うのに苦労したと言っている。『金メダルを取らねばということを忘れようと努めた。でも、プレッシャーを振り払うことは出来なかった。それ程、すごいプレッシャーだった。自分の演技には満足していないが、自分の持っている全てを出し切った』」
「転倒にも係わらず、羽生が勝利したことは、日本がスケート大国として頭角を現してきたことを示している。日本は、男女のシングル共にトップクラスの選手層が厚い。金曜日の男子シングルでは、上位6人の内、実に3人が日本選手で占められた。来週行われる女子シングルでは、浅田真央が長年のライバルであるキムヨナと金メダルを目指して争う。」
「過去においては、男子シングルのメダルは、2010年大会で高橋大輔が獲得した銅メダルが唯一だった。高橋は、金曜日の試合では6位入賞を果たした」

その後、記事は、カナダのチャン選手、カザフスタンのテン選手、そして腰痛で欠場したロシアのプルシェンコ選手について、詳しく説明した上で、最後は米国選手の活躍で記事を締めくくっている。

「今年は、アメリカ人が表彰台に立つことはなかったが、19才のブラウンが今後への期待を抱かせた。彼は9位に終わったが、リバーダンスの曲にのせた彼の演技は多くの聴衆や審判の支持を得た。ユーチューブでは、4百万回ものアクセスがあった。ブラウンの弱みは、4回転ジャンプが出来ないことだ。このため、ほかの選手がターボチャージの様な演技で獲得する程のポイントを積み上げることが出来ない。しかし、コーチのエイド氏は彼は4回転ジャンプの練習中だと述べている」

共に、19才の羽生とブラウン。この若い2人は、間違いなく次回オリンピックでも、上位を競うことになるだろう。



Friday, February 14, 2014

日本が韓国から学ぶべきこと【A14面(社説)】

日本は韓国の最近の経済的成功から学ぶべきだという記事が社説(A14面)に掲載された。

ビジネスの第一線で韓国勢の奮闘振りを目の当たりにしているものとしては、確かに韓国はよくやっていると思うし、記事で指摘されている点も、概ね当っているとも思う。それでも、細かい点にケチをつけたくなるのは、韓国勢にやられていることが悔しいからか。

「最近の発展途上国における混乱の最中にあっても、韓国は常に例外である。韓国中央銀行は木曜日に利率を据え置くことにしたが、投資家の中にまゆを吊り上げる人はいない。ここに安倍首相が学ぶべき点がある。」

記事は、金融緩和策によって景気回復をはかる日本とは対照的に、韓国は金利据え置きを継続していることを伝え、それにも係わらず、2013年10~12月期の前年からの経済成長率は3.9%と過去3年間で最高であること等、韓国経済が好調であることを詳細に伝えている。

また、ウォンも2012年に比べて、9%も切り上がっているにも係わらず、韓国経済は好調で、円安によって輸出を増やすという安倍政権のアプローチとは、対照的であることしている。ウォン安でもサムソンをはじめとする韓国勢が好調な理由の一つに品質の追求があるとする。先進国は価格よりもイノベーションを重視するので、日本の様に円安で日本製品の価格を下げるのは、正解にはならないということらしい。

また、国内の圧力団体に気を使ってなかなか貿易自由化が進まない日本を尻目に、韓国がどんどん自由貿易協定をEUや米国と結んでいること、そうすることによって規制に守られてきた国内産業が国際競争にさらされ強くなることを詳細に報じている。

「韓国は、日本に比べて、自由貿易を推進することについて、素早いし、熱心だ。ウォン高にも耐えようという意志が感じられる。そして、国内の改革、特に古い慣習の排除とサービス分野の自由化の推進にコミットしている。一方、安倍首相は、TPP参加を推進しているものの、それ以外では、旧来のままだ。安倍首相の景気回復プランは、円安誘導や旧来のままの景気刺激策で構成されている。また、個人消費の喚起よりも企業投資を呼び込むこに重点をおいている。」

「韓国は、まだまだ経済面において改革を進めねばならないことを、韓国の役人も認めている。それでも、彼らは最近の成功に勇気付けられているし、政治的な支援も得られる。韓国は、戦後の日本の輸出誘導型モデルを見習って、工業化を進めてきた。多分、いまや以前の先生が、以前の生徒から学ぶ時がきたのではないか。」

日本は韓国から学ぶべきという結論は、ちょっと悔しく、アメリカの人には言われたくない、余計なお世話だとも思う。そもそも、この社説は誰に向けて書かれているのかとも思う。
しかし、アメリカは日本経済が絶好調の時に、日本の成功の秘密を徹底的に学んで、その後、更なる成長を遂げた。日本も謙虚に韓国の成功に学ぶべきだという指摘には、耳に痛い側面もある。

Thursday, February 13, 2014

日本の「作曲家」が聴覚障害についてのトーンを変更【A10面(国際面)】

佐村河内氏についての、2月7日に続く続報。硬派のウォールストリートジャーナルが、この件に関しては、どうしてこんなに関心が高いのだろう?

「知覚障害を持っているが故に日本のベートーベンと呼ばれている作曲家が、先週、他人を雇って作曲させていたことを認めたが、今度は、いまや完全な聴覚障害ではないことを認めた。」

佐村河内氏が8ページの手書きのレターを作成し、そこで高橋大輔をはじめとする多くの人々にお詫びをしたことを説明している。

「佐村河内氏は、新垣氏をゴーストライターとして使ったという訴えについては何の反論もしていないが、新垣氏の18年前に会った時から耳が聞こえていたという主張には反論している。」

レターの中で、本当に耳が聞こえなかったのだが、ここ数年は、随分と聴覚が回復してきたと、述べているのを紹介している。

最後に佐村河内氏の言い訳ともとれる発言で記事を締めくくっている。

「『私が考えられることと言えば、新垣氏が曲を書いたという事実が露呈したらどうなるのか、もし聴覚について聞かれたらどうなるのか、ということばかりでした。私は怖くて本当のことを誰にも言えなかったのです。』と本人は述べている。」

この事件は日本独特の事件と言うより、アメリカでもありえそうな事件という視点で書かれている様に感じる。だから関心が高いのか?

Wednesday, February 12, 2014

日本は過去への謝罪にうんざりしている【A10面(国際面)】

A10面(国際面)に日本が戦後、アジア諸国に謝罪し続けてきたことにうんざりしているとの記事を、昨年12月に中国が行った南京大虐殺の式典の写真付で、掲載している。「中国の世界」と題するレポートではあるが、内容は日本についての記事。

この記事は、「日本を普通の国にしよう。」という、安倍政権の動きは歓迎するが、「その過程で、近隣諸国を敵に回す様なやり方には反対する。」という米国の立場を明確にする。その上で、最近の日本人を覆う、「もう近隣諸国に謝罪するのはうんざりだ」という感情に一定の理解を示しつつも、そうした感情が、戦前の日本の思想美化や、近隣諸国を敵に回す様な行為の容認に、つながる危険性を指摘している。もう謝ったのだから何でもして良いという、やけっぱちな雰囲気が日本を覆っていて、そういった世論が、安倍首相の靖国神社訪問の様な、近隣諸国を敵に回すやり方を結果として助長していて、大変に危険と言っているのではないか。日本人に、やけっぱちになるのではなく、地域の安定化のために、もっと戦略的に考えて欲しいと訴えている様に感じる。

記事の冒頭、「日本は、戦後何年もの間『良き敗者』の役割を演じ、頭を下げ続け、永遠に国家として萎縮続けることを受け入れてきたが、そうし続けることにうんざりとしている。」という秋山信将のコメントを紹介している。その上で、こうした考え方は特に若年層の間に浸透していることを紹介する。

「安倍首相が国家主義者であることは間違いない。過去の日本に誇りを取り戻し、将来の日本に自信を持とうという、安倍首相のピッチは、日本の若年層の心に響いている。」
「例えば、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が、週末に行われた東京都知事選において、20代の若者票をびっくりする程沢山獲得した。」
「田母神氏は、日本が、韓国を植民地化し、中国の一部を占領したことを賞賛し、日本はアメリカの罠にはめられて戦争に突入したとする、エッセイを2008年に発表した。それにより、彼は航空幕僚長を解雇された。」

安倍首相は普通の国になるために、靖国神社訪問を行い、近隣諸国を敵に回しているばかりでなく、米国からさえ非難されている。しかしながら、安倍首相のそうしたやり方を、若者を中心とした近隣諸国には謝罪するのはもううんざりという国民感情が支持していることを、丁寧に説明している。

「米国政府は、安倍首相の日本の憲法を見直そうという動きを広く支持している。また、日本が自国の防衛により多くの責任を持つことも歓迎する。しかし、同時に米国政府は、安倍首相の近隣諸国を敵に回す様なやり方には警鐘をならしている。」
「『我々の問題は、我々が安倍首相とはどういう人物か知らないし、ましてや彼の戦略的目標がどこにあるかも分からないことにある。』とワシントンの外交カウンシルの日本研究の上級フェローであるスミス氏は言う。安倍首相は『権力を感じている。』と彼女は述べる。『しかしながら、彼がゲームプランを持っているかどうか、分からない。』」

安倍首相には、「謝罪は十分にした、だからこれまでタブーとされてきたことをやっても大丈夫。」というやけっぱちな世論に支えられ、靖国神社訪問の様な米国からすら支持されないことをするのでは無く、もっと戦略的な動きをして欲しいとの強い思いで記事を締めくくっている。


Monday, February 10, 2014

安倍の選んだ候補が東京知事選に勝利【A9面(国際面)】

都知事選で安倍首相の支援を受けた舛添候補が当選したことを、国際面で取り上げている。

原発再稼動による、エネルギー資源の輸入抑制、国際収支改善等により、アベノミクスを成功させることが、安倍首相にとって重要課題であることを詳説し、細川候補の敗北により、安倍首相が原発再稼動に動きやすくなったことを暗に歓迎している様だ。
舛添候補に関する記述は殆ど無く、安倍内閣の信任選挙であるかの様にとられられている。

「舛添候補の主要ライバル候補である細川元首相(76歳)は、やはり元首相で、安倍首相の育ての親でもある小泉元首相の支援を受け、東京都民の間に広がる反原発の感情に訴えようとした。」
「2011年の福島大災害に後、停止している原発の再稼動は、安倍政権の最重要課題である。日本のエネルギー資源の輸入額増大は、アベノミクスとして知られている景気刺激策の脅威とばるからだ。」
「月曜日に発表された統計によれば、日本の経常収支はここ30年来で最低水準にある。これは、エネルギー資源の必要と政府の成長政策による国内需要の増大により、輸入が押し上げられているからだ。」

最後に投票率が午後7時半現在で34%と非常に低かったことを述べ、「(この低投票率の)主犯は天気だ。首都は45年振りの大雪に見舞われ、東京都心でも8インチの雪が降った。」と、大雪のニュースで締めくくっている。



アメリカと日本の「集団的」防衛【A12面(社説)】

安倍首相の集団的自衛権に対する取組みについて、社説で大きく取り上げている。

安倍政権が憲法解釈変更により集団的自衛権を行使可能にするためにに努力していることを取り上げ、それが侵略主義的な中国を抑止する効果があるとして、大いに評価している。

「では、集団的自衛とは何か?どうしてそれがそんなに重要なのか?日米安保条約の下では、アメリカ軍は、日本が攻撃された場合、日本を助けることになっている。しかし、こうした義務は逆の場合にはあてはまらない。現状の憲法9条の解釈では、日本軍はアメリカ軍が攻撃されていても、アメリカ軍を助けるために何もすることが出来ないのである。」
「民主主義の国々が同盟を組んで、独裁主義の脅威と対峙することが、戦後の世界秩序の要である。ヨーロッパでは、こうした考え方に基づき、ソビエト連邦抑止のために、NATOが設立された。」
「アジアには ヨーロッパに中核を成す仏独協力条約に相当するものがない。ヨーロッパにおける経済や安全保障の枠組みは仏独協力条約を中心に発展してきた。アジアにおいても民主主義国が同盟を組むことが侵略主義的な中国の軍事力に対抗するために有効な対抗勢力となる。」
「アジアに民主主義国家の同盟ができるまでにはまだ時間がかかるだろうが、それまでの間、日本がその穴を埋める役割を果たすことは可能である。」

アジアにも、ヨーロッパの様に、民主主義国家の同盟が形成されることが重要としつつも、それが出来るまでの間、日本が地域の安定のために一定の役割を果たすことに期待をにじませる。
但し、そのためには、非常に難しい政治的な課題をうまくコントロールする必要があることにも理解を示す。

「日本人の殆どが集団的自衛権には反対している。安倍首相が率いる自民党は、平和主義的な公明党との連立に上手く対応せねばならない。」
「安倍首相のこうした動きは、少なくとも最初の内は、近隣地域に反動を引き起こすだろう。」

国民の反対や中韓の反発等の政治的課題をうまくコントロールして、集団的自衛権の問題を一歩でも先に進めて欲しいという思いが伝わってくる。そして、さらに安倍政権が改憲にまで踏み込むことが、中国の抑止、地域の平和維持につながるとして、改憲議論への期待も読み取れる。

「憲法の新解釈は、戦後の日本の軍事力の限界を完全に取り去ることにはならない。安倍首相は更に一歩踏み込んで、憲法改正に取り組みたいと考えている。中国はこれに対して大きな声をあげて反対するだろうが、その一方で中国の首脳達は、自分達の行動がこうした事態を招いたことに気づくだろう。中国が、尖閣諸島や南シナ海の現状を力で変えようとする姿勢をとり続ける限り、安倍首相そしてその後継者は憲法9条そのものを排除してしまうかもしれないのだ。」

最後に安倍首相に賞賛を送り、日本国民に対しても、既に戦争への反省は十分にしたのだから、次はアジア地域での民主主義の擁護のために貢献して欲しいと呼びかけているようだ。

「安倍首相は、日本がアジアにおいて主導的立場が取れる様に、日本を普通の国に変えようとしとおり、これは賞賛に値する。日本は、過去70年にわたり、平和に貢献し、過去への反省を行ってきた。いまこそ、日本は民主主義の擁護のために、地域の安全保障維持のために重要な役割を果たして欲しい。」

Saturday, February 8, 2014

トヨタのリコール問題に決着をつける10億ドルの取引が近く成立する見通し【A1面】

昨日に続いて、日本関係の記事が一面に掲載された。

「『意図しない急加速』問題で、トヨタ自動車が、情報公開が適切だったかを調査している米当局と10億ドル(約1020億円)を超える支払いで和解する可能性があることが分かった。」という記事。ウォールストリートジャーナルの特ダネと思われる。豊田社長の写真入で大きく報じられている。

トヨタ自動車に「意図しない急加速」問題について、この問題の引き金になった2009年のカリフォルニア州での事故から、その後の経緯について、かなり詳細に記述している。トヨタ自動車側と米当局側の主張も公平に取り上げ、この問題について、冷静に報道しようという意図が感じられ、好感が持てる。

ただ、少し、トヨタ自動車側に同情的な記事になっていると思うのは私だけだろうか?
「和解は、トヨタ車の機械もしくは電気系統に欠陥があったという十分な証拠が無いにも係わらず、成立する見通しだ。NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は、問題の車の電子式スロットル制御装置や制御ソフトウェアに欠陥を見つけることは出来ず、事故の大半が運転者の操作ミスによるものだと結論づけた。」
「トヨタは、車に欠陥があったとする原告の弁護士の主張に対して、幾つかのケースにおいては間違った置き方をしたフロアマットがアクセルにひっかかったことが原因だとして、一貫して争ってきた。トヨタは、『意図しない急加速』に係わる如何なる訴訟においても、法律違反を認めたことはない。」
トヨタの肩をもつ事実に多くを割いている。

Friday, February 7, 2014

日本のベートーベンの嘘、作曲家のオリンピックに絡む作り話が暴露される 【A1面、D1面】

両耳が聞こえない日本の作曲家として知られる佐村河内守氏(50)が、実は自分では作曲していない上、聴覚も正常、というニュースは日本で大きな話題になったが、ウォールストリートジャーナルもA1面にカラー写真を大きく掲載して取り上げ、D1面でさらに2枚の写真と共に詳細に報道している。
この種の記事としては、破格の扱いで、何故かこの問題は、米国の感心を引いている。ちょっと不思議な感じがする。

事件について、ソチオリンピックで高橋選手が佐村河内氏の曲を使用予定であったことも含めて、詳細に述べた後で、「このスキャンダルは、奇妙で普通と違った裏話や、性的なアピールを示さねばならないという、クラシックの作曲家と演奏家へのプレッシャーが益々強まっていることを示している。クラシック音楽は人気が下降線で演奏会に来るファンの数が減っている。アメリカでは2013年のクラシック音楽のアルバム販売台数は680万枚で、2003年の1,880万枚から大幅に減っている。」として、作り話無しには、クラシック音楽界で生き残っていくのは難しいことを述べている。
「佐村河内氏のプロモータによれば、彼は4歳からピアノを習い、ベートーベンやバッハの作品を10歳までにマスター。17歳の時から偏頭痛と聴覚障害を感じはじめた。そしてこうした困難な時を乗り越えて、ビデオゲーム用の曲の作曲を始めた。彼は、独力で作曲を学習した。」
「聴覚を失った後も、芸術に傾倒した作曲家の話は、マスコミを魅了した。2011年に佐村河内氏は、タイム誌に、聴覚を失ったのは、『神からの贈り物』だと語った。」
何だか、佐村河内氏の名前をアメリカ人の名前に置き換えても、違和感がなさそう。この種の事件は、アメリカでも起きそうだから、興味を引いているのか?

最後に「弁護士はレポーターから、『佐村河内さんは、新垣さんの記者会見をテレビで聞いたのですか?』という質問を受け、『彼は聞きませんでした。』と答えた。しかし、すぐにこの質問のばかばかしさに気づき、笑いながら次のように言った。『つまり、ありえないといことです。彼は聴覚障害なのですから。』」という笑えるエピソードで締めくくっているのが如何にもアメリカの記事らしい。