Wednesday, February 19, 2014

より筋肉質の日本を具現化【A9面(国際面)】

「中国の世界」と題するシリーズ記事に、2月12日に続いて、日本のことが書かれている。本来、中国のことを書くことを想定したシリーズなのだろうが、何故か日中対立を煽るような記事が多い様に感じる。12日に続いて、日本が、靖国参拝を肯定し、それが中国をはじめとする周辺諸国に不必要な軋轢を生んでいるとの記事。
12日の記事では、「日本の国民が周辺諸国への謝罪にうんざりしており、そうした世論が安倍首相の靖国訪問を支持している。普通の国を目指す安倍首相の政策は支持するが、靖国神社訪問によって、不必要な軋轢を生み出す行動は、いくら世論の支持があっても、謹んで欲しい。」というものだった。
今回の記事は、「一般国民だけでなく、安倍首相のブレインとなっている側近にも、靖国訪問をはじめとする周辺諸国との軋轢を生み出す様な、安倍首相の行動を擁護する発言がある。」というもの。

この記事は、安倍首相の主要ブレインである本田悦朗氏が安倍首相の靖国訪問を支持していることについての、センセーショナルな書き出しから始まる。
「本田悦朗氏。安倍晋三首相の経済再生計画で中心的な役割を担う顧問(内閣官房参与)だが、戦時中の話を熱く語るナショナリストでもある。」
「本田氏はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、第2次大戦中の神風特攻隊の『自己犠牲』について語りながら、涙ぐんだ。」
「昨年12月の安倍首相による靖国神社参拝については、特攻隊員など戦争で死んだ数百万の兵士たちを追悼するために、首相が参拝したことを喜んでいるとし、『誰かがこれをしなければならなかった』と語った。その上で、『私は首相の勇気を高く評価する』と述べた。」
  
そして、「安倍首相の経済政策のアベノミクスの目標の一つは、実は、お金を儲けて軍事力を強化し、中国と軍事的に対峙することだ。」という、本田氏のショッキングな考えを披露する。
「安倍首相の経済分野での政策を練るブレインの1人である本田氏は、『アベノミクス』の背後にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない。同氏は、日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語った。同氏は中国に『深刻な脅威を感じている』としている。」
 
最後は、「経済力を付けて中国に対峙するだけでは十分ではなく、この問題は日本人の精神と魂に係わる深い問題なのだ。」という本田氏の見解を紹介し、その見解が非論理的だという気持ちを滲ませる。
「本田氏のナショナリスト的な感情は中国に対するものにとどまらない。同氏にとっては、中国の脅威から日本を守れるような経済力をつけるだけでは十分でない。」
「本田氏は、日本が世界の舞台で主体的行動を取れる活力があり、後見人としての米国にも頼らない、周辺国とのしがらみに左右されない国になることを望んでいる。」
「本田氏の主張は、日本は日本が望むように歴史を解釈し、それを表現する権利を持たなければならないというものだ。同氏はそれが『純粋に日本人の精神と魂に関わる問題だ。』と述べた。」

日本という国が、中国との対立を回避するために戦略的に取組むのでは無く、精神論を前面に出した、論理的でない思考を持ち込んで、不必要な軋轢を生み出していることに触れている。これを読んだアメリカ人は、日本という国にどういうイメージを描くのだろか?戦略的思考よりも、感情的なものを優先する考え方を不気味と思うだろうか?