ウォールストリートジャーナルは、米国に影響力をもつ多くのインテリ層に読まれていて、その世論形成に寄与しています。同誌に日本がどの様に取り上げられているかを観察することは、米国で日本についてのどの様な世論が形成されつつあるを知ることになるのではないでしょうか。このブログでは同誌に取り上げられた日本関係の記事を簡単に紹介しています。私は英語が専門ではないので、誤訳はご容赦。
Wednesday, December 24, 2014
ソニーはハッキングをされた英雄ではない【A13面(専門家意見欄)】
ソニーがジ・インタビューを公開することを決定したことに関連して、専門家意見欄に投稿が寄せられた。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ソニーが自尊心を取り戻すための第一歩はジ・インタビューを公開することであるのは明らかだ。火曜日に同社はようやくジ・インタビューの公開を決め、更なるドキュメントの漏えいは何としても避けるべく準備していると述べた。」
「ソニーピクチャーズのハッキング問題は、メディアにとっては、1ヶ月にわたる大はしゃぎの絶叫マシンライドの様なものだった。しかし、我々は、歴史上最も馬鹿げた出来事について話しているのだということを覚えておくことが重要だ。」
暫く要約する。
実在の国家元首の暗殺という大胆なストーリーを取り上げるのはソニーの勝手だが、予期しない結果への準備が出来ていることが前提だ。ソニーはそうした準備をしなかったために、米国と北朝鮮の紛争を招いてしまった。
にもかかわらず、ソニーは自らをテロ国家の犠牲者に仕立てようとしている。有名弁護士のボイズ氏は、ソニーがオバマ大統領の指示に従ってジ・インタビューの公開を決めたことにより、米国政府から免罪されるという考えにすり寄ろうとしている様だ。
しかし事実は、ソニーが上映中止を決定したのは、テロの脅威のためではなく、ハッカーが中止を決めればソニーの電子メールや書類を外部に公開することを止めると約束したからだ。ソニーがそんな理由で屈服したから、アメリカは北朝鮮に制裁を課さねばならなくなったのだ。有難うソニーよ。
映画の上映を中止することにより、ソニーは問題をアメリカに投げかけてきたというオバマ大統領の主張は正しい。ソニーは劇場が上映を拒んだから上映中止を決断したとしいているが、幾つかの劇場は公開を希望していたし、やる気になればソニーのCracle TV経由でも公開出来たはずだ。ソニーが上映中止を決めた本当の理由は、社内電子メールが公開されることだったのだ。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「他の種類の頑強さも準備されている。ソニーピクチャーズのエイミー・パスカルからは幾つかの大人のステートメントが出された。彼女は味気ない電子メールについて気前よく謝罪する一方で、辞任する気配は無い。彼女の将来について聞かれ、彼女はBloomberg Newsに対して次の様に語った。『それは興味深いだろう。全ての人が全てについて知っている。だから、それは全て真実だ。』」
「個人メールが漏えいしたり、盗難されたりする危険に晒されている世界に適合するには、鈍感になるのも一つの方法だ。それに加えて、遅きに失した感のある勇気に対する報償として、多分ソニーはその攻撃者がこれ以上見せるものは無いということを発見するだろう。その様に望もう。」
ソニーは、上映中止決定の理由を、テロの脅威のためとしているが、この記事によれば、自社の電子メールの更なる漏洩を防ぐためとのこと。このソニーの企業秘密を守るための決断のせいで、米国が北朝鮮に制裁を課すという国家的リスクを犯さねばならなくなった。言い換えれば、ソニーを、企業秘密を守るために、アメリカを脅威に陥れた悪者だとしている様に読める。ソニーが北朝鮮元首を題材にしたパロディー映画を作るのは勝手だが、米国に迷惑がかからない様に、サイバー攻撃への対策を講じてからにして欲しかったと言っている。