Tuesday, May 31, 2016

** 5月のまとめ **

5月にWSJに掲載された日本関係の記事は19件。12月が5件、3月が9件、4月が13件だったので、掲載数は今年最高を記録した。

オバマ大統領の広島訪問、伊勢志摩サミット出席を含め、オバマ大統領の訪日関連記事が15件もあり、これが掲載数を押し上げた。
特にオバマ大統領の広島訪問については、9件もの記事で取り上げる力の入れようだった。510日にホワイトハウスが正式発表すると、その翌日の11日に速報し。12日には社説、専門家投稿欄、国際面の3ヶ所で取り上げ様々な角度から報道した。社説ではオバマ大統領の弱腰外交を批判、専門家投稿欄では、歴史学者が原爆投下の判断が正しかったことを主張、国際面ではこの訪問が日本で好意的に受け取られていることを報じた。更に、18日と23日には読者からの投稿を掲載。読者の殆どが原爆投下の正当性とオバマ弱腰外交への批判を表明。広島訪問前日の26日には、被爆した日系米国人の数奇な人生を紹介。訪問翌日の28日には、社説と国際面で取り上げ、オバマ大統領の弱腰外交を再び批判した。

テーマ別では、政治関係が14件、経済関係が5件、社会関係がゼロだった。
政治関係は、オバマ大統領の訪日関係が12件、サミット関係(安倍首相の寄稿)が1件、安倍首相のロシア訪問が1件、日本が核武装する可能性があるとする専門家の投稿が1件だった。
経済関係は、サミットが3件、日本の円安誘導を牽制する記事が1件、日本の第1四半期のGDP速報が1件だった。

掲載箇所では、社説が2件、投稿が6件(読者投稿3件、専門家投稿2件、広告1件)、国際面11件だった。
今月は、国際面での一般記事以外の記事が多かった。オバマ大統領の広島訪問について2回も社説で取り上げ、読者投稿欄では、米国人7名が原爆投下について持論を展開、また安倍首相がサミットに対する意欲を語った。核不拡散政策教育センター長が日本の核武装の可能性について寄稿し、歴史学者が原爆投下の正当性について持論を展開、また、サミット開催地である三重県がその魅力について語った。様々な分野のバラエティに富んだ人々の日米関係に関する意見に触れられ、興味深かった。

Saturday, May 28, 2016

オバマの広島の精霊【A10面(社説)】

WSJは、オバマ大統領の広島でのスピーチを非難する社説を掲載した。


オバマ大統領のスピーチは、人々の心を打つが、その中身は理想論を掲げているだけで、彼がスピーチで表明した考え方では、混沌とした世界で現実に起きている問題を解決出来ないとしている。イラン、ロシア、シリア、イラク、中国、北朝鮮そして今回の広島に対するオバマ大統領の弱腰外交により、米国の同盟国は、「米国は本当に自分たちを守ってくれるのか?」と不安になっている。こうした理想だけを追求する弱腰外交姿勢は、逆に核拡散を進めることになるとしている。オバマ大統領のことを際限の無いお人よしだとし、次の大統領にはスピーチが巧いだけの人は不要としている。
(一部分かり難い文章は思い切って意訳しました。)

***** 以下本文 *****
「核の精霊を瓶の中に戻すという考え方以上に国家安全保障に関するフレーズで良く知られたものはないだろう。オバマ大統領は、金曜日の広島でのスピーチでそのような奇跡を提案したしまった。『我々の国の様に、沢山の核兵器を持っている国は、恐怖の論理から逃れ、核無き世界を追求する勇気を持たねばなりません。』」
「精霊は核兵器という存在であるだけでなく、それらを製造するための技術的知識である。北朝鮮は世界でも最も貧しい国のひとつであるが、核爆弾やミサイル発射システムを作り出すための知識を獲得した。そして、核兵器を開発し、自分自身のために使用したり、他国への輸出したりすることを止める兆候は全く見せていない。」
「こういたことは核拡散として知られており、核の時代にあってもっとも困った問題だ。核拡散は、広島、長崎以来70年の間、多くの政治家が飽くことなく取り組んできた課題だ。広島や長崎への爆弾投下は、第二次世界大戦を終結させることにより、何百万にもの命を救ったにもかかわらず。」
「オバマ大統領の任期終了間近の貢献は、戦争を呪うことだ。『我々は戦争そのものについての考え方を変えねばならない。外交を通して紛争を避けるために。そして始まってしまった戦争を終わらせるために。暴力的な競争では無く、平和的な協力を引き起こすための相互依存関係を発展させるために。国家を、破壊出来る能力では無く、何を築きあげるかで定義するために。そして多分それ以上に、人類のメンバーとしてお互い繋がっているということをもう一度想像せねばならない。』」
「こうした演説は、オバマ大統領の世界観の理想として歴史に残るだろう。しかし、そうした考え方は、オバマ大統領の外交政策の批判に対する批判を形作るものだ。そして、そうした外交政策を推進するオバマ大統領は、際限の無いお人よしだ。その信念は、その信念が実現可能であることの十分な証拠のないものだ。」
「オバマ大統領の所感は疑いもなく高貴なものだ。しかし、そういった彼の感傷的な考えは、彼の後任が引き継ぐことになる、地球上にある無秩序を解決できるものではない。そうした無秩序は、現在実際に起こっていて、更に将来さらに拡大するであろう。引き継ぐことになるもので不確実なものは、同盟だ。全ての戦前の大統領が理解していた様に、戦争や核の拡散をいかに限定的なものに出来るかは、他の国々が参加してくれるかどうかにかかっている。」
「オバマ大統領のイラン、ロシア、シリア、イラク、中国、北朝鮮への対応は、、同盟国に、アメリカは本当に自分たちをサポートし防衛してくれるのか?という疑問を抱かせた。」
「オバマ大統領が広島で行った様に我々も言いたい。この核の時代に、オバマ大統領が成し遂げようとしている核拡散防止をなしとげるためには、道徳的な解決方法は十分ではない。オバマ大統領のスピーチは人に感動を与えるが、次の大統領はそれを超えるものでなければならない。」

オバマの訪問は原爆が投下された日を思い起こさせる【A5面(国際面)】

527のオバマ大統領の広島訪問について、翌28日の国際面で速報した。



式典の様子を詳しく伝えた後、様々な人の見方を紹介している。オバマ大統領は核不拡散を唱えてはいるが、核不拡散に向けた具体的な方策が描けていない。オバマ大統領本人も核不拡散への彼の努力が十分な成果に結びついていないことを認めている。多くの人々が2年間で核不拡散はむしろ後退したと考えている。そして、何と言っても、核不拡散を訴えるオバマ大統領本人が、今後30年間で1兆ドルを投資して、アメリカの核兵器を近代化する計画を練っている。これは自己矛盾だと言っている様に読める。

***** 以下本文 *****
「オバマ大統領は、194586日の原爆の広島投下によって亡くなられた方々の慰霊式典で、アメリカの日本への原爆投下による犠牲者の冥福を祈った。オバマ大統領は広島を訪れた最初の現職大統領となった。」
「その厳かなスピーチの中で、オバマ大統領は広島と長崎に投下され、20万人以上を殺戮した米国の原爆について、謝罪も正当化もしなかった。その代りに、核なき未来について焦点を当てた。太平洋のいずれの側においても激情が膨れ上がることを避けるためのアプローチだ。」
「広島の平和記念公園に献花を行った後、オバマ大統領は『空から死が降ってきた』日のこと、そしてアメリカの第二次世界大戦での決断が、どの様に戦争を終わらせ、そして同時に世界を永遠に変えてしまったのかに思いを馳せた。」
「『我々はこうして市の中心地に立っていますが、こうしていると原爆が投下されたその瞬間を想像せざるを得ません。』とオバマ大統領は安倍首相の横に立って述べた。」
「『我々はこの戦争において、犠牲となった全ての罪の無い人々のことを記憶にとどめます。』とオバマ大統領は述べた。『我々は、歴史を直視しなければなりません。また、原爆による苦しみを人類が二度と経験しないためは、これまでと異なったやり方をする必要がありますが、そのやり方を一緒に考える責任があります。』」
「難しい質問に対する回答は歴史に委ねたいと述べた後で、オバマ大統領は犠牲者と生存者と核戦争の恐怖にフォーカスしたが、このアプローチは日本では好意的に見られた。」
「『夢が叶った様です。』と79歳のモリ・シゲアキさんは述べた。2人の原爆被害者が、オバマ大統領との短い面談を行ったが、モリさんはそのうちの一人だ。また、彼は広島で犠牲になったアメリカ人捕虜のために慰霊碑を建てた。オバマ大統領は、モリさんとの面談の間、モリさんを抱きしめていた。『私はとても苦しんできました。今日はアメリカから頂いた最良の日です。』」
安倍首相もオバマ大統領が広島を訪問されるのは勇気が必要だっただろうと述べた上で、次の様に発言した。『今日になっても、耐えがたき苦しみに耐えている被爆者がいるのです。こうした悲劇は二度と繰り返してはなりません。』」
「オバマ大統領にとってこの訪問は取扱いの難しいものだった。原爆に関する軍事的、道義的問題質問は、アメリカにおいて第二次世界大戦終結後の70年間、議会でも、また一般国民の間でも激しい議論を巻き起こしてきた。1990代に起きたスミソニアン国立航空宇宙博物館でのエボラゲイの展示に関する激しい議論などがその例だ。」
「アーカンソー州選出の共和党上院議員であるトム・コットン氏は外交政策についてホワイトハウスと頻繁に衝突してきた。彼は今回はオバマ大統領を批判しなかったが、異なった見方を提示した。」
「『第二次世界大戦で核兵器を使用したのは間違いではなかった。それは暴政を止めさせ、多くの生命を救い、歴史上最も破壊的な戦争を終わらせるために、必要なことで道徳的にも正しいことだった。』と彼は述べた。」
「日本だけではなくアメリカでも、軍縮推進者は、オバマ大統領の訪問について複雑な受け止め方をしている。彼らは、オバマ大統領の今回の対応について歓迎しているが、行動を起こそうという高邁な呼びかけと彼の政府の兵器削減に関する冴えない実績との間のギャップを感じている。」
「これまで謝罪を引き出すことにではなく、他の人々が原爆に苦しまないことに人生を捧げてきた被爆者たちにとって、オバマ大統領の訪問はとても有意義でした。」とワシントンの核不拡散推進団体である軍縮協会上級ディレクターのダリル・キンボール氏は言う。」
「オバマ大統領は、彼の2期の大統領任期において、核不拡散への努力があまり進展しなかったことを認めている。この間、オバマ大統領は2つの戦争を終わらせが、2つの新たな紛争に巻き込まれた。昨年のイランとの交渉について、オバマ政権は核不拡散の大きな進展だと見ているが、批判家は疑問視している。オバマ政権は、この交渉に多くの時間を取られ、ロシアとの関係悪化は、軍縮交渉をスローダウンさせた。」
2009年、オバマ大統領はプラハで演説を行った。そこで、彼は、核兵器開発を止めさせるための具体的方策の実施を呼びかけた。しかしながら、核実験禁止条約への上院の批准や、核物質製造禁止への努力が止まっているなど、具体的方策の実施は進んでいない。」
「その一方で、オバマ大統領は、今後30年で1兆円を使って、アメリカの核兵器を近代化し最新のものにする計画を描いている。
「この計画は、金曜日のコメントと矛盾するため、新たな非難を呼んでいる。『もし、アメリカが他国に核兵器の削減を迫るなら、アメリカ自身の核戦争計画を縮小すべきだ。アメリカが率先して進めねばならない。』とマサチューセッツ州選出民主党上院議員のエド・マーキー氏は言う。『バーに座ったまま、核を削減する様に説得することは出来ない。』」
「式典参加者の中には、長崎の被爆経験者である84歳のタナカ・テルミさんがいた。彼女は、オバマ大統領のスピーチを称賛したが、核兵器を削減するための具体的な方策が示されなかったのは残念だと述べた。」
「広島市のデータによれば、194586日に広島に投下された人類初の原爆によって、その年の終わりまでに約14万人の方々が死亡した。その3日後、2発目の原爆が投下され、7万人以上が犠牲となった。」

日本の安倍は増税の先延ばしを示唆【A5面(国際面)】

安倍首相は、消費税引上げ先送りを正当化するためにG7サミットを利用したという記事が、528日の国際面に掲載された。

安倍首相は、G7で悲観的な経済予測の持論を展開したが、それはG7首脳と合意に至らなかったばかりか、G7を消費税率引上げ先送りの口実にするためのジェスチャーだとして野党の批判を浴びている。様々なデータはアベノミクスがうまく言っていないことを示しているし、消費税増税を先送りしようとしていること自体がアベノミクスの失敗を意味していることを紹介。安倍首相は「アベノミクスが成功しているが、消費税率引上げを先送りする。」という無理なロジックを捏造するために、G7を利用したと言っている様に読める。


***** 以下本文 *****
「今週、安倍首相は、G7首脳を説得して、世界は経済危機の可能性に直面していることを認めさせようとしたが、失敗に終わった。そして、仕方がないので自分自身で警告を発した。」
「安倍首相の悲観的な経済展望は、予定されている消費税の引き上げを更に遅らせるためのドアを開くことには貢献した。金曜日に安倍首相は初めてその可能性について触れ、G7が成長を促すことをコミットしたことを受けてのことだと語った。」
「安倍首相はこの1年以上、世界が2008年のリーマンショックや世界恐慌の様な状況に直面しない限り、予定通り来年消費税を引き上げると約束してきた。」
G7は、その声明で、世界経済が直面するリスクは増大していると警告したが、協調した財政出動については触れなかった。その声明を受け、安倍首相は、中国や発展途上国における経済の減速、コモディティ価格の長期にわたる停滞などを、経済危機を招く要因としてあげた。」
「適切な政策が選択されない限り『世界経済は危機に陥るリスクがあります。』と安倍首相は述べた。『リーマンショック時に匹敵する価格下落が起きています。その結果、その成長をコモディティや原料の輸出に依存している発展途上国の経済は打撃を受けるでしょう。』」
G7によるより暗い見通しや金融緩和、特に協調して行われる金融緩和は、それが声明に盛り込まれていれば、安倍首相にとって、『10兆円910億ドル)規模の景気刺激策への反対派』への反論の材料になっていただろう。反対派は、経済規模との比較において世界最大規模となっている国債発行残高の問題に取り組むべきと強調する。」
「一方で、もし安倍首相が消費税増税延期と景気刺激策を実施すれば、彼が政権について3年以上経過した現在においても、彼の政策であるアベノミクスがうまくいっていないことを暗黙のうちに認めることになるだろう。」
「金曜日の記者会見で安倍首相は、彼の任期中に増大した雇用数などの事例をあげ、『アベノミクスは失敗していない。』として自分自身を擁護した。」
「その記者会見の日には、最新の悪いニュースが入ってきていた。政府が、4月の生鮮食品を除く消費者物価が0.3%下落したと発表した。3月も同様の数値だった。2のインフレを達成するという日銀の目標は、アベノミクスの重要な目標であるが、4月の消費者物価を見る限り2013年初頭にこの目標が設定された時と同様に、達成が非常に難しい状況にあることを示している。」
安倍首相が約束した継続的で強固な発展は未だに実現していない。日本経済は第一四半期に年換算で1.7%成長したが、その前の3四半期のうち2四半期で経済は縮小した。」
2014年に実施された消費税の5%から8%への引き上げは、安倍首相の任期の始めに約束された経済回復がうまくいっていない主な理由とされている。消費者支出は未だに完全に回復していない。エコノミストの中には、次の消費税増税への不安が、既に消費者は支出を減らす傾向を生み出していると主張する者もいる。」
「安倍首相は7月に予定されている参議院選挙までには、消費税の取扱いについて決断をするとしている。」
野党のメンバーは安倍首相の悲観的なトーンに驚きを示しており、危機を捏造しているのではないかと疑っている。」
「民進党の岡田克也代表は、安倍首相の理論についていけないとした上で、『安倍首相はG7ミットを、消費税増税延期の口実に使おうとしている。』と記者会見で述べた。

SMBC日興証券のエコノミストであるマルヤマ・ヨシマサ氏は、安倍首相の主張に困惑している。『予測言う近い将来のリーマンショック相当の危機が起こるという安倍首相の予測は極めて懐疑的だ。』」

Friday, May 27, 2016

G7サミット開催地に選ばれた自然と文化に恵まれた地域【A9面(特別広告面)】

サミット初日の26日のWSJ紙面に、サミット開催地である三重県の広告が大きく掲載された。



1ページを全て使った大型広告だ。前半は、三重県の観光資源(伊勢神宮、海女、熊野古道、伊賀流忍者、鈴鹿サーキット)の他に、企業誘致を狙って三重県が産業とイノベーションのハブになっていることが紹介されている。後半は、サミットで取り上げられる議題を簡単に紹介し、安倍首相からのメッセージで締めくくっている。広告主は不明だが、三重県への観光客誘致と企業誘致を狙った内容となっている。

***** 以下本文 *****
「三重県の伊勢市と志摩市という2つの市は、東京の南西300ロ足らずの距離にありますが、伊勢・志摩という一つの地域としてかたられることが多いです。特に本日から始まるG7サミットの会場に選ばれてからはその傾向が顕著です。」
「伊勢・志摩は、素晴らし自然美に囲まれており、入り組んだ海岸線や多くの島々の素晴らしい景観、それを彩る森、川、荘厳とした紀伊山脈が自慢です。」
「三重県はまた神宮で有名です。そこには日本の守護神が祭られており、一年に8百万以上の人が参拝します。日本の首相が毎年1月上旬に神宮を参拝しスピーチすることが習慣になっています。」
「三重県の鈴木英敬知事は、『人種や宗教の壁を越えて、伊勢神宮は忍耐と寛容という世界観を体現しています。そのため、三重は日本人の心のふるさとと言われます。G7サミットで世界平和のメッセージを共有するのに本当に適切な場所です。』」
「伊勢神宮以外にも、三重には、訪れた方がやることや見るものが沢山あります。三重県には、ホテル、リゾート、スパ、ゴルフコースなどが県内至る所に点在しており、観光が大変に盛んです。伊勢・志摩は19世紀に日本で初めて真珠の養殖が行われた場所であり、今日でも主要な養殖地域です。伊勢・志摩はまた伝統的な海女のふるさとでもあります。海女はスキューバ機材や酸素ボンベ無しで素潜りであわびなどの貝類を採ります。」
「この地域には、沢山の神聖な場所や巡礼のルートがあります。なかでも熊野古道の伊勢路ルートの石畳の山道は、ユネスコの世界遺産に登録されています。」
「伊賀市と名張市は、有名な伊賀流忍者の発祥の地です。伊賀流忍者博物館は、侍映画のファンにとっては見逃せないスポットです。三重はまた世界的に有名な鈴鹿サーキットがあります。フォームラワン日本グランプリや鈴鹿8時間耐久レースなどはここで開催されています。」
「もちろん三重はまさにグルメにとっての食料品貯蔵庫です。ロブスター、あわび、カキなどの豊富な海産物に加え、有名な松坂牛があります。」

安全:主要な要素
「伊勢・志摩がサミット開催地に選ばれたもう一つの理由は、会場である賢島の志摩観光ホテルです。」
「賢島は、愛知県の中部国際空港から約60キロの南に位置し、海外からの訪問団にとってアクセスしやすい場所にあります、この0.7平方キロの小さなパラダイスには、サミット会場となるホテルや幾つかのヴィラが点在しています。賢島と本州との間は2本の橋だけでつながれており、サミットの様なミーティングに必要となる厳重な監視を取りやすい場所です。」

産業とイノベーションのハブ
「三重県は観光や遺産で有名です。しかしながら、多くの人は三重県が産業とイノベーションのハブとしての役割をもっていることをご存じないでしょう。多くの先進的なR&D研究所や石油化学施設、自動車や半導体企業が三重県をベースにしています。BASF, 日立、三菱、パナソニック、サンディスク、シャープ、東芝などの企業が三重県で重要な活動を行っています。」
三重県は世界でも最も革新的な企業を誘致したいと真剣に考えています。三重県は、研究、計画、新プロジェクトの開始などのプロセスを簡略化するワンストップサービスを提供します。2013年からは、三重県をアジアにおけるオペレーションのベースにした海外企業に対し、三重県がインセンティブを与えています。」
「『宇宙工学や先進素材などの成長産業を三重県に融資したいです。既に三重に進出している外資系企業の中で最大規模を誇る企業の一つにCABOT MICROELECTRONICS社があります。同社は三重県を先端素材の研究と製造のアジアのベースとして利用しています。』と鈴木知事は言う。」
「三重県には8つの大学と3つの工科大学があります。そしてそれらの大学から、イノベーションを支える高度なスキルを身に着けた労働力が輩出されています。日本経済研究所の第40期中期経済予測によれば、三重県は2025年までの県別の成長力予測でトップになっています。」

レガシーを創る
G7を開催することにより、三重県は、重要な観光と投資の候補地であるという認識をより多くの方々に持っていただけることを期待します。大和証券の予測によれば、観光の経済へのインパクトは、サミット開催後の5年で大きく伸び1,750億円に上るとのことです。」
「三重県は、より多くの方々にご訪問頂き、より多くの企業にこのユニークな地域に投資頂き、三重の伝統であるおもてなしと革新スピリットによって、レガシーを創りたいと思います。」
「こうした情熱は、二本足の住民ばかりでなく、四本足の住民の間でも共有されています。昨年、芝犬のマルは三重県の新しい観光大使に任命されました。彼は、この地位を与えられた最初の人間以外の動物であり、100ヶ国に200万人以上のインスタグラムのフォロワーがいます。県関係者は、今週開催されるサミットの準備をしながら、この可愛い犬がさらなる観光客を呼び込んでくれることに期待を寄せています。」


「今週、経済、政治のアナリスト達は、日本、特に伊勢・志摩で開催されるG7サミットに注目しています。安倍首相が議長を務めるこのサミットは、三重県の志摩市で今日から開催されます。」
2日間の会議では世界経済や外交政策など、7つの主要な議題がカバーされます。安倍首相は、ここ数週間に海外を訪問し、経済分野でのリーダーシップを示し、G7の首脳達に世界経済を強くするための財政出動を要請しましたG7は民主主義を信奉する先進国の非公式のグループでアメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国がメンバーです。一年に一回集まり、世界経済、安全保障、エネルギー問題などについて話し合います。出席者にはG7各国の首脳の他に、EUROPEAN COUNCILEUROPEAN COMMISSIONのトップを含みます。」

気候に関する討議
「討議が予定されているもうひとつの議題は、気候変動とエネルギーです。昨年12月のパリ天候会議(COP21)の後、195ヶ国が、地球温暖化を2度以内に抑えるための、罰則規定付の最初の条約を批准しました。この条約は、2020年に発効します。安倍首相は開発途上国の目標達成を支援するために1.3兆円を支出することをコミットしています。」
「また今年のサミットは、持続可能な開発のための2030アジェンダが採用されてから最初のサミットのなります。サミットの出席者は、貧困や飢餓の撲滅、世界平和の実現といった持続可能な開発の目標を達成するためにG7が果たすべき役割について議論します。」
「品質インフラ投資、健康問題勃発への対応、教育やSTEMによるエンパワーメントなどの女性問題などについても議論されます。
「更に、日本は、サミット開催と同じ日に、G7以外の国や国際組織の首脳を招いての拡大会議を開催します。」

安倍首相は楽観的

G7は世界に影響力がありますが、G7サミットは重要な結論を出すことが出来ないとみている人々もいます。しかし、安倍首相は楽観的です。重大な話し合いが持たれることでしょう。ドイツのメルケル首相との今月初頭の会談で、安倍首相は次の様に述べました。「私は、G7サミットが力強く明確なメッセージを送って欲しい。」

G7首脳は世界の成長加速の手段について一致せず【A7面(国際面)】

5月26日に開催されたG7サミット初日の結果について、WSJは27日の国際面で速報した。


各国は、経済が危機的な状況にあることについては共通の理解を共有したが、それに対して協調して対応することには合意出来ず、各国がその状況に応じて最適な対応をすることで合意したと報じている。

***** 以下本文 *****
「先進7ヶ国の首脳は、世界経済を再び成長軌道にのせる方法について重点的に話し合ったが、成長へのリスク認識とそれに対する対処方法については一致した見解が得られなかった。」
「オバマ大統領は、『G7首脳は木曜日の会議において、大変に意味のある時間を持つことができた。世界経済と成長の加速を継続させる必要性ついて議論した。』と述べた。」
「オバマ大統領は、米国で見られる経済回復と、欧州におけるいくらかの成長について指摘し、ギリシャの負債危機について合意できたことが助けになるだろうと述べた。」
「オバマ大統領によれば、G7首脳は、保護主義、通貨切下競争、近隣窮乏化政策は全ての国々の状況を悪くするだけの場合が多いので、そうした政策を取らないことの重要性を強調した。」
「『それぞれの国が、その国特有の必要性や能力に基づいて、成長を確実に加速させることに引き続き努力することで合意した。』とオバマ大統領は述べた。」
「G7各国の政治家はここ数ヶ月、成長を加速するために、財政政策、構造改革、米国、欧州、日本で既に実施されている超金融緩和政策を協調して実施していく必要性について強調してきた。そうした動きにより、サミット期間中に協調した財政政策について合意するのではないかとの期待が高まっていた。」
「日本と米国の政府関係者は、先週のG7財相会談を含め、ここ数ヶ月の間、日本が最近の円高を阻止することが出来るか否かについて、激しい議論を続けてきた。日銀の政策による急激な円安は、安倍首相の成長戦略の重要な要素だ。しかし、円は今年になって緩やかに円高へと振れている。」
「安倍首相は、サミットの議長として、木曜日に世界経済について暗い見方を示し、経済『危機』について警戒すべきと述べ、G7メンバーによる協調した財政政策を提唱したが、ドイツなどからの抵抗にあった。」
「『我々は、世界経済は深刻なリスクに直面しているという共通に理解に至った。』と安倍首相は述べた。安倍首相は詳細については述べなかったが、日本の政府関係者によれば、中国経済の減速、米国の金利引上げの見通し、不安定な金融市場などがリスクとしてあげられた。」
「オバマ大統領によれば、G7首脳は、今年中にTPPについて合意することにもコミットした。首脳たちは、サミットの残りの時間を、南シナ海、ウクライナでの暴動等、安全保障の問題について費やす予定だ。」

Thursday, May 26, 2016

安倍は沖縄事件についてオバマに抗議【A6面】

沖縄県で起きた米軍属の男による女性死体遺棄事件について、25日夜の日米首脳会談で安倍晋三首相がオバマ大統領に抗議したことを、WSJは翌26日の国際面で速報した。


事実を短く報じているが、安倍首相の発言にはQUOTATION MARKが多様されており、首相がアメリカ人から見てもかなり強い言葉を使ったことが示唆されている。

***** 以下本文 *****
「日本の安倍首相は、水曜日にオバマ大統領と会談した後、アメリカ市民が関与していたとされる日本女性の死について、オバマ大統領に厳重に抗議した。この事件により、日本におけるアメリカ軍基地の存在に大きな批判が起こっている。
「オバマ大統領は、アメリカはこの死亡事件に驚いており、アメリカ軍基地の手続きを見直し、日本の法律に基づいて協力をすると述べた。」
「先週、日本の警察は、20歳の日本女性を殺害した疑いで、沖縄のアメリカ軍基地で働く元海兵隊員を逮捕した。現地の新聞によれば、彼女は428日に行方不明になっており、その遺体は519日に発見された。」
「日本には約50,000人のアメリカ軍基地関係者がおり、その半分以上が沖縄に住んでいる。安倍首相は、この事件について『言葉が出ない』し、日本国民全体が『大きなショックを受けた』と語った。」

広島のアメリカ人被爆者は長く苦しい体験を振り返る【A6面(国際面)】

オバマ大統領の広島訪問の前日に当たる26日の国際面に、日系アメリカ人の被爆経験に関する記事を掲載した。



原爆投下時に広島には数千人の日系米国人が住んでいた。その殆どが原爆の犠牲になったが、約千人が今でも生き残っているそうだ。彼らは差別を気にして、自分が被爆者であることを語ってこなかったが、ようやく重い口を開き始めたという記事。
WSJ日本版にも同様の記事が掲載されたが、日本版の記事では、「広島、長崎では1025万人が原爆で犠牲になったこと。」「10万人を超える日系アメリカ人が強制収容所に送られたこと。」「日系アメリカ人の被爆者は、日本政府からは賠償金と医療面での援助を得ているが、米国政府からは核実験で被曝した退役軍人や、ウラン採鉱で被曝した人とは異なり、彼らを正式には被爆者として認めることすらしていないこと。」等、米国にとって都合が悪いことも報じられている。一方、米国版では、こうした部分は(多分意図的ではないと思うが)割愛されている。このため、日本版と米国版でかなり読後感が異なるのが気になる。
(WSJ日本版の記事を一部修正して、下記に引用させて頂きました。)

*****以下本文*****
オバマ大統領は27日、現職の米大統領として初めて広島を訪問する。71年前の原爆投下で被爆しながらも生き残った約1000人の日系米国人は、この訪問を独特な思いで見ることになるだろう。彼らは自分の国が投下した原爆に苦しめられたのだ。

 その中の一人にヤマオカ・メイさん(87)がいる。カリフォルニア州ローダイで生まれたヤマオカさんは第2次世界大戦がぼっ発した当時、日本の学校に通うため広島に滞在中だった。1945年の原爆投下を生き抜き、その後カリフォルニア州の自宅に戻ったヤマオカさんはそこで、この最も辛い記憶を60年間封印してきた。

 ヤマオカさんがインタビューや家族へ宛てた書き物などを通して、自身の経験を詳しく語り始めるようになったのはここ10年くらいのことだ。父親と一緒に2日間妹を捜し回り、焼けただれてボロボロになった遺体の山の上にようやく死んだ妹を見つけたこと。妹だと分かったのは、米国で買った肌着に施されていた刺しゅうが目に入ったからだったこと――。

 被爆した影響で体が弱りつつあった父親は高校を卒業させるためにヤマオカさんを米国に帰した。戦時中、米国で日系人の強制収容所に入れられていた経験を持つヤマオカさんの夫は、家族が日系であることを話したがらなかったという。

 ヤマオカさんは「(夫は)差別を肌で感じてきた。米国人は原爆について聞きたくないと思っていると彼は話していた。だから多くを語らなかった」と話す。

 オバマ大統領の広島訪問は、戦後の日米関係の劇的な変化と、核の不拡散という重要な政策目標の象徴となるだろう。大統領が原爆投下について正式な謝罪をしないことは、少なくとも一部の被爆者にとっては問題ではないようだ。

 ハワイ生まれの被爆者であるサラシナ・ジュンジさんは「オバマ大統領は謝るべきかどうかと言われているが、一番お願いしたいのは、原爆の被害がいかに惨めなものだったのかを理解してもらいたい」ことだと話す。サラシナさんは朝鮮戦争で戦った経験も持ち、オバマ大統領に絵はがきを送って広島訪問を促す日系米国人の取り組みを率先した人物である。

20世紀初頭、日本は多くの移民を米国に送った。渡米して新たに米国人になった日系移民たちは裕福になると、子供たちに言葉や文化を学ばせるため、祖国に数年滞在させることも多かった。

 ミシガン州立大学で日系米国人の被爆者に関する研究を行っているワケ・ナオコ准教授によると、日本では学徒動員に積極的に参加した若い日系米国人もいた。一方、上空に飛来する米軍のB29爆撃機を、戻りたいと切望する国からの友人や救済者として眺めた人もいたという。

 広島と長崎には数千人の日系米国人が暮らしていた。原爆で多くが犠牲となった。生き残った人々の多くは「被爆者」として米国に戻った。そして彼らは差別の対象となった。数十年もの間、多くの被爆者はその事実を隠し通した。就職や結婚に不利になるのを恐れてのことだ。

 ヤマオカさんは9歳だった1938年に一家が日本に渡ったときのことを語ってくれた。カリフォルニア州の3軒の家は親戚に預けてきた。そして戦争がぼっ発した。

 19458月、ヤマオカさんは学徒動員で働いていた。原爆で命を落とさなかったのは、タバコ工場の中で高校の同級生と一緒に作業をしていたためだ。13歳だった妹のマナさんは屋外で作業をしていた。ヤマオカさんと父親は長い捜索の末に、マナさんの遺体を爆心地の近くで見つけた。

 ヤマオカさんは「私は米国人を少しも恨んではいない。あれは戦争だったし、両国とも自分たちは正しいことをしていると考えていた」と話す。「ただ、広島が原爆の標的となったのは不運だった。私たちは言わば一種のモルモットになった」

Tuesday, May 24, 2016

日本で開催されるG7サミットのアジェンダ -- 世界の繁栄を取り戻す【A11面(読者投稿欄)】

WSJは、オバマ大統領来日前日の24日に、安倍首相の寄稿を掲載した。



どういう経緯で実現したのか分からないが、WSJ A11面のほぼ2/3ものスペースを割いて、安倍首相の寄稿を掲載している。議長として、G7で議論したい重要議題をあげている。もっとも重要な議題は世界経済の活性化であるとする。そのためには、需要サイドではインフラ投資の活発化、供給サイドではIT投資、女性の活用などによる効率性向上に注目し、自由貿易を維持することにより需要と供給をうまく結びつけることが重要としている。経済活性化以外の重要議題として、テロ、国際保健、国際海洋法をあげている。
WSJ日本版に同様の記事が掲載されていたので、下記に借用させて頂きました。)

***** 以下本文 *****
52627日にかけて開催されるG7伊勢志摩サミットは、G7各国、そして世界にとって、これ以上にない重要なタイミングでの開催となる。

 エルマウ・サミットからの1年間、世界は激動に見舞われている。世界経済見通しの不安定さや下方修正に加え、自然災害、シリア問題の深刻化や難民問題、欧州でのテロの発生などが不安定要因となっている。

 今こそ、 日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、そして米国のG7の首脳たちが、自国はもとより世界全体が、こうした暗い雰囲気を拭い、経済成長と安定を推進すべき時である。サミットが開催される「賢島」は「Island of Wisdom」を意味するということを述べておきたい。

 自由、民主主義、法の支配、そして人権といった共通の価値は、これらの難題に立ち向かうG7が持つ強みである。今次サミットの焦点は世界経済の再活性化であり、金融政策に加え、構造改革の加速化、機動的な財政出動を、バランスよく、かつ協力しながら組み合わせていくことを目指したい。また、このG7の機会に、インフラ、テロ、国際保健や国際海洋法といった主要な課題についても取り組みたい

 難題も多いが、希望の芽は随所にある。先ず、世界には大きなインフラ需要がある。途上国では、道路、港湾、通信などのインフラが必要である。一方、先進国においては質の向上に焦点を当て、老朽化したインフラのリハビリや環境重視型のインフラ導入が重要だ。

 供給サイドに目を転ずると生産性の引上げが不可欠である。今後、先進国に限らず広がる高齢化対策、グリーン成長にも布石を打っておくべきだ。従って、ITの活用拡大を含め、あらゆる面でイノベーションを促す投資が重要である。

 生産性の引き上げのためには、性別、年齢、障害の有無にかかわらず、誰もが仕事や社会活動ができるようにしなければならない。特に、「女性が輝く社会」は、私の政策の柱であり、今回のサミットの議題の正面にも位置づけたい。

 こうした、需要面と供給面が結びつくことが現在及び将来の経済成長に資するであろう。G7として、自由貿易へのコミットを再確認したい。日本自身も、TPPの早期発効及び参加国の拡大を求めるとともに、日EUEPA交渉の本年のできる限り早期の大筋合意を目指す方針に揺るぎはない。

 これらの経済協定等において、自由かつ公正な競争を奨励しなければならない。また、貿易を歪め、過剰供給力を放置することになる行為への対応を議論したい。鉄鋼や石油製品などのコモディティ関連のダンピング、不公正な国内保護などにも対応していかねばならない。G7として、腐敗、租税回避や脱税への対応も主導する。

 世界がテロや暴力的過激主義に脅かされる中、世界経済の再起動に取り組むだけでは不十分である。テロへの対処のためには、経済、社会、教育面を含め、根本原因を取り除くための開発支援より焦点を当てる必要がある。中東地域にとどまらず、世界全体で、寛容で安定した社会を構築するための支援を強化しなければならない。伊勢志摩サミットでは、「G7テロ及び暴力的過激主義対策行動計画」をまとめ上げる考えだ。

 保健は先進国、途上国にかかわらず、繁栄を確かなものとするために不可欠なものである。G7のリーダー達に、公衆衛生危機対応とともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの促進を呼びかけたい。

 また、航行の自由の確保も、経済成長はもとより、安定や平和の前提となる。残念ながら、すべての国がこのような考え方を理解しているわけではなく、現在、海洋における法の支配を揺るがし、現状を変更し、国際社会において緊張を高める一方的な行動がみられる。4月に広島で採択した海洋安全保障に関するG7外相声明を基礎として、伊勢志摩では、開かれた自由で平和な海の維持への明確な支持をG7首脳に求めたい。

 G7は世界の平和と繁栄を牽引してきた。それはG7の経済規模の大きさによるだけではなく、価値を共有しているからである。困難な時代において、力を合わせて更なる繁栄軌道を定めるべく、議長として各国首脳との議論を主導できることを光栄に思う。

Monday, May 23, 2016

日本の戦争責任、原爆そして真珠湾【A12面(読者投稿欄)】

511日に続いて、23日の紙面に、広島への原爆投下ついての読者の意見を掲載した。



11日の紙面では、原爆の投下に対して肯定的な意見ばかりが掲載されたが、この読者は「歴史には両面があり、逆の立場からも物を見るべきだ。」として、戦争開始の責任の一部がアメリカ側にもあると主張している。

***** 以下本文 *****
「ハリートルーマン大統領の日本に対する原爆使用に関する記事(518日付)について:」
「その通り。日本帝国軍は残虐でした。その通り。真珠湾は攻撃されました。しかし、アメリカは経済戦争によって日本を窒息死させようとしていました。」
「アメリカにある全ての日本人の口座は凍結されました。パナマ運河は日本船舶に対しては封鎖されました。海軍の反対にもかかわらず太平洋艦隊はサンディエゴを出港して(日本に対する直接的な挑発行為として)真珠湾へと向かいました。日本への燃料と鉄の輸出は完全に封鎖されました。日本の経済は崩壊寸前に追い詰められ、自分たちの資源はほぼ底を尽きました。歴史には常に両サイドからの見方があるのではないでしょうか?」
Eberhard Neutz
ラグナビーチ、カリフォルニア州

Saturday, May 21, 2016

オバマはアジア訪問で関係を深めることを狙う【A12面(国際面)】

522日~28日に予定されているオバマ大統領のアジア(ベトナム、日本)訪問について、21日の国際面で報道した。



両国とも、以前は対戦国であり、両国との関係を次のフェーズへ進展させるための訪問だとしている。ベトナムには3日間も費やし、日本では広島を訪問するなど、異例ずくめだが、これはオバマ大統領の並々ならぬ決意を示すものだろう。

***** 以下本文 *****
「オバマ大統領は来週ベトナムと日本を訪問し、アメリカの歴史に深く刻まれている2つの章のページをめくろうとしている。」
「オバマ氏はベトナムに3日間滞在する。これは、大統領がひとつの国に費やす時間としては異例の長さであり、アメリカが同国との関係を拡大したいという意思を示すものだ。日本ではオバマ大統領は、広島を訪問する最初の大統領となる。」
「両方の訪問で、彼はこうした象徴的なことと政策の取組を組合わせている。これにより、中国の増大する影響力に対応るために、アジア地域の国々との関係強化を図ろうと努力している。」
「重要な政策課題のひとつは、アメリカがベトナムに長い間課してきた武器輸出禁止だ。人権団体はより大きな改善が実施される前に、ベトナムを利することに反対しているが、オバマ政権は規制の緩和もしくは解除を検討している。」
ベトナムとアメリカの間には今後継続して話し合っていかねばならない多くの意見の違いが存在しているが、この訪問の間に、多くの課題について、両国がパートナーとしての関係を大きく改善させていることを示したいと考えていると、国家安全保障副アドバイザーのベンロードは言った。」
「日本ではオバマ大統領は安倍首相の他、ドイツ、フランス、イギリス、カナダ、イタリアの首脳と会談する。G7サミットではグローバル経済と貿易が主要議題となる。但し、エジプト航空の惨事により、まだ原因が特定されていないが、テロへの脅威に注目が集まっている。」
「オバマ大統領は1週間の訪問の最後に広島への歴史的訪問を行う。アメリカは広島に2つの原爆のうち最初の1発を投下した。オバマ大統領は、戦争の人的被害についての認識を示し、大統領の就任早々からの取組みであった核不拡散について訴える予定だとローズ氏は述べた。」

ベトナムも日本も米国のアジアとの新しい貿易協定の当事国である。オバマ大統領はTPPを彼の2期目の優先政策と位置付けたが、11月の選挙以降議会では進展が見られない。オバマ大統領はアジアでのバランス調整することがTPPの成功にとって重要であり、アメリカのパートナー国に彼が大統領職を辞する前に国内での障壁を乗り越えて協定を締結可能であることを理解してもらう必要がある。」