シンガポールで開催されているアジア安全保障会議で、日米が共に、中国を激しく非難したことが、国際面で報道されている。
米・豪・日の防衛大臣が誇らしげに握手をする写真が、大きく掲載され、中国への対決姿勢を煽っている。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「米国と日本のリーダー達は、南シナ海における中国の不当な領土侵害についての批判を、次々と提示した。彼らは、安全保障会議で、中国は領土権の主張を強める努力をしているが、それは第二次世界大戦以降のアジアの繁栄を支えてきた国際秩序を蝕む危険をはらんでいると主張した。」
「米国のチャック・ヘーゲル国防長官は、シャングリラ・ダイアローグとして知られる国際安全保障フォーラムでのスピーチで強硬な姿勢を示した。彼は、中国は、最近、近隣諸国から領土権を主張されている島々や領海の支配を試みているが、これらの行為は米国が1945年に確立し、その後守られてきた国際秩序を大きく壊すことになる博打的行為だと述べた。」
以下長いので要約する。
ヘーゲル国務長官は、中国の力による紛争解決姿勢を、アジア太平洋のルールに基づいた秩序の維持を難しくするものだとしして、中国を何度も侵略者扱いして激しく非難した。彼は、軍事介入については言及しなかったし、領土紛争についてはどちらにも加担しないとの従来の態度を崩さなかったが、アジア・太平洋地域の軍事力強化を引続き行うことを強調した。
安部首相は、ヘーゲル国務長官同様、中国の行為は地域の緊張を高めており、日本が地域の安全保障に、より大きなリーダーシップを発揮することによって、そうした状態を変えられるとの見解をしめした。
中国は、一連の行為について、領海内における通常行為だとし、名指しはしなかったものの、日本が地域の安定を脅かしてるといして非難した。
これに対し安部首相は、南シナ海での事態の沈静化が必要であることを強調し、中国と敵対するベトナムやフィリピンの会話によって解決を図る姿勢を支持、これらの国々への海上防衛強化への協力を表明した。
この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「安部首相のスピーチの前に、中国立法府外務委員会のフー・イン議長は、中国が日本にとっての脅威であるという神話を作り出すために、懸案となっている島々についての危機を捏造しているとして、安部首相を激しく非難した。」
「フー議長は、同会議に出席している文官のトップだが、安部首相は日本の安全保障政策の変更という自らの案を正当化するための『言い訳』として、この状況を利用しているだけだと述べた。彼女はまた、日本の第二次世界大戦における行為を『否定』しているとして安部首相を非難した。彼のこうした政治姿勢は、彼が日本をどういった方向に導こうとしているかという点について、中国に大きな懸念を抱かせざるをえない。」
「安倍首相は、この様な中国の懸念を和らげるために、日本は戦争についての強い反省を繰り返し表明してきたし、平和に強くコミットしていると述べた。」
米国の対中強硬姿勢に呼応して、日本も強硬姿勢をとっているが、こうした日米の姿勢が、日中間の激しい対立を生んでいる。この対立の行き着く先は?