Tuesday, December 6, 2016

アジアでは国家が企業の主要株主に【A1面】

日本と中国で、国家が企業の主要な株主になりつつあるという記事が、1面に掲載された。



この記事よれば、日本では主要上場企業の30%で、日銀が株主トップ10に入っている。三菱電機の株式の約16.8%を、ユニクロを所有するファーストリーテイリングの株式の約13.5%を、工業用ロボットの製造者であるファナックの株式の約8.5%を日銀が所有していると推測されるそうだ。こうした動きは、投資家が企業ファンダメンタルよりも日銀の動きを見て投資する様になるし、企業幹部も(業績に関係なく株価が上がるので)迅速な企業問題の解決を怠る結果となり、市場にとって好ましくないとしている。実際のところ、日銀が10%の株式を保有する企業の株価収益率は平均より8ポイントも高いそうだ。

***** 以下本文 *****

世界で最も重要な二つの株式市場は新たな巨大投資家を得た。国家だ。
ウォールストリートが9月末のデータを分析したところ、日本の3つの主要株式インデックスを構成する会社の約30%でに、日銀が株主トップ10に入っている。6年前には市場における日銀のプレゼンスは微々たるものだった。
9月末の株主を分析したUSGグループの分析によれば、中国では上場企業の39%において、政府系投資ファンド2社が上位10株主に名を連ねている。
両政府はここ10年積極的な市場介入を行ってきたが、株式市場における政府の役割を示したこれらのデータには驚くべきものがある。公的年金ファンドや政府系ファンドは長い間大株主だった。しかし、国家による株式購入の新しい波は、その主たる目的が市場と経済を活性化させることにあるという意味でユニークだ。
トレーダー達はそうした国家による買い付けは、投資家が企業のファンダメンタルよりも、政府の行動を見て戦略を立てるので、迷惑だとしている。
国家による買い付けは、企業幹部に対する問題解決へのプレッシャーを軽減する。国家による買い付けがなければ、それらの圧力は企業の株式価格に重くのしかかる。また、最終的に国家はどの様に保有株式を売却するのかという疑問残る。長期的な展望に懸念を描く投資家は投資を避けるだろう。
「ギャンブルの世界での言葉で言えば、日銀は株式市場における最大の『鯨』となった。」とフランクリン・テンプルトン・インベストメントのテンプルトン・イマージング・マーケット・グループのエグゼクティヴ・チェアマンであるマーク・モビウス氏は最近のスピーチで語った。「多くの投資家が、企業ファンダメンタルではなく、日銀の毎日の買い付けに注目する様になってきている。」

日本と中国による株式購入は、世界中の中央銀行が既に保有している巨額の株式保有額を更に増やすものだ。
米国連邦準備銀行、欧州中央銀行、日銀は金利レートを引き下げるために数兆ドル規模で国債を保有している。欧州中央銀行と英国銀行も投資を活性化させるために企業債権を買い始めていた。スイス国立銀行は、約5,000億ドルの主に海外債権と$1,000以上の海外株式を保有しているが、いつまでも強いフランを何とか弱めようとして買い集めたものだ。

日銀は201012月に株式投資にリンクした上場投資信託の購入を開始した。7月には、毎年の上場投資信託の買い入れ目標を約6兆円へと引き上げた。11月には日銀による上場投資信託の買い入れ額は13兆円にまで膨れ上がった。日銀とモーニングスターから得たデータをウォールストリートジャーナルが分析したところ、これは日本の上場投資信託によって保有されている資金のおよそ2/3に当たる。
日銀はどの上場投資信託を購入したか明らかにしていないが、日本の主要株式指数である日経225、トピックス、JPX日経400にある会社を選び、株式指数での重みづけに従って購入株式数を決めていると推測される。それが上場投資信託で通常行われるやり方だからだ。
計算結果は概算だ。日銀は、株式指数にリンクした上場投資信託の重みづけが異なる、複数の時点で上場投資信託を購入しているのが理由の一つだ。
それでも、ウォールストリートジャーナルの手法をレビューしたアナリストは算出結果は規模感を伝えているとしている。日銀は、三菱電機の株式の約16.8%を、ユニクロを所有するファーストリーテイリングの株式の約13.5%を、工業用ロボットの製造者であるファナックの株式の約8.5%を所有していると推測されるのだ。
「日銀が上場企業の主要株主になることは、市場の原則に反するので、すぐに止めるべきだ。」とファーストリーテイリングの柳井正CEOは述べる。「彼らの間違いは、彼らが市場をコントロールできると考えていることだ。」
日銀はコメントを求められて、上場投資信託の購入によって、市場が大きく歪むことことはないという黒田晴彦総裁の発言したが、それ以上のコメントは拒否した。
シンクタンクであるNLIリサーチインスティトュートのチーフエクイティストラテジストであるイデシンゴ氏によれば、日銀が多くの株式を保有する企業では、その株価が収益に比して高くなる傾向があるという。10月末現在で、日銀が10%の株式を保有する企業の株価収益率は産業の平均よりも8ポイント高いと彼は言う。
「そうしたことは起こって欲しKなかったが、起こってしまった。とミルウォーキーにあるハートランドアドバイザーズでインターナショナルエクイティファンドを管理しているロバート・シャープ氏は言う。彼によれば、日銀の購入によって、市場に出回る株式数が減少し、取引が難しくなっている。

(以下は中国に関する記述なので省略します。)