Monday, March 24, 2014

司法省の不当なトヨタへの罰金【A15面(専門家意見欄)】

いわゆる「意図しない加速(Unintended Acceleration)問題」についての、トヨタ自動車と米司法省間の和解について専門家意見欄で取り上げている。「この問題は、トヨタに非は無く、ただ単に司法省が企業イメージを重視する国際企業から巨額の金を巻き上げようとしただけに過ぎない。」という記事。2011年の米高速道路交通安全局のレポートを根拠にして、その理由を丁寧に説明していて、好感がもてる。

この記事は、まず読者への下記の様な問いかけから始まる。
「トヨタは、米国司法省と、『12億ドル(約1,200億円)を支払い、3年間連邦政府の監視を受けること』で合意し、同省と和解した。同省は、2009年に全国規模でのマスコミの熱狂が最高潮に達した際に、トヨタが情報を隠したとしていた。これは、安全性の勝利だろうか?それとも、攻撃的な連邦検事が比較的マイナーな間違えにとらわれ、企業イメージを重視する会社を巨額の支払いへと追いやっただけなのだろうか?」

その上で、トヨタには非がないことを証明するために、いくつかの事実を紹介する。

まず第一に、2011年の米高速道路交通安全局のレポートのレポートを紹介している。要約すると下記の通り。
同レポートは、「意図しない急加速(Unintended Acceleration)」の原因は、殆どの場合、「べダルの操作ミス(Pedal Misapplication)」によって発生していることを詳しく説明している。
58件の事故の内、データ入手が可能な40件について調査した所、フロアマットがひっかかることが原因の事故は1件しかなく、残りの39件はペダルの操作ミスが原因だそうだ。
また、マスコミの熱狂のきっかけとなった2009年のサンディエゴの事故は、確かにフロアマットのひっかりが原因だが、トヨタ車の事故でフロアマットのひっかりが原因のものは、これ以外に1件しかないとしている。

第二には、今回の事件で、司法省が問題とした2つの点を挙げ、それらに反論する。この点も要約すると下記の通り。
司法省が指摘する問題点の第一は、マット問題の改善をレクサス以外の車に適用するのが数ヶ月遅れた点。これについては「マット問題の改善が重大事故を防げたという証拠は無い。重大事故を防ぐためには、マットを敷くことそのものを禁止するか、ペダルをフロア以外の位置に設置するしかない。」と反論。
もう一つの問題は、特定の条件下でペダルが戻りにくくなる問題(Sticky Pedal)を隠していたとする点。トヨタはこの問題を2009年10月に開示しが、もう数週間早くレポート出来たはずというもの。この点について「上述の米高速道路交通安全局のレポートは、このペダル問題が事故を引き起こしたという証拠は無いし、そもそもにブレーキをかければこのペダル問題そのものが回避可能と述べている。」として反論している。

第三にトヨタ車が非常に安全であることをデータで示している。
「トヨタの車は非常に安全だ。例えば、2001-2004年モデルで見ると、死亡率が低いとされる12車種の内、5モデルがトヨタかレクサスだ。逆に、死亡率の最も高い12車種の中に、トヨタやレクサスは入っていない。にもかかわらず、企業イメージが利益に直結する国際企業にとっては、巨大市場である米国における司法トラブルを過去のものとする必要があった。」

最後は、下記の様な辛辣な言葉で締めくくっている。
「司法の大袈裟で自己満足的な記者発表は、意図しない加速が、アクセル踏み込みとは関係ない、車の設計上の何か神秘的な現象によって発生するという観念 -- こうした観念が既に一部のマスコミでは受け入れられているが--を植えつけるためには、どんな苦労も厭わないという司法の態度を示している。しかし、2011年の米高速道路交通安全局のレポートが、意図しない加速の原因について、知っておくべき点をより良く示しているのだ。」

確かに、2009年のサンディエゴの事故の際には、連日、テレビで恐怖を煽る報道がなされ、異様な雰囲気があった。突然、自分の車が急加速し、ブレーキを踏んでも減速しないというのは、想像しただけでも恐ろしい。しかし、そうした世の中の雰囲気が、司法省やマスコミを含む国民全体に冷静さを失わせ、異常とも言えるトヨタバッシングに繋がってしまった様だ。