Tuesday, November 18, 2014

日本は経済を救うために動く。【A1面】

日本のGDPが2半期マイナス成長を記録したことを受け、安倍首相が更なる景気対策と総選挙を考えているという記事が1面に掲載された。これで、3日連続して日本の記事が一面を飾った。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「世界第三位の経済大国である日本が不況に陥ったことが明らかになっている。こうした状況を受けて、安倍首相は再度の大きな経済活性化プランを計画すると同時に、彼が推進するアベノミクスへといわれる改革案が正しいかどうかについての議論が大きくなる中、急遽選挙を実施する準備に入った。」
「月曜日に経済が2四半期連続で縮小したという驚きの発表があったが、これによって対策を行うことが『絶対に必要』になったと、安倍首相の経済ブレインである本田悦郎氏WSJのインタビューの中で述べた。彼は、新たに250億ドルの現金拠出と減税を要求した。」

以下、ウォールストリートジャーナル日本語版から引用させて頂く。
 新たな経済対策は、GDPの2倍超にまで膨張した政府債務の拡大を抑えつつ、長期的な景気低迷からの脱却を目指す政府の取り組みが、一進一退の状況にあることを浮き彫りにした。安倍首相はつい先月まで、財政再建策の一環として2015年10月に消費税を再度引き上げる計画を実行するとみられていた。
 日本がリセッション(景気後退)入りしたことで、暗雲の垂れ込める世界経済の見通しは一段と暗くなったと言える。国際通貨基金(IMF)は約1年前、日本の2014年の経済成長率を1.2%と予想し、世界経済の回復が鈍い中での明るい材料として日本の景気対策を挙げていた。
 だが、足元ではIMF高官が、日本も世界の経済成長の足を引っ張る可能性を指摘している。
 欧州は既に、過去3年で3回目のリセッション入りが視野に入っている。世界第2位の経済大国である中国は、08年の金融危機以降、世界の経済成長をけん引してきたが、いまは景気が減速している。そのため、オーストラリアやブラジルといった商品(コモディティー)輸出国の景気が停滞している。
 米連邦準備制度理事会(FRB)内では、米国の景気回復はようやく加速の兆しが見られるものの、海外の弱さが障害になると懸念する声が広がっている。実際にそうなれば、市場が2015年半ばと見込む利上げの先送りを検討する可能性もあるとFRB幹部らは指摘している。
 安倍首相は18日、消費再増税の先送りを発表する見通しだ。また、全力でデフレ退治に取り組む使命について新たに国民の信任を得るため、衆議院を解散し、12月14日に総選挙を実施することも決めるとみられる。近年の日本経済は、賃金が下落し、需要が低迷するというデフレの悪循環により停滞している
安倍首相は17日夕、連立を組む公明党の会合で、「長く続いたデフレから脱却するチャンスをやっとつかんだ。私たちはこのチャンスを手放すわけにはいかない」と述べた。
 首相の発言からは、2年間の任期中の経済面での成果を訴えていくという選挙戦略が垣間見えた。現政権下で100万人の雇用が生まれ、賃金が上昇した上、観光業は好調で、日本経済に1兆円を超える観光収入をもたらしたとし、「経済の好循環が今まさに生まれようとしている」と語った。
 総選挙となれば、アベノミクスが機能しているかを問う国民投票の様相となるが、野党が選挙戦でこうした主張に反論してくるのは確実だ。
 デフレ脱却と景気回復を公約に掲げ、2年前の総選挙で地滑り的勝利を収めた安倍首相は、衆議院での任期を2年残して解散総選挙に踏み切るという賭けに出ようとしている。安倍首相が総裁を務める自民党は、衆議院の480議席のうち295席を占めているが、首相の側近でさえ、現有議席の確保が難しいことを認めている。
 政府関係者はこの数カ月、景気が回復軌道に乗っているのは確かだと繰り返してきた。だが、4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたことで消費者は大きな打撃を受け、4-6月期と7-9月期のGDP成長率はマイナスへと押し下げられた。17日発表の7-9月期GDPは予想外に悪い内容だったため、安倍首相が来年に消費再増税に踏み切ることが不可能になった。
 7-9月期のGDPは前期比年率1.6%減と、4-6月期の7.3%減に続くマイナス成長となり、日本経済はリセッション入りした。
 エコノミストは一般に、年率ベースでみたGDPのマイナス成長が2四半期ないしそれ以上連続した場合をリセッションと定義している。
 消費増税後の成長鈍化と言えば、1997年の記憶がよみがえる。この年は4月の消費税率引き上げをきっかけにリセッションに陥り、日本は借り入れと支出の拡大を余儀なくされた。
 安倍政権の関係者は今年初め、2回目の消費増税の影響を相殺し、経済を下支えする方法の一つとして、景気対策を実施することを示唆していた。
 エコノミストらは今年の経済成長率予測を下方修正し、2%の物価上昇率というアベノミクスの主要目標の一つは達成が難しいとの見方を強めるようになった。
 RBS証券チーフエコノミストの西岡純子氏は「物価に関する弊社のこれまでの強気見通しを慎重方向に変えざるを得ない」と述べた。西岡氏はインフレ動向を特に楽観視していた民間エコノミストの1人。
 エコノミストの間では、日本銀行は10月31日に追加緩和に踏み切ったが、4-6月期にマイナス成長に陥ってから行動に出るまで時間がかかりすぎたと批判的な声も聞かれる。
 しかし、景気浮揚に向けて日銀にできることはもうほとんどないと指摘するエコノミストもいる。その理由として、日銀がインフレ押し上げを狙い、主に国債買い入れを通じて金融システムに大量の資金を供給したにもかかわらず、日本経済が大幅なマイナス成長に陥ったことを挙げる。
 明治安田生命保険チーフエコノミストの小玉祐一氏は「日銀はもう一度追加緩和を実施する可能性が高いが、量的・質的緩和の景気押し上げ効果の弱さはすでに明らかになりつつある」と述べた。
 消費増税が先送りされれば、日銀幹部は追加緩和にもっと慎重になる可能性がある。日銀は先月の金融政策決定会合で、追加緩和を賛成5、反対4の僅差で決めた。反対票を投じた政策委員の一部は、日銀の国債買い入れが、安倍首相の財政再建意欲をそぐ恐れがあると懸念している。
 首相のもう1人の経済政策ブレーンである浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)はインタビューで、景気の弱さが今後数カ月続いた場合、日銀は「なりふりかまわず」行動すべきだと述べた。浜田氏は、消費増税や円安で「困っている人にだけに」現金給付を行うことに支持を表明した。
【記事は以上】
書き出しのインタビューに出てくる本田悦郎内閣官房参与は、FNNの取材に対して、「最初聞いた時は、何かの間違いじゃないかと思いました。増税を実施するという状況にはないと、私は確信しております」と述べたという。安倍首相のブレイン中のブレインですら、今回の2四半期連続マイナス成長は驚愕の内容だったのだろう。
「1997年4月の消費税率引き上げをきっかけにリセッションに陥り、日本は借り入れと支出の拡大を余儀なくされた。」とある。今回はそうならないことを望むが、不安でならない。