Saturday, May 3, 2014

ジェリー・ブラウンの「小さな負荷」【A12面(社説)】

トヨタの米国本社移転(南カリフォルニア→テキサス)に関する、ブラウン知事の対応について、社説で取り上げている。比較的短い記事なので全文掲載する。

ブラウン知事は、トヨタ米国移転問題に関連して「確かにカリフォルニアでビジネスをやると『小さな負荷』はあるが、解決可能なレベル」との主旨の発言した。この『小さな負荷』がいかにカリフォルニアでのビジネスをやりにくくしているかを、中国の電気自動車メーカBYDのケースを例にあげて丁寧に説明している。

「ジェリー・ブラウンは、月曜日、トヨタがカリフォルニアを離れるというニュースが伝えられた時、高齢者の人たちに回答をしていた。『我々は幾つかの問題を持っている。沢山の小さな負担、規制、税金を抱えている。』と知事は言った。『しかし、頭のよい人達は、どうすれば良いか知っている。』彼がこの発言をした場所が、彼の発言はいかに彼の尊大さを現しているかを如実に示している。彼は、中国の電気自動車メーカーであるBYDの工場で発言をしていた。そして、BYDは彼のいう小さな負担に悩まされてきたのだ。」
「2012年にカリフォルニア州政府は、BYD (Build Your Dreams 貴方の夢を築こうの略)に2百万ドルの補助金を出した。それによりBYDは、ロサンゼルス地区に米国本社を設立した。BYDは、ウォーレン・バフェット氏のバークシャイアー・ハザウェイが一部所有しているが、カリフォルニアに本社を設立した主要な理由は、政府の電気バスに対する手厚い補助金の一部を得るためだ。連邦政府の補助金が、電気バスのコストの80%を削減してくれるが、以前は、バイ・アメリカン条項により、BYDは交通関係の入札に参加出来なかった。カリフォルニア州も数千万の電気補助金を拠出した。」
「しかしながら、カリフォルニアでビジネスをやると、いわゆる『負荷』がついてくる。例えば、カリフォルニア州産業省は、昨年、幾つかの労働関係の違反を理由に、BYDに10万ドルの罰金を課した。罰金を科された理由の一つは、中国国籍の労働者に最低賃金以下の賃金(一日の食事代50ドル以外に)しか払わず、州の休憩時間ルールに従わなかったことだ。カリフォルニア州では、8時間に2回の休憩時間を労働者に与えることが義務付けられている。『我々は、カリフォルニア州では比較的新しい会社であり、大変に複雑で専門的な賃金と労働時間を学んでいるところです。』とBYDはコメントした。」
「カリフォルニアは最低賃金に関する罰金はあきらめたが、BYDの規制に関する問題はこれだけでは終わらない。連邦交通局は、ロングビーチ交通局のBYDとの10台の電気バスに関する契約を無効とした。この契約は連邦政府の1,211万ドルの補助金とカリフォルニア州政府の2006年の債権によって賄われている。無効になった理由は、BYDが、Disadvantaged Business Enterprise Program (恵まれない人々に対して企業が実施すべきプログラム)を満たしていることを十分に示した書類を提出していなかったことだ。このプラグラムでは、補助金を受けた企業は、少数民族、女性、退役軍人、身体障害者等によって所有されている企業に、入札に参加する機会を与えねばならない。本当のところは、カリフォルニアでビジネスを行っている企業であれば誰でも、恵まれない人々の会社としての条件を満たす必要があるのだ。」
「ブラウン知事は、BYDを『来るべき将来の先駆者』として褒め称えた。しかしこの場合、彼のこの発言は脅しの様に聞こえる。多分BYDもテキサスへの移転を考えるべきだろう。」

2012年のBYDのカリフォルニア進出は、いよいよ中国の時代が来たという印象を、我々日本人に与えた。「日本企業や日本人ももっと団結して、そのプレゼンスを高めていかねば。」という危機感を、多くの日本人の方々と共有したのを覚えている。