Friday, February 28, 2014

ビットコインのパラドックスがマウントゴックスを滅ぼした【A13面(専門家意見欄)】

専門家の意見欄に日本に関する意見が掲載された。

「東京のマウントゴックスが運営するビットコインの主要市場が閉鎖された。関係者はこのことに驚いているが、自分は驚いていない。こうした新しいテクノロジーには、当初は規制をもちこまないとこうした結果を招くのは必然だからだ。」という主旨。

ビットコインはブロックチェインという電子財布が全てのトランザクションを記録するので、規制が不要、つまり、テクノロジーが規制を不要にするというのが特徴だが、やはり初期には規制がないと3つの問題が発生するとして次の様に述べる。
「こうした問題は、ビットコインの現在のパラドックスだ。ビットコムは規制の枠組みと金融システムを壊すことを目的にしてきたが、ビットコムの安定と成長のためには、まさにその規制の枠組みと金融システムに依存せねばならないのだ。」

長い記事なので、規制がないと発生する3つを問題を下記に要約する。

まず第一に、政府による規制が無いと、リスクが高いために、ペイパルの様な信用できる決裁業者が市場運営者として参入して来ないことがあげられる。結果として、市場がブラックマーケット化してしまう。

そして第二には、政府による明確な規制ルールが無いと、トランザクションが法律違反だという理由で、ビットコインが没収されてしまう危険があることだ。

そして、第三には、政府による預かり金の保全ルールが無いと、業者が顧客からの預かり金を他の目的のために使ってしまった場合に預かり金が返金されないリスクがあることだ。実際、マウントゴックスが保有していた預かり金は$32Mも不足していた。

こうした状況は、オンラインポーカーの初期の状況と似ているとした上で、政府の規制を持ち込み、信頼のおける決裁業者が市場運営にあたることが重要としている。そして、そうした取組みの例として、ニューヨーク州当局が提案している「ビットライセンス」をあげた上で、次の様な文章で記事を締めくくっている。
「長期的にはビットコインは、その分権化が自主規制を十分に強くし、自律的に発展してくだろう。しかし、ビットコイン業界のリーダーは、短期的には、規制者がセーフガードを作る努力を否定するよりも、規制者と緊密に付き合っていくべきだろう。」

米国では、ビットコイン規制の議論が行われ、ニューヨーク州では「ビットコイン」という規制の案が具体的に出てきている。一方、市場閉鎖を招いた日本では、こうした動きが遅いのが気になる。

投稿者のGalston氏は、シカゴのベンチャーキャピタリスト。