Thursday, January 31, 2019

*** 1月のまとめ ***

1月にWSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された日本関係の記事は5件だった。昨年1年間の月あたり平均が7件、昨年1月が6件だったので、少なめだった。

テーマ別では、政治関係が1件、経済関係が3件、社会関係が1件。

政治関係の1件は、22日に行われたクレムリンでの日露首脳会談。ロシアは、日米関係が悪化する中、北方領土問題をエサに日本に接近し、日本との政治的な関係強化を狙っていると23日に報じた。

経済関係のニュースは、ゴーン氏関係が2件、日銀の政策維持決定が1件だった。
ゴーン氏関係のニュースは、11月の9件、12月の3件に続くもので、この件に関するWSJの報道はこれで14件となった。
8日にゴーン容疑者氏が公開の法廷に姿を見せたが、WSJはこのニュースを同日8日の1面で速報した。日本のメディアも追い越し、世界で最も早く報道したらしい。
翌日9日には、社説でも取り上げ、ゴーン氏の意見陳述は、日本の検察のこれまでの説明よりも、ずっと説得力があったとして評価した。

社会関係では、大晦日に、横浜からハワイに向かっていた商船三井が運営する車運搬船での火災発生を、2日に速報した。4人が重体、1人が行方不明であること、米沿岸警備隊が救助にあたっていること、引き船の到着にはまだ数日かかることなどを伝えた。

掲載箇所では、社説が1件、国際面が4件だった。

Wednesday, January 23, 2019

日米関係が揺らぐ中プーチン大統領は日本に接近【A6面(国際面)】

22日午後安倍首相はクレムリンで会談したが、WSJはこのニュースを翌日の国際面で速報した。



【要約】 ロシアは、日米関係が悪化する中、北方領土問題をエサに日本に接近し、日本との政治的な関係強化を狙っているとしている。「プーチン大統領と安倍首相との会談はこの3ヶ月で3回目」だとし、トランプ大統領の対日強硬姿勢に乗じて、プーチン大統領が日本に急接近していることに危機感を表している様に読める。

***** 以下本文【WSJ記事全文の和訳】 *****
ロシアは70年間未解決の領土問題を利用して日本に接近しているが、この狙いは、ロシアにとって非常に価値のある成果を得ることにある。それは、同地域で米国の最大の同盟国の1つである日本に政治的に食い込むことだ。
ロシアのプーチン大統領は日本の安倍首相とモスクワで会談した。この3ヶ月で3回目の会談となる。しかし安倍首相にとって念願の北方領土問題解決の可能性は極めて低いままだと、専門家はみている。
「戦後70年にわたって未解決のこの問題を解決することは簡単ではありません。」と火曜日のプーチン大統領との会談の後、安倍首相は語った。
「ロシアの幹部は、この問題を未解決のままにしておいて、日本との交渉に利用することが、ロシアに有利に働くと考えている。」と東京のテンプル大学の日ロ関係専門家のジェームズ・ブラウンさんは言う。
ここ数年、プーチン大統領は日本と会談するたびに成果を収めてきた。ウクライナ紛争後のG7諸国によるロシアへの制裁の際も、日本の制裁はG7の中で最も弱いものだったし、昨年ロシアのスパイであるセルゲイ・スクリパル氏とその娘がイギリスで毒殺された際にも、日本はG7の中で唯一外交官を引き揚げなかった。
会談は、日米関係が非常に不透明になる中で行われた。
安倍首相はトランプ大統領のご機嫌を損なわない様に振る舞ってきたが、トランプ大統領の貿易に関する不満によって、日米関係は悪化している。
ロシア政府報道官であるドミトリー・ペスコヴ氏は今週、早急な解決は期待出来ないと述べた。北方領土の所有権問題により、ロシアと日本は第二次世界大戦後の平和条約を締結出来ないままでいる。会談後、プーチン大統領も安倍首相もこの問題に進展があったか明らかにしなかった。

日銀金融緩和策を維持【A7面(国際面)】

日銀は23日まで開いた金融政策決定会合で、今の大規模な金融緩和策を維持することを決めたが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



 金融緩和策を維持しつつ、物価見通しを下方修正するということは、2%の物価目標達成が困難であることの示唆だとしている。

***** 以下本文 *****
水曜日に、日銀は、物価見通しを下方修正したが、金融緩和策は維持するとした。2%のインフレ達成を急がないということだと思われる。
金融政策決定会合は2019年の最初の会合で、短期金利をマイナス1%に維持し、10年物国債の目標利回りをゼロで維持することを決定した。一方で、今後2年間のインフレ予測を下方修正した。
日銀は、超低金利を長期にわたって維持し、10年物国債の利回りをより柔軟に変動させるとした。

Wednesday, January 9, 2019

「不思議の国」のカルロス・ゴーン【A16面(社説)】

8日にゴーン氏が法廷で意見陳述書を読み上げ、無罪を主張したが、WSJはこのニュースを9日の社説で取り上げた。

【要約】ゴーン氏の意見陳述は、日本の検察のこれまでの説明よりも、ずっと説得力があったとして評価している。その上で、検察がゴーン氏の主張を今後どの様に覆していくのかに関心を寄せているとしている。ゴーン氏の理不尽とも言える長期拘留が許されている背景には、ルノーと日産のアライアンスを解消したいという日本政府の思惑があるとし、また、こうした日本側の理不尽な動きを容認しているフランス政府には、ルノーと日産のアライアンスを維持するために、日本との関係を悪化させたくたいという思惑があるとしている。企業間のアライアンスの問題なら裁判所ではなく、企業の取締役室で議論すべきだとした上で、日本もフランスも、アライアンスに関する国益のために、無罪のゴーン氏が有罪になることを容認しようとしているとして、痛烈に批判している様に読める。

***** 以下本文【WSJ記事全文の和訳】*****
日産自動車カルロス・ゴーン前会長は8日、ようやく日本の法廷で10分間の時間を与えられた。検察側の勾留の理由は昨年1119日の逮捕時と大差ないようだ。「不思議の国のアリス」の言葉を借りれば、国際ビジネス史上で最もおかしな案件は「ますます奇妙」になりつつある。
読者の方々には、この不思議の国のアリスのたとえはお分かり頂けるだろう。「判決ありきで、評決は後」という考えがゴーン氏の訴訟手続きに見られることは間違いない。日産を救済して国民のヒーローとなった人物が、報酬を誤って報告したというそれだけの理由で、正式に起訴されたのだ。彼は、既に7週間も拘留されている。検察が取調べを必要とする容疑を積み上げれば、日本の法律のもとでは、検察はゴーン氏を更に長期間、拘留することが可能だ。
世界中が学んでいる通り、日本の検察のやり方は、起訴の後、裁判で検察の証拠を弁護側がきちんと検証するといったものではない。日本では、検察は被告を拘束して、被告が自白するまで、弁護士抜きで取り調べをする。裁判は形式的なものに過ぎず、裁判が開始された時点で既に罪は決まっている。
検察にとっての問題は、ゴーン氏が何も悪いことはしていないとして、自白を拒絶していることだ。ゴーン氏の日本の弁護士は、月曜日に、日本ではあまり使われない司法手続きに打って出た。この手続きにより、ゴーン氏は裁判官の前に姿を現し、彼が無罪だとする意見陳述書を読み上げることができた。検察が公にしている証拠に比べて、彼の陳述書の方が説得力があった。
「検察による訴追は全く誤っています。私は、開示されていない報酬を日産から受け取ったことはありませんし、日産との間で、開示されていない確定額の報酬の支払いを受けるという法的な効力のある契約を締結したことも一切ありません。」とゴーン氏は法廷で述べた。
ゴーン氏は、「報酬」という言葉を、もし自動車業界の幹部に支払われる国際的な標準にそって日産からゴーン氏への支払いが行われたとした場合に、ゴーン氏が支払われていた額という、概念的に意味合いで使っている。国際的な標準から見ると、ゴーン氏は十分な報酬を受け取っていなかったということは、誰もが知っている。フォードとGMはどちらもゴーン氏を日産から引き抜こうとした。
ゴーン氏は、開示されていないいかなる金額についても、日産と確定した契約を結んでいないとしている。退職後の報酬に関する日産から提案のドラフトは、内部と外部の弁護士が中味を精査したことはあるが、契約としては成立していないと彼は言った。契約もなく支払もされていない報酬を開示しなかったことについて、検察がどの様に犯罪を立証するのか注目されるところだ。
ゴーン氏は、他の2つの疑惑についても、意見陳述を行ったが、納得のいくものだった。日産は、ゴーン氏が日本円とドルの変動を乗り切るために結んだ為替スワップ契約に対する担保を、当時CEOであったゴーン氏のために、提供した。彼は、日本円で報酬を受け取っていたが、海外での支払いはドルで行われていたからだ。その後、為替スワップ契約の主体はゴーン氏に戻され、日産は損失を被らなかった。
検察はまた、ゴーン氏は日産にその長年のパートナーであるジュファリ社に支払いを行わせたが、その支払いはジュファリ氏がゴーン氏に行った個人的なビジネスに対する見返りだとみている。しかし、ゴーン氏もジュファリ氏も、このジュファリ氏への支払いは、日産が大きな便益を得た重要なサービスに対する適切な報酬だったとしている。
裁判所は、今週末までにゴーン氏の保釈要求に対して採決を行う見込みだ。しかし、採決が行われたとしても、検察は新たな疑惑をあげて、それを理由にさらに彼を拘留し続けることだろう。検察は、ゴーン氏には逃亡のリスクがあり、証拠を隠滅する恐れがあるとしている。しかし、これまでのところ、検察は十分な証拠を持っていない。では、何を隠滅するおそれがあるというのか?
拘留が長期化するにつれて、ゴーン氏を会長職から解く様にというルノーへの圧力は高まっている。ルノーは日産や三菱自動車とアライアンスを組んでいる。そのため、日本のイライラも高まっている。ゴーン氏への理不尽とも言える取調べは、ゴーン氏が作ったこのアライアンスを潰そうという日本の陰謀だというのが、妥当な推測ではないか。また、フランス側も日本のゴーン氏の取扱いに表だって文句を言って騒ぎ立てる様なことはしていない。このことは、フランスは、フランスの自動車業界を救うためにゴーン氏がやってきた努力に対してよりも、アライアンスの維持により感心があるということだろう。
こうした全てのことは、裁判所で取り扱われるべき問題ではなく、企業の取締役会室で扱われる問題ではないか。にもかかわらず、ゴーン氏は、レッドクイーンの裁判の様なこの訴訟についてどう戦うか、(企業の執務室ではなく)拘置所の中で考えている、
(注:日本人にとって分かりにくい部分は、意訳をしたり、必要に応じて言葉を追加したりしています。)

Tuesday, January 8, 2019

ゴーン氏は陳述書で無罪を主張【A1面】

8日、ゴーン容疑者氏が公開の法廷に姿を見せたが、WSJはこのニュースを同日の1面で速報した。日本のメディアも追い越し、世界で最も早く報道したらしい。


 出廷時のゴーン氏の様子について、「彼は、手錠をかけられ、腹の周りをロープで縛られ、サンダルをはかされていた。」とし、日本の司法制度が前近代的であることを印象付るけ一方、ゴーン氏は、いわゆる「死のテスト」などを引用して、論理的に、彼の容疑を否定したことを伝え、非論理的な検察と論理的なゴーン氏を浮き彫りにしている。また、ゴーン氏は、GMやフォードから高額の報酬でリクルートされたが、日産の立て直しを優先して、これらのオファーを断ったことも報じ、ゴーン氏が日産への忠誠心が高かったことも示唆している。

***** 以下本文*****
スケッチにある様に、ゴーン元会長は出廷し「私の容疑がいわれのないものであることを明らかにしたい。」と述べて、検察に反論した。これは、彼が1ヶ月以上前に逮捕されて以来、初めての公の場での発言だ。
64才のゴーン氏は、自動車業界で最も有名な経営者の1人だ。彼は手錠をかけたまま東京地裁に入ったが、以前に比べて痩せて、白髪が増えた様に見えた。そして、彼の経歴を台無しにした容疑について、11つ否定していった。
彼は、報酬について適切に報告したと述べた。そして、支払いを遅らせることによって数千万ドルもの報酬を隠そうとしたという疑惑について否定した。また、日産に友人に対する支払をさせたのは、ビジネスの対価を支払うためで、自分の金銭問題を補填させるためではなかったとも述べた。
「私は、根拠のない告発によって不当に非難され、不当に拘束された。」と弁護人によって明らかにされた意見陳述書の中で彼はで述べた。彼は法廷でもこの意見陳述書を読み上げた。
ゴーン氏の弁護人は、日本国憲法によって保障されているゴーン氏の拘留理由を知る弁護人の権利について言及し、勾留理由の開示を東京地裁に請求した。勾留理由開示の手続きの中で多田裕一裁判官は、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると理由を開示した。「拘留の必要があると判断した。」と多田裁判官は述べた。
ゴーン氏は、1119日に逮捕され、東京拘置所へ送られた。彼の共犯者とされる日産元取締役ケリー氏は、クリスマスの日に保釈された。ケリー氏は疑惑を否定した。
ゴーン氏は、日本時間午前10時半に、黒いスーツでネクタイは付けずに法廷に入った。彼は、手錠をかけられ、胴回りをロープで縛られ、サンダルをはかされていた。
裁判所によれば、14人の一般傍聴人の定員(この中にマスコミは含まれていない。)に対し、1,000人以上の人々が傍聴のため入廷を希望した。
ゴーン氏は、1210日に日産の財務報告書に報酬を正確に申告しなかった罪で起訴された。検察は、ゴーン氏は報酬の1部を後払いとし、意図的に報告しなかったとみている。
ステートメントの中で、ゴーン氏は、将来の支払いについての話し合いは続いていたが、契約が確定するまでは、日産は彼にいかなる支払もする義務はない。契約は確定していないと彼は述べた。日本の法律では、金額が明確になった時点で、報酬を開示する必要が生じる。
彼は「死亡テスト」と言われているものを引用した。つまり、もし彼が今日死んだとしたら、彼の相続人が日産に対して、彼の退職慰労金以外の金額の支払いを求めることができるかということだ。「答えは明らかにノーだ。」と彼は述べた。
ゴーン氏は、また、金融危機の際に、ゼネラルモーターズから勧誘を受けたと述べた。また、フォードからもリクルートされたとも述べた。但し、こうしたオファーを彼は受けなかった。彼の正当な報酬額のベンチマークとして、彼はこの2社を使っていた。
この報酬についての疑惑に加えて、検察は、ゴーン氏を特別背任罪の疑いで調べてきた。特別背任罪とは、経営幹部がその地位を利用して私服をこやすことを意味する日本の法律に規定された犯罪だ。

Wednesday, January 2, 2019

火災で車運搬船が太平洋上で航行不能に【A6面(国際面)】

大晦日に、横浜からハワイに向かっていた商船三井が運営する車運搬船で火災が発生したが、WSJはこのニュースを2日の国際面で速報した。


 4人が重体、1人が行方不明であること、米沿岸警備隊が救助にあたっていること、引き船の到着にはまだ数日かかることなどを伝えている。

***** 以下本文*****
太平洋の真ん中を航行する日本所有のハワイ行き車運搬船で、水曜日に、火災が発生した。米沿岸警備隊によれば、4名が重体で1人が行方不明。
シンセリティーエース丸は三井OSKラインが運営する運搬船だが、同船の船長は、大きな火災が発生し、鎮火しようとしたものの難しいと判断したので、船から脱出するとレポートした。
船長を含む16人の乗組員は、近くを航行中の商業船によって救出された。
沿岸警備隊によれば、残る5人の乗組員のうち、4人は意識が無く、船に引き上げるための救出装置を握れない状態だ。1名は、未だに行方不明のままだ。
行方不明の乗組員の捜索は続いている。沿岸警備隊は、救助隊が乗った2機の航空機を現場へ派遣、米海軍機も1機、日本の米海軍基地から急行した。
火災は、大晦日に、ハワイ・オアフ島北西2,070マイル、日本との中間地点で発生した。
650フィートのこの船は、日本の正栄汽船会社が管理するものだが、横浜からホノルルに向かう途中で航行不能となった。所有者は、船を救出するために引き船を現地に向かわせた。
「船では未だに火災がおさまらない。」と、ホノルルの沿岸警備隊の広報官であるサラムーアは水曜日に語った。「今日の天候は、以前に比べると良いが、引き船が到着するには、まだ数日かかる。」
シンセリティーエース丸の救助には、5隻の商業船が関与した。