Saturday, May 17, 2014

放射能を防ぐために日本は凍土壁を試す【A8面(国際面)】

福島第一原発で、地下水の流入を防ぐために、凍土壁を作るという計画が、国際面に掲載された。

この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「地面を凍らせて水の流れを止めようというアイデアは一世紀以上前からあった。しかし、日本は、被災した原子力発電所で、汚染水の流出を防ぐためにこのアイデアを使おうし計画しているが、それ程の規模でこのアイデアは実行されたことは無い。」
「早ければ、来月にも、労働者達は、パイプの設置を開始する。これは、福島第一原子力発電所の4つの原子炉の周りに、幅1.5キロ、深さ30メータの凍土壁を地下に作るためだ。」

長い記事なので、途中を要約する。

凍土壁は、山脈から毎日原子炉に流れ込む、400トンもの水をせき止めるためだ。凍土壁を作ればその3分の2の水の流入を防ぐことが出来る。
凍土壁は、トンネル工事などで水をせき止める際に一般的に使われている。冷却剤の入った鋼鉄管(凍結管)を等間隔(おそらく約1メートル間隔)に埋め込む。凍結管の周りの土は凍り、凍土壁となる。

福島での取組みは、その規模と期間において、これまでに前例がない。維持費用は月に1億円以上かかるし、40年は継続しなければならない。
原子力規制委員会は、この計画に対し、安全性に疑問を抱いており、東京電力はその対応に追われている。
また、凍土壁が安全に作られたとしても、その維持費は莫大だ。継続可能な他の手段も考えねばならない。
東京電力は、他の解決策として、地下水を原子炉から遠いところを通して、太平洋に流すことを考えている。
また、東京電力は、汚染水から放射線物質を取り除く処理システムを開発しているが、大量の汚染水を処理することが出来るようになるまでには、まだ時間がかかる。

この記事は、下記の様なコメントで終わっている。
「現在の計画では、東京電力は、凍結管の建設を来月に開始し、2105年に完了させる予定だ。必要なコストは約460億円だ。」
「凍土壁が無ければ、汚染水を保管する場所が足りなくなることを東京電力は心配している。敷地内には、既に1,000基のタンクが設置されていて、40万トンの汚染水を保管している。」
「これを80万トンまでに増やすために、さらに新しいタンクが設置される。だが、その後は『もう、設置可能なスペースは残されていません。』と経産省の廃棄担当の新川達也室長は言う。」

この計画には、「これだけ大規模な凍土壁の建設が本当に出来るのか?」「莫大なコストを負担可能なのか?」「危険が伴う設置作業が本当に安全に出来るのか?」等々、多くの疑問が寄せられている。