Saturday, December 31, 2016

** 2016年のまとめ **


2016年のウォールストリートに掲載された日本関係の記事は115件だった。2014年の180件に対しては激減だが、2015年の110件に対しては微増だった。




テーマ別では、政治関係が49回(2015年:39回、2014年:75回)、経済関係が38回(2015年:40回、2014年:62回)、社会関係が28回(2015年:31回、2014年は43回)。経済、社会関係は、2年連続して減少だが、政治関係は昨年に比べると増加に転じた。

5月の伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問以降、安倍首相の積極的な外交が繰り返し報道された。5月のロシア訪問、10月の日本でのフィリピン・ドゥテルテ大統領との会談、11月の日本でのミャンマー・スーチー国家顧問との会談、トランプ次期大統領との電話会談、12月の日本でのプーチン大統領との会談、真珠湾訪問などだ。女性の進出についても報道した。8月の小池百合子氏の都知事就任、稲田朋美氏の防衛大臣への任命、9月の蓮舫氏の民主党党首承認などだ。天皇陛下がテレビで生前退位の意向を示されたことを報道する記事と併せて、新しい日本を印象付ける記事だった。

掲載回数が多かったのは、5月(19回)、12月(18回)だった。5月はオバマ大統領の広島訪問、12月は安倍首相の真珠湾訪問が実現した月で、この2つのイベントが今年の日米関係のハイライトだった。特に5月は、原爆投下に関する読者や専門家からの多くの投稿が寄せられ活発な議論が交わされたのが印象的だった。一方で、8月の広島・長崎での被爆者慰霊式典、終戦記念日の時期に何の報道も無かったが残念だ。安倍首相が70年談話を発表した2015年には8件もの記事が掲載され、活発な議論がなされたが。


掲載箇所別では、1面が13回(2015年:15回、2014年:25回)、国際面が83回(2015年:87回、2014年:125回)意見欄が16回(2015年:7回、2014年:24回)、その他が3回(2015年:1回、2014年:6回)となっている。
1面、国際面は、2年連続で減少したが、意見欄、その他が昨年からは増加に転じた。

これらの115件の記事の中から1面に掲載された13件と、社説に掲載された9件の記事を詳細に分析し、昨年同様「WSJが選んだ2016年日本の十大ニュース」を、独断と偏見で選んでてみた。

重大ニュース10件は下記の通り。 順位は、1面トップ:5点、1面:3点、社説:2点、その他:1点として得点順。同点の場合は掲載回数と掲載順(掲載時期が早いものを上位)で決定
1位:  オバマ大統領広島訪問(11点、9回掲載)
2位:  安倍首相真珠湾訪問(11点、6回掲載)
3位:  日銀の政策限界に(11点、4回掲載)
4位:  日銀マイナス金利導入(8点、3回掲載)
5位: 東日本大震災から5年(7点、3回掲載)
6位: トランプ氏日米同盟批判(6点、5回掲載)
7位: 参議院選挙(6点、5回掲載)
8位: 日銀政策転換(5点、4回掲載)
9位: 東芝原発部門不振(3点、1回掲載)
10位: 孫正義氏、トランプ氏に接近(3点、1回掲載)

5月のオバマ大統領の広島訪問と12月の安倍首相の真珠湾訪問が1位、2位を占めた。(この2件で掲載回数15回)
また日銀関係の記事が3件(1月のマイナス金利導入、9月の政策大幅転換、年間を通して政策が限界になっていること)あったのが、特徴的。(この3件で掲載回数11回)
東日本大震災から5年経過(3月)、トランプ氏の日米同盟批判(4月以降)、参議院選挙(7月)の3件については、非常にきめ細やかな取材が印象に残った。(この3件で掲載回数13回)


ちなみに読売新聞の読者が選んだ2016年の重大ニュースの上位10は次の通り。
1位: 熊本地震、死者50人
2位: 東京都知事に小池百合子氏。築地市場の豊洲移転延期、五輪施設計画見直し
3位: リオ五輪、史上最多のメダル41個
4位: 天皇陛下、退位のご意向を示唆
5位: オバマ米大統領が広島訪問
6位: ノーベル生理学・医学賞に大隅氏
7位: 北海道新幹線が開業
8位: 相模原市の障害者施設で19人刺殺
9位: 18歳選挙権施行
10位: 「ポケモンGO」日本で配信開始

WSJ,、読売双方のトップ10に入っているのはニュースは「オバマ大統領の広島訪問」のみ(「安倍首相の真珠湾訪問」は年末だったので、読売新聞では読者投票締切に間に合わず、番外で入っている。)、読売トップ10のうち、7件はWSJでも取り上げられたが、3位(リオ五輪で日本活躍)、7位(北海道新幹線開業)、10位(ポケモンGO日本で配信)の3件は取り上げなかった。

アメリカから見た日本と、日本からみた日本には、微妙な違いがあり、面白い。

*** 12月のまとめ ***

12月にWSJに掲載された日本関係の記事は5件。1月~11月までの1月当りの平均が8.8件だったので、平均を大きく上回った。18件という掲載回数は、5月の19件に次いで、今年2番目に多い。5月はオバマ大統領の広島訪問が9件を占めたが、12月は安倍首相の真珠湾訪問が6件を占めた。安倍首相の真珠湾訪問は28日のI面トップを飾ったが、CNNもこのニュースをトップで伝えていた。




テーマ別では、政治関係が10件、経済関係が5件、社会関係が3だった。

政治関係では、10件のうち、安倍首相の真珠湾訪問関連の記事が6件、日露首脳会談の記事が2件。安倍外交に大きなスポットライトが当たった月だった。
安倍首相の真珠湾訪問が正式発表された翌日の6日にこのニュースを速報、真珠湾に到着した27日(日本時間)には国内面で速報、アリゾナで犠牲者を追悼した28日(日本時間)には1面、国内面、社説で取り上げ、更に29日には真珠湾訪問を含む最近の安倍外交の成果について触れた。いずれの記事でも安倍首相の対応を絶賛している。
一方、日露首脳会談は、15日の長門市での会談、16日の東京での会談のいずれも翌日の国際面で速報している。こちらは、したたかなプーチン大統領に安倍首相が手玉に取られたというニュアンスで、暗にプーチン批判を展開した。
また22日には、防衛費の5年連続増加を閣議決定した安倍首相を絶賛する記事を、29日には靖国神社を訪問した稲田防衛大臣に不快感を滲ませた記事を掲載した。

経済関係では、6日の1面で日本では政府が主要株主になっている(主要上場企業の実に30%で、日銀がトップ10株主に)といニュースを取り上げ、株価が不当に引き上げられているとして批判。
8日には、内閣府発表の7-9月期のGDP発表を受け、3四半期連続でGDPが成長したことを速報、また、20日には日銀が景気判断を上方修正したことを速報した。いずれも日本経済の明るい面に焦点を与えた記事だ。
29日には、ウェスチングハウスを買収した東芝が、原子力事業で減損損失が出る可能性があると発表したことを取り上げ、31日には、スプリントを買収したソフトバンクの孫正義会長が、トランプ次期大統領との関係を確立してT-Mobileの買収を画策しているとことを取り上げた。どちも、大型買収が注目を集めた会社だが、明暗が分かれている。

社会関係では、原発関係のニュースを2つ速報した。9日に「福島第一原発事故の処理費用が11兆円から倍増する見通しであるとこと」を、22日には「高速増殖炉もんじゅの廃炉正式決定」を、取り上げている。
17日には「JAXAが民間企業と協力して宇宙資源開発に参入する。」という明るい記事を掲げた。


掲載箇所では、1面が4件、社説が1件、国内面が2件、国際面が11件だった。久しぶりに多くの記事が1面を飾った。

スプリントの会長はトランプからの好意を求める【A1面】

12月28日にトランプ次期大統領は、スプリントが5,000人の雇用を米国に戻すと述べ、オーナーであるソフトバンクグループの孫正義社長を称賛したが、WSJはこのニュースを31日の1面で詳細に報道した。



孫正義氏が、トランプ大統領に近づいてその野望を実現させようとする姿が描かれている。
孫氏は2004年に米規制当局に阻まれ失敗に終わったT-Mobile買収に再度挑戦するために、権力者の指名権を握っているトランプ氏に近づいていると考えられるが、トランプ氏は買収への賛否について自身の考えを明確にしていない。
一方、トランプ氏は、孫氏が米国内で雇用を創出して、彼の選挙公約実現を助けてくれることを望んでいる。孫氏は50,000人の雇用を創出するとトランプ氏に約束したと言われており、今回の5,000人がその手始めになる。孫氏はその見返りにT-Mobile買収をトランプ氏にもちかけると考えれるが、孫氏も表向きはスプリントの再建に全精力を注いていて、買収に興味が無いフリをしている様見える。
日米のビジネス界の大物同士の腹の探り合いが面白く描かれた記事だ。

***** 以下本文 *****

スプリントの会長である孫正義が前回米国のテレコム規制から何かを得ようとした際には、うまくいかなかった。今回は、米国の権力者の交代によって、日本の大物は新しい機会があると見ている。
日本のビルゲイツと称される孫氏は、2014年にスプリントとそのライバルであるT-Mobileの合併を試みた際に、規制当局から冷たい扱いを受けた。この合併はその一年前にスプリントを買収する際の重要な判断要素だったが、彼はこの合併を諦めざるを得なかった。
59歳のソフトバンクグループを率い、数々の合併を実現させてきた彼は、ドナルドトランプ次期大統領という味方を得た。彼はトランプ氏に、500億ドルの投資を行い、50,000人の仕事を米国に創出すると約束した。この約束が実現すれば、トランプ氏は公約の一つを実現させることが出来る。スプリントは水曜日に5,000人分の仕事を創出し、孫氏が支援する衛星会社がアメリカに3,000人分の仕事を持ち込むと発表したが、この公約が実現に近づいたかたちだ。
「これはマサによってなされた。彼は凄い奴だ。感謝している。」とトランプ氏はフロリダ州パームビーチの自宅前で、孫氏のニックネームを使って言った。
ホワイトハウスに好意的な見方を作っておけば、スプリントやその親会社のソフトバンクは大きな便益を得ることが出来る。スプリントやソフトバンクはより大きな野望の実現を追求している。大統領として、トランプ氏は、孫氏が提案している合併を含むテレコム産業を監視する機関のトップを任命する。大統領は、海外からの投資を評価する機関のトップも指名する。海外からの投資は、国の安全保障についての懸念を増加させる。
トランプ氏は合併についてどの様な反トラストの基準を適用するかについて、幾つかの異なった考えを示している。彼は、選挙運動中に、AT&Tによるタイムワーナーの買収を阻止すると約束した。しかし、テレコム業界内では、経営幹部たちは、トランプ政府は合併により寛容だろうという楽観論を示している。こうした異なった考え方が、孫氏がT-Mobile買収に再度挑戦し、AT&Tとベライゾンというトップ2社の携帯会社に戦いを挑むことが出来るかという問いを頻発させている。
孫氏に近い何人かの人々は、新たにT-Mobileの買収について動いてはいないと言っているが、同時に将来そうする可能性を排除してはいない。今のところ、孫氏はトランプ氏に好印象をもってもらうために懸命になっているだけだ。
「何を失うっていうんだ。」とこのうちの一人は言う。「トランプ氏は我々が得たものほど、オープンではないだろう。」
関係者によれば、12月のトランプタワーでのミーティングの前に、孫氏はアドバイザーに対して、トランプ氏には次のように語ると伝えた。2014年にアメリカの携帯業界に投資をしてT-Mobileを買収することにより仕事を創出しようとしたが、規制に阻まれた。
孫氏のアドバイザーによれば、トランプ氏はFCC長官のトムウィーラー氏に比べて、彼を暖かく迎え入れてくれた。トムウィーラー氏は4社によって独占されている携帯業界での更なる合併には明確に反対している。民主党によって指名されたウィーラー氏は、トランプ氏が就任した際には、退任するつもりだと述べている。
孫氏のアドバイザーによれば、彼は将来のT-Mobile買収について、トランプ氏に提案する予定は無いと語っていた。ミーティングにおいて、2人の間にどんな会話があったのかは、明らかにされていない。
2014年のT-Mobile買収に失敗して落胆した孫氏はスプリントの売却も考えた。しかし、買手を見つけられないと語った。そのかわりに、彼はスプリントをより良い会社にすることに集中した。当時、スプリントは契約者の減少、大きな負債、8年連続の損失計上に苦しんでいた。
こうした努力が実って、スプリントはいまや買収しなくても生きていける様になった。11月末にCFOのテレックロビアティは、スプリントはまず自分自身のビジネス立て直しに集中すべきだと述べた。「我々は、より大きな合併を許容する政策の変更がなされるか注視しています。」とロビアッティ氏は述べた。更に、「経営陣は、スプリントの立て直しに全精力を注いでます。」とも述べた。


Thursday, December 29, 2016

防衛大臣が戦争神社を訪問【A7面(国際面)】

12月29日に稲田防衛大臣が靖国神社を訪問したが、WSJは同日の国際面でこのニュースを速報した。



稲田防衛大臣を国家主義的思想の持ち主と紹介し、真珠湾での慰霊式典からの帰国直後の訪問に戸惑っている様に読める。

***** 以下本文 *****

日本の防衛大臣が、今週行われた1941年の真珠湾攻撃の慰霊式典からの帰国直後に(靖国)神社を訪問した。この神社は、日本の近隣諸国が日本の過去の軍国主義を増幅させるものだとしている。
テレビが報じるところによれば、稲田朋美防衛大臣は、木曜日の朝、東京にある靖国神社を訪問した。この神社は、戦犯を含む戦争犠牲者を祀っている。
日本の政治家による靖国神社訪問は、常に中国や韓国の怒りを買っている。両国は、この場所は、日本が戦争による侵略について十分に反省する意思のないことを示していると主張している。
稲田氏は、その国家主義的な思想と、靖国神社への頻繁な訪問で知られている。

日本は新しい外交の時代を見据える【A7面(国際面)】

安倍首相は日本時間12月28日に真珠湾を訪問したが、WSJはこの訪問に関連して、安倍首相の外交方針についての記事を29日の国際面に掲載した。



まず、安倍首相の真珠湾訪問を彼の最高の業績(his highest-profile move)として絶賛している。その上で、韓国との慰安婦問題、ロシアとの領土問題など、戦後日本が未解決のまま引きずってきた難しい問題に精力的に取り組んでいると評価。また、米国との間の戦後の問題も、2015年の米国議会での演説から初めて、今回の真珠湾攻撃に至るまで戦略的に取り組んできたことを紹介している。トランプ次期大統領と、大統領選挙後初めてあった海外のリーダーであることも紹介していて、安倍首相の外交姿勢を高く評価している様に読める。

***** 以下本文 *****

日本の安倍首相の真珠湾訪問は彼の業績の中でも最も評価されるべき業績だ。中国や北朝鮮からの脅威が明らかになり、新しい経済や安全保障面での問題が出現する中で、安倍首相は第二次世界大戦の遺産を払拭しようとしている。
安倍首相の外交面でのパートナーシップ強化の取り組みの中には、昨年韓国と慰安婦問題解決にむけて締結した合意もあげられる。日本帝国軍によって、韓国の女性が強制的に売春をさせられたという問題だ。安倍首相は、膠着しているロシアとの領土問題をなど、その他の第二次世界大戦に起因する問題を解決しようと努力している。
日本にとってアメリカとの関係以上に重要な関係はない。アメリカとの関係は、日本が攻撃された場合にアメリカが日本を防衛するという二ヶ国間での条約に規定されている。また、アメリカは日本にとって中国に次ぐ2番目に大きな貿易パートナーだ。
ドナルドトランプの11月の選挙運動中にこの2ヶ国関係の強さについての懸念が渦巻いた。トランプは、選挙運動中に、日本を貿易上の敵と位置づけ、アメリカの軍事上の保護から不当に利益を得ているとした。
今月行われた世論調査では、約40%の日本人が日米関係は悪化するとみている。この数値は、2004年に調査を始めて以来最大だ。
安倍首相は火曜日のスピーチの中で、日米の親密さについて何度も強調した。
彼は「我々を結び付けるのは、和解の力です。」と強風の吹く真珠湾でのセレモニーで述べた。真珠湾での日本の奇襲が、75年前に米国との戦争につながった。彼は「ここで位犠牲になった方々の御霊に対して心からのそして永遠の哀悼の意」を表した。
ワシントンのシンクタンクであるヘリティッジファウンデーションの創設者でトランプ氏のアドバイザーでもあるエドフルナー氏は、安倍首相の訪問を日米同盟の強さを大いに示すものだとし、更にトランプ次期大統領は日米関係の重要性を理解しており、日本と緊密に仕事をしていくと付け加えた。
フルナー氏は、このコメントはあくまで個人的なもので、トランプ氏の移行チームのコメントではないと強調した上で、「我々は信頼できず、常軌を逸した中国との問題に今後共取り組まねばならず、その意味で日米関係は特に重要だ。」と述べた。
中国は安倍首相の訪問について、冷たい反応をみせた。この訪問により、日本が戦争の歴史から一歩を踏み出すことが出来るかとの問いに対し、外務省のスポークスウーマンのフアチャニングは「ただ単に真珠湾を訪問したから全てが清算されるというのは、願望にすぎない。中国こそが第二次世界大戦の主戦場であったことを忘れないで欲しい。」と述べた。
安倍首相は2015年4月に米国議会で共同セッションを行ったが、それが米国の戦争への記憶を和らげるための最初の一歩だった。そこで彼は演説を行い、アメリカの戦死者に対する深い哀悼の意を表した。
5月にはオバマ大統領が広島を訪問した。広島は、世界で初めて原爆が投下された場所だ。
米国の現職大統領による初めての訪問について、その時はトランプ氏は批判的だった。「オバマ大統領は、日本滞在中に真珠湾での奇襲について話し合ったのか?」とトランプ氏は5月29日のツイッターで述べた。
安倍氏は素早くトランプ氏を巻き込んだ。安倍氏は、トランプ氏が選挙戦に勝利した後、次期大統領であるトランプ氏と会った最初の海外のリーダーだ。
日本の関係者によれば、日本のリーダーは、就任直後にトランプ氏と会談することによって、協力のメッセージを国内に印象付けることを狙っている。

東芝は原子力事業への賭けが高価だったと分かり難しい状況に【A1面】

12月27日に東芝は2017年3月期に米国の原子力発電事業で数千億円(数十億ドル)規模の減損損失が出る可能性があると発表したが、WSJは29日の1面でこの記事を大きく報じた。



米国子会社のウェステインハウス(Westinghouse)が、納期遅れとコスト高で多額の損失を発生させる可能性が大きいと報じているが、この問題はAreva SA, GEなどを含む原発産業全体に共通して発生している問題だとしている。現在、世界で建設中の54の原子炉のうち33でスケジュール遅れが発生しているし、コストを下げようとする様々な取組みもうまくいっていないそうだ。また、コスト増のリスクを電力会社とベンダー(ウェスティンハウスなど)の間でどう分担するかという難しい問題もある。多くのステークホルダーが絡む原発ビジネスの難しさについて考えさせられる記事だ。

***** 以下本文 *****

2006年にウェスティンハウスの54億ドルでの買収に成功した時、東芝は世界的な原子力発電の復活から大きな利益を得られるはずだった。
今日、この買収が、長年繁栄してきたこの日本の巨大企業を沈ませる脅威となっている。コストがかかり過ぎ、世界中で原発を納期通りに納められず、投資家たちに近い内に数十億ドル単位での損失を計上するかもしれないと警告せめならない状況になっている。
東芝は、パニックとなった投資家たちが株を急ぎ売ったため、水曜日に市場価値の1/5を失い、株価は東京市場で午前中に16%下落した。
原子力事業の損失計上のニュースは、東芝が先に起きた会計スキャンダルから立ち直りかけた矢先に発生した。
「懸念がようやく静まりだしたところで、この予想しなかった事態が発生した。」と岡三証券のストラテジストのオガワヨシノリ氏は述べた。
セミコンダクタービジネスと、2017年3月に終わる今会計年度の最終利益の計上が確実という楽観的な見方から、東芝の株価は2月以降上昇していた。東芝のスポークスマンは株価の下落に関するコメントを拒否した。火曜日に東芝の幹部は、原子力ビジネスについて楽観的な見方を取っていた。
ウェスティンハウスの問題は、何故原子力ビジネスの世界的な成長の夢が減速しているのかを説明している。最近まで、同社は同産業のフロントランナーだと見られてきた。米国と中国の両方で、次世代原子炉の契約を獲得した唯一のサプライヤーだったからだ。
しかし、間違えと予期せぬ問題が、ウェスティンハウスとその競合であるAreva SAとGEによるプロジェクトをダメにした。
現在、13ヵ国で、54の原子炉が建設中だが、独立系の年次評価である世界原子力産業状況レポートによれば、33のプロジェクトが大きく遅れている。失敗が、場所、原子炉デザイン、建設コンソーシャムにかかわらず、プロジェクトに悪い影響を与えている。
建設費を下げ、建設のスピードを上げるために、ウェスティンハウスとその競合業者たちは、金太郎飴(Cookie-cutter)の原子炉デザインを採用した。このデザインでは、主要な部品は工場で作られ、原子炉建設現場に最終組み立てのために送られてくる。経費を増大させるカスタム化は行われない。
この戦略が逆効果となった。「サプライチェーンの問題が、ただ単に、原子炉建設現場から工場に移されただけだった。品質問題の根本的問題は解決されなかった。」とパリの原子炉専門家のマイクルシュナイダーは述べた。また、金太郎飴方式が意味するところは、欠陥が重複されることだった。
フランスではアレバが重要な部材をめぐって記録をごまかし、その部材がフランスやアメリカなどに使われたため、スキャンダルの対応に追われている。科学者は「原発のプロジェクトマネージャーは建設にかかる時間とコストをあまりに少なく見積もり過ぎていた。」と語る。
ウェスティンハウスは去年12月に、CB&I Stone & Websterを2億2,900万ドル(約3,300億円)で買収。
ウェスティンハウスと下請け会社は最近、CB&Iストーン・アンド・ウェブスターが手がけていた南部ジョージア州とサウスカロライナ州の原発建設現場で、建設の責任を引き取った。東芝の説明によると、関連会社の人員の作業効率が予想以上に悪かったことなどが、コストを膨らませた。
ウェスティンハウスは、原子力発電所に使われるユニットを構成する大きなモジュールを南部ルイジアナ州のレイクチャールズにある施設で作っていたが、それがうまくいかないため、CB&Iストーン・アンド・ウェブスターを買収した。
しかし、熟練の建設作業員の確保、品質の管理、さらに様々な厳しい原子力規制をクリアするための部材調達に必要なサプライチェーンの利用がうまくできなかった。
東芝の綱川智社長は会見で、この問題により数千億円の損失が発生する可能性があると述べた。東芝はアメリカと中国で現在、8つの原子力発電所を建設している。財政事情の悪化が完成に影響するのかどうかは明らかになっていないが、今回の発表では予想よりも状況が悪化していることが示された。
このうちアメリカでは、ウェスティンハウスはジョージア州とサウスカロライナ州で、電力会社のSouthernとSCANAが建設している原子力発電所に部材を納めてきた。
ジョージア州で進められているSouthernのVogtle3号機と4号機の現場では何ヶ月も前ら賃金が問題になっていたと、労働組合のIBEW (International Brotherhood of Electrical Workers) 第1,579支部の代表は指摘する。
彼によると組合員のうち約500人の電気技術者が現場で働いているが。組合は最近、これ以上雇用を増やさないこと、適正な人員を検証するという通知を受けたという。
Vogtleの原発をめぐって、電力会社のSouthernのTom Fanning最高経営責任者は、過去の過ちを繰り返さないことを強調していた。過去の過ちとは、膨らんだコストを原発のベンダーに代わって補償するというコストプラス契約をベンダーと締結してきたことだ。
代わりに、価格を固定する契約を通じて、自らが負担するコストを抑える努力をした。その結果、コスト増加のリスクの幾分かはベンダーに転嫁することができるという。
Sourhernの広報担当者は、この知恵は今週明らかになったと強調した。巨額の建設リスクをコントラクターに転嫁することで、電力会社のお客様を守ったというのだ。
一方、ペンシルバニア州ピッツバーグが拠点の電力会社SCANAは、電力発電所の建設に対する金銭的な影響を精査していて、近く報告するという。ウェスティンハウスはコメントを控えると回答した。

Wednesday, December 28, 2016

アジアのトランプの友人【A14面(社説)】

安倍首相は日本時間12月28日真珠湾を訪問したが、WSJは同日、この訪問に関連して、安倍首相の実績を絶賛し、トランプ次期大統領に日本との友好関係を維持する様に強く迫る社説を掲げた。

アジアの同盟国5ヶ国の中で、日本が最も優れた軍事力を持っているし、戦略的な思考をもつリーダーを擁しているとして、安倍首相の政治姿勢を絶賛している。安倍首相は、GDPの1%と極めて少ない軍事費を5年連続軍事費を増やしてくれているし、国民の大反対にもかかわらず、有事に同盟国を守れるように、集団的自衛権を行使可能にする法制を整えてくれた。さらに、インド、韓国、フィリピン、台湾など地域の民主主義の担い手と積極的外交を進めているとしている。その上で、今回の訪問により日本の価値をトランプ次期大統領に示すことができたとして、トランプ次期大統領に安倍首相の実績の評価を迫っている様に読める。(下記の和訳はWSJ日本語版に掲載された同じ記事から引用させて頂きました。)
***** 以下本文 *****
安倍晋三首相による27日の真珠湾訪問は和解の象徴だ。日米関係の重要性が増している現下の情勢が、今回の訪問をとりわけ劇的にしている。真珠湾攻撃から75年が経過し、北朝鮮の核兵器と中国の修正主義的な野望が太平洋地域に脅威を与えるなか、日本は米国にとって安全保障上の最重要パートナーだ。
 アジア太平洋地域で米国が同盟を結ぶ5カ国のうち、日本は経済規模が突出して大きく、最も優れた軍事力を持ち、最も戦略的思考を持つ政治的リーダーシップも有している。安倍首相は今回の真珠湾訪問でバラク・オバマ大統領による広島訪問に応えただけでなく、ドナルド・トランプ次期米大統領に対して日本の価値を示すことができた。トランプ氏は選挙期間中、日本が米国の安全保障にただ乗りしているかのように聞こえる主張をしていた。しかし、それに十分反論できる成果をあげていることを、安倍氏は自ら理解している。
 安倍氏は2012年に政権に返り咲いて以降、自国の防衛力を継続的に強化し、米国が両国共通の利益を追求しやすくなる環境を作った。抗議デモが道を埋め、国会では乱闘騒ぎが起こるなか、昨年には「集団的自衛権」を行使できるようにする安全保障関連法を成立させた。これは日本が攻撃の標的となっていなくても、自衛隊が武力を使って米軍や他の友好国を守れることを意味する。
 トランプ氏は選挙期間中、日本は米国が攻撃されても「自宅で座ってソニー製のテレビを見ているだけ」と批判したが、それはもう事実ではない。今や自衛隊は、米国を狙って発射された北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことも可能だ。英国海軍よりも規模が大きい海上自衛隊は、アジアの海で中国から手を出されそうな米国の船を護衛することもできる。
 日本はここ数十年にわたって防衛費を対国内総生産(GDP)比で1%程度に抑えている。その額は依然として少なすぎるが、安倍政権は防衛費を5年連続で増額させている。先週発表された2017年度予算案の防衛費は過去最大の5兆1000億円となり、2016年度当初予算比で1.4%増となった。この予算は米国と開発した新たなミサイル防衛システムや、潜水艦の数を現在の17隻から2021年までに22隻に増やす財源となる。海上保安庁の予算も16年度当初比12%増の20億ドル近く(約2350億円)に増額されている。
 日本はこれ以外にも、在日米軍5万4000人に年間17億ドルを支出している。これは駐留コストの約半分だが、仮にこの5万4000人を米国に戻せば費用はさらにかかる。また太平洋における米軍最大の建設プロジェクトの一部に対しても、日本は約180億ドルの支出を約束している。こうしたプロジェクトには尖閣諸島や台湾にも近い日本南部での新たな施設のほか、グアムの施設も含まれる。
 これらの意義をさらに高めているのが、安倍氏の精力的な地域外交だ。ナレンドラ・モディ印首相との友好関係は、アジアの強力な民主国家同士の戦略的関係を強化させた。また韓国との慰安婦問題をめぐる合意は、ミサイル防衛システムなど日米韓3カ国による前例のない協力関係に道筋を開いた。東南アジアへの働きかけは、中国からの脅威に弱い国々の経済面・軍事面での近代化を支援した。安倍氏は過激な発言で知られるフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領とも良好な関係を保っている。
 他にもまだある。安倍氏は台湾に好意を寄せている。また、長期にわたって保護されてきた国内産業への外資参入にも前向きだ。米国がどのようなアジア戦略を描くとしても、日本はそれに積極的に協力し、手を差し伸べられる状態にある。
 昨年の米議会での演説や今回の真珠湾への訪問を持って、安倍氏はこの事実を高らかに見せつけた。このことは称賛に値するだろう。11月のトランプ氏との会談も友好的なものに見えた。アジアの平和と発展にとって明るい兆しだ。

日本の首相の地味な訪問【A3面(国内面)】

安倍首相は、日本時間の12月28日に真珠湾を訪問したが、WSJは同日の国内面でこのニュースを大きく報道した。



訪問の様子を一通り伝えているが、特に両首脳が米国退役軍人の方々に異例ともいえる手厚い対応をしたことを詳細に取り上げており、両首脳の訪問が心がこもったものであったことを強調している。安倍首相の真珠湾訪問は、オバマ大統領の広島訪問と並んで、戦後75周年という節目の年に両国の首脳が成し遂げた偉業だと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****

オバマ大統領と安倍首相は、火曜日に歴史的で地味な真珠湾訪問を果たした。1941年の日本の攻撃によって犠牲となった2,400人以上のアメリカ人に慰霊を捧げた。
両首相はそれぞれ、アリゾナ記念館の壁に平和を祈ってユリを献花した。そこには、犠牲となったアメリカ人の名前が刻まれている。両首相はまた、沈没した船の上の海上に、ハワイの蘭を投げ入れた。
アリゾナ記念館への訪問は、現職の首相としては初めて。この訪問は5月のオバマ大統領の広島訪問と対にして考えられる。広島は1945年にアメリカが原爆を投下した場所だ。オバマ大統領も広島を訪問した最初の現職大統領だった。
火曜日のスピーチの中で、安倍首相は、オバマ大統領が広島で行ったスピーチの中で触れたテーマと同様のテーマに触れた。彼は、日本の奇襲による被害を認め、真珠湾を日米の和解の象徴だと述べたが、謝罪をするには至らなかった。
安倍首相は、アリゾナ記念館の対岸の埠頭にオバマ大統領と並び、「犠牲者の御霊が安らかに眠られることを祈ります。」と述べた。
「日本の首相として、ここで亡くなられた方々に、心からのそして永遠のお悔みを申し上げます。」と彼は述べた。「我々は戦争の恐怖を二度と繰り返してはなりません。」
オバマ大統領は安倍首相の訪問に感謝に意を表し、和解の力を示す歴史的な訪問だとした。
「我々の同盟はかつてない程強まっている。」とオバマ大統領は述べ、真珠湾はアメリカ人にとって神聖な場所だと述べた。
「ここで我々は共に、、戦争よりも平和によって得られるものの方が多いことを世界向かってに訴えたい。」とオバマ大統領は述べた。
日米両首脳による、日米両国の第二次世界大戦の戦没者慰霊施設への訪問は、いずれも真珠湾攻撃後75周年に行われた。
広島訪問の際、オバマ大統領は、1945年のアメリカの原爆投下による犠牲者の慰霊施設を訪れ、犠牲者の霊を弔った。アメリカによる広島と長崎への原爆投下は10万人以上の犠牲者を出したが、その直後の日本の降伏につながった。
「私は、この都市の真ん中に立って、原爆が投下されたその瞬間のことを想像せずにはいられません。」とオバマ大統領は広島で述べた。安倍首相は、オバマ大統領の広島訪問に同行し、オバマ大統領が広島を訪問されるのには勇気が必要だっただろうと述べた。
その際、「この悲劇は決して繰り返してはなりません。」と安倍首相は述べた。
火曜日に、スピーチの後、両首脳は、埠頭の小さな傍聴席に座っていた第二次世界大戦の退役軍人たちと握手を交わした。オバマ大統領は、聴衆とスピーチ台との間のバリケードにもたれかかって、そのうちの一人を抱きしめた。
大統領は、大統領記念コインを、高齢の退役軍人の手のひらに滑り込ませた。安倍首相は、跪いて、通訳を介して彼らと会話をした。
両首脳は、真珠湾訪問の前に代表団を交えて非公式会談を行った。両首脳は、大きな拍手の中会場を後にした。
安倍首相は、真珠湾を訪れた最初の首相ではない。しかし、アメリカの大統領と共に訪問したという点、1962年に建造されたアリゾナ記念館を訪問したという点では、最初の首相だ。



日本の首相が真珠湾の犠牲者に敬意を表する【A1面】

安倍首相は日本時間12月28日朝、真珠湾を訪問し真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊したが、WSJは同日の1面トップでこのニュースを速報した。


大きな写真を掲載している。

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オバマ大統領と安倍首相は、火曜日に1941年の真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。この攻撃では、2,400人以上が犠牲になった。

Tuesday, December 27, 2016

日本のリーダーが真珠湾訪問のために到着【A3面(国内面)】

安倍首相は、日本時間27日未明にハワイに到着したが、WSJは同日の国内面でこのニュースを速報した。


ケネディ駐日大使が出迎えたこと、吉田元首相も終戦直後に真珠湾を訪問したことなどを、写真入りで手短に報じている。

***** 以下本文 *****

月曜日に、ハワイの真珠湾ヒッカム共同基地で、ケネディ駐日大使が安倍首相を出迎えた。
安倍氏は火曜日にオバマ大統領と共に真珠湾を訪問する予定で、1941年の攻撃で犠牲となった海軍兵士や海兵隊員を祀った記念碑を訪れる最初の首相となる。日本の吉田元首相は日本の第二次世界大戦での降伏の6ヶ月後に真珠湾を訪問したが、その時にはUSSアリゾナ記念館はまだ出来ていなかった。

Thursday, December 22, 2016

日本は防衛費を増強【A10面(国際面)】

12月22日に平成29年度の予算案が閣議決定されたが、WSJは同日の国際面で、防衛費が5年連続増額されることを速報した。



日本の防衛費は過去最高になったはといっても、GDPの1%で約440億度ドル(5.1兆円)にすぎず、中国の防衛費(GDPの2%で日本の5倍)、米国の防衛費(GDPの3%で約6,000億ドル~日本の15倍近く!)に比べて少ないとしている。(日本の防衛の手薄さを補うために)米国は54,000人もの軍人を日本に駐留させ日本を守っている。それでも日本の世論は自国の防衛費支出には批判的で、その理由が米国が押し付けた平和憲法を多くの日本人が指示している(という矛盾)からだとしている。

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日本政府は、木曜日に、韓国や中国などからの脅威が増していることに対応するために、防衛費を5年連続増額することを閣議決定した。この費用にはミサイル防衛の増強や最新潜水艦などが含まれている。
中国が日本が支配している島への領有権を脅かし、北朝鮮がミサイルと核兵器開発に取り組む中、日本では過去数年間にわたって軍事費増強への圧力が高まっていた。今年は、4つの北朝鮮のミサイルが日本の北部の沿岸に落下した。
「日本を取り巻く安全保障上の環境はより深刻になっている。」と今月の記者会見で稲田防衛大臣は述べた。
4月に始まる会計年度の防衛予算は1.4%増えて、過去最高の5.1兆円(440億ドル)に達する。国会で承認されるのは確実だ。
この増加でも、防衛費はGDPの1%以内に収まる。過去20年間にわたって、日本は防衛費をGDPの1%以内に収めており、主要国では最低のレベルだ。
これに比べて、中国は防衛費にGDPの2%近くを使っており、ストックホルムの国際平和研究機構がまとめたデータによれば、その額が日本の5倍に当たる。米国が軍事費支出は世界で最も多く、2015年にはGDPの約3%で6,000億ドル近くに上る。
日本の軍事費支出は、米国の選挙期間中にも話題になった。トランプ氏が、米国の同盟国に、米軍支援のためにもっと支出する様に要請したのだ。米国は約54,000人の軍人を日本に駐留させ、相互防衛条約の下で、日本の防衛を助ける必要がある。
軍事費支出の増加は日本では問題になっている。なぜなら平和憲法があるからだ。この平和憲法は、第二次世界大戦後に米国によって押し付けられたものだが、多くの日本人に強く支持されている。

日本政府は実験炉を稼働停止へ【A11面(国際面)】

政府は12月21日に原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖炉もんじゅの廃炉を正式に決定したが、WSJは翌22日の国際面でこのニュースを速報した。



もんじゅは使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉だったが、燃料漏れ事故等を起こしたため、22年前の稼働開始以降、実際に運転出来たのは250日で、これ以上運転を継続するには膨大なコストがかかるとしている。

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日本政府は高速増殖炉の実験炉の廃止計画を正式に承認した。この実験炉は、日本のエネルギー需要に対する救世主となるという望みを叶えられないまま、数十年にわたって膨大な政府資金を浪費してきた。
日本政府は高速増殖炉もんじゅに約1兆円(約90億ドル)の費用をかけたが、22年前に稼働を開始してから、実際に運転したのは250日に止まっている。
この原子炉は、プルトニウムとウラニウムのミックスを燃やし、その過程でプルトニウムを生成し、それが更に多くのプルトニウムを生成する様に設計されている。稼働後数ヶ月で、冷却用のナトリウム漏れが発生し、1年間稼働を停止した。その後、更なる安全上の問題が発生している。
2011年の福島でのメルトダウン後に新しい安全基準が導入されたが、もんじゅがこの基準を満たすためには、非常に高額のコストがかかると試算されている。

Tuesday, December 20, 2016

日銀は景気判断を上方修正【A8面(国際面)】

日銀は120日の金融政策決定会合で、景気判断を上方修正したが、WSJは同日の国際面でこのニュースを速報した。 



現行マイナス0.1%の短期金利と同ゼロ%程度の長期金利を維持すること、景気判断上方修正の理由は輸出と生産の改善によることなどを報じている。

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日本銀行は景気判断を20155月以来初めて上方修正した。トランプ氏が選挙に勝利した結果、円安が進み心理状態が改善したことにより、より楽観的な見方が日銀の審議委員の間に広がったのが理由だ。
今年最後の金融政策決定会合の後、日銀は経済は緩やかな回復基調を続けていると景気判断を示した。以前は輸出と生産が低調だと言っていた。
日銀は、短期金利レート目標をマイナス1%10年国債の利回り目標をゼロに維持した。日銀は輸出と工業生産により強気で、両方の評価を上げた。

日本とロシアは4島の領有権紛争を解決できず【A10面(国際面)】

121516日に開催された日露首脳会談について、17日の国際面で大きな写真入りで速報した。



領土に対するロシアの頑なな態度を和らげるために、安倍首相は経済協力を推し進めたが、肝心の領土問題については全く進展が無かった報じている。会談後の安倍首相が強調した「新しいアプローチ」については全く触れられていない。

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日本とロシアは領土問題についての2日間の首脳会談を終えた。会談後両国は、3,000億円(25億ドル)に及ぶ2国間経済協力について発表したが、日本が求める領土問題についての進展はなかった。
日本の北にあり、ロシアが実効支配している4島について、日本は領有権を主張しているが、これに対しロシアは頑なにその主張を否定している。エネルギー、医療、運輸などの分野における経済協力は、こうしたロシアの頑なな態度を緩和するために、安倍首相が推し進めているものだ。
安倍首相は4島の領有権について大きく進展させると発言していたが、今回の計画はそこには遠く及ばないものだ。これらの4島は、第二次世界大戦終結時にソ連により占領され、現在ロシアはこの4島はロシアの一部だと考えている。
ロシアは、領土問題について妥協しないという点において、頑なに態度を変えなかった。
安倍首相とプーチン大統領(写真右)の2日目の会談後、両者は日本の元住民のビザなし渡航の拡大の可能性について言及した。

Saturday, December 17, 2016

日本は宇宙資源競争に参加【A10面(国際面)】

12月16日JAXAは月面での資源開発を目的に民間企業と協力していくことを発表したが、WSJは翌17日いこのニュースを速報した。



JAXAはispace社と組んで月の資源開発を目指すこと、月で発掘される水を酸素と水素に変えて燃料をして利用することにより宇宙探査機が重い燃料を持ち運ぶ必要が無くなることなどを紹介している。

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日本はロボット探査企業と協力して、月から資源を取り出す産業を実現するための青写真を作ることに合意した。これにより、より広範な宇宙探索が可能になる。
日本の宇宙開発を担うJAXAは金曜日に、東京に本拠を置くispaceと覚書を締結したと述べた。Ispaceによれば、月の資源を発掘し、輸送し、使用するための産業についての覚書だ。JAXAのスポークスマンはこの合意について認めた。
宇宙政策に係わる人物によれば、人間が長期間にわたって宇宙探索をするためには、資源発掘が必要だ。月の様な場所の水から得られる酸素と水素は燃料として使用可能だ。これにより、宇宙探査は重い燃料を減らすことが出来、打ち上げにかかるコストも下げることが出来る。

Friday, December 16, 2016

安倍首相はプーチン大統領との会談から成果をえられず【A8面(国際面)】

1215日に長門市で開催された安倍首相、プーチン大統領会談の初日の結果について、WSJは翌16日の国際面で速報した。



事前に安倍首相から領土問題が動くとの示唆があったので、多くの国民がこの会談に期待していたが、実際にはタフなネゴシエーターであるプーチン大統領から全く譲歩を引き出せなかったとしている。

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ロシアのプーチン大統領は日本との領土問題について殆ど譲歩をしなかった。プーチン大統領はトランプ次期大統領に好かれているが、今回の交渉結果は彼の妥協を許さない交渉スタイルをよく表している。
トップ会談の後、日本の安倍首相は、4島での共同経済開発についてプーチン大統領と話し合ったと述べた。これらの4島は、第二次世界大戦終結時にソ連により占領されて以来、日本が領有権を主張しロシアが実効支配している。
安倍首相は4島の領有権について大きく進展させると発言していたが、今回の計画はそこには遠く及ばないものだ。会談は、安倍首相のふるさとである長門市の温泉リゾートで木曜日に行われたが、安倍首相の事前の発言によりこの会談に対する期待が高まっていた
会談の2日目は金曜日に東京に移動して行われるが、2日目には一連の投資や経済協力についての発表があるとみられる。プーチン氏は木曜日の打合せの後、特に発言をしなかった。

Saturday, December 10, 2016

福島の処理費用は2,000億ドルに達する【A8面(国際面)】

経済産業省は129日、福島第1原発事故の処理費用が現状の約11兆円からほぼ倍増するとの試算を公表したが、WSJは翌10日の国際面でこのニュースを速報した。



福島第一原発の処理費用が22兆円に達し、その内訳が賠償費8円、除染費用6兆円、廃炉費用8兆円であることをコンパクトに伝えている。

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日本政府は金曜日に2011年の福島原発の処理費用が約2,000億ドルに達する見通しだと述べた。この金額は、先に発表された予測額の倍であり、同発電所のオペレーターのさらなるリストラ計画が必要になるだろう。
経済産業省は2011年の事故の影響を受けた地域への賠償額は8兆円(700億ドル)に達する見通しだと述べた。以前の見積もりでは5兆円だった。除染費用は4兆円から6兆円に増える見通しだ。同省が設置した有識者会議は、廃炉の費用は8円で、以前の予測の4倍に達すると述べた。
2011年の地震と津波によって引き起こされたこの事故では、福島第一原発の6つの原子炉のうち、3つがメルトダウンした。原発の近くに位置する幾つかの市町村は、放射能の影響で未だに立入禁止となっている。

Thursday, December 8, 2016

日本:経済はゆっくりしたペースで成長【A6面(国際面)】

内閣府は、128日に、日本の79月期GDP改定値を発表したが、WSJはこのニュースを同日の国際面で速報した。



日本の経済成長率はいぜん低いが、今年は3四半期連続で成長が続いており、これは過去3年間で最長記録だと伝えている。
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第三四半期の日本経済は、当初の予測より、かなりゆっくりした成長にとどまった。海外の不確実性、国内の賃金上昇の低さが、成長を妨げている。
木曜日の内閣府の発表によれば、7-9月期のGDPは年率換算で前四半期に比べて1.3%成長した。前回の予測は2.2%だった
この改定値は、世界第3位の経済規模を誇る日本の経済が2016年の最初の三四半期全てで成長したことを確定させた。成長率は低いが、この3年間で最も長い期間成長が続いている。
GDP改定値は新しい算式で計算された。新しい算式では、研究開発が組み込まれ、サービスセクターに重きが置かれている。

Tuesday, December 6, 2016

アジアでは国家が企業の主要株主に【A1面】

日本と中国で、国家が企業の主要な株主になりつつあるという記事が、1面に掲載された。



この記事よれば、日本では主要上場企業の30%で、日銀が株主トップ10に入っている。三菱電機の株式の約16.8%を、ユニクロを所有するファーストリーテイリングの株式の約13.5%を、工業用ロボットの製造者であるファナックの株式の約8.5%を日銀が所有していると推測されるそうだ。こうした動きは、投資家が企業ファンダメンタルよりも日銀の動きを見て投資する様になるし、企業幹部も(業績に関係なく株価が上がるので)迅速な企業問題の解決を怠る結果となり、市場にとって好ましくないとしている。実際のところ、日銀が10%の株式を保有する企業の株価収益率は平均より8ポイントも高いそうだ。

***** 以下本文 *****

世界で最も重要な二つの株式市場は新たな巨大投資家を得た。国家だ。
ウォールストリートが9月末のデータを分析したところ、日本の3つの主要株式インデックスを構成する会社の約30%でに、日銀が株主トップ10に入っている。6年前には市場における日銀のプレゼンスは微々たるものだった。
9月末の株主を分析したUSGグループの分析によれば、中国では上場企業の39%において、政府系投資ファンド2社が上位10株主に名を連ねている。
両政府はここ10年積極的な市場介入を行ってきたが、株式市場における政府の役割を示したこれらのデータには驚くべきものがある。公的年金ファンドや政府系ファンドは長い間大株主だった。しかし、国家による株式購入の新しい波は、その主たる目的が市場と経済を活性化させることにあるという意味でユニークだ。
トレーダー達はそうした国家による買い付けは、投資家が企業のファンダメンタルよりも、政府の行動を見て戦略を立てるので、迷惑だとしている。
国家による買い付けは、企業幹部に対する問題解決へのプレッシャーを軽減する。国家による買い付けがなければ、それらの圧力は企業の株式価格に重くのしかかる。また、最終的に国家はどの様に保有株式を売却するのかという疑問残る。長期的な展望に懸念を描く投資家は投資を避けるだろう。
「ギャンブルの世界での言葉で言えば、日銀は株式市場における最大の『鯨』となった。」とフランクリン・テンプルトン・インベストメントのテンプルトン・イマージング・マーケット・グループのエグゼクティヴ・チェアマンであるマーク・モビウス氏は最近のスピーチで語った。「多くの投資家が、企業ファンダメンタルではなく、日銀の毎日の買い付けに注目する様になってきている。」

日本と中国による株式購入は、世界中の中央銀行が既に保有している巨額の株式保有額を更に増やすものだ。
米国連邦準備銀行、欧州中央銀行、日銀は金利レートを引き下げるために数兆ドル規模で国債を保有している。欧州中央銀行と英国銀行も投資を活性化させるために企業債権を買い始めていた。スイス国立銀行は、約5,000億ドルの主に海外債権と$1,000以上の海外株式を保有しているが、いつまでも強いフランを何とか弱めようとして買い集めたものだ。

日銀は201012月に株式投資にリンクした上場投資信託の購入を開始した。7月には、毎年の上場投資信託の買い入れ目標を約6兆円へと引き上げた。11月には日銀による上場投資信託の買い入れ額は13兆円にまで膨れ上がった。日銀とモーニングスターから得たデータをウォールストリートジャーナルが分析したところ、これは日本の上場投資信託によって保有されている資金のおよそ2/3に当たる。
日銀はどの上場投資信託を購入したか明らかにしていないが、日本の主要株式指数である日経225、トピックス、JPX日経400にある会社を選び、株式指数での重みづけに従って購入株式数を決めていると推測される。それが上場投資信託で通常行われるやり方だからだ。
計算結果は概算だ。日銀は、株式指数にリンクした上場投資信託の重みづけが異なる、複数の時点で上場投資信託を購入しているのが理由の一つだ。
それでも、ウォールストリートジャーナルの手法をレビューしたアナリストは算出結果は規模感を伝えているとしている。日銀は、三菱電機の株式の約16.8%を、ユニクロを所有するファーストリーテイリングの株式の約13.5%を、工業用ロボットの製造者であるファナックの株式の約8.5%を所有していると推測されるのだ。
「日銀が上場企業の主要株主になることは、市場の原則に反するので、すぐに止めるべきだ。」とファーストリーテイリングの柳井正CEOは述べる。「彼らの間違いは、彼らが市場をコントロールできると考えていることだ。」
日銀はコメントを求められて、上場投資信託の購入によって、市場が大きく歪むことことはないという黒田晴彦総裁の発言したが、それ以上のコメントは拒否した。
シンクタンクであるNLIリサーチインスティトュートのチーフエクイティストラテジストであるイデシンゴ氏によれば、日銀が多くの株式を保有する企業では、その株価が収益に比して高くなる傾向があるという。10月末現在で、日銀が10%の株式を保有する企業の株価収益率は産業の平均よりも8ポイント高いと彼は言う。
「そうしたことは起こって欲しKなかったが、起こってしまった。とミルウォーキーにあるハートランドアドバイザーズでインターナショナルエクイティファンドを管理しているロバート・シャープ氏は言う。彼によれば、日銀の購入によって、市場に出回る株式数が減少し、取引が難しくなっている。

(以下は中国に関する記述なので省略します。)

日本の安倍首相が真珠湾を訪問【A6面(国際面)】

安倍首相は12月5日、12月26-27日に真珠湾を訪問すると発表した。WSJは、翌6日の国際面でこのニュースを速報した。



安倍首相の真珠湾訪問は、オバマ大統領の広島訪問に対比されるものであること、米国の退役軍人が好意的に受け止めていること、安倍首相はこの訪問により日米同盟の価値を再認識したいことなどを報じている。

**** 以下本文 *****

安倍首相は12月下旬に75年前の日本による攻撃による犠牲者を慰霊するために真珠湾を攻撃すると述べた。真珠湾を訪問する最初の首相となる。
この訪問はある意味5月のオバマ大統領の広島訪問に似ている。第二次世界大戦終結の9日前に原爆が投下された場所への米国大統領による最初の訪問だった。
安倍氏は米国と日本の戦争が始まった場所を訪問する。ルーズベルト大統領が不名誉な日として記憶にとどまるだろうとし1941127日に、日本の攻撃部隊が当時米国領だったハワイの真珠湾海軍基地を奇襲攻撃し、アリゾナを沈没させ、2,403人のアメリカ人の命を奪った。
東京の首相官邸で安倍氏はオバマ氏と真珠湾を訪問すると述べた。「これは犠牲者の御霊に祈りを捧げる訪問だ。」と安倍氏は述べた。「我々は2度と戦争の恐怖を繰り返してはならない。」
キャノングローバル戦略研究所のリサーチディレクターで元外交官の宮家邦彦氏によれば、安倍氏が謝罪する可能性は低いだろう。「この訪問は同盟が成熟したことによる自然な結果だ。」と宮家氏は述べた。
20154月の米国議会におけるスピーチで、安倍氏は真珠湾や他の第二次世界大戦での戦地について触れ、ワシントンの第二次世界大戦慰霊碑を訪れた時にこれらの戦地に思いを馳せたと語った。「深い後悔の念と共に、私はそこに立って静かに祈りを捧げた。」と安倍氏は語った。
オバマ氏も同様に広島を訪問した際に原爆投下について謝罪しなかったが、「我々は、あの恐ろしい戦争の弧の中で、またその前の戦争で殺された、全ての罪なき人々を追悼します。」と述べた。
日本の世論調査によれば、90%の人が広島訪問は良いことだったと述べた。そうした好意的な感情が、7月の選挙における安倍氏率いる連立与党の勝利につながった。
米国の退役軍人権利擁護団体は、その多くが第二次世界大戦の退役軍人で占められるが、安倍首相の真珠湾訪問のニュースを好意的に受け取っている。
「この訪問は傷をいやすものであり、日米同盟の強さと重要性を示すものだ。」とアメリカ最大の退役軍人権利擁護団体の1つであるAmvetsのナショナルエグゼクティブディレクターのジョー・チェネリー氏は述べた。
5月に退役軍人省によって集計された統計によれば、第二次世界大戦に参戦した約1,600万人のアメリカ人のうち約69万人が未だに生存している。
月曜日の発言で、安倍首相はハワイ訪問において日米同盟の価値について再確認したいと述べた。日米同盟は、選挙運動期間中にドナルドトランプ氏に疑問視された。選挙後はそうではないが。
「日米同盟は希望の同盟となりました。この同盟によって、日米両国はその強みを合体させ、様々な国際問題に対応することが出来ます。」と安倍氏は述べた。「その価値と重要性は、過去から現在そして未来にわたって変わることはありません。」
ホワイトハウスは声明を発表し、オバマ大統領は安倍氏と共にアリゾナ記念館を訪問し犠牲者に敬意を表するとした。