安倍首相の集団的自衛権に対する取組みについて、社説で大きく取り上げている。
安倍政権が憲法解釈変更により集団的自衛権を行使可能にするためにに努力していることを取り上げ、それが侵略主義的な中国を抑止する効果があるとして、大いに評価している。
「では、集団的自衛とは何か?どうしてそれがそんなに重要なのか?日米安保条約の下では、アメリカ軍は、日本が攻撃された場合、日本を助けることになっている。しかし、こうした義務は逆の場合にはあてはまらない。現状の憲法9条の解釈では、日本軍はアメリカ軍が攻撃されていても、アメリカ軍を助けるために何もすることが出来ないのである。」
「民主主義の国々が同盟を組んで、独裁主義の脅威と対峙することが、戦後の世界秩序の要である。ヨーロッパでは、こうした考え方に基づき、ソビエト連邦抑止のために、NATOが設立された。」
「アジアには ヨーロッパに中核を成す仏独協力条約に相当するものがない。ヨーロッパにおける経済や安全保障の枠組みは仏独協力条約を中心に発展してきた。アジアにおいても民主主義国が同盟を組むことが侵略主義的な中国の軍事力に対抗するために有効な対抗勢力となる。」
「アジアに民主主義国家の同盟ができるまでにはまだ時間がかかるだろうが、それまでの間、日本がその穴を埋める役割を果たすことは可能である。」
アジアにも、ヨーロッパの様に、民主主義国家の同盟が形成されることが重要としつつも、それが出来るまでの間、日本が地域の安定のために一定の役割を果たすことに期待をにじませる。
但し、そのためには、非常に難しい政治的な課題をうまくコントロールする必要があることにも理解を示す。
「日本人の殆どが集団的自衛権には反対している。安倍首相が率いる自民党は、平和主義的な公明党との連立に上手く対応せねばならない。」
「安倍首相のこうした動きは、少なくとも最初の内は、近隣地域に反動を引き起こすだろう。」
国民の反対や中韓の反発等の政治的課題をうまくコントロールして、集団的自衛権の問題を一歩でも先に進めて欲しいという思いが伝わってくる。そして、さらに安倍政権が改憲にまで踏み込むことが、中国の抑止、地域の平和維持につながるとして、改憲議論への期待も読み取れる。
「憲法の新解釈は、戦後の日本の軍事力の限界を完全に取り去ることにはならない。安倍首相は更に一歩踏み込んで、憲法改正に取り組みたいと考えている。中国はこれに対して大きな声をあげて反対するだろうが、その一方で中国の首脳達は、自分達の行動がこうした事態を招いたことに気づくだろう。中国が、尖閣諸島や南シナ海の現状を力で変えようとする姿勢をとり続ける限り、安倍首相そしてその後継者は憲法9条そのものを排除してしまうかもしれないのだ。」
最後に安倍首相に賞賛を送り、日本国民に対しても、既に戦争への反省は十分にしたのだから、次はアジア地域での民主主義の擁護のために貢献して欲しいと呼びかけているようだ。
「安倍首相は、日本がアジアにおいて主導的立場が取れる様に、日本を普通の国に変えようとしとおり、これは賞賛に値する。日本は、過去70年にわたり、平和に貢献し、過去への反省を行ってきた。いまこそ、日本は民主主義の擁護のために、地域の安全保障維持のために重要な役割を果たして欲しい。」