「この世界は驚きに満ちている。日本が他の先進諸国の潮流に逆行して移民を受け入れる方向に進むとは!」という書き出しで始まるこの記事。移民の国のイメージがある米国が、実は日本並みに移民受入れに厳しいという驚きの事実を報じている。その傾向が移民受入れに後ろ向きなトランプ大統領のせいで、加速していることを批判し、米国とは逆の方向に進む安倍首相の英断を賞賛している。
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この世界は驚きに満ちている。日本が他の先進諸国の潮流に逆行して移民を受け入れる方向に進むとは、一体誰が想像しただろうか。だが安倍晋三首相率いる自由民主党が高齢化社会と労働力不足に対処するために推し進めている政策は、まさにそういうことだ。
企業は、日本経済が7年連続で成長する中、労働者の確保に血眼になっている。出生率が低いので、人口は毎年30万人以上減少している。労働市場は逼迫しており、失業率は2.4%まで下落した。東京商工リサーチによれば、従業員不足による倒産件数は、2016年から2017年で倍増した。
熟練技能を持っていない外国人労働者に5年間の滞在を認める新しい在留資格を与える法案が、先週、衆議院を通過した。法務省の推計によれば、現在日本に滞在している130万人の外国人労働者に加えて、新制度の最初の5年間に、最大で34万5千人の新たな外国人が日本にやってくる。
この新しいビザは、14の業種をカバーする。例えば、レストランの53,000人、農業の36,500人などだ。また、60,000人の看護士アシスタントも許可を得るだろう。高齢化に伴い、日本では特に看護士の不足が深刻だ。米国では、65才以上の比率は16%だが、日本では28%にのぼる。
多くの熟練技能を持っていない労働者が、現在は研修ビザで入国している。このビザは、労働者が暴行を受けても、賃金が未払いでも、仕事を変更することを許していない。米国のゲストワーカープログラムも同様の規制を設けている。日本の新しいプログラムは、労働者に仕事を変更する自由度を与えている。これにより、雇い主はいやでも、労働者の労働環境を改善し、賃金を上げねばならなくなる。
日本は島国根性で有名だが、野党は、そんな日本に移民を受け入れるという安倍首相に大反発している。外国人による犯罪の増加が問題だし、特に日本人の心の中では、日系人が問題だ。南米の多く住む日本人の日本への移住は、1990年代に歓迎された。しかし、その後金融危機により、日本政府は彼らに現金を与えて帰国する様に申し出た。そうしないと、日本人の仕事が奪われるから。
しかし、外国人労働者に代わる、良い対策は無いのが実状だ。より多くの女性に働いてもらおうという努力は、ある程度の成果を出した。このために、出産後の母親にフレックス勤務を認めたりした。しかし、2017年時点で、既に3/4以上の女性が既に職に就いている。AIにも可能性がある。日本の製造業は、中国や米国に比べると、ロボットへの依存が非常に高い。だた、ロボットは全ての仕事をこなせるわけではない。
日本の政治の標準的考え方からすれば、今回の法案は大胆なのだろうが、それでも提案された受入労働者数の増加案では、日本の労働者のニーズを満たさないだろう。よく分からないのは、政府が、34万5千人を受入れ上限とし、それ以上の外国人労働者の受入れを制限するかどうかだ。米国では、あまりに厳しい外国人受入れ条件により、造園業から漁業まで多くの産業が苦しんでいる。
日本の様な高齢化社会で、移民受入れの代替となりうるのは、経済停滞や衰退でしかない。労働者不足を解決するために、日本人の移民へのタブーを打ち破ろうとしている安倍首相は賞賛に値する。米国の原住民保護主義者も日本の例から学ぶことが出来る。