Wednesday, November 19, 2014

崖っぷちにたつ日本【A11面(国際面)】

日本は、構造改革に真剣に取組まない限り、時間の問題で破綻するというショッキングな記事が国際面に掲載された。




「一年前、アメリカのいわゆる物言う投資家ダン・ローブ氏はソニーの株を購入したと発表した。その時、彼は、アベノミクスに対する思い入れや、ふらつく家電の巨人が立ち直ることができることを述べたレターを公開した。」

「妙な話だが、彼がレターで述べた処方箋は、彼の楽観的な見方と一致していない。彼は、ソニーに、最も成功していて、ハリウッドの映画スタジオなど殆どのオペレーションをアメリカで行っているエンターテインメント部門の株の一部を売却することを求めた。今回はレターを出すことなく、ソニーの株を売却した。彼の関与が株価を上げたからだ。多分これがこの行為のポイントだったのだろう。」

「もし、ローブ氏が日本の苦境の象徴でかつアベノミクスの望みである企業を探しているのならソニーはそれにぴったりだ。その時代のアップルだ。では、もう一度言うが、何故ソニーは、日本が苦境に陥っているために、苦境に陥っているのか?ソニーが相手にしている市場は世界ではないのか?確かにここ数ヶ月、巨額でかつ予測もしていなかった携帯電話の売却や56年の歴史ではじめて配当をしなかったりと、不名誉な事態が続いたが、ソニーにはまだまだ打つ手があるのではないか?」

「いまや、日本に期待を抱くのは難しくなってきた。安倍晋三首相は今週、政府による景気刺激策とリスクの高い急な選挙に打って出だ。日本の政治家達は、安倍首相の祈りである3つの矢のうちの3つ目の矢をまだ放っていないのにだ。安倍首相のお祈りするお願いには、歴史上例をみない紙幣の印刷、歴史上例をみない公共投資の他に、長期的な供給サイドの構造改革があったではないか?この3つの矢が一斉に放たれて、成長を復活させ、日本を金融の崖っぷちから救うのではなかったのか?」

「アベノミクスのもとで、中央銀行による量的緩和の額は、日本のGDPの18%をしめるに至っている。まもなく、中央銀行の国債購入額は政府の借金の100%になる。」

「一つはっきりさせておこう、中央銀行がデフレや失業撃退のために攻撃的になったくらいでは、ハイパーインフレは生じない。ハイパーインフレは、政府が自分自身の支出を賄えず、紙幣を印刷したり、国民から購買力を奪うしか無くなってしまった時に起こるのだ。日本はまだそこまで事態が悪化してはいない。でも、いつ国債市場への実需が、中央銀行の購入によって妨げられる日がいつくるかは定かではない。しかし、投資家は今の所、消えてしまいそうに少ない利率にも係わらず、日本の国債を保有することに積極的だ。」

「じゃあ、日本の国債を投資家が買わない日が来るまでに、どれ位時間があるのだろうかというのは、人をいらいらさせるだけのつまらない質問だ。安倍首相が演じる急な選挙の舞台裏では、消費税の引き上げが経済成長の邪魔をしたのか、それとも投資家が政府の支払い能力に長期的に自信をもってもたうことに繋がったのかという議論が延々と続いている。未だ持って、こんな議論を続けているとは情けない。経済そのものが成長し始めなければ、消費税引き上げは、トヨタの財政を助けるわけでもないし、危険な高水準のインフレが招くさいむ不履行を避けられるわけでもない。誰か代案があるのなら、是非言ってもらいたい。」

「もし日本の国債を投資家が買わないという、その日が来たら、日本は、目先の苦しみから逃れるために本当の改革を先延ばししてきただけで、ああ本当の改革をやっておけば良かったということになるだろう。農産物輸入を恐れていた農民や、大型店舗を恐れていた流通店舗や、移民を恐れていた外国人恐怖症者は大きな間違いをしていたことが分かるだろう。」

「ソニーに戻って考えてみよう。ようやく、日本の幹部層は株式をき残らせるために適切な管理をするという責任を少しは示すようになった。日本の会社は過去無いようなやり方で株主への配当の支払いを増やしている。経営層を強化し、株主の力をそぐ株主持合を解消し始めている。」

「安倍政権は、株主に対してフレンドリーな企業を集めたJPX日経インデックス400の設立に協力したが、ソニーはこのインデックスから外された。」

「日本の多国籍企業が未だに成功出来ない理由は明らかではない。トヨタの世界市場からの巨額な儲けは、明らかに一部は円安効果によるものだ。スプリントの大型買収やアリババの株式保有により、ソフトバンクはその株主を多国籍化している。ソニーのイメージビジネスは成功しているし、ゲーム部門は協力だ。ジョージ・クルーニーがローブ氏から守ろうとしたエンターテイン部門も健在だ。」

「しかし、先月、日銀がさらなる金融緩和を発表した後、世界の株式市場が急騰した理由は未だに不明だ。皮肉にも、今日の世界市場における超金融緩和は、投資家を資産をもつことに積極的にさせている。それらをもつ意欲を無くすまでは。」

「広い意味において、皆がそういう様に、日本は先駆者だ。西側の福祉、税金、規制のアレンジ(我々は過剰と言っているが。)が経済の成長を妨げているということは明らかになっていない。この問題を金融政策で解決しようという試みは、中期的に破壊への道だと言うことも明らかではない。運が悪ければ、すぐさまそして突然短期的な破壊につながるかもしれないが。」


ソニーの株も価格が上がっていれば購入する人もいるだろうが、本当の改革を怠れば、その内誰も購入しなくなるだろう。日本も同様に、きちんとした改革を進めなければ、紙幣増刷と公共事業に頼った現在の政策では遅かれ早かれ、破綻するということか?
今回の衆議院選挙の議論を聞いていても、与党からも野党からも本当の改革についての話は出てこない。選挙向きでは無いのだろう。民主主義の限界だろうか?