Thursday, February 27, 2014

アジアにおける緊張が日本におけるナショナリズムの台頭を煽っている【A1面】


A1面に日本でナショナリズムが台頭してきているという記事が掲載されている。この記事はA12面に続いているが、A12面の殆どを使い、3枚のカラー写真やグラフを入れた力作だ。

日本におけるナショナリズムの台頭を示す事例や辻本清美氏のコメントを紹介した後で、若い政治家の右傾化を紹介する。
「日本人の間には未だに平和主義が深く根付いている。右傾化はまだ初期段階にある。しかし、右傾化は、特に30才台、40才台の若い候補者の出現により、日本の政治に影響を与え始めている。彼らは強固な保守主義的考え方を持っており、アメリカにおける茶会党の様だ。」

長い記事なので、その後の文章を要約すると次の様になる。
日本のナショナリズム台頭による日中間の対立については、東アジアはもちろんのこと、米国も懸念を持っており、学者や政治家が警鐘をならしている。しかし、日本の多くの役人や政治家が、「中国や韓国が戦争責任への謝罪をしつこく迫ること」をあからさまに批判する一方で、中国や韓国の政治家や学者も「日本の過去の過ちを否定する様な態度」をあからさまに批判しており、両者の対立は止まるところを知らない。
日本のナショナリズムは1920年代にも台頭し、これが日中戦争へのひきがねとなった。しかし、今日の日本は、民主主義、平和主義国家であり、軍隊は文民統制されており、国民も地域紛争にはあまり興味がなく、今日のナショナリズムが戦争へと繋がるものでは無い。
しかし、ナショナリズムは、日本人の間に中国や韓国嫌いを蔓延させているし、最近では米国嫌いの風潮すら出てきている。

中国や韓国嫌いの例として次の様な事例をあげる。
「そうした心配は、現代文化にも影響を与えている。週刊誌は、中国や韓国を攻撃する見出しで、競い合っている。『韓国の暗部をえぐり出す』と週刊文春が言えば、週刊新潮は『中国の反日プロパガンダ、国際的な大嘘』と対抗する。」
「日本のベストセラーリストには、中国や韓国の運命の日を予測するかの様に『中国は転覆し、日本が栄える』『サムソンの真実』といった本が書棚に踊る。」

そして、ナショナリズムが出てきている現象として、若者の右傾化、都知事選での田母神候補の意外な健闘、多くの政治家の靖国訪問、映画「永遠のゼロ」大ヒット、神風ブーム等多くの事例をあげ丁寧に紹介している。さらに、永遠のゼロの作家百田氏がNHK経営委員の地位にあるにも係わらず、原爆投下と東京大空襲を虐殺と読んだことまで、丁寧に紹介している。

こうしたナショナリズムの台等は、中国、韓国に対する挑発的とも言える政策を展開する安倍首相にとって有利に働いているとした上で、ナショナリストの典型として、34歳という若い政治家である武藤貴也氏のコメントで記事を締めくくっている。
「『アメリカが超大国であった時代は終わった。』と彼は言う。『自分のことは自分で守れる様にせねばならない。』」
「どの様にして、自分ことは自分で守るのですかという質問に対して、武藤氏は、ナショナリストの政治家の間ですら未だに異例となっている答えをした。『核武装ですよ。』」

日本の様な、民主主義、平和主義国家で、何故、若者を中心にナショナリズムが台頭しているかよく分からないという当惑の気持ちと、ナショナリストのコメントや行動に不気味さを感じている気持ちが感じられる記事だ。