Saturday, December 31, 2016

** 2016年のまとめ **


2016年のウォールストリートに掲載された日本関係の記事は115件だった。2014年の180件に対しては激減だが、2015年の110件に対しては微増だった。




テーマ別では、政治関係が49回(2015年:39回、2014年:75回)、経済関係が38回(2015年:40回、2014年:62回)、社会関係が28回(2015年:31回、2014年は43回)。経済、社会関係は、2年連続して減少だが、政治関係は昨年に比べると増加に転じた。

5月の伊勢志摩サミット、オバマ大統領の広島訪問以降、安倍首相の積極的な外交が繰り返し報道された。5月のロシア訪問、10月の日本でのフィリピン・ドゥテルテ大統領との会談、11月の日本でのミャンマー・スーチー国家顧問との会談、トランプ次期大統領との電話会談、12月の日本でのプーチン大統領との会談、真珠湾訪問などだ。女性の進出についても報道した。8月の小池百合子氏の都知事就任、稲田朋美氏の防衛大臣への任命、9月の蓮舫氏の民主党党首承認などだ。天皇陛下がテレビで生前退位の意向を示されたことを報道する記事と併せて、新しい日本を印象付ける記事だった。

掲載回数が多かったのは、5月(19回)、12月(18回)だった。5月はオバマ大統領の広島訪問、12月は安倍首相の真珠湾訪問が実現した月で、この2つのイベントが今年の日米関係のハイライトだった。特に5月は、原爆投下に関する読者や専門家からの多くの投稿が寄せられ活発な議論が交わされたのが印象的だった。一方で、8月の広島・長崎での被爆者慰霊式典、終戦記念日の時期に何の報道も無かったが残念だ。安倍首相が70年談話を発表した2015年には8件もの記事が掲載され、活発な議論がなされたが。


掲載箇所別では、1面が13回(2015年:15回、2014年:25回)、国際面が83回(2015年:87回、2014年:125回)意見欄が16回(2015年:7回、2014年:24回)、その他が3回(2015年:1回、2014年:6回)となっている。
1面、国際面は、2年連続で減少したが、意見欄、その他が昨年からは増加に転じた。

これらの115件の記事の中から1面に掲載された13件と、社説に掲載された9件の記事を詳細に分析し、昨年同様「WSJが選んだ2016年日本の十大ニュース」を、独断と偏見で選んでてみた。

重大ニュース10件は下記の通り。 順位は、1面トップ:5点、1面:3点、社説:2点、その他:1点として得点順。同点の場合は掲載回数と掲載順(掲載時期が早いものを上位)で決定
1位:  オバマ大統領広島訪問(11点、9回掲載)
2位:  安倍首相真珠湾訪問(11点、6回掲載)
3位:  日銀の政策限界に(11点、4回掲載)
4位:  日銀マイナス金利導入(8点、3回掲載)
5位: 東日本大震災から5年(7点、3回掲載)
6位: トランプ氏日米同盟批判(6点、5回掲載)
7位: 参議院選挙(6点、5回掲載)
8位: 日銀政策転換(5点、4回掲載)
9位: 東芝原発部門不振(3点、1回掲載)
10位: 孫正義氏、トランプ氏に接近(3点、1回掲載)

5月のオバマ大統領の広島訪問と12月の安倍首相の真珠湾訪問が1位、2位を占めた。(この2件で掲載回数15回)
また日銀関係の記事が3件(1月のマイナス金利導入、9月の政策大幅転換、年間を通して政策が限界になっていること)あったのが、特徴的。(この3件で掲載回数11回)
東日本大震災から5年経過(3月)、トランプ氏の日米同盟批判(4月以降)、参議院選挙(7月)の3件については、非常にきめ細やかな取材が印象に残った。(この3件で掲載回数13回)


ちなみに読売新聞の読者が選んだ2016年の重大ニュースの上位10は次の通り。
1位: 熊本地震、死者50人
2位: 東京都知事に小池百合子氏。築地市場の豊洲移転延期、五輪施設計画見直し
3位: リオ五輪、史上最多のメダル41個
4位: 天皇陛下、退位のご意向を示唆
5位: オバマ米大統領が広島訪問
6位: ノーベル生理学・医学賞に大隅氏
7位: 北海道新幹線が開業
8位: 相模原市の障害者施設で19人刺殺
9位: 18歳選挙権施行
10位: 「ポケモンGO」日本で配信開始

WSJ,、読売双方のトップ10に入っているのはニュースは「オバマ大統領の広島訪問」のみ(「安倍首相の真珠湾訪問」は年末だったので、読売新聞では読者投票締切に間に合わず、番外で入っている。)、読売トップ10のうち、7件はWSJでも取り上げられたが、3位(リオ五輪で日本活躍)、7位(北海道新幹線開業)、10位(ポケモンGO日本で配信)の3件は取り上げなかった。

アメリカから見た日本と、日本からみた日本には、微妙な違いがあり、面白い。