Wednesday, December 31, 2014

** 2014年のまとめ **

2014年にウォールストリートジャーナルに掲載された日本関係の記事は、180件だった。テーマ別では、政治関係が75回、経済関係が62回、社会関係が43回。掲載箇所別では、1面が25回、国際面が125回、意見欄が24回(社説14回、専門家意見欄8回、読者投稿欄2回)、その他が6回(国内面4回、特設面2回)。

これらの180件の記事、特に1面に掲載された記事を詳細に分析し、「WSJが選んだ2014年日本の十大ニュース」を、独断と偏見で選んでてみたい。

1面に掲載される記事には、連載物やインタビュー記事などのいわゆる「企画もの」と、重大性や緊急性を考慮した「重大ニュース」がある。今年1面に掲載された記事25件のうち、「企画もの」は9件、「重大ニュース」は16件だった。

重大ニュース16件は下記の通り。順位は回数と掲載時期(掲載時期が早いもの程上位)で決定した。複数回掲載された記事を一つにまとめると10件となった。まあ「WSJが選んだ2014年日本の十大ニュース」というところか。
1位: 衆議院総選挙(3件 - 11月、12月)
2位: ソニーへのサイバー攻撃(3件- 12月)
3位: マウントゴックス破綻(2件 - 2月、3月)
4位: ソフトバンクのT-Mobile買収交渉(2件 - 3月、6月、2件)
5位: サントリーのビーム買収(1件- 1月)
6位: 安倍首相のインド訪問(1件 - 1月)
7位: トヨタ車リコール和解へ(1件 - 2月)
8位: 佐村河内氏の盗作事件(1件 - 2月)
9位: 消費税増税(1件 - 3月)
10位: 日銀金融緩和追加対策(1件 - 11月)

経済紙だけあって、10件の中の5件が企業関係。ソニー、マウントゴックス、ソフトバンク、サントリー、トヨタの5つの企業の名前が一面を飾った。
ソニーのサイバー攻撃は、主に攻撃を受けたのがソニーの米国子会社だったこともあり、日本では海外ニュースとして扱われることが多い。マウントゴックスも、経営人や被害者の多くが米国人だったからだろうか、日本ではあまり日本のニュースとしては扱われなかった。これらのニュースは、サイバー攻撃とビットコインという、新しいトレンドを象徴する事象が絡んでおり、新しいもの好きなアメリカ人には受けるのだろう。従って上位に入った。しかし、日本では、こうしたニュースが2位、3位に入っていることには違和感を感じる方も多いのではないだろうか。
サントリーのビーム社買収は、同社がアメリカの酒であるバーボンの会社であるからこれだけ大きく取り上げられたのだろう。米国企業が、日本の代表的酒蔵を買収する様なものだ。
ソフトバンクは、孫さんが、類まれなる日本の経営であることから、これだけ大きく取り上げられており、日本人としては嬉しい限りだ。どの記事にも、孫さんの大きな写真が掲載されていて、彼はアメリカでも人気者だ。
トヨタの記事は、トヨタに同情的に書かれており、WSJはこの問題については、米国当局に対して批判的だ。

安倍首相関係では、消費税増税や衆議院総選挙に加えて、インド訪問が6位に入っている。11月の習主席との電撃会談の方が上位に来てもよさそうだが。米国が中国との対抗姿勢を強める中で、アジアの2大民主主義国家である日本とインドが同一歩調を取って、中国を牽制したことが、よほど嬉しかったのか?

よくわからないのは、佐村河内氏の盗作問題が8位に入っていることだ。WSJは、小保方氏の事件もくり返し大きく取り上げたが、さすがに一面では取り上げなかった。

ちなみに、読売新聞の読者が選んだ2014年の十大ニュースは次の通り。
1位:      御嶽山噴火で死者57人、行方不明者6人
2位:       消費税8%スタート          
3位:       ノーベル物理学賞に青色LEDを開発した赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏       
4位:       全米テニスで錦織圭が準優勝 
5位:       「アベノミクス」の評価を問う衆院選  
6位:       広島市北部の土砂災害で74人が死亡  
7位:       STAP細胞論文に改ざんなど不正  
8位:       ソチ五輪で日本は金1、銀4、銅3  
9位:       世界文化遺産に「富岡製糸場」       
10位:    高倉健さん死去    

WSJ,、読売双方のベスト10に入っているのは、衆議院総選挙(WSJ 1位、読売5位)
消費税増税(WSJ9位、読売2位)の2件だけだ。
ちなみに、読売の十大ニュースの中で、4位の錦織圭、9位の富岡製糸場、10位の高倉健の3つは、1面以外でもWSJでは全く取り上げられなかった。

アメリカから見た日本と、日本からみた日本には、微妙な違いがあり、面白い。

** 12月のまとめ **

12月にウォールストリートジャーナルに掲載された日本に関する記事は、15件。2014年の月平均が15件だったので、ちょうど平均に値する。


15件のうち、実に7件が、ソニーのサイバー攻撃に関する記事だった。特に、オバマ大統領がソニーを名指しで非難した21日の記事以降、24日、31日と1面に3回も掲載され、この事件に関するWSJの並々ならぬ関心の高さを示した。

テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が4件、社会関係が7件。

政治関係では、12月14日に実施された衆議院総選挙に関する記事が2件、選挙後の第二次安倍内閣に関する記事が1件、日米韓機密情報共有覚書に関する記事が1件だった。
経済関係では、ムーディーズによる日本の国債の格付けを引下げの他、安倍首相が選挙後に矢継ぎ早に打ち出しだ経済政策が3件。具体的には16日の政労使会議での賃上げ要求、27日の3.5兆円景気対策発表、30日の2015年度税制改正大綱発表だ。
社会関係は、全てソニーのサイバー攻撃に関する記事だった。

掲載箇所では、国際面が7回、1面が4回、専門家意見欄が3回、2014年度ハイライト面が1回だった。1面はソニーのサイバー攻撃に関連が3件、総選挙関連が1件。専門家意見欄、2014年ハイライト面は全てソニーのサイバー攻撃に関する記事だった。

政府は法人税減税を承認する【A18面(国際面)】

与党が30日に発表した2015年度税制改正大綱について、翌31日の国際面で速報した。


「日本の与党は、20154月からの会計年度で、法人税を約2.5%引き下げることを表明した。これは、安倍晋三首相による経済再生計画に再び息を吹き込むための対策だ。」
「中央政府、地方政府併せて、約34.6%の法人税を課している。この率はアメリカに比べれば低いが、他の主要国に比べると高い。」

「火曜日に発表された今年度の税制改革案では、与党である自民党と、連立を組む公明党は、20154月から始まる会計年度で、法人税を32.11%まで引き下げ、その翌年には、32.11%もしくはそれ以下に引き下げることを確約した。自民党によれば、この減税によって、企業の税金支払い額は2,000億円もしくは2%減少する。」

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WSJは、日本の法人税の動向について、継続的に報道しているが、その際に必ず米国の法人税率との比較に言及している。先進国の中で、日米両国の法人税率が比較的高いのだが、日本が税率を下げると、アメリカだけが置いて行かれることに、漠とした不安があるのだろうか。


ソニーのハッキングは企業に警告の鐘を鳴らす【A6面(2014年ハイライト)】

2014年最終日の紙面で、2014年重大ニュースを発表したが、日本関係で唯一、ソニーを襲ったハッキングも問題が選ばれた。


「ソニー・ピクチャー・エンターテインメントを襲ったサイバー攻撃は、当初はハリウッドの内部文章を覗き見るという低俗なことから始まった。ハッカー達は、共同会長のエイミー・パスカルや社長のマイケル・リントンら最高幹部のメールを公開したのだ。」
「ハッカー達が主張する動機は、『ジ・インタビュー』に対する報復だ。この映画は、2人のテレビジャーナリストが北朝鮮のキム・ジョン・ウン主席を暗殺する任務を授かるコメディだ。」
「しかし、この事件はすぐに、国際的な騒動にエスカレーションされた。ハッカー達が映画公開する劇場に対し危害を加えると脅し、米国当局がソニーへの攻撃の背後に北朝鮮がいると結論付けたからだ。ソニーは、その11時間後に、1225日に予定されていた公開を中止すると決断した。」
「こうした動きは、ハリウッドとワシントンからの激しい反動に見舞われた。そして、クリスマス前の2日後、ソニーは、限られた劇場とビデオ・オン・ディマンドにより、映画を公開すると発表した。多分こうした騒動によるものと思われるが、多くの観客がこの映画を見るために劇場に押し寄せ、最初の日だけで、100万ドルを超えるチケット売上を記録した。また、この映画は、初日だけで、オンラインで、200万回以上購入されるか借りられ、15百万ドル以上の売上を記録した。」
「このスキャンダルは、ハリウッドでは、北朝鮮に関係する他のプロジェクトに冷たい影響をもたらした。また、この事件は、他の会社のシステムも悪意のあるハッキングの攻撃に晒されるのではという、新たな懸念を広くもたらした。

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サイバー攻撃に敗北した最初の事件として、記憶に残るのだろう・

ソニーのハッキングに続いてどの様に危機が拡散したか【A1面】


ソニーのサイバー攻撃事件のこれまでの経緯についてまとめた記事が一面に掲載された。


この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ソニー・ピクチャーズの従業員が、同社の電子メールがサイバー攻撃の後、使えなくなっていることに気が付いた翌日、同社幹部は昔ながらの通信方法で対応した。電話連絡網だ。そこで、ハッキングに関する情報アップデートは人から人へと伝達された。」
「感謝祭の週に、コンピュータと固定電話がダウンし、ソニーのスタジオの6,000人の従業員は、携帯電話やGMAILやノートパッドなどで急遽対応せざるを得なかった。給与部門は、ペイチェックを手作業で作成するために、古いマシンから情報を取り出した。まもなく、スタジオは、ブラックベリーにある情報を見つけ出した。ブラックベリーはブラックベリーのサーバー経由で電子メールをやりとりするので、未だに動いていたのだ。」

長い記事なので暫く要約する。


ソニー・エンターテインメントのリントン社長は幹部との打合せで、データは盗まれただけでなく、コンピュータシステムが使用不可能となる様に消去されていたことを明らかにした。その後の数週間で、このサイバー攻撃は数十万件の書類や電子メールの漏洩を伴うものであることが明らかになった。更に、米国と北朝鮮の関係が悪化し、ソニーと俳優や劇場オーナーとの関係も悪化した。
こうして危機がどんどん拡大していく中で、これまでエイミー・パスカル共同会長に比べて、あまりスポットライトがあたっていなかった、リントン社長が表舞台に躍り出だ。彼は、分析的で控えめで、どちらかというと部下に仕事を任せるタイプだが、今回は「ジ・インタビュー」を少しでも多くの劇場やビデオ・オン・ディマンドで公開するために、クリスマス休暇返上で、劇場やビデオ・オン・ディマントのパートナーと自ら交渉に当たった。

感謝祭の休暇中にはIT部門が電子メールを含むシステムの復旧に全力で取り組んでいた。FBIやFireEyeからの調査員も一緒に働いた。
FireEyeとは、ハッキングを受けた企業へ、ゴースト・バスターズの様なチームを送り込むサービスを行っている企業である。同社のCOOは、ソニーが受けたハッキング被害は歴史上前例の無い規模に及んでいると述べた。当初、ハッカー達は、だた「我々に従え。」とソニーに命令するだけで、自分たちが何物かは名乗らなかったし、何の要求も示さなかった。その代り、ハッカー達は、大きな被害をもたらした。5本のソニー映画、数千の社内ドキュメント、47,000件を超える個人情報がインターネットにリークされたのだ。FireEyeの捜査官はハッカーが誰なのか特定しようとしたが、データの損傷が激しく、ハッカーの足取りは消されていた。2人のソニー関係者によれば、今日に至っても、ハッカーが誰なのかは分かっていない。
1週間程経過して、捜査官は今回の事件に北朝鮮が絡んでいることを疑いだした。悪質なソフトウェアが北朝鮮に接続するアドレスを指していたのだ。北朝鮮はハッキングへの関与を否定したが、ソニーが「ジ・インタビュー」を作成したことに、怒りをあらわにした。
実は、この映画の製作に当たって、ソニーは政府関係者やシンクタンクの専門家に、こうした映画を公開した場合の政治的影響について意見を聞いていた。そして、ソニーの代わりにコロンビア映画(ソニーの子会社)のロゴを付けるなどの対策をとったが、まさか直接北朝鮮からの報復を受けるとは想定していなかった。
関係者によれば、北朝鮮が疑わしいことは否定できないが、ソニーに不満を持つ元社員の犯行ではないかという見方もある。

ソニーは以前にもハッキングの被害にあっているので、その時に十分な対策を取ったのかということも、今回の事件では議論になった。2011年にプレイステーションのユーザの1億件以上の個人情報が漏えいしたのだ。翌年、ソニーはワシントンのセキュリティ運営センターの人員を増強した。今回サイバー攻撃を受けたスタジオのセキュリティーもこのセンターが担当している。2013年にソニーはサイバーセキュリティの監視を外注から自社に切り替えた。その際に一つのファイアーウォールと148のディバイスに対するが監視対象から外れてしまった。こうした不十分なセキュリティ対策が今回のサイバー攻撃に関係しているかは不明だ。

12月6日になって事件は急展開を見せる。ハッカーが、「ジ・インタビュー」の公開を予定している劇場に対し「9.11を忘れるな。」と脅しをかけたのだ。その時点で、劇場を攻撃されるという可能性を示唆した証拠は全く見当たらなかったが、劇場側はソニーに対し、上映中止を強く求めた。これに対し、ソニーは、公開するか否かの判断は各劇場ですべきだと判断し、この判断が劇場関係者を怒らせた。
12月17日に大手劇場チェーンは臨時電話会議を開催して、この問題を協議し、上映中止を決定した。その数時間後、ソニーも上映中止を決定した。この決定が、ソニーはテロリズムに屈したという批判を巻き起こした。まさにソニーにとって最悪の事態だった。
12月19日には、ついにオバマ大統領までが、ソニーは過ちを犯したと、ソニーの対応を非難した。
リントン社長自らがCNNで上映中止の正当性を主張し、オンラインで公開してくれる会社を捜した。多くの会社は消極的な態度を示したが、Microsoft, Google そして300以上の独立系映画館が上映に合意した。44百万ドルかけて制作されたこの映画は、これまでに18百万ドルの収益を上げている。

ハッカーによれば、今回公開されたソニーの内部文書や電子メールはほんの一部に過ぎない。既に公開された電子メールの中には、ソニーの幹部のメールもある、劇場関係者についてあまり良く書かれていないものもある。こうしたことが、ソニーが劇場関係者との関係を修復することをより難しくさせている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「(リントン社長と劇場との話し合いについて)詳しい関係者によれば、話し合いは友好的に行われている。しかし、ある劇場幹部はこの問題に関するソニーの対応について怒りを感じると述べた。」
「リントン社長は、過去数か月の大きな混乱と多くの相容れない要求の中、彼のトッププライオリティは重要な決断を迅速に行うことだったと述べた。『何もしなかったということだけは言われたくなかった。』」

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ソニーのサイバー攻撃事件について、独自の取材をベースに、これまでの経緯をわかりやすくまとめていて、読み応えのある記事に仕上がっている。さすがWSJだ。
事件発生直後のソニーの休日返上での迅速な対応、ソニーは2011にもサイバー攻撃を受けたがその時の教訓は生かされたのかという疑問、今回のサイバー攻撃は誰が仕掛けたのかという疑問、そしてジ・インタビュー上映の決断に関するソニーと劇場関係者の対立や国民や大統領からの非難等、様々なポイントをコンパクトに整理している。
そして、アメリカらしく、リントン社長のリーダーシップを記事の軸に据えている。この事件は、様々な意味でアメリカらしい事件だと思うが、トップのリーダーシップの強さがもっともアメリカらしい。


Monday, December 29, 2014

首相は経済再生法を承認する【A11面(国際面)】

政府が3.5兆円の景気対策を決定したことが国際面に掲載された。




「安倍晋三首相は、291.7億ドルの経済刺激策を承認した。この対策により、個人消費を押し上げ、地方の経済活動を活性化し、不況にあえぐ経済を再生することを狙う。」
「この支出パッケージは、中小企業、地方社会、被災地の再建に重点を置いている。土曜日のこの法案の通過は、今月の選挙での圧勝後、安倍晋三首相の新内閣による最初の主要な動きとなる。安倍首相は、選挙を、彼の経済政策の国民投票だと位置づけた。」
「選挙中、安倍氏は、富を東京の外へも分散させ、急激な円安に悩むビジネスや消費者を助けることを公約した。」
「ほぼ半分のお金は最近の自然災害後の再建に充てられる。政府はまた地方政府に補助金を配布する。これにより、住民に商品券やクーポンを配布し、消費を刺激する。低所得世帯への援助には、小さい子供のいる世帯への補助や、暖房用灯油の補助金が含まれる。」
「日本経済は、4月の消費税増税が消費者支出を直撃して以来、2四半期連続で縮小している。これは定義によれば、不況に当てはまる。」

「安倍氏は、先月、来年10月に予定されていた再度の消費税増税を遅れせることを表明した。」

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内容については、あまり新鮮味が内容に思うがどうだろうか?

Saturday, December 27, 2014

米日韓は機密条約にサインする【A8面(国際面)】

日米韓の情報共有覚書が署名される見通しとなったことを国際面で伝えている。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「米国と日本と韓国は、軍事機密情報共有に関する覚書に来週サインすることで合意した。この3か国の関係者によれば、この覚書は、北朝鮮に対する防衛強化を目的としている。」
「この覚書は、ソウルと東京の緊張した関係の雪解けのきっかけとなる可能性がある。」

長い記事なので暫く要約する。

この合意はヘーゲル国務長官の尽力によるものだ。ペンタゴンは合意について正式発表していない。韓国防衛相のスポークスマンは、3か国による合意が近いと語った。この覚書は2012年に締結される予定だったが、日韓関係の悪化から締結されずにいた。韓国は安倍首相の靖国神社訪問等に怒りをあらわにし、日本は韓国が慰安婦問題等過去に清算が終わっている事項を蒸し返すことに苛立っている。

この記事は次の様なコメントで、締めくくられている。
「安倍氏は今月再選され、第二次安倍内閣を発足させた。そして、日本の国家安全保障関係の法律を改定し、米軍との連携を強化することを約束した。」
「『私は昨年よりもより楽観的です。』とワシントンのシンクタンクである戦略的国際研究センターの韓国人会長であるビクター・チャ氏は言う。『安倍氏は勝ちました。韓国は彼と付き合っていくでしょう。』」

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この覚書締結が日韓関係改善の第一歩となることを望んでいる様だ。


Friday, December 26, 2014

首相はタカ派の防衛トップを指名する【A8面(国際面)】

安倍2次内閣発足のニュースが国際面に掲載された。


「安倍晋三首相は、内閣を発足させた。タカ派の防衛大臣を任命し、来月の国会で国防関係法案の改定を成し遂げると表明した。」
「安倍氏は水曜日に国会で再任された。彼の連立与党は今月の選挙で勝利した。彼は、防衛大臣以外の全閣僚を再任した。」
「中谷元氏は、保守派の前自衛隊員で、日本の防衛力強化を支持している。前任の防衛大臣で、政治献金で問題を起こした江渡聡徳氏の後任となる。」

「安倍首相は、米国の様な同盟国と共に戦う場合に、日本により大きな役割を持たせる案を推進しているが、中谷氏はこの動きの先導役を果たすことが期待されている。安倍内閣は7月に平和憲法の解釈を変更することを決定した。自衛隊が日本の領土外で活動することは長い間規制されてきたが、この変更により、この規制を緩和する。」

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タカ派の中谷氏を防衛大臣に起用したことで、一機に防衛力強化の方向へ舵が切られるであろうと予測している。

Wednesday, December 24, 2014

ソニーはハッキングをされた英雄ではない【A13面(専門家意見欄)】


ソニーがジ・インタビューを公開することを決定したことに関連して、専門家意見欄に投稿が寄せられた。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ソニーが自尊心を取り戻すための第一歩はジ・インタビューを公開することであるのは明らかだ。火曜日に同社はようやくジ・インタビューの公開を決め、更なるドキュメントの漏えいは何としても避けるべく準備していると述べた。」
「ソニーピクチャーズのハッキング問題は、メディアにとっては、1ヶ月にわたる大はしゃぎの絶叫マシンライドの様なものだった。しかし、我々は、歴史上最も馬鹿げた出来事について話しているのだということを覚えておくことが重要だ。」

暫く要約する。

実在の国家元首の暗殺という大胆なストーリーを取り上げるのはソニーの勝手だが、予期しない結果への準備が出来ていることが前提だ。ソニーはそうした準備をしなかったために、米国と北朝鮮の紛争を招いてしまった。
にもかかわらず、ソニーは自らをテロ国家の犠牲者に仕立てようとしている。有名弁護士のボイズ氏は、ソニーがオバマ大統領の指示に従ってジ・インタビューの公開を決めたことにより、米国政府から免罪されるという考えにすり寄ろうとしている様だ。
しかし事実は、ソニーが上映中止を決定したのは、テロの脅威のためではなく、ハッカーが中止を決めればソニーの電子メールや書類を外部に公開することを止めると約束したからだ。ソニーがそんな理由で屈服したから、アメリカは北朝鮮に制裁を課さねばならなくなったのだ。有難うソニーよ。
映画の上映を中止することにより、ソニーは問題をアメリカに投げかけてきたというオバマ大統領の主張は正しい。ソニーは劇場が上映を拒んだから上映中止を決断したとしいているが、幾つかの劇場は公開を希望していたし、やる気になればソニーのCracle TV経由でも公開出来たはずだ。ソニーが上映中止を決めた本当の理由は、社内電子メールが公開されることだったのだ。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「他の種類の頑強さも準備されている。ソニーピクチャーズのエイミー・パスカルからは幾つかの大人のステートメントが出された。彼女は味気ない電子メールについて気前よく謝罪する一方で、辞任する気配は無い。彼女の将来について聞かれ、彼女はBloomberg Newsに対して次の様に語った。『それは興味深いだろう。全ての人が全てについて知っている。だから、それは全て真実だ。』」
「個人メールが漏えいしたり、盗難されたりする危険に晒されている世界に適合するには、鈍感になるのも一つの方法だ。それに加えて、遅きに失した感のある勇気に対する報償として、多分ソニーはその攻撃者がこれ以上見せるものは無いということを発見するだろう。その様に望もう。」

ソニーは、上映中止決定の理由を、テロの脅威のためとしているが、この記事によれば、自社の電子メールの更なる漏洩を防ぐためとのこと。このソニーの企業秘密を守るための決断のせいで、米国が北朝鮮に制裁を課すという国家的リスクを犯さねばならなくなった。言い換えれば、ソニーを、企業秘密を守るために、アメリカを脅威に陥れた悪者だとしている様に読める。ソニーが北朝鮮元首を題材にしたパロディー映画を作るのは勝手だが、米国に迷惑がかからない様に、サイバー攻撃への対策を講じてからにして欲しかったと言っている。


ソニーは映画を公開する。しかし、公開を決めた劇場は少ない。【A1面】

ソニーが「ジ・インタビュー」の公開を決めたというニュースがA1面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ソニーピクチャーズは火曜日に方針を変更し、ジ・インタビューをクリスマスの日に公開するとした。しかし、この話題の渦中の作品を公開することを決めている劇場の数は少ない。劇場は、ハッカーからの報復の恐怖とソニーピクチャーズの短納期での方針変更に対するフラストレーションの最中にいるのだ。」
「ソニーピクチャーズの映画を公開し、またビデオオンディマンドでの公開も検討するとう決断は、ソニーの子会社である同社が、米国が北朝鮮によるものとしている破壊的なサイバー攻撃を受けたことにより、映画の公開を中止すると発表してから6日たってなされた。オバマ大統領は、映画を中止したことを受けてソニーピクチャーズを非難していたが、火曜日の動きについては歓迎の意を表した。」

長い記事なのでしばらく要約する。
大手の映画チェーンは公開しない。ソニーピクチャーズは、ビデオオンデマンドのパートナー確保に奔走した。製作費44百万ドルのこの映画は全国公開を予定していたが、普段はニッチな芸術作品を公開している200の映画館での公開に限定される。ソニーピクチャーズはこの限定公開は最初の一歩に過ぎないこと、また25日にビデオオンデマンドでの公開にも踏み切ることを劇場側に伝えたとされるが、劇場側はソニーの日替わりでの対応に不満を抱いている。劇場側は25日に公開するためには、ハードディスクに入った映画の出荷との関係から、火曜日には公開を決めねばならなかった。ソニーピクチャーズは公開を決めた劇場について、FBIへ通知する。

この記事は、その後、この事件の経緯をまとめた上で、次の様に続ける。
通常、映画収入の60~70%は、ビデオオンデマンドからあげられるが、DirecTV, Comcastはビデオデマンドでの放映を計画していないと述べ、Verizon, Apple, AT&T, Amazon.comからはコメントをもらえなかった。
劇場での限定公開は、少しはソニーにとって金銭的な助けになるだろうが、当初の計画からすると少ない。小規模な劇場は公開を希望しているが、大規模な劇場チェーンとの関係は、ソニーピクチャーズが公開を断念した際に、その理由を劇場のせいとしたこともあり、冷え切っている。
ソニーはCrackleというストリーミングサービスを持っているが、このシステムがジ・インタビューの様な大容量の映画の配信に向いていないこと、無料配信を想定していること等の理由から、このシステムでの配信は予定していない。
公開前にこれだけの注目を集め、それにもかかわらず非常に少ない劇場でしか公開されない映画というのは、過去に例が無いので、この映画がビジネスとして成功するかは不透明だ。
ビジネスとして成功するかしないかという議論以外にも、ソニーの社内では多くの議論が続いている様だ。ソニーの平井社長は、金主席の頭が吹っ飛ぶ最後の場面の刺激を和らげる様に指示し、またこの場面を国際版からは削除する様に指示したとされる。ソニーは、この映画を米国以外で公開するかどうかまだ決めていない。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「直前になっての上映決定により、劇場主は、忙しいクリスマスの時期にスクリーンを確保することに奔走した。アラモドラフトハウスシネマの創業者のティムリーグ社長は、19の劇場の出来るだけ多くで上映したいとしている。出来れば午前11時のマチネや深夜の上映も含めて。そのためには他の映画の上映をキャンセルせねばならない。」
「彼はジ・インタビューの事前販売は非常に強いと火曜日の午後に語った。多くの上映時間帯が既に売り切れ状態だ。」

これだけ注目を集めたのに、公開劇場数が少ない映画は過去に例が無い。経済紙らしく、そうした映画が興行的に成功するか分析している。上映を決めた小劇場でのチケットほぼ完売の様だが、大劇場チェーンによる上映の見通しがつかないこと、映画収益の60~70%を占めるビデオオンディマンドでの上映が不透明であること等から、成功は不透明というのが結論の様だ。
一方、ソニー社内での様々な議論も取り上げている。平井社長が金主席の頭が吹っ飛ぶ場面を国際版からは削除する様に命令したこと、ソニーが国際版の公開を決めていないことを取り上げ、ソニーの言論侵害、弱腰の対応について、暗に批判している様にも読める。




Sunday, December 21, 2014

オバマは映画を公開しないというソニーの決断を非難する。【A1面】

オバマ大統領が、「インタビュー」の上映中止を決定したソニーを非難したという記事が1面トップに掲載された。



この記事は次のような書き出しで始まる。
「オバマ大統領はソニーエンターテインメントピクチャーを激しく非難した。同社は北朝鮮が実施したとされるハッキング攻撃に対応して、映画の公開を中止した。オバマ大統領は、それは間違いでだとし、全てのエンターテイメント産業に対し、屈服して自己検閲に走らない様に訴えた。」
「大統領が米国に本社をもつ一流企業について非難するのは極めて稀だ。この批判は、今年最後のオバマ大統領の記者会見の中で明らかにされた。」

長い記事なので暫く要約する。

金曜日にFBIは、オンライン攻撃によってソニー映画が作成した金正恩のパロディ映画「インタビュー」のデータを削除し、暴力による脅しを表明したのは北朝鮮だと非難した。この脅しにより多くの映画館が同映画の上映を中止し、ソニー自身も上映を諦めた。オバマ大統領はソニーの決断に同情を示しながらも、それは間違いだと断言し、少なくともその決断の前に彼に相談して欲しかったと述べた。ソニーの幹部は脅しに屈したわけでは無いとし、他の方法での公開を模索していることを明らかにした。
オバマ大統領は北朝鮮への制裁を課すことを明らかにし、政府高官は北朝鮮をテロ国家に再指定する考えを明らかにした。しかし、こうした制裁も象徴的な意味しかもたない。両国間の2014年の両国間の貿易額はわずか22百万ドルで、この額は「インタビュー」が公開第一週に稼ぐであろう金額よりも小さい。
ソニーピクチャーズは日本のソニーの子会社だ。ソニーの幹部と大統領や民主党幹部は仲が良いだけに、今回のオバマ大統領の発言は目立つ。ソニーピクチャーズ社長のリントン氏とその妻は、オバマ大統領への寄付$13,000を含む$300,000を民主党関係者へ寄付した。ソニーピクチャーズ共同会長のパスカル氏とその夫は$200,000を民主党関係者へ寄付した。
オバマ大統領は、ソニーピクチャーズだけでなくハリウッと全体にテロに屈しない様に呼びかけたが、フォックスは既に映画「ピョンヤン」の制作を諦め、現在制作中で北朝鮮が少し登場する映画「The Defection」の内容変更を検討している。オバマ大統領はそうした自主規制は、昨年爆弾がしかけられたことを理由にボストンマラソンを中止する様なものだと述べた。
FBIは今回仕掛けられた悪質なソフトウェアが北朝鮮が過去に使用したソフトウェアと似ていることや、今回の攻撃が依然北朝鮮が韓国の銀行にしかけた攻撃に似ていることなどを、詳細な証拠と共に説明した。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「ジョン・ケリー国務長官は北朝鮮についての厳しい書簡を発表した。そこで、彼は、オンライン攻撃と暴力による脅しは北朝鮮によるものだと断言している。『この様な非合法行為による脅しは、北朝鮮による国際秩序への目に余る軽視行為を如実に示している。』と彼は述べた。」
「この発言に反応し『我々はいかなるテロ行為も許さないし、利己的な独裁者がどんな製品がアメリカで作られ販売されるべきか決めることも許さない。』と下院法律委員会の共和党トップであるバージニア州選出のボブ・グッドラテ氏と民主党トップであるミシガン州選出のジョン・コンベイ氏は述べた。」

ソニーはサイバー攻撃に屈した企業として、米国でのイメージ低下が免れないらしい。日本では平井社長の映画の内容への関与が、言論の自由を踏みにじるものとして話題になっている様だ。
WSJは、ソニーピクチャーズのリントン社長やパスカル共同会長が民主党に多額の寄付をしていたことなどをあげ、ソニーに少し同情的に読める。
アメリカではテロに屈することは許されず、今回のソニーの判断も許されないことなのだろうが、一方で映画の内容はかなり低俗らしい。アカデミー賞候補映画のUNBROKENでも日本軍の残虐さを全く事実と異なる内容で描いているシーンがあるとのこと。
言論の自由は守られるべきだが、アメリカが大統領まで関与させて守ろうとしている言論の質についても、もっと自由に議論して欲しい。

Saturday, December 20, 2014

ソニーの事件から学んだこと:ハッキングされるな【A15面(専門家意見欄)】

ソニーがジ・エンターテインメントの公開を中止したというニュースに関して、専門家投稿欄に投稿があった。



「ソニーピクチャーズの共同会長は彼の映画の好みを題材に冗談を言っていたかもしれない。しかし、オバマ大統領はソニーの願いをきいてあげた。水曜日に、政府は、明らかな確信の欠如はあるものの、北朝鮮がエンターテインメント業界の巨人を苦しめたハッキングの背後に北朝鮮がいるという認識を明らかにした。金曜日にFBIは声明を発表し、今回のハッキングと過去の北朝鮮のハッキングとの間には類似点があるという民間部門の見方を繰り返した。」
「疑いなく、このタイミングはソニーにとって有益だった。劇場は北朝鮮を題材にした議論の渦中にあるコメディーの公開を諦め、ソニーはその公開中止を決めた。会社のリーダーシップが当面そのまま継続すること以外のもう一つの当惑は、15才の子供たちが遊戯室からハッキングする前に、それは失敗していたということだ。」
「半分懐疑的になろう。無慈悲にトンキン湾事件が思い出される。もし、北朝鮮が、以前そうしていた様に、ソニーのネットワークに干渉したのなら、そうしたのは北朝鮮だけでは無い。ハッカー達のソニーに対する嫌悪は2005年に遡る。音楽CDのコピーを防ぐために顧客のコンピュータソフトウェアを秘密にしたのだ。それは、過去2回の夏にリフレッシュされた。その夏に、2011年の破壊的なソニーのプレイステーションネットワークのハッキングの罪で、警察は20歳をテネシーからロンドンまで探し求めていた。」
「我々が知りたいこと。FBIは見つけ出せないだろう。北朝鮮の役割は正確にいうとどの様なものか、そして、他の人々をどの様に北朝鮮のために働かせることが出来たのか?北朝鮮のハッカー達は巨人たちの肩の上に乗っている。ロシアのコンテンツ泥棒、中国の企業秘密スパイ、そしてソニーをここ10年程攻撃してきた政治的な意図をもったハッカー達である。参加者はしばしば互いの本名も国籍も知らない。もしハッカーネットワークが様々な政府機関のために働く米国のエージェント達で溢れていたとしても驚かないで欲しい。重要な参加者がFBIの諜報員でなければ、プレイステーションの件では逮捕はされなかっただろう。」
「こうした歴史からみて、どうしてソニーのデータ機密が3流だったのかは、将来のビジネススクールのケーススタディの謎であろう。いまや世界は米国の文化的スーパーパワーを取り扱わねばならない。それは、歴史上初めてのサイバーテロリストによる恐喝の成功事例の犠牲になったのだ。劇場のオーナーを責めるのは止めなさい。彼らもまた弁護士の忠告に気を付けるしかなかったのだ。9.11の様な攻撃をしかけるという電子メールでの脅しは、大企業がそのコンピュータネットワークとデータ機密のコントロールを失うという1ヶ月にわたる見世物がなければ、そんなに深刻に扱われることはなかったであろう。」
「ソニーはかつてはエンターテインメント業界をかく乱していた。最初のホームビデオレコーダーを生産し、ハリウッドを激怒させた。ハリウッドは、その作品をいつどこでコンシューマに見せるかについてのコントロールを失ったからだ。そして、盛田昭夫氏は垂直統合に恋をした。音楽、映画、テレビ番組制作を、これらのコンテンツを消費するデバイスを作るビジネスに加えて、そのビジネスとした。この会社はそれからこの間違った判断の代償を払い続けている。特に、プレイステーションネットワークをセットアップした後、海賊版やハッキングによるお互いに関係のある苦難の主要なサンドバッグに自らを位置づけてしまったのだ。そして、ハッカーの集団が一旦同社の弱点についての知識を集積させてしまうと、北朝鮮の様なテロリスト国家でもそれを利用することが簡単なのだ。」
「NSAのスパイは我々のデータの心配の中では最小のものだ。それはこのコラムが長い間指摘してきたことだ。そしてソニーは何故かを示す。しかし、サイバーの自暴自棄は行われ過ぎた。よりよい暗号化は多くの問題を解決し、CEOレベルの電子メールが漏洩されることでコストベネフィットのハードルを満たすのはより簡単になってきた。」
「暗号化が解決出来ない一つの問題は、従業員の不注意と無能さだ。これがソニーのハッキングの最大の要因だ。」
「ここにジ・インタビューが持ち出されてくる。冷戦後残されてきた地政学的な謎に脅威が消されるのなら、ソニーはほんの少しの尊厳と共に現れたかもしれない。ハリウッドの仲間以上に、我々はソニーピクチャーズのエイミーパスカルやプロデューサーのスコットルーディンに、オバマについての電子メールについて聞いてみたくなるのだ。冗談がこれほど面白くない時に、その重要性が無視される様に努力が払われる。ハリウッドの人達はみかけよりも頭が良い。彼らは大体において彼らの技能がステレオタイプにおける取引であることを知っている。冗談はオバマ大統領はブラック映画が好きだに留まらない。次のうちのどれか?見る価値はあるが見るに堪えない12 YEARS A SLAVE、復讐のファンタジーDJANGO、お決まりのラブコメディのTHINK LIKE A MAN。」
「もう一つのハリウッドの伝説において、ベストムービーの幾つかは映画についての映画だ。ジ・インタビューの扱いはコメディについてのコメディというアプローチが最も良いだろう。SPINAL TAPの配役を再集結させよ。しかし、ヘビーメタルバンドの代わりに映画の重役をあてよ。フラン・ドレッシャーは素晴らしいエイミーパスカルとなるだろう。」
「これは我々を最後の皮肉へと連れてくる。ソニーは、今、ジ・インタビューを公開する予定は無いと言っている。待ってほしい。もしソニーが特殊能力を持っているものがあるとすれば、それは予定していない公開なのだ。」

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「ソニーの盛田氏が作り出した垂直統合というモデルにより、ソニーがハッカーの狙い目とされた。それにもかかわらず、ソニーの従業員がデータセキュリティに対する真剣な対応を怠ってきたために、歴史上初めてのサイバーテロリストによる恐喝事件を成功させることになった。」と言っている。ソニーが長年いにわたってハッカーの攻撃を受けながら、データセキュリティーが3流であったことは、将来のビジネススクールにおけるケーススタディになるだろうと皮肉っている。
これまでも米国ではコンピュータセキュリティに対する意識は高かったが、今回の事件をきっかけに、セキュリティーに対する議論が高まっている様に感じる。今回の事件により、日本でそう言った議論が高まっているとは言えず、両国のコンピュータセキュリティに対する意識の差を感じる事件だった。

Tuesday, December 16, 2014

日本の安倍は賃上げを推し進める【A11面(国際面)】

16日の政労使会議で、安倍首相が経済界に対し、賃上げ要求をしたことが、同日の国際面で速報された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍首相は月曜日に企業に来年、賃金を上げるように要求すると語った。選挙の決定的な勝利を利用し、中間層が利益を得ていないという批判に対応する。」
「連立与党が衆議院で3分の2の議席を確保した翌日、安倍首相は、記者会見で、安倍政権下での株価上昇や企業収益増加は、労働者の利益にまでなっていないことを認めた。」

長い記事なので暫く要約する。

日本の賃金が上昇したのは、安倍首相が政権についてから四か月だけだった。円安により輸入品の物価が上がり、更に消費税が8%へ引き上げられ、実質賃金が下がった。賃金の上昇が物価の上昇に追いつかないと、経済は危機に直面する。

一方で、日本の企業は多くの内部留保を抱えている。保険と金融関係を除く全ての企業の内部留保の合計は313兆円にも上る。トヨタの今年度利益は2兆円に上る。同社は、安倍首相の呼びかけに理解を示すものの、賃上げにコミットはしていない。安倍首相は昨年も企業に対して同様の要請をした。大企業はまずますの賃上げに応じたが、中小企業は応じなかった。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「安倍首相にとって今回有利なのは、労働市場が20年振りに、需要過多の状況になっていることだ。SMBC日興証券のエコノミストであるマキノジュンイチ氏は強気の見方をする。首相の政策にかかわらず、労働者への需要は賃金を押し上げるだろう。『成長戦略を実施しようがしまいが、企業税をカットしようがしまいが関係無いのです。』とマキノ氏は言う。成長戦略と法人税引下げは安倍首相の公約だ。」
「それに加えて、原油価格の下落が、日本の燃料の輸入価格を9.6兆円押し下げ、これが消費者の懐をさらに温かくするだろうとマキノ氏は予測する。」

本来、賃上げは組合を通して、中間層たる労働者自らが企業に要求することだろう。こんなことですら、政府にやってもらわねばならない様では、日本において中間層が裕福になることは無いと思うがどうだろか。

Monday, December 15, 2014

日本の安倍が選挙で大勝利を記録【A1面】


衆議院選挙の結果が15日(月)の一面で速報された。


この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「日本の安倍首相は、選挙で決定的な勝利をおさめた。これにより、世界第三位の経済を再生させ、平和国家の軍隊を強化することを目的にした政策を実施するための権力の確保を確実なものにした。」
「この勝利により、安倍氏率いる連立与党は、殆ど全ての法案を通過させることの出来る権力と十分な議席数を手に入れることが出来た。首相は、今後4年間その地位に留まることが出来、最近では最も安定した力をもった政治家の地位を確固たるものにした。」

長い記事なので、暫く要約する。

安倍首相にとって、最大の懸案は、経済の再生だ。彼は、企業に賃上げを要求し、経済回復の恩恵を感じていない国民にその恩恵を行き渡らせると言った。この選挙は、安倍首相にとって大きな賭けだったが、その賭けにでた効果はあった。自民党は、衆議院の475議席のうち、290議席を獲得し、連立与党を組む公明党と併せると衆議院の3分の2以上の議席を確保した。
安倍政権下で、株価は倍増し、大企業は記録的な利益を出した。これは、安倍首相が選んだ黒田日銀総裁が実施した金融緩和による円安の効果だ。しかし、円安は、輸入品価格の値上がりにより中小企業や一般の庶民を苦しめ、国家の負債は膨張し続けている。
安倍首相にフラストレーションを感じる国民は、投票しないという行動を選択し、投票率は過去最低の52%だった。投票に足を運んだ多くの人も、自民党以外に投票する党がいないと述べた。野党第一党の民主党の議席は73議席で、自民党に対する不満票は21議席を確保した共産党へと向かった。
多くの投資家が安倍首相が構造改革を実施するか見守っている。安倍首相は原発再稼働の様な不人気な政策にも取り組むことを確約している。また、軍事強化を実施するチャンスも得た。しかし、沖縄での選挙結果は、安倍首相に沖縄に米軍の新基地を作ることを難しくした。沖縄に4つある全ての選挙区で自民党推薦候補が落選したのだ。外交も中国や韓国の関係など困難が待ち受けている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「『私の優先課題は経済です。しかし、同時に私は戦略的外交にも重点をおきます。日本の地位を改善させ、国益を守ります。』と安倍首相はNHKとのインタビューで述べた。」
 「安倍首相の強化された権力は先進国の中でも印象的だ。唯一の例外はドイツのメルケル首相か。アメリカでは、オバマ大統領の反対党が11月に議会の完全な支配権を得た。フランスのホランド大統領の支持率は12%まで落ち込んだ。対照的に、安倍首相は最近の日本の歴史の中では最も長期政権を維持する首相とになる。日本では過去四半世紀の間に17人に首相が入れ替わったのだ。」

WSJは、安倍首相が、その安定した地位を利用して、強力に政策を推し進めることを願っている様だ。

Saturday, December 13, 2014

嫌々ながら、日本の選挙民は安倍を優位に立たせる【A6面(国際面)】

衆議院選挙では、安倍首相が圧勝するだろうが、それは他に選択肢が無いからだという記事が、13日の国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「トヨタ自動車の地元では、着物はトヨタカローラの中古車と同じ位の値段がするが、そこにある着物店では、安倍首相が2012年にその地位について以来、売上は10%伸びた。」
「つい数年前、豊田市は非常に深刻なスランプにあったので、デトロイトと比較する人がいた位だ。今や、40万人の人口を擁するトヨタの城下町は、安倍首相の経済政策の最大の受益者の一つであるトヨタの記録的な利益のおかげで、蘇るつつある。」

暫く要約する。
しかしアベノミクスの効果は全体に行き渡っている訳ではない。例えば、豊田市の部品メーカーは円安によるエネルギー価格の高騰に苦しんでいる。その他の地方でも同様で、とても景気が浮揚している訳では無い。また、安倍政権や自民党の支持率は低迷している。この様な状況でも、各種世論調査によれば、自民党の圧勝が予測されている。今回の選挙は、アベノミクスへの国民投票と言わているのにである。これは、多くの国民が、政権が安定しないと、経済が安定しないと考えているからだろう。これまで日本の首相は毎年の様に変わって来たが、選挙結果が世論調査の通りだとすると、安倍政権は長期政権となる。
名古屋地区はもともと民主党が強い地域だ。2009年に民主党が政権を取り、その後自民党が取り返した。現在、名古屋市や豊田市を擁する愛知県の失業率は2009年の5.1%から2.4%へと半減している。国際的な企業はアベノミクスの恩恵を受けている。トヨタは2009年に4,370億円の損失を計上したが、昨年は1.8兆円の利益を計上するまでに回復した。
しかし、中小企業はあまり恩恵を受けていない。同様の格差が、都会と地方、高齢者と若年層でも起きている。豊田市でも、新たに生み出された雇用の内、フルタイムの仕事は半分にも満たない。民主党は、安倍首相の政策は価格を上昇させ、賃金の良い仕事を増やすことに失敗しており、庶民を苦しめていると訴えている。
確かに、トヨタの下請け部品業者は、売上は増えているが、エネルギー輸入価格の高騰で、利益は縮小している。それでも、多くの部品業者は、トヨタの業績好調が継続すれば、長い目でみれば、必ず自分たちも恩恵を受けられると信じている。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「豊田市のホテル豊田城では、ある月は、80%以上のビジネスが海外顧客によって占められたと、同ホテル社長のアライトシカズ氏は言う。同ホテルの稼働率はほぼ100%だ。」
「観光ブームも起きてはいるが、彼は安倍首相を信用はしている訳ではない。安倍氏は選挙には勝つだろうが、それは彼の政策に対する熱狂からくるものでは無い。『アベノミクスは問題だらけだ。しかし、野党である民主党も対抗案を明らかにしていない。』とアライ氏は言う。」

自民党を好きで無い国民は多いが、かといって、民主党は何をしたいのか分からずこうした国民の受け皿になっていない言っている。その通りだろう。
アベノミクスは分かりやすくパワフルな政策だが、第3の矢である成長戦略で何をしたいのかさっぱり分からない。せっかく東京オリンピックを誘致したのに、何か国民的な盛り上がりに欠けている。このあたりに民主党が具体的な政策を立て、国民に夢を与えて欲しい。
確かに中間層に富が十分に配分されていないかもしれないが、かといって中間層は、民主党が言っている様なばら撒きによる施しを期待している訳ではない。中間層が、将来に希望を持てる様な社会、中間層が一生懸命に働いて自らの手で豊かさを勝ち取れる様な社会を具体的に描いて、自民党との違いを鮮明に打ち出してもらいたい。

Wednesday, December 10, 2014

ソニー対北朝鮮【A17面(専門家投書欄)】

北朝鮮によるとされるソニーピクチャーズへのサイバー攻撃の記事が専門家投書欄に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「北朝鮮は、ソニーのハッキング以上の意味で、文明国にとって脅威だ。ハッキングが北朝鮮の仕業という前提だが。しかし、それでも質問には答えられなければならない。」
「セス・ローゲンのコメディー『ジ・インタビュー』はどこの映画会社が選択してもおかしくなかった。この映画は、二人の喜劇的なテレビジャーナリストが、北朝鮮のキム・ジョンウン暗殺のために雇われるというストーリーだ。しかし、ソニーは日本の会社だ。そして、日本は北朝鮮のテロリズム、誘拐、ミサイルの脅威に数十年もの間晒されている国だ。」
「ソニーは、何度もハッキングの脅威に晒されたプレイステーションというデジタルネットワークを持っている唯一のスタジオだ。」

長い記事なので、暫く要約する。
ソニー程、ハッキングを避けるのに腐心した会社は無いのに、今回5つの映画が共有サイトに漏れてしまった。とりわけ、過去50年の間に、ソニーほどハッカーにつきまとわれた会社は無い。被害者を非難するつもりはないが、来るべきサイバー戦争の時代には、ファイアーウォールやウィルス阻止ソフトウェアはよりも、サイバー攻撃に強いビジネスモデルが重要だ。
北朝鮮がハッカー攻撃をしかけたのかどうかはまだ明確ではないが、北朝鮮は国連に抗議し、対抗措置を取ると主張してきた。ハッカー集団の狙いは情報を盗むことでなく、ソニーを地球上から抹殺することにある。もし、北朝鮮の仕業だとすると、ハッカー集団の夢想を通り越して、サイバー戦争に真剣に対応すべき時が来たというべきだ。ソニーはそんな時代において、2度も重要な役割を演じたのだ。
2011年にソニーはアノニマスと名乗るハッカー集団の攻撃を受けたが、後にFBIの情報屋であることが判明するサブはブログで「多くのメール、パスワード、文章、クレジットカードが悪質な業者の手に渡るのと、誰かがその前にパスワード変更をした方が良いですよと貴方に通知するのとどちらが良いか?」と述べた。これを折りに多くのテクノロジー企業は悪質ではないハッカー達と手を結ぶ様になった。しかし、ハリウッドのコンテンツ企業を配下に持ち、ハッキングが致命傷になりかねないソニーは、こうした妥協をしなかった。ハッカーに異常なまでに注意を払ったストリンガー前社長は、プレイステーションのネットワークを独自のもの(Proprietary)にすることで対抗した。一方で、アップル等は、デジタルデータへ非常に安くアクセス出来る様にし、ハッキングそのものが意味を持たない様にした。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「この多様化されたエコシステムはコピーライトの脅威を和らげるばかりでなく、ソニーの厳重にコントロールされたプレイステーションのネットワークより、商業的にハッキングに晒される危険が低いビジネスモデルを提供している。プレイステーションネットワークはハッキングお宅を引き寄せることが証明されている。月曜日、ソニーが北朝鮮のハッカーと伝えられる集団と戦っていた時でさえ、関係の無い別の集団がサービス拒否攻撃によりプレイプレイステーションストアを爆破していた。マイクロソフトのX-BOX LIVEネットワークもサービス拒否攻撃の標的にされていた。この歴史の結論は、どんな北朝鮮の攻撃者も辿るべき沢山の足跡を簡単に見つけ出してしまうだろうと言うことだ。」
「北朝鮮の冷淡な独裁者を嘲笑する映画は、西側諸国の文化資産への大変に面白く意味のある貢献だということは言える。だが、そうした映画は、北朝鮮の不賛成を嘲笑しても大丈夫な様にデザインされたビジネスモデルをもつスタジオにより許可されるべきだった。」

「今回の北朝鮮によるサイバー攻撃は、ソニーでは無く、もし他の映画スタジオが同じ映画を作成していたら、起こらなかった。」言い換えれば、「ソニーがこの映画を作成したから、アメリカがサイバー攻撃に晒された。」と言っている様に読める。
その理由として「ソニーが北朝鮮と敵対する日本の会社であること」「プレーステーションネットワークが何回もサイバー攻撃にあっていて脆弱であることが証明されていること」「ソニーピクチャーズのビジネスモデルがコンテンツそのものの価値で稼ぐ古いビジネスモデルであるため、コンテンツを狙った攻撃に晒されやすいこと」の3つを挙げていると読める。
最後には、「ジ・インタビュー」という映画は西側諸国にとって貴重な文化資産とまで言っている様に読める。なんとなく腑に落ちない記事だ。

Tuesday, December 2, 2014

日本の信用格付けが引き下げられる【A13面(国際面)】

ムーディーズ社が日本の国債の格付けを引き下げたというニュースが国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。

「ムーディーズ社の投資サービス部門が月曜日に日本の信用格付けを引き下げた。安倍晋三首相は、経済再生に取組んでいるが、この格下げは彼が直面している課題を如実に反映している。日本経済は2四半期連続で縮小しており。こうした状況は通常不況とみなされるのだ。」
「安倍首相は先月、来年に予定されていた消費税引き上げの実施時期を延期することを決定した。ムーディーズ社は格付け引き下げの説明会において、安倍首相のこの決定により、日本の財政再建の可能性がより一層不透明になったと述べた。安倍首相は延期の決定の直後に、総選挙の実施を決めた。日本国民はアベノミクスに審判を与える機会を与えられた。アベノミクスとは、金融緩和、財政出動、規制緩和による経済政策だ。」

暫く要約する。

ムーディーズは、格下げの理由として、日本政府が取組まねばならない「経済成長と財政規律を両立」という仕事がが極めて困難なものであることを挙げている。また、消費税引き下げ時期延期は、それにより経済が成長し税収が増えるのなら有効的だが、現在の安倍政権の成長戦略が成功するのかが疑問である点も格下げの理由としてあげた。日本の格付けはAa3となったが、これはイスラエルやチェコ共和国と同じだ。
安倍首相は、7~9月期のGDPが大きく縮小したとの暫定発表を受けて、消費税引き上げ時期の延期を決めたが、月曜日に発表された法人企業統計では、同期のGDP縮小幅は暫定発表程、悪くなかった。

この記事は下記の様なコメントで締めくくられている。
「日本のGDPの14%を占める企業投資は、以前の推定では0.2%の減だったが、実際には3.1%上昇していたことを財務省の統計は示している。」
「この統計が発表された後、Berclays社と J.P.Morgan社は、日本政府は7~9月期のGDPはその前の期からほぼ横ばいだったと発表するだろうと語った。」

韓国では、日本の国債の格付けが、韓国よりも低くなったことが話題になっているらしい。日本は経済成長と財政規律の両立という難しい課題に取組まねばならない。今回の衆議院選挙は日本の将来を決める重要な選挙であり、どの政党がこの課題に真剣に取組もうとしているのか、よく見極める必要がある。



Sunday, November 30, 2014

** 11月のまとめ **

11月にウォールストリートジャーナルに掲載された日本に関する記事は、19件。オバマ大統領の訪日があった4月の23件、小保方さんや佐村河内さんらが紙面を賑わせた2月、3月の20件についで、今年4番目の多さだった。9月、10月が7件と低迷していたので、久しぶりに日本が表舞台に帰ってきた感じがする。


ここ1ヶ月、日本発で3つの大きな出来事があった。一つ目は10月31日に電撃発表された日銀の追加金融緩和策、2つ目は11月10日に電撃的に実現した日中首脳会談、3つ目は11月17日の7~9月期のGDPがマイナス成長だったというショッキングな発表とその後の消費税追加増税時期延期と総選挙実施の決断だ。いずれも、日本のみならず、世界中を震撼とさせた。日中会談はある程度予想されていたとはいえ、日銀の追加金融緩和策や7~9月期のGDPマイナス成長を予測した人はあまりいなかったのではないか。


この3つの出来事、いずれも黒田総裁と安倍首相の強いリーダーシップが光った。黒田総裁は日銀内部の反対を押し切って5対4という極めて僅差での投票で金融緩和の実施を実現させた。安倍首相は日中会談実現に向けて渋る中国を物ともせず強いリーダシップで会談を実現させた。そして、総選挙の実施という非常に難しい決断にも安倍首相の強い思いが感じられる。米国人は強いリーダーが好きで、強いリーダーがリーダーシップを発揮すると大きな記事になる。


今月の19件の記事の中で、実に17件はこの3つの出来事に係わるものだ。追加金融緩和策が4件、日中会談が5件、増税延期と総選挙関係が8件も掲載された。これらの3つの出来事は、3度までも1面を飾った。

今月は、これらの3つの出来事は以外では、2件の記事が掲載された。1件は、川内原発の再稼動を鹿児島県が認めたというニュース。WSJは原発のニュースは常に取り上げている。意外だったのは、近大マグロが成功するまでの奮闘記が1面を飾ったことだ。

テーマ別では、政治関係が12件、経済関係が5件、社会関係が2件。久しぶりに政治関係が多かった。

掲載箇所では、国際面が14回、1面が4回、社説が1回だった。1面は日銀金融緩和追加策関連が1件、総選挙関連が2件、近大マグロ関連が1件、社説は日銀金融緩和策関連が取り上げられた。日本の記事が1面を4回も飾るのは、2月以来のことで、今月は如何に大きな出来事があったかを物語っている。

Saturday, November 22, 2014

日本のリーダーは国会を解散する。【A8面(国際面)】

安倍首相が衆議院を解散したというニュースが国際面に掲載された。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍晋三首相は金曜日に衆議院を解散した。来月の急な選挙への準備を整えた。彼は、選挙で彼の経済政策について信を問いたいとしている。」
「この動きは予期せぬものではなかった。安倍氏は火曜日に2015年10月に予定されていた消費税の引き上げを延期し、アベノミクスの信を問うために選挙を実施すると発表していた。アベノミクスとは、財政緩和、政府による経済活性化、構造改革で構成されるプログラムだ。彼は、増税延期の決断について、国民の支持が必要だと感じたと語った。」

暫く要約する。
安倍首相は、アベノミクスは大企業しか利していないという批判に対して、まずは大企業の利益を上げ、それが次第に全経済に行き渡って行くというのは、有効な政策だと語った。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「野党は、消費税引き上げを争点とした選挙実施という安倍首相の決断に批判的だ。この点について、国会で反対が無いからだ。」
「予期せぬ選挙は、安倍氏の経済見通しと、今選挙を実施することによって、議席減を最小限に食い止めたいという思いが反映されているのかもしれない。多分、後になって選挙をやれば、もっと議席数を減らすことになる。」

WSJは、安倍首相が今選挙を実施することによって、議席数の減少を最小限に食い止めることを歓迎している様に読める。

Thursday, November 20, 2014

日本の与党は勝利への目標を低く設定する。【A13面(国際面)】

安倍首相が選挙の勝利ラインを過半数に設定したという記事が国際面に掲載された。


この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「安倍首相は、火曜日に、衆議院選挙について勝利宣言するためには何議席必要と思うかと問われ、低い目標を設定した。安倍氏は、連立政権で過半数と答えた。これは、今の議席から80以上の議席を減らしても達成可能だ。」
「本当の問題は彼が勝つか否かではない。アベノミクス成長戦略のより困難な部分を実施するために十分な政治的地位を確保できるかが重要だ。」

暫く要約する。

経済が弱いので、自民党は議席を減らすリスクがある。安倍首相は、先手を打って、低い目標を設定したとの見方もある。
現状、衆議院では、480の定員に対して、自民党が294議席、公明党が31議席持っており、2/3以上の議席を確保している。安倍首相は、議席は減るだろうと見ている。アナリストは、安倍首相は、衆議院の任期が切れる2016年に選挙を実施するよりは、議席の減少が少ないと見ていると推測する。

この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「安倍首相の選挙での最大の課題は、経済への不満や、実質賃金の減少だろう。総選挙の発表と同時に発表された消費税増税の2015年への延期は争点にはならないだろう。」
「野党も延期には総論賛成である。しかし、選挙は時間の大きな無駄だとして、選挙を実施することへの国民の苛立ちを煽っている。」

アベノミクス実施から2年が経過したこの時点で、アベノミクスの是非について国民あげて議論するのことは時間の無駄だろうか?無駄にしない様に、野党にも対案を出してもらい、意味のある議論を展開してもらいたい。

Wednesday, November 19, 2014

日本のリーダーは増税を遅らせ、総選挙を実施する。【A12面(国際面)】

安倍首相が、総選挙実施と消費税増税の先送りを正式に発表したというニュースが、国際面に掲載された。




この記事は次の様な書き出しで始まる。

「日本の安倍晋三首相は火曜日に急遽選挙を行い、消費税増税を遅らせると言う彼の決断の信を問うと述べた。日本の経済が不況に逆戻りしないためには、彼の政策が必要だと彼は述べた。」
「安倍首相が選挙によってギャンブルに出たことにより、国民は日本を活性化させるという彼の政策に審判を下すチャンスが与えられる。彼の政策は株式市場を押し上げ、雇用を増やしたが、一方で、GDPは2期連続でマイナスだった。役人によれば、選挙は12月14日に実施される。」

暫く要約する。

この数ヶ月、安倍首相が消費増税を予定とおり実施するか、つまり財政規律と景気拡大のどちらを重視するかが注目されてきた。首相はテレビで国民に向かって、消費増税を18ヶ月延期すること、このことの信を問うために衆議院を解散し、総選挙を行うことを発表した。財政規律が緩むことを心配する声に応えて、10%への増税を17年4月に確実に行うことと、2021年3月期には財政支出をバランスさせることを明言した。

この発表は、7~9月期のGDPがマイナス1.6%であったことが発表された翌日に行われた。安倍首相は、特に消費者心理が冷え込んでいることを懸念しており、これ以上の増税による更なる冷え込みを避けたいとしている。また、景気刺激策の検討にも言及した。

一方で、安倍首相は、アベノミクスが失敗だったいう見方は否定し、この選挙はアベノミクスの成否を問うものだと述べた上で、過半数が取れなかった場合の辞任についても明言した。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。

「野党は早期解散について批判的だ。衆議院の任期はまだ2年を残している。また、月曜日のGDPマイナス成長数値が、その思いを強くした。」
「『この選挙はアベノミクスの失政を隠すための選挙だ。』と民主党の幹部は述べた。」

安倍首相は、2四半期連続のGDPマイナス成長という驚愕すべき事実を目の当たりにして、アベノミクスを推進すべきかどうか、本当に国民に聞いてみたいのかもしれない。

崖っぷちにたつ日本【A11面(国際面)】

日本は、構造改革に真剣に取組まない限り、時間の問題で破綻するというショッキングな記事が国際面に掲載された。




「一年前、アメリカのいわゆる物言う投資家ダン・ローブ氏はソニーの株を購入したと発表した。その時、彼は、アベノミクスに対する思い入れや、ふらつく家電の巨人が立ち直ることができることを述べたレターを公開した。」

「妙な話だが、彼がレターで述べた処方箋は、彼の楽観的な見方と一致していない。彼は、ソニーに、最も成功していて、ハリウッドの映画スタジオなど殆どのオペレーションをアメリカで行っているエンターテインメント部門の株の一部を売却することを求めた。今回はレターを出すことなく、ソニーの株を売却した。彼の関与が株価を上げたからだ。多分これがこの行為のポイントだったのだろう。」

「もし、ローブ氏が日本の苦境の象徴でかつアベノミクスの望みである企業を探しているのならソニーはそれにぴったりだ。その時代のアップルだ。では、もう一度言うが、何故ソニーは、日本が苦境に陥っているために、苦境に陥っているのか?ソニーが相手にしている市場は世界ではないのか?確かにここ数ヶ月、巨額でかつ予測もしていなかった携帯電話の売却や56年の歴史ではじめて配当をしなかったりと、不名誉な事態が続いたが、ソニーにはまだまだ打つ手があるのではないか?」

「いまや、日本に期待を抱くのは難しくなってきた。安倍晋三首相は今週、政府による景気刺激策とリスクの高い急な選挙に打って出だ。日本の政治家達は、安倍首相の祈りである3つの矢のうちの3つ目の矢をまだ放っていないのにだ。安倍首相のお祈りするお願いには、歴史上例をみない紙幣の印刷、歴史上例をみない公共投資の他に、長期的な供給サイドの構造改革があったではないか?この3つの矢が一斉に放たれて、成長を復活させ、日本を金融の崖っぷちから救うのではなかったのか?」

「アベノミクスのもとで、中央銀行による量的緩和の額は、日本のGDPの18%をしめるに至っている。まもなく、中央銀行の国債購入額は政府の借金の100%になる。」

「一つはっきりさせておこう、中央銀行がデフレや失業撃退のために攻撃的になったくらいでは、ハイパーインフレは生じない。ハイパーインフレは、政府が自分自身の支出を賄えず、紙幣を印刷したり、国民から購買力を奪うしか無くなってしまった時に起こるのだ。日本はまだそこまで事態が悪化してはいない。でも、いつ国債市場への実需が、中央銀行の購入によって妨げられる日がいつくるかは定かではない。しかし、投資家は今の所、消えてしまいそうに少ない利率にも係わらず、日本の国債を保有することに積極的だ。」

「じゃあ、日本の国債を投資家が買わない日が来るまでに、どれ位時間があるのだろうかというのは、人をいらいらさせるだけのつまらない質問だ。安倍首相が演じる急な選挙の舞台裏では、消費税の引き上げが経済成長の邪魔をしたのか、それとも投資家が政府の支払い能力に長期的に自信をもってもたうことに繋がったのかという議論が延々と続いている。未だ持って、こんな議論を続けているとは情けない。経済そのものが成長し始めなければ、消費税引き上げは、トヨタの財政を助けるわけでもないし、危険な高水準のインフレが招くさいむ不履行を避けられるわけでもない。誰か代案があるのなら、是非言ってもらいたい。」

「もし日本の国債を投資家が買わないという、その日が来たら、日本は、目先の苦しみから逃れるために本当の改革を先延ばししてきただけで、ああ本当の改革をやっておけば良かったということになるだろう。農産物輸入を恐れていた農民や、大型店舗を恐れていた流通店舗や、移民を恐れていた外国人恐怖症者は大きな間違いをしていたことが分かるだろう。」

「ソニーに戻って考えてみよう。ようやく、日本の幹部層は株式をき残らせるために適切な管理をするという責任を少しは示すようになった。日本の会社は過去無いようなやり方で株主への配当の支払いを増やしている。経営層を強化し、株主の力をそぐ株主持合を解消し始めている。」

「安倍政権は、株主に対してフレンドリーな企業を集めたJPX日経インデックス400の設立に協力したが、ソニーはこのインデックスから外された。」

「日本の多国籍企業が未だに成功出来ない理由は明らかではない。トヨタの世界市場からの巨額な儲けは、明らかに一部は円安効果によるものだ。スプリントの大型買収やアリババの株式保有により、ソフトバンクはその株主を多国籍化している。ソニーのイメージビジネスは成功しているし、ゲーム部門は協力だ。ジョージ・クルーニーがローブ氏から守ろうとしたエンターテイン部門も健在だ。」

「しかし、先月、日銀がさらなる金融緩和を発表した後、世界の株式市場が急騰した理由は未だに不明だ。皮肉にも、今日の世界市場における超金融緩和は、投資家を資産をもつことに積極的にさせている。それらをもつ意欲を無くすまでは。」

「広い意味において、皆がそういう様に、日本は先駆者だ。西側の福祉、税金、規制のアレンジ(我々は過剰と言っているが。)が経済の成長を妨げているということは明らかになっていない。この問題を金融政策で解決しようという試みは、中期的に破壊への道だと言うことも明らかではない。運が悪ければ、すぐさまそして突然短期的な破壊につながるかもしれないが。」


ソニーの株も価格が上がっていれば購入する人もいるだろうが、本当の改革を怠れば、その内誰も購入しなくなるだろう。日本も同様に、きちんとした改革を進めなければ、紙幣増刷と公共事業に頼った現在の政策では遅かれ早かれ、破綻するということか?
今回の衆議院選挙の議論を聞いていても、与党からも野党からも本当の改革についての話は出てこない。選挙向きでは無いのだろう。民主主義の限界だろうか?

Tuesday, November 18, 2014

安倍首相は選挙によって政治的ギャンブルに打って出る。【A14面(国際面)】

安倍首相は今選挙に打って出るのは、将来選挙を実施するよりマシだからだという記事が、国際面に掲載された。

この記事は次の様な書き出しで始まる。
「安倍晋三首相は、経済が縮小する中で総選挙を行うという賭けに出る。有権者やアナリストの一部は、その理由に疑問を持っている。」
「安倍首相は火曜日にも来月衆議院選挙を実施すると発表する見込みだ。」

暫く要約する。

2四半期連続のGDPマイナス成長を受けて、安倍首相は消費税の10%の引き上げを遅らせる。自民党関係者によれば、この選挙はアベノミクスを進めるか否か問うものだ。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「この決断は戦略的に危険だ。経済が弱いため、自民党は議席数を減らすことになるだろう。2012年に自民党はなだれ現象を起こして勝利し、衆議院の480議席のうち295議席を獲得して政権を奪い返した。衆議院はまだ2年の任期を残している。」
「『考えうる唯一の理由は、先延ばしするより、今選挙を実施した方がましだからだ。』と政策大学院政治学教授の飯尾潤氏は言う。」

まあ、「解散の大義は何か?」という問いだろう。私もまさか本当に選挙になるとは思っていなかったが、7~9月期のGDPがこれだけ悪いと知って、それもやむなしかなとも思う。

日本は経済を救うために動く。【A1面】

日本のGDPが2半期マイナス成長を記録したことを受け、安倍首相が更なる景気対策と総選挙を考えているという記事が1面に掲載された。これで、3日連続して日本の記事が一面を飾った。



この記事は次の様な書き出しで始まる。
「世界第三位の経済大国である日本が不況に陥ったことが明らかになっている。こうした状況を受けて、安倍首相は再度の大きな経済活性化プランを計画すると同時に、彼が推進するアベノミクスへといわれる改革案が正しいかどうかについての議論が大きくなる中、急遽選挙を実施する準備に入った。」
「月曜日に経済が2四半期連続で縮小したという驚きの発表があったが、これによって対策を行うことが『絶対に必要』になったと、安倍首相の経済ブレインである本田悦郎氏WSJのインタビューの中で述べた。彼は、新たに250億ドルの現金拠出と減税を要求した。」

以下、ウォールストリートジャーナル日本語版から引用させて頂く。
 新たな経済対策は、GDPの2倍超にまで膨張した政府債務の拡大を抑えつつ、長期的な景気低迷からの脱却を目指す政府の取り組みが、一進一退の状況にあることを浮き彫りにした。安倍首相はつい先月まで、財政再建策の一環として2015年10月に消費税を再度引き上げる計画を実行するとみられていた。
 日本がリセッション(景気後退)入りしたことで、暗雲の垂れ込める世界経済の見通しは一段と暗くなったと言える。国際通貨基金(IMF)は約1年前、日本の2014年の経済成長率を1.2%と予想し、世界経済の回復が鈍い中での明るい材料として日本の景気対策を挙げていた。
 だが、足元ではIMF高官が、日本も世界の経済成長の足を引っ張る可能性を指摘している。
 欧州は既に、過去3年で3回目のリセッション入りが視野に入っている。世界第2位の経済大国である中国は、08年の金融危機以降、世界の経済成長をけん引してきたが、いまは景気が減速している。そのため、オーストラリアやブラジルといった商品(コモディティー)輸出国の景気が停滞している。
 米連邦準備制度理事会(FRB)内では、米国の景気回復はようやく加速の兆しが見られるものの、海外の弱さが障害になると懸念する声が広がっている。実際にそうなれば、市場が2015年半ばと見込む利上げの先送りを検討する可能性もあるとFRB幹部らは指摘している。
 安倍首相は18日、消費再増税の先送りを発表する見通しだ。また、全力でデフレ退治に取り組む使命について新たに国民の信任を得るため、衆議院を解散し、12月14日に総選挙を実施することも決めるとみられる。近年の日本経済は、賃金が下落し、需要が低迷するというデフレの悪循環により停滞している
安倍首相は17日夕、連立を組む公明党の会合で、「長く続いたデフレから脱却するチャンスをやっとつかんだ。私たちはこのチャンスを手放すわけにはいかない」と述べた。
 首相の発言からは、2年間の任期中の経済面での成果を訴えていくという選挙戦略が垣間見えた。現政権下で100万人の雇用が生まれ、賃金が上昇した上、観光業は好調で、日本経済に1兆円を超える観光収入をもたらしたとし、「経済の好循環が今まさに生まれようとしている」と語った。
 総選挙となれば、アベノミクスが機能しているかを問う国民投票の様相となるが、野党が選挙戦でこうした主張に反論してくるのは確実だ。
 デフレ脱却と景気回復を公約に掲げ、2年前の総選挙で地滑り的勝利を収めた安倍首相は、衆議院での任期を2年残して解散総選挙に踏み切るという賭けに出ようとしている。安倍首相が総裁を務める自民党は、衆議院の480議席のうち295席を占めているが、首相の側近でさえ、現有議席の確保が難しいことを認めている。
 政府関係者はこの数カ月、景気が回復軌道に乗っているのは確かだと繰り返してきた。だが、4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたことで消費者は大きな打撃を受け、4-6月期と7-9月期のGDP成長率はマイナスへと押し下げられた。17日発表の7-9月期GDPは予想外に悪い内容だったため、安倍首相が来年に消費再増税に踏み切ることが不可能になった。
 7-9月期のGDPは前期比年率1.6%減と、4-6月期の7.3%減に続くマイナス成長となり、日本経済はリセッション入りした。
 エコノミストは一般に、年率ベースでみたGDPのマイナス成長が2四半期ないしそれ以上連続した場合をリセッションと定義している。
 消費増税後の成長鈍化と言えば、1997年の記憶がよみがえる。この年は4月の消費税率引き上げをきっかけにリセッションに陥り、日本は借り入れと支出の拡大を余儀なくされた。
 安倍政権の関係者は今年初め、2回目の消費増税の影響を相殺し、経済を下支えする方法の一つとして、景気対策を実施することを示唆していた。
 エコノミストらは今年の経済成長率予測を下方修正し、2%の物価上昇率というアベノミクスの主要目標の一つは達成が難しいとの見方を強めるようになった。
 RBS証券チーフエコノミストの西岡純子氏は「物価に関する弊社のこれまでの強気見通しを慎重方向に変えざるを得ない」と述べた。西岡氏はインフレ動向を特に楽観視していた民間エコノミストの1人。
 エコノミストの間では、日本銀行は10月31日に追加緩和に踏み切ったが、4-6月期にマイナス成長に陥ってから行動に出るまで時間がかかりすぎたと批判的な声も聞かれる。
 しかし、景気浮揚に向けて日銀にできることはもうほとんどないと指摘するエコノミストもいる。その理由として、日銀がインフレ押し上げを狙い、主に国債買い入れを通じて金融システムに大量の資金を供給したにもかかわらず、日本経済が大幅なマイナス成長に陥ったことを挙げる。
 明治安田生命保険チーフエコノミストの小玉祐一氏は「日銀はもう一度追加緩和を実施する可能性が高いが、量的・質的緩和の景気押し上げ効果の弱さはすでに明らかになりつつある」と述べた。
 消費増税が先送りされれば、日銀幹部は追加緩和にもっと慎重になる可能性がある。日銀は先月の金融政策決定会合で、追加緩和を賛成5、反対4の僅差で決めた。反対票を投じた政策委員の一部は、日銀の国債買い入れが、安倍首相の財政再建意欲をそぐ恐れがあると懸念している。
 首相のもう1人の経済政策ブレーンである浜田宏一内閣官房参与(米エール大学名誉教授)はインタビューで、景気の弱さが今後数カ月続いた場合、日銀は「なりふりかまわず」行動すべきだと述べた。浜田氏は、消費増税や円安で「困っている人にだけに」現金給付を行うことに支持を表明した。
【記事は以上】
書き出しのインタビューに出てくる本田悦郎内閣官房参与は、FNNの取材に対して、「最初聞いた時は、何かの間違いじゃないかと思いました。増税を実施するという状況にはないと、私は確信しております」と述べたという。安倍首相のブレイン中のブレインですら、今回の2四半期連続マイナス成長は驚愕の内容だったのだろう。
「1997年4月の消費税率引き上げをきっかけにリセッションに陥り、日本は借り入れと支出の拡大を余儀なくされた。」とある。今回はそうならないことを望むが、不安でならない。