11月にウォールストリートジャーナルに掲載された日本に関する記事は、19件。オバマ大統領の訪日があった4月の23件、小保方さんや佐村河内さんらが紙面を賑わせた2月、3月の20件についで、今年4番目の多さだった。9月、10月が7件と低迷していたので、久しぶりに日本が表舞台に帰ってきた感じがする。
ここ1ヶ月、日本発で3つの大きな出来事があった。一つ目は10月31日に電撃発表された日銀の追加金融緩和策、2つ目は11月10日に電撃的に実現した日中首脳会談、3つ目は11月17日の7~9月期のGDPがマイナス成長だったというショッキングな発表とその後の消費税追加増税時期延期と総選挙実施の決断だ。いずれも、日本のみならず、世界中を震撼とさせた。日中会談はある程度予想されていたとはいえ、日銀の追加金融緩和策や7~9月期のGDPマイナス成長を予測した人はあまりいなかったのではないか。
この3つの出来事、いずれも黒田総裁と安倍首相の強いリーダーシップが光った。黒田総裁は日銀内部の反対を押し切って5対4という極めて僅差での投票で金融緩和の実施を実現させた。安倍首相は日中会談実現に向けて渋る中国を物ともせず強いリーダシップで会談を実現させた。そして、総選挙の実施という非常に難しい決断にも安倍首相の強い思いが感じられる。米国人は強いリーダーが好きで、強いリーダーがリーダーシップを発揮すると大きな記事になる。
今月の19件の記事の中で、実に17件はこの3つの出来事に係わるものだ。追加金融緩和策が4件、日中会談が5件、増税延期と総選挙関係が8件も掲載された。これらの3つの出来事は、3度までも1面を飾った。
今月は、これらの3つの出来事は以外では、2件の記事が掲載された。1件は、川内原発の再稼動を鹿児島県が認めたというニュース。WSJは原発のニュースは常に取り上げている。意外だったのは、近大マグロが成功するまでの奮闘記が1面を飾ったことだ。
テーマ別では、政治関係が12件、経済関係が5件、社会関係が2件。久しぶりに政治関係が多かった。
掲載箇所では、国際面が14回、1面が4回、社説が1回だった。1面は日銀金融緩和追加策関連が1件、総選挙関連が2件、近大マグロ関連が1件、社説は日銀金融緩和策関連が取り上げられた。日本の記事が1面を4回も飾るのは、2月以来のことで、今月は如何に大きな出来事があったかを物語っている。