北朝鮮によるとされるソニーピクチャーズへのサイバー攻撃の記事が専門家投書欄に掲載された。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「北朝鮮は、ソニーのハッキング以上の意味で、文明国にとって脅威だ。ハッキングが北朝鮮の仕業という前提だが。しかし、それでも質問には答えられなければならない。」
「セス・ローゲンのコメディー『ジ・インタビュー』はどこの映画会社が選択してもおかしくなかった。この映画は、二人の喜劇的なテレビジャーナリストが、北朝鮮のキム・ジョンウン暗殺のために雇われるというストーリーだ。しかし、ソニーは日本の会社だ。そして、日本は北朝鮮のテロリズム、誘拐、ミサイルの脅威に数十年もの間晒されている国だ。」
「ソニーは、何度もハッキングの脅威に晒されたプレイステーションというデジタルネットワークを持っている唯一のスタジオだ。」
長い記事なので、暫く要約する。
ソニー程、ハッキングを避けるのに腐心した会社は無いのに、今回5つの映画が共有サイトに漏れてしまった。とりわけ、過去50年の間に、ソニーほどハッカーにつきまとわれた会社は無い。被害者を非難するつもりはないが、来るべきサイバー戦争の時代には、ファイアーウォールやウィルス阻止ソフトウェアはよりも、サイバー攻撃に強いビジネスモデルが重要だ。
北朝鮮がハッカー攻撃をしかけたのかどうかはまだ明確ではないが、北朝鮮は国連に抗議し、対抗措置を取ると主張してきた。ハッカー集団の狙いは情報を盗むことでなく、ソニーを地球上から抹殺することにある。もし、北朝鮮の仕業だとすると、ハッカー集団の夢想を通り越して、サイバー戦争に真剣に対応すべき時が来たというべきだ。ソニーはそんな時代において、2度も重要な役割を演じたのだ。
2011年にソニーはアノニマスと名乗るハッカー集団の攻撃を受けたが、後にFBIの情報屋であることが判明するサブはブログで「多くのメール、パスワード、文章、クレジットカードが悪質な業者の手に渡るのと、誰かがその前にパスワード変更をした方が良いですよと貴方に通知するのとどちらが良いか?」と述べた。これを折りに多くのテクノロジー企業は悪質ではないハッカー達と手を結ぶ様になった。しかし、ハリウッドのコンテンツ企業を配下に持ち、ハッキングが致命傷になりかねないソニーは、こうした妥協をしなかった。ハッカーに異常なまでに注意を払ったストリンガー前社長は、プレイステーションのネットワークを独自のもの(Proprietary)にすることで対抗した。一方で、アップル等は、デジタルデータへ非常に安くアクセス出来る様にし、ハッキングそのものが意味を持たない様にした。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「この多様化されたエコシステムはコピーライトの脅威を和らげるばかりでなく、ソニーの厳重にコントロールされたプレイステーションのネットワークより、商業的にハッキングに晒される危険が低いビジネスモデルを提供している。プレイステーションネットワークはハッキングお宅を引き寄せることが証明されている。月曜日、ソニーが北朝鮮のハッカーと伝えられる集団と戦っていた時でさえ、関係の無い別の集団がサービス拒否攻撃によりプレイプレイステーションストアを爆破していた。マイクロソフトのX-BOX LIVEネットワークもサービス拒否攻撃の標的にされていた。この歴史の結論は、どんな北朝鮮の攻撃者も辿るべき沢山の足跡を簡単に見つけ出してしまうだろうと言うことだ。」
「北朝鮮の冷淡な独裁者を嘲笑する映画は、西側諸国の文化資産への大変に面白く意味のある貢献だということは言える。だが、そうした映画は、北朝鮮の不賛成を嘲笑しても大丈夫な様にデザインされたビジネスモデルをもつスタジオにより許可されるべきだった。」
「今回の北朝鮮によるサイバー攻撃は、ソニーでは無く、もし他の映画スタジオが同じ映画を作成していたら、起こらなかった。」言い換えれば、「ソニーがこの映画を作成したから、アメリカがサイバー攻撃に晒された。」と言っている様に読める。
その理由として「ソニーが北朝鮮と敵対する日本の会社であること」「プレーステーションネットワークが何回もサイバー攻撃にあっていて脆弱であることが証明されていること」「ソニーピクチャーズのビジネスモデルがコンテンツそのものの価値で稼ぐ古いビジネスモデルであるため、コンテンツを狙った攻撃に晒されやすいこと」の3つを挙げていると読める。
最後には、「ジ・インタビュー」という映画は西側諸国にとって貴重な文化資産とまで言っている様に読める。なんとなく腑に落ちない記事だ。