日本が、海の日、みどりの日に続いて、山の日を制定することを、1面下のコラムで面白おかしく紹介している。1面下のコラムは、あえて言えば、日本の天声人語に相当するだろうか、世界中の面白いニュースを紹介していて、毎日笑える。
少し長いが全文紹介する。
「日本は、経済的影響力の低下を残念に思うかもしれないが、祝日という重要分野の頂上に向かって進んでおり、まさに分野で世界のリーダーになろうとしている。」
「金曜日に、日本の国会では、山の日という新しい祝日を制定する法律が通過する予定だ。」「日本は既に15日の祝日がある。これは、他のいずれの先進国より多い。フランス、スペイン、イタリアといった、労働者が長期の夏休みを取ることで有名な国々では、祝日はもっと少ない。アメリカには祝日は10日しかない。」
「日本には、高齢者を敬う祝日や、子供を祝う終日、春分と秋分のための祝日、緑のをための祝日がある。そして、海の日といって、海に敬意を払う祝日もある。」
「しかし、山のための祝日は無かった。」
「日本の70%が山に覆われているにもかかわらず、山の祝日は無かったのだ。山は、何百年にもわたって日本の美術や民謡に登場してきた。時には、噴火をして存在を誇示するときもある。日本では山々を敬うが、その中で、最も高いのは富士山だ。」
「金曜日の投票は、山の祝日がないという事態を正すことになる。反対する議員もいないので通過するだろう。国民祝日法の改正案によれば『山の日の意義は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することにある。』」
「日本の隣国で、休日数でもライバルである韓国には15の祝日があるが、日本の16番目の祝日は、それを抜くことになる。」
「この改正の高邁な目的は、日本が祝日数で頂点に立つことではなく、日本のホワイトカラーに職場から離れて休みを取る様にさせるということにある。」
「『日本には、もちろん有給休暇がありますが、人々は取得しません。』と自民党でこの祝日の制定を推進してきたエド・セイシロウ氏は言う。『山の日の制定により、国民がより多くの休暇を取れる様になると良いと思います。』」
「それは非常に高い目標だ。長時間労働と少ない休暇が日本の労働者の規範となっているからだ。政府統計によれば、日本のホワイトカラーは。昨年、平均して、有給休暇を8.6日しか取得していない。これは、与えられた有給休暇の半分以下である。」
「『多くの日本人は、有給休暇は彼らの権利であることを理解していないのです。』と日本労働法・訓練協会のイケゾエ・ヒロクニ氏は言う。」
「非難されるべきは、社会的調和を求める心かもしれないと彼は言う。労働者達は、同僚の仕事の負荷を増やすことを嫌がるし、上司がいる時に自分の席を空けることは嫌がられるのです。」
「『休日を取得するのは難しいです。』と言って、東京で事務職をしているクロサワ・ミズエさんはこの新しい祝日を歓迎している。『たった一日の休日を取っても、次の日には、すみませんでしたと誤らねばならないのです。』」
「安倍内閣は、ワークライフバランスを改善して、より多くの女性に働いてもらいたいと言っている。過去の政府も、残業に対する非公式規制の様な対策を講じた。」
「労働者を確実に仕事から離れさせるための対策は、法律で定められた休日だ。そこでは全員が休むからだ。『事務所を閉めてしまうので、誰も働きません。』とジュネーブの国際労働機関のジョン・メッセンジャー氏は言う。『従って、何の罪の意識もありません。』」
「日本には、元旦、憲法記念日、天皇誕生日の様な、きちんとした祝日もある。」
「それに加えて、体育の日、文化の日、子供の日、成人の日、敬老の日、春分の日、秋分の日がある。さらに最近、2つの祝日が追加になった。ひとつは海の日、もうひとつは緑の日で、これは植物に感謝をする日だ。」
「2年間に渡って支援を得るために奔走してきた国会議員のエド氏にとっては、次は山の日というのは当然の成り行きだった。食品やビールの会社が、山の日制定のための団体を支援してくれた。政党を跨った支援者の集会では、昔懐かしい子供の歌である、ふるさとや我が家の合唱もあった。」
「その制定に何十年もかかった海の日に比べれば、山の日の制定は簡単だったとエド氏は言う。かれは、山の日の制定に向けた努力を、山登りに例えていう。海の日は、幾つものベースキャンプを渡り歩く、エベレスト登山の様なものだ。山の日は、一日で山を登りきった様なものだ。」
「国連は、2003年に12月11日を国際山の日とした。エド氏は日本が他の国に先駆けて、山についての公式な祝日を設定することを誇りに思うと言う。」
「エド氏は、九州をハイキングした子供のころの思い出が好きだ。山の日は、家の中にいてスマートフォンばかり見ている子供達が、山に対する尊敬、愛、感謝を学べる良い機会を提供する。」
「予定通り。金曜日に法案が通過すれば、山の日は2016年8月11日にはじめてカレンダーに登場する。」
「新しい祝日は、何人かの人にとっては、より必死に働かねばならないことを意味する。『絶対に山へは行きませんよ』と輸送会社に勤めるウエノ・ヨウイチ氏は言う。」
「『祝日が増えるということは、消費者がより支出を増やすことを意味します。』と彼は言う。『しかし、それによって、我々はより忙しくなり、休暇が取りにくくなるのです。』」
「休暇の追加は、日本最大のアパレル小売業者であるユニクロの様なグローバルカンパニーにとって、事態を複雑にする。ユニクロは、需要の変化に迅速に対応することを売りにしている。そのために、彼らは、祝日でも本社を開けている。従業員が働かねばならない時に備えて。」
「祝日に働いた場合の代休取得日として、ユニクロは16の指定日を設けている。『流通業という我々のビジネスで仕事をきちんと行うためには、我々は創造的である必要があるのです。』とスポークスマンであるオリバー・オームロッド氏は言う。」
「祝日の増加は全ての人々に歓迎されている訳ではない。仙台の税務コンサルタントであるフクダ・カズヤ氏によれば、休日の追加により、旅行者が幾つかの週末に集中し、道路は渋滞し、電車は混雑し、ホテルの価格は高騰する。」
「最初は、支持者達は、山の日を6月にしたかった。しかし、その案は、学校のカレンダーに悪影響を与えるとされた。」
「名古屋新聞の幹部であるツネナリ・ヒデヒロ氏は、6月に2日間にわたる山の祭りを企画している。2016年も公式祝日ではない6月に行う予定だ。」
「彼によれば『8月は山登りには暑すぎる。』」
日本を離れて10年になるが、未だに日本のワークライフバランスは、改善していない様だ。何故だろう?