Sunday, December 21, 2014

オバマは映画を公開しないというソニーの決断を非難する。【A1面】

オバマ大統領が、「インタビュー」の上映中止を決定したソニーを非難したという記事が1面トップに掲載された。



この記事は次のような書き出しで始まる。
「オバマ大統領はソニーエンターテインメントピクチャーを激しく非難した。同社は北朝鮮が実施したとされるハッキング攻撃に対応して、映画の公開を中止した。オバマ大統領は、それは間違いでだとし、全てのエンターテイメント産業に対し、屈服して自己検閲に走らない様に訴えた。」
「大統領が米国に本社をもつ一流企業について非難するのは極めて稀だ。この批判は、今年最後のオバマ大統領の記者会見の中で明らかにされた。」

長い記事なので暫く要約する。

金曜日にFBIは、オンライン攻撃によってソニー映画が作成した金正恩のパロディ映画「インタビュー」のデータを削除し、暴力による脅しを表明したのは北朝鮮だと非難した。この脅しにより多くの映画館が同映画の上映を中止し、ソニー自身も上映を諦めた。オバマ大統領はソニーの決断に同情を示しながらも、それは間違いだと断言し、少なくともその決断の前に彼に相談して欲しかったと述べた。ソニーの幹部は脅しに屈したわけでは無いとし、他の方法での公開を模索していることを明らかにした。
オバマ大統領は北朝鮮への制裁を課すことを明らかにし、政府高官は北朝鮮をテロ国家に再指定する考えを明らかにした。しかし、こうした制裁も象徴的な意味しかもたない。両国間の2014年の両国間の貿易額はわずか22百万ドルで、この額は「インタビュー」が公開第一週に稼ぐであろう金額よりも小さい。
ソニーピクチャーズは日本のソニーの子会社だ。ソニーの幹部と大統領や民主党幹部は仲が良いだけに、今回のオバマ大統領の発言は目立つ。ソニーピクチャーズ社長のリントン氏とその妻は、オバマ大統領への寄付$13,000を含む$300,000を民主党関係者へ寄付した。ソニーピクチャーズ共同会長のパスカル氏とその夫は$200,000を民主党関係者へ寄付した。
オバマ大統領は、ソニーピクチャーズだけでなくハリウッと全体にテロに屈しない様に呼びかけたが、フォックスは既に映画「ピョンヤン」の制作を諦め、現在制作中で北朝鮮が少し登場する映画「The Defection」の内容変更を検討している。オバマ大統領はそうした自主規制は、昨年爆弾がしかけられたことを理由にボストンマラソンを中止する様なものだと述べた。
FBIは今回仕掛けられた悪質なソフトウェアが北朝鮮が過去に使用したソフトウェアと似ていることや、今回の攻撃が依然北朝鮮が韓国の銀行にしかけた攻撃に似ていることなどを、詳細な証拠と共に説明した。

この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「ジョン・ケリー国務長官は北朝鮮についての厳しい書簡を発表した。そこで、彼は、オンライン攻撃と暴力による脅しは北朝鮮によるものだと断言している。『この様な非合法行為による脅しは、北朝鮮による国際秩序への目に余る軽視行為を如実に示している。』と彼は述べた。」
「この発言に反応し『我々はいかなるテロ行為も許さないし、利己的な独裁者がどんな製品がアメリカで作られ販売されるべきか決めることも許さない。』と下院法律委員会の共和党トップであるバージニア州選出のボブ・グッドラテ氏と民主党トップであるミシガン州選出のジョン・コンベイ氏は述べた。」

ソニーはサイバー攻撃に屈した企業として、米国でのイメージ低下が免れないらしい。日本では平井社長の映画の内容への関与が、言論の自由を踏みにじるものとして話題になっている様だ。
WSJは、ソニーピクチャーズのリントン社長やパスカル共同会長が民主党に多額の寄付をしていたことなどをあげ、ソニーに少し同情的に読める。
アメリカではテロに屈することは許されず、今回のソニーの判断も許されないことなのだろうが、一方で映画の内容はかなり低俗らしい。アカデミー賞候補映画のUNBROKENでも日本軍の残虐さを全く事実と異なる内容で描いているシーンがあるとのこと。
言論の自由は守られるべきだが、アメリカが大統領まで関与させて守ろうとしている言論の質についても、もっと自由に議論して欲しい。