5月は、ウォールストリートジャーナルに日本に関する記事が18件掲載された。1月が12件、2,3月がそれぞれ20件、4月が23件だったので、まあ、平均的な回数だった。
テーマ別では、政治関係が4件、経済関係が5件、社会関係が9件で、政治、経済のお堅いニュースばかりでなく、様々な分野でのニュースが掲載された。
今月、最も話題になったのは、トヨタの北米本社移転のニュースだろう。5月1日の第一報に続いて、2日、3日と2日連続で社説で取り上げ、カリフォルニア州の対応について批判を繰り返した、14日には、カリフォルニア州がビジネスフレンドリーではないとする専門家の意見も掲載、この問題に対する関心の高さを示した。
原発問題についても関心が高い。17日には福島第一原発への地下水流入を防ぐために凍土壁を構築するというニュースを詳しく伝え、この問題の解決の難しさを印象つけた。更に22日には関西電力大飯原発再稼働却下の判決を速報している。5日に東京を襲った地震についても速報している。
また、8月11日が山の日という祝日なったことや、切られ役俳優の福本清三が太秦ライムライトという映画の主役に抜擢されたことなど、日本の面白い側面を、一面下のコラムで取り上げた。
政治関係では、5月末にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、中国と日米が激しい批判の応酬を繰り返したことを連日(30,31日)詳しく報道し、中国批判をより一層強めている。また、安倍首相が集団的自衛権の行使容認の方針を示したことを16日に速報、27日には安倍首相のインタビュー記事を掲載し、彼の積極的外交路線を詳細に紹介している。同紙は、安倍首相の政治姿勢について、対中強硬姿勢は支持しているが、ロシアとの対話継続路線については複雑だ。
経済関係では、消費増税の影響についての関心が高い。早くも2日には4月の速報値をベースに「影響が想定内であった。」ことを伝え、21日には続報を伝えている。また、15日には消増税前の駆け込み需要で、1月~3月期のGDPの伸びが順調であったことも伝えている。
一方で、金融、財政にばかり依存して、抜本的構造改革を怠るアベノミクスのほころびについても報じている。31日には雇用状況は上辺の数値程良くないことを報じ、24日には安倍首相に構造改革を迫る黒田日銀総裁へのインタビュー記事を掲載した。
24日にに黒田日銀総裁、27日に安倍首相のインタビュー記事を相次いで掲載したのだが、前者は1面扱い、後者は7面(国際面)扱いと、安倍首相に批判的な黒田日銀総裁の扱いの方が上なのが面白い。
掲載箇所では、1面が3回、国内面が1回、国際面が11回、社説・意見欄が3回だったあ。
一面を飾ったのは、黒田日銀総裁のインタビューの他に、コラムに取り上げられた山の日と切られ役俳優。
社説・意見欄を飾ったのは、全てトヨタの北米本社移転。やはり、5月はこのニュースが最大のハイライトだった。
ウォールストリートジャーナルは、米国に影響力をもつ多くのインテリ層に読まれていて、その世論形成に寄与しています。同誌に日本がどの様に取り上げられているかを観察することは、米国で日本についてのどの様な世論が形成されつつあるを知ることになるのではないでしょうか。このブログでは同誌に取り上げられた日本関係の記事を簡単に紹介しています。私は英語が専門ではないので、誤訳はご容赦。
Saturday, May 31, 2014
米国と日本は、アジアの安全保障について、中国を激しく非難した【A6面(国際面)】
シンガポールで開催されているアジア安全保障会議で、日米が共に、中国を激しく非難したことが、国際面で報道されている。
米・豪・日の防衛大臣が誇らしげに握手をする写真が、大きく掲載され、中国への対決姿勢を煽っている。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「米国と日本のリーダー達は、南シナ海における中国の不当な領土侵害についての批判を、次々と提示した。彼らは、安全保障会議で、中国は領土権の主張を強める努力をしているが、それは第二次世界大戦以降のアジアの繁栄を支えてきた国際秩序を蝕む危険をはらんでいると主張した。」
「米国のチャック・ヘーゲル国防長官は、シャングリラ・ダイアローグとして知られる国際安全保障フォーラムでのスピーチで強硬な姿勢を示した。彼は、中国は、最近、近隣諸国から領土権を主張されている島々や領海の支配を試みているが、これらの行為は米国が1945年に確立し、その後守られてきた国際秩序を大きく壊すことになる博打的行為だと述べた。」
以下長いので要約する。
ヘーゲル国務長官は、中国の力による紛争解決姿勢を、アジア太平洋のルールに基づいた秩序の維持を難しくするものだとしして、中国を何度も侵略者扱いして激しく非難した。彼は、軍事介入については言及しなかったし、領土紛争についてはどちらにも加担しないとの従来の態度を崩さなかったが、アジア・太平洋地域の軍事力強化を引続き行うことを強調した。
安部首相は、ヘーゲル国務長官同様、中国の行為は地域の緊張を高めており、日本が地域の安全保障に、より大きなリーダーシップを発揮することによって、そうした状態を変えられるとの見解をしめした。
中国は、一連の行為について、領海内における通常行為だとし、名指しはしなかったものの、日本が地域の安定を脅かしてるといして非難した。
これに対し安部首相は、南シナ海での事態の沈静化が必要であることを強調し、中国と敵対するベトナムやフィリピンの会話によって解決を図る姿勢を支持、これらの国々への海上防衛強化への協力を表明した。
この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「安部首相のスピーチの前に、中国立法府外務委員会のフー・イン議長は、中国が日本にとっての脅威であるという神話を作り出すために、懸案となっている島々についての危機を捏造しているとして、安部首相を激しく非難した。」
「フー議長は、同会議に出席している文官のトップだが、安部首相は日本の安全保障政策の変更という自らの案を正当化するための『言い訳』として、この状況を利用しているだけだと述べた。彼女はまた、日本の第二次世界大戦における行為を『否定』しているとして安部首相を非難した。彼のこうした政治姿勢は、彼が日本をどういった方向に導こうとしているかという点について、中国に大きな懸念を抱かせざるをえない。」
「安倍首相は、この様な中国の懸念を和らげるために、日本は戦争についての強い反省を繰り返し表明してきたし、平和に強くコミットしていると述べた。」
米国の対中強硬姿勢に呼応して、日本も強硬姿勢をとっているが、こうした日米の姿勢が、日中間の激しい対立を生んでいる。この対立の行き着く先は?
米・豪・日の防衛大臣が誇らしげに握手をする写真が、大きく掲載され、中国への対決姿勢を煽っている。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「米国と日本のリーダー達は、南シナ海における中国の不当な領土侵害についての批判を、次々と提示した。彼らは、安全保障会議で、中国は領土権の主張を強める努力をしているが、それは第二次世界大戦以降のアジアの繁栄を支えてきた国際秩序を蝕む危険をはらんでいると主張した。」
「米国のチャック・ヘーゲル国防長官は、シャングリラ・ダイアローグとして知られる国際安全保障フォーラムでのスピーチで強硬な姿勢を示した。彼は、中国は、最近、近隣諸国から領土権を主張されている島々や領海の支配を試みているが、これらの行為は米国が1945年に確立し、その後守られてきた国際秩序を大きく壊すことになる博打的行為だと述べた。」
以下長いので要約する。
ヘーゲル国務長官は、中国の力による紛争解決姿勢を、アジア太平洋のルールに基づいた秩序の維持を難しくするものだとしして、中国を何度も侵略者扱いして激しく非難した。彼は、軍事介入については言及しなかったし、領土紛争についてはどちらにも加担しないとの従来の態度を崩さなかったが、アジア・太平洋地域の軍事力強化を引続き行うことを強調した。
安部首相は、ヘーゲル国務長官同様、中国の行為は地域の緊張を高めており、日本が地域の安全保障に、より大きなリーダーシップを発揮することによって、そうした状態を変えられるとの見解をしめした。
中国は、一連の行為について、領海内における通常行為だとし、名指しはしなかったものの、日本が地域の安定を脅かしてるといして非難した。
これに対し安部首相は、南シナ海での事態の沈静化が必要であることを強調し、中国と敵対するベトナムやフィリピンの会話によって解決を図る姿勢を支持、これらの国々への海上防衛強化への協力を表明した。
この記事は、次の様なコメントで締めくくられている。
「安部首相のスピーチの前に、中国立法府外務委員会のフー・イン議長は、中国が日本にとっての脅威であるという神話を作り出すために、懸案となっている島々についての危機を捏造しているとして、安部首相を激しく非難した。」
「フー議長は、同会議に出席している文官のトップだが、安部首相は日本の安全保障政策の変更という自らの案を正当化するための『言い訳』として、この状況を利用しているだけだと述べた。彼女はまた、日本の第二次世界大戦における行為を『否定』しているとして安部首相を非難した。彼のこうした政治姿勢は、彼が日本をどういった方向に導こうとしているかという点について、中国に大きな懸念を抱かせざるをえない。」
「安倍首相は、この様な中国の懸念を和らげるために、日本は戦争についての強い反省を繰り返し表明してきたし、平和に強くコミットしていると述べた。」
米国の対中強硬姿勢に呼応して、日本も強硬姿勢をとっているが、こうした日米の姿勢が、日中間の激しい対立を生んでいる。この対立の行き着く先は?
日本の雇用者は賃金を多く払うことを避けている【A9面(国際面)】
日本の労働者不足、特に3Kといわれている産業での労働者不足が深刻で、これがアベノミクスの足を引っ張るかもしれないという記事。国際面に掲載された。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「ウエノユウイチは、彼の勤務するトラック運送業のために、もっと多くの運転手を雇いたいと思っているが、賃金を上げることは出来ない。」
「日本経済が昨年回復しだして以来、ウエノさんはコンビ二やファストフードの店への供給の需要が高まってきているのを感じている。」
「ウエノさんが勤務する会社は、名古屋の郊外にあり、116台のトラックを保有しているが、最近料金を10%値上げした。」
「しかし、シニア・マネジャーであるウエノさんは、十分な労働者を確保できていない。多くの若い日本人は、運送業に興味を失っている。利益が少ないので、賃金を上げて労働者を確保するのは不可能だと彼は言う。そのかわりに、彼は社員達に友人や親戚を紹介する様にお願いしている。」
長い記事なので、しばらく要約する。
日本経済はアベノミクスのおかげで回復基調にあるが、ウエノさんによれば、その恩恵を受けているのは大企業だけで、彼の企業の様な小さな企業は利益を享受していない。アベノミクスの成功はこうした中小企業が雇用を増やせるかにかかっている。
日本の失業率は3.6%と、米国の6.3%に比べて低く、仕事を探している人100名に対し、募集人員は108名で、表向きは雇用状況は極めて良く見える。確かに、トヨタや日立の様な大企業は、利益が大幅に増えたおかげて、給与やボーナスを増やしているが、一方でインフレ率が日銀目標の2%に達していないとか、4月の消費者支出が消費税の影響で前年比13%減になるなどの問題点も露呈している。
そして、企業はパートへの依存を深めている。パートは解雇しやすく賃金も安いからだ。企業は昨年度、パート従業員を5%増やしたが、一般従業員は0.7%減らした。
この記事は、次の様なコメントで締めくくる。
「労働者不足は、そうした悪い状況にさらに拍車をかける。運輸業、建設業、ホテルの様な、労働集約業種において、その傾向が顕著だ。」
「この労働者不足は、一つには、日本の高齢者が、不況の間に労働市場から抜けていったことを反映している。出生率の低下により、これを補うだけの、若者がいないのだ。」
「この労働者不足は、若者がきつく、汚く、危険な仕事をするのを嫌がることも示している。」
高齢者が増え、若者が労働集約型業種への就労を嫌がり、その他の業種でもパートばかりが増え・・・と、日本の雇用状況は表向きの数値に比べ、状況は暗い。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「ウエノユウイチは、彼の勤務するトラック運送業のために、もっと多くの運転手を雇いたいと思っているが、賃金を上げることは出来ない。」
「日本経済が昨年回復しだして以来、ウエノさんはコンビ二やファストフードの店への供給の需要が高まってきているのを感じている。」
「ウエノさんが勤務する会社は、名古屋の郊外にあり、116台のトラックを保有しているが、最近料金を10%値上げした。」
「しかし、シニア・マネジャーであるウエノさんは、十分な労働者を確保できていない。多くの若い日本人は、運送業に興味を失っている。利益が少ないので、賃金を上げて労働者を確保するのは不可能だと彼は言う。そのかわりに、彼は社員達に友人や親戚を紹介する様にお願いしている。」
長い記事なので、しばらく要約する。
日本経済はアベノミクスのおかげで回復基調にあるが、ウエノさんによれば、その恩恵を受けているのは大企業だけで、彼の企業の様な小さな企業は利益を享受していない。アベノミクスの成功はこうした中小企業が雇用を増やせるかにかかっている。
日本の失業率は3.6%と、米国の6.3%に比べて低く、仕事を探している人100名に対し、募集人員は108名で、表向きは雇用状況は極めて良く見える。確かに、トヨタや日立の様な大企業は、利益が大幅に増えたおかげて、給与やボーナスを増やしているが、一方でインフレ率が日銀目標の2%に達していないとか、4月の消費者支出が消費税の影響で前年比13%減になるなどの問題点も露呈している。
そして、企業はパートへの依存を深めている。パートは解雇しやすく賃金も安いからだ。企業は昨年度、パート従業員を5%増やしたが、一般従業員は0.7%減らした。
この記事は、次の様なコメントで締めくくる。
「労働者不足は、そうした悪い状況にさらに拍車をかける。運輸業、建設業、ホテルの様な、労働集約業種において、その傾向が顕著だ。」
「この労働者不足は、一つには、日本の高齢者が、不況の間に労働市場から抜けていったことを反映している。出生率の低下により、これを補うだけの、若者がいないのだ。」
「この労働者不足は、若者がきつく、汚く、危険な仕事をするのを嫌がることも示している。」
高齢者が増え、若者が労働集約型業種への就労を嫌がり、その他の業種でもパートばかりが増え・・・と、日本の雇用状況は表向きの数値に比べ、状況は暗い。
Friday, May 30, 2014
日本と中国は、アジアについての競合的な見方を公表する【A8面(国際面)】
アジア安全保障会議(シャングリア・ダイアローグ)に関する記事が、国際面に掲載された。この会議で、アジアのライバルである日中が対決するという、勇ましいタイトルになっている。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「東シナ海、南シナ海での領土紛争により同地域での緊張が高まる中、今週末、シンガポールで、防衛大臣と軍高官が一同に会してサミットが開催される。その席で、中国と日本は、アジア太平洋地域の安全保障の将来について、競合的な見方を提示する見通しだ。」
「シャングリラ・ダイアローグでは、日本の安倍晋三首相と米国のチャック・ヘーゲル国防長官が演説する予定だ。ここ数週間、ベトナムが領有権を主張する海域で、中国が、石油掘削のためのプラットフォームを構築し、地域に波紋を投げかけているが、同会議は、それ以来初めて、米国、中国、他のアジア諸国の軍高官が一同に会するイベントとなる。」
そして、中国のこうした動きについて、ベトナムが強く非難し、他の国々も疑問を呈していること、ヘーゲル国防長官は、この件で、中国と対峙するつもりであること、そして、安倍首相がいわゆる「安倍ドクトリン」を発表し、地域と協力して、日本が防衛についてより積極的に取組む意思があることを表明する予定であることを述べる。
この記事は次のようなコメントで締めくくられている。
「安倍首相は、中国とアセアン諸国に対し、現在両者の間で話し合われている海上活動についての行動規範を遵守する様に迫る。また、中国と対峙しているアジア諸国の海を守る能力の増強への支援についても討議する。」
「安倍首相の、より強い日本というキャッチフレーズは、既に、米国やフィリピンといった同盟国からサポートを勝ち取っている。その一方で、平和国家である日本のの再軍備に懸念をもつ、中国と韓国からは非難を受けている。」
日本は南シナ海の問題にくびをつっこみ、中国との対立を深めているが、この対立は、どこへ行き着くのだろうか。
安倍首相の演説は、外務省のホームページで見られるし、下記のYouTubeでも見られる。
http://www.youtube.com/watch?v=O8Z0WhSeNg0
「
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「東シナ海、南シナ海での領土紛争により同地域での緊張が高まる中、今週末、シンガポールで、防衛大臣と軍高官が一同に会してサミットが開催される。その席で、中国と日本は、アジア太平洋地域の安全保障の将来について、競合的な見方を提示する見通しだ。」
「シャングリラ・ダイアローグでは、日本の安倍晋三首相と米国のチャック・ヘーゲル国防長官が演説する予定だ。ここ数週間、ベトナムが領有権を主張する海域で、中国が、石油掘削のためのプラットフォームを構築し、地域に波紋を投げかけているが、同会議は、それ以来初めて、米国、中国、他のアジア諸国の軍高官が一同に会するイベントとなる。」
そして、中国のこうした動きについて、ベトナムが強く非難し、他の国々も疑問を呈していること、ヘーゲル国防長官は、この件で、中国と対峙するつもりであること、そして、安倍首相がいわゆる「安倍ドクトリン」を発表し、地域と協力して、日本が防衛についてより積極的に取組む意思があることを表明する予定であることを述べる。
この記事は次のようなコメントで締めくくられている。
「安倍首相は、中国とアセアン諸国に対し、現在両者の間で話し合われている海上活動についての行動規範を遵守する様に迫る。また、中国と対峙しているアジア諸国の海を守る能力の増強への支援についても討議する。」
「安倍首相の、より強い日本というキャッチフレーズは、既に、米国やフィリピンといった同盟国からサポートを勝ち取っている。その一方で、平和国家である日本のの再軍備に懸念をもつ、中国と韓国からは非難を受けている。」
日本は南シナ海の問題にくびをつっこみ、中国との対立を深めているが、この対立は、どこへ行き着くのだろうか。
安倍首相の演説は、外務省のホームページで見られるし、下記のYouTubeでも見られる。
http://www.youtube.com/watch?v=O8Z0WhSeNg0
「
Tuesday, May 27, 2014
日本の首相は確固たる外交アジェンダに取組む【A7面(国際面)】
安倍首相へのインタビュー記事が国際面に掲載された。
西側諸国の批判にも係わらずロシアと会話を続け、中国からの批判にもかかわらずベトナム・フィリピン支援を止めない、安倍首相の強気の独自外交を淡々と伝えている。
この記事は、下記の様な書き出しで始まる。
「日本の首相である安倍晋三は、確固とした外交アジェンダを準備している。ベトナムが中国と領土問題て対峙する中、ベトナムへの海上での援助を加速させ、ロシアが西側諸国からそっぽを向かれる中、今年プーチン大統領をもてなす。」
「『海底の石油を目的とした中国の一方的な採掘行為は、ベトナムから非難の声が上がっていて、これまでにない緊張をもたらしています。」と金曜日のウォールストリートジャーナルとのインタビューで安倍首相は語った。『我々は、軍事力や威圧による現状の変更に決して黙ってはいません。』とも言った。彼は、昨年、東南アジアのリーダーに積極的に接触し、彼自身が中国の威圧に対する対抗勢力となることを売り込んだ。」
その後、この記事は、安倍首相が、ロシアのウクライナ併合を非難し、ロシアへの制裁を実施する一方で、ロシアとの会話の継続を強く望んでいることを、詳しく述べる。
そして、安倍首相が、これまでの日本の受身の外交姿勢を、独自の強い外交姿勢に変えようとしていることを強調する一方で、こうした政治姿勢が必ずしも国民に指示されていないことにも言及する。
最後は、次の様なコメントで締めくくる。
「それでも安倍首相は、日本の役割を一段上げ様としている。彼は、日本の東シナ海における対中紛争との類似性を引き合いに出して、南シナ海におけるフィリピンとベトナムの対中紛争においてこの2ヶ国を支援することを公言した。中国は激しく非難している。」
「安倍首相は、中国に面している国々に、海洋上での支援策を打ち出した。これらの支援策は、実効面ではあまり意味をもたないが、象徴的には非常い重要な意味をもつ。12月に日本はフィリピンに10隻の巡視艇を寄贈し、ベトナムとも同様のアレンジを考えていることを発表した。」
西側諸国の批判にも係わらずロシアと会話を続け、中国からの批判にもかかわらずベトナム・フィリピン支援を止めない、安倍首相の強気の独自外交を淡々と伝えている。
この記事は、下記の様な書き出しで始まる。
「日本の首相である安倍晋三は、確固とした外交アジェンダを準備している。ベトナムが中国と領土問題て対峙する中、ベトナムへの海上での援助を加速させ、ロシアが西側諸国からそっぽを向かれる中、今年プーチン大統領をもてなす。」
「『海底の石油を目的とした中国の一方的な採掘行為は、ベトナムから非難の声が上がっていて、これまでにない緊張をもたらしています。」と金曜日のウォールストリートジャーナルとのインタビューで安倍首相は語った。『我々は、軍事力や威圧による現状の変更に決して黙ってはいません。』とも言った。彼は、昨年、東南アジアのリーダーに積極的に接触し、彼自身が中国の威圧に対する対抗勢力となることを売り込んだ。」
その後、この記事は、安倍首相が、ロシアのウクライナ併合を非難し、ロシアへの制裁を実施する一方で、ロシアとの会話の継続を強く望んでいることを、詳しく述べる。
そして、安倍首相が、これまでの日本の受身の外交姿勢を、独自の強い外交姿勢に変えようとしていることを強調する一方で、こうした政治姿勢が必ずしも国民に指示されていないことにも言及する。
最後は、次の様なコメントで締めくくる。
「それでも安倍首相は、日本の役割を一段上げ様としている。彼は、日本の東シナ海における対中紛争との類似性を引き合いに出して、南シナ海におけるフィリピンとベトナムの対中紛争においてこの2ヶ国を支援することを公言した。中国は激しく非難している。」
「安倍首相は、中国に面している国々に、海洋上での支援策を打ち出した。これらの支援策は、実効面ではあまり意味をもたないが、象徴的には非常い重要な意味をもつ。12月に日本はフィリピンに10隻の巡視艇を寄贈し、ベトナムとも同様のアレンジを考えていることを発表した。」
Saturday, May 24, 2014
日銀総裁は安倍首相に計画の実行を迫る【A1面】
一面トップに、黒田日銀総裁へのインタビュー記事が掲載された。かなりの紙面を割いており、破格の扱いだ。
安倍首相が、黒田氏の進める金融政策に頼りすぎで、経済の構造的変革に取組まないことを、黒田氏の発言を引用して、強く批判している。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「日本の中央銀行のトップは、世界第三位の経済の活力を吸い取ってきたデフレ撲滅の戦いに勝利すると予言した。しかしながら、政府がやるべき、官僚主義の撲滅や企業投資促進について、政府の取組みのペースが遅いことに苛立ちを表明した。」
「『実行が鍵だ。そして実行が迅速であるべきだ。』ウォールストリートジャーナルとのインタビューで黒田東彦日銀総裁は語った。政府と民間部門で実施すべき仕事が沢山ある。」
大変に長い記事なので、下記に要約する。
黒田氏は、「安倍首相が、金融政策にのみ頼るのではなく、構造的な変革に取組まない限り、高い成長率は望めず、経済にとっても、社会にとっても良いことにはならない。」と安倍首相を批判する。
一方で、安倍首相は、ウォールストリートジャーナルとの別のインタビューで「既にこれまで規制で守られてきた分野に揺さぶりをかけてきたし、6月には追加施策を発表する。小売電気市場の完全自由化を果たしたし、40年もの間、手をつけられなかった米の減反助成金についても廃止した。こうした改革は、これまで不可能とされたきた。構造改革は、安倍政権にとって終わることにないテーマだ。」として、変革に積極的に取組んでいることをアピールした。
黒田氏は「円高はこれまでに得た利益をだいなしにする。」とも発言。これまでの日銀総裁は、為替について言及することはなかったので、この発言は、彼が、これまでの日銀の縄張り以外にも取組むという強い決意を示している。
黒田氏は、海外からの労働力の受け入れ、女性の社会進出にも積極的に発言しているし、負債の削減についても、企業の所得減税には慎重であるべきと踏み込んだ発言をしている。
黒田氏の言動は、こうした分野での変化への努力に成功を与えるかもしれない。
しかし、一方で、安倍首相は、既得権に守られた産業に考慮して、米国からの豚や牛の関税撤廃の要求を拒否し、TPP交渉の進展を遅らせている。
円安は、輸入品価格の上昇により価格下落を止めたし、円安により、輸出業界は製品競争力を高めることができた。だが、最近、昨年の円安傾向が反転する兆しが見えている。
日本のGDPは6四半期連続で成長しているし、消費増税の影響も予測したほどはなかったし、消費者価格も上昇している。
それでも多くの投資家は日本の成長が長続きすることに懐疑的だ。日経平均は今年になって10%値下がりしている。
金融政策は、期待した効果をもたらしているが、変革のペースが遅いのだ。
黒田氏は、これまで、アベノミクスの3つの矢の最初の矢である金融政策以外へのコメントは控えてきた。
しかし、金融政策に自信を示しつつも、経済成長率の低さにも言及する。
「来年には2%のインフレを達成できる。もし、進展が遅ければ、更なる金融緩和策を打つ。一方で、中期的な潜在的成長率は1%以下だ。工場の海外流出と人口減少によって、成長率は低い。成長率を上げなければ、2%のインフレだけ達成されて、成長は不十分のいう事態になりかねない。」
日本は80年台のバブル崩壊以降、20年間ものスランプに陥った。
日本は、デフレに直撃された唯一の先進国だ。安倍首相は、2012年の首相選挙で、日銀がデフレ撲滅に取組まないことを非難し、当選後、黒田氏を日銀総裁に据えた。
黒田氏は、就任初日に「デフレが15年も続いた国はない。」と語り、それ以降、日本の中央銀行は、積極的な政策に取組む様になった。
黒田革命の背景には、心理を変える必要があるという信念がある。
デフレ思考下では、企業は投資しないし、個人は消費しない。そうした思考を変えて、企業投資、個人消費を誘導することが重要だ。
歴史を見ると、短期間でインフレへの期待が高まった事例はそう多くはない。大胆な政策の変更に裏打ちされる必要があるとして、ルーズベルト大統領のニューディール政策等を例に出した。
苦しい中でも陽気な態度を失わないルーズベルトのスタイルが、黒田氏のお手本の様だ。前任の白川氏が学者タイプだったのと対照的だ。
黒田氏は、経済から、アガサクリスティ、哲学に至る幅広い分野に興味を持っており、彼が実験を恐れないのはそのためだ。高校時代にカールポッパーに魅せられ、日本語に翻訳し、昨年の再版時にはあとがきも書いた。「反証が、理論に忠実であることより、柔軟であることが重要であることを私に教えてくれた。」
4月30日に日銀は、2015年度のインフレ率を1.9%、2016年度のそれを2.1%と予測した。多くのアナリストはそれ程楽観的ではなく、来年は1%程度とみている。
日銀内部で過去17回の取締役会で彼の提案が拒否されたことは無い。しかし、9人のうち3人が常に黒田氏の予測に批判的だ。
彼の予測に対する懐疑的な見方に、黒田氏は、懐疑論は日本経済の変革を妨げるだけとして切り捨てる。
最後は、次の様なコメントで締めくくっている。
「『徐々にではあるが、インフレへの期待は高まっている。それは既に賃金や企業による価格設定に影響を及ぼしている。』と黒田氏は、ジャーナルとのインタビューで発言した。」
「『楽観主義が芽生えてきているが、これは安倍首相が長期的に日本経済の効率性を上げるための難しい変革を実行するための基盤を作っている。』堅調な労働市場と、賃金と価格上昇を引き合いに出して黒田氏は言う。『私は、これは、構造改革のための願っても無いチャンスだと心から思います。』」
一般的に、アメリカ人は、変革に積極的で、自らリスクをとり、明るく、思ったことを口に出す、黒田氏の様なタイプの人間が好きだと思う。ウォールストリートジャーナルの彼に対する期待は高いと感じた。
安倍首相が、黒田氏の進める金融政策に頼りすぎで、経済の構造的変革に取組まないことを、黒田氏の発言を引用して、強く批判している。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「日本の中央銀行のトップは、世界第三位の経済の活力を吸い取ってきたデフレ撲滅の戦いに勝利すると予言した。しかしながら、政府がやるべき、官僚主義の撲滅や企業投資促進について、政府の取組みのペースが遅いことに苛立ちを表明した。」
「『実行が鍵だ。そして実行が迅速であるべきだ。』ウォールストリートジャーナルとのインタビューで黒田東彦日銀総裁は語った。政府と民間部門で実施すべき仕事が沢山ある。」
大変に長い記事なので、下記に要約する。
黒田氏は、「安倍首相が、金融政策にのみ頼るのではなく、構造的な変革に取組まない限り、高い成長率は望めず、経済にとっても、社会にとっても良いことにはならない。」と安倍首相を批判する。
一方で、安倍首相は、ウォールストリートジャーナルとの別のインタビューで「既にこれまで規制で守られてきた分野に揺さぶりをかけてきたし、6月には追加施策を発表する。小売電気市場の完全自由化を果たしたし、40年もの間、手をつけられなかった米の減反助成金についても廃止した。こうした改革は、これまで不可能とされたきた。構造改革は、安倍政権にとって終わることにないテーマだ。」として、変革に積極的に取組んでいることをアピールした。
黒田氏は「円高はこれまでに得た利益をだいなしにする。」とも発言。これまでの日銀総裁は、為替について言及することはなかったので、この発言は、彼が、これまでの日銀の縄張り以外にも取組むという強い決意を示している。
黒田氏は、海外からの労働力の受け入れ、女性の社会進出にも積極的に発言しているし、負債の削減についても、企業の所得減税には慎重であるべきと踏み込んだ発言をしている。
黒田氏の言動は、こうした分野での変化への努力に成功を与えるかもしれない。
しかし、一方で、安倍首相は、既得権に守られた産業に考慮して、米国からの豚や牛の関税撤廃の要求を拒否し、TPP交渉の進展を遅らせている。
円安は、輸入品価格の上昇により価格下落を止めたし、円安により、輸出業界は製品競争力を高めることができた。だが、最近、昨年の円安傾向が反転する兆しが見えている。
日本のGDPは6四半期連続で成長しているし、消費増税の影響も予測したほどはなかったし、消費者価格も上昇している。
それでも多くの投資家は日本の成長が長続きすることに懐疑的だ。日経平均は今年になって10%値下がりしている。
金融政策は、期待した効果をもたらしているが、変革のペースが遅いのだ。
黒田氏は、これまで、アベノミクスの3つの矢の最初の矢である金融政策以外へのコメントは控えてきた。
しかし、金融政策に自信を示しつつも、経済成長率の低さにも言及する。
「来年には2%のインフレを達成できる。もし、進展が遅ければ、更なる金融緩和策を打つ。一方で、中期的な潜在的成長率は1%以下だ。工場の海外流出と人口減少によって、成長率は低い。成長率を上げなければ、2%のインフレだけ達成されて、成長は不十分のいう事態になりかねない。」
日本は80年台のバブル崩壊以降、20年間ものスランプに陥った。
日本は、デフレに直撃された唯一の先進国だ。安倍首相は、2012年の首相選挙で、日銀がデフレ撲滅に取組まないことを非難し、当選後、黒田氏を日銀総裁に据えた。
黒田氏は、就任初日に「デフレが15年も続いた国はない。」と語り、それ以降、日本の中央銀行は、積極的な政策に取組む様になった。
黒田革命の背景には、心理を変える必要があるという信念がある。
デフレ思考下では、企業は投資しないし、個人は消費しない。そうした思考を変えて、企業投資、個人消費を誘導することが重要だ。
歴史を見ると、短期間でインフレへの期待が高まった事例はそう多くはない。大胆な政策の変更に裏打ちされる必要があるとして、ルーズベルト大統領のニューディール政策等を例に出した。
苦しい中でも陽気な態度を失わないルーズベルトのスタイルが、黒田氏のお手本の様だ。前任の白川氏が学者タイプだったのと対照的だ。
黒田氏は、経済から、アガサクリスティ、哲学に至る幅広い分野に興味を持っており、彼が実験を恐れないのはそのためだ。高校時代にカールポッパーに魅せられ、日本語に翻訳し、昨年の再版時にはあとがきも書いた。「反証が、理論に忠実であることより、柔軟であることが重要であることを私に教えてくれた。」
4月30日に日銀は、2015年度のインフレ率を1.9%、2016年度のそれを2.1%と予測した。多くのアナリストはそれ程楽観的ではなく、来年は1%程度とみている。
日銀内部で過去17回の取締役会で彼の提案が拒否されたことは無い。しかし、9人のうち3人が常に黒田氏の予測に批判的だ。
彼の予測に対する懐疑的な見方に、黒田氏は、懐疑論は日本経済の変革を妨げるだけとして切り捨てる。
最後は、次の様なコメントで締めくくっている。
「『徐々にではあるが、インフレへの期待は高まっている。それは既に賃金や企業による価格設定に影響を及ぼしている。』と黒田氏は、ジャーナルとのインタビューで発言した。」
「『楽観主義が芽生えてきているが、これは安倍首相が長期的に日本経済の効率性を上げるための難しい変革を実行するための基盤を作っている。』堅調な労働市場と、賃金と価格上昇を引き合いに出して黒田氏は言う。『私は、これは、構造改革のための願っても無いチャンスだと心から思います。』」
一般的に、アメリカ人は、変革に積極的で、自らリスクをとり、明るく、思ったことを口に出す、黒田氏の様なタイプの人間が好きだと思う。ウォールストリートジャーナルの彼に対する期待は高いと感じた。
Thursday, May 22, 2014
裁判所は原子炉の稼動再開を却下【A9面(国際面)】
関西電力大飯原発再稼働却下の判決について、国際面で報道している。短い記事なので全文掲載する。
「裁判所は、安全上の懸念を理由に、関西電力の2つの原子炉の再稼動は認められないとの判断を下した。日本の停止中の原子力発電所を再稼動させようとする、安倍首相の努力に、水をさすことになる。」
「この決定は、2011年3月に福島での災害が起きて以来、電力会社による原子力発電所の再稼動を拒否する最初の決定となった。」
ウォールストリートジャーナルは明らかに、原発再稼動支持だが、この判決は日本国民の総意の鏡なのだろう。
「裁判所は、安全上の懸念を理由に、関西電力の2つの原子炉の再稼動は認められないとの判断を下した。日本の停止中の原子力発電所を再稼動させようとする、安倍首相の努力に、水をさすことになる。」
「この決定は、2011年3月に福島での災害が起きて以来、電力会社による原子力発電所の再稼動を拒否する最初の決定となった。」
ウォールストリートジャーナルは明らかに、原発再稼動支持だが、この判決は日本国民の総意の鏡なのだろう。
日本の祝日は山々を敬う【A1面】
日本が、海の日、みどりの日に続いて、山の日を制定することを、1面下のコラムで面白おかしく紹介している。1面下のコラムは、あえて言えば、日本の天声人語に相当するだろうか、世界中の面白いニュースを紹介していて、毎日笑える。
少し長いが全文紹介する。
「日本は、経済的影響力の低下を残念に思うかもしれないが、祝日という重要分野の頂上に向かって進んでおり、まさに分野で世界のリーダーになろうとしている。」
「金曜日に、日本の国会では、山の日という新しい祝日を制定する法律が通過する予定だ。」「日本は既に15日の祝日がある。これは、他のいずれの先進国より多い。フランス、スペイン、イタリアといった、労働者が長期の夏休みを取ることで有名な国々では、祝日はもっと少ない。アメリカには祝日は10日しかない。」
「日本には、高齢者を敬う祝日や、子供を祝う終日、春分と秋分のための祝日、緑のをための祝日がある。そして、海の日といって、海に敬意を払う祝日もある。」
「しかし、山のための祝日は無かった。」
「日本の70%が山に覆われているにもかかわらず、山の祝日は無かったのだ。山は、何百年にもわたって日本の美術や民謡に登場してきた。時には、噴火をして存在を誇示するときもある。日本では山々を敬うが、その中で、最も高いのは富士山だ。」
「金曜日の投票は、山の祝日がないという事態を正すことになる。反対する議員もいないので通過するだろう。国民祝日法の改正案によれば『山の日の意義は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することにある。』」
「日本の隣国で、休日数でもライバルである韓国には15の祝日があるが、日本の16番目の祝日は、それを抜くことになる。」
「この改正の高邁な目的は、日本が祝日数で頂点に立つことではなく、日本のホワイトカラーに職場から離れて休みを取る様にさせるということにある。」
「『日本には、もちろん有給休暇がありますが、人々は取得しません。』と自民党でこの祝日の制定を推進してきたエド・セイシロウ氏は言う。『山の日の制定により、国民がより多くの休暇を取れる様になると良いと思います。』」
「それは非常に高い目標だ。長時間労働と少ない休暇が日本の労働者の規範となっているからだ。政府統計によれば、日本のホワイトカラーは。昨年、平均して、有給休暇を8.6日しか取得していない。これは、与えられた有給休暇の半分以下である。」
「『多くの日本人は、有給休暇は彼らの権利であることを理解していないのです。』と日本労働法・訓練協会のイケゾエ・ヒロクニ氏は言う。」
「非難されるべきは、社会的調和を求める心かもしれないと彼は言う。労働者達は、同僚の仕事の負荷を増やすことを嫌がるし、上司がいる時に自分の席を空けることは嫌がられるのです。」
「『休日を取得するのは難しいです。』と言って、東京で事務職をしているクロサワ・ミズエさんはこの新しい祝日を歓迎している。『たった一日の休日を取っても、次の日には、すみませんでしたと誤らねばならないのです。』」
「安倍内閣は、ワークライフバランスを改善して、より多くの女性に働いてもらいたいと言っている。過去の政府も、残業に対する非公式規制の様な対策を講じた。」
「労働者を確実に仕事から離れさせるための対策は、法律で定められた休日だ。そこでは全員が休むからだ。『事務所を閉めてしまうので、誰も働きません。』とジュネーブの国際労働機関のジョン・メッセンジャー氏は言う。『従って、何の罪の意識もありません。』」
「日本には、元旦、憲法記念日、天皇誕生日の様な、きちんとした祝日もある。」
「それに加えて、体育の日、文化の日、子供の日、成人の日、敬老の日、春分の日、秋分の日がある。さらに最近、2つの祝日が追加になった。ひとつは海の日、もうひとつは緑の日で、これは植物に感謝をする日だ。」
「2年間に渡って支援を得るために奔走してきた国会議員のエド氏にとっては、次は山の日というのは当然の成り行きだった。食品やビールの会社が、山の日制定のための団体を支援してくれた。政党を跨った支援者の集会では、昔懐かしい子供の歌である、ふるさとや我が家の合唱もあった。」
「その制定に何十年もかかった海の日に比べれば、山の日の制定は簡単だったとエド氏は言う。かれは、山の日の制定に向けた努力を、山登りに例えていう。海の日は、幾つものベースキャンプを渡り歩く、エベレスト登山の様なものだ。山の日は、一日で山を登りきった様なものだ。」
「国連は、2003年に12月11日を国際山の日とした。エド氏は日本が他の国に先駆けて、山についての公式な祝日を設定することを誇りに思うと言う。」
「エド氏は、九州をハイキングした子供のころの思い出が好きだ。山の日は、家の中にいてスマートフォンばかり見ている子供達が、山に対する尊敬、愛、感謝を学べる良い機会を提供する。」
「予定通り。金曜日に法案が通過すれば、山の日は2016年8月11日にはじめてカレンダーに登場する。」
「新しい祝日は、何人かの人にとっては、より必死に働かねばならないことを意味する。『絶対に山へは行きませんよ』と輸送会社に勤めるウエノ・ヨウイチ氏は言う。」
「『祝日が増えるということは、消費者がより支出を増やすことを意味します。』と彼は言う。『しかし、それによって、我々はより忙しくなり、休暇が取りにくくなるのです。』」
「休暇の追加は、日本最大のアパレル小売業者であるユニクロの様なグローバルカンパニーにとって、事態を複雑にする。ユニクロは、需要の変化に迅速に対応することを売りにしている。そのために、彼らは、祝日でも本社を開けている。従業員が働かねばならない時に備えて。」
「祝日に働いた場合の代休取得日として、ユニクロは16の指定日を設けている。『流通業という我々のビジネスで仕事をきちんと行うためには、我々は創造的である必要があるのです。』とスポークスマンであるオリバー・オームロッド氏は言う。」
「祝日の増加は全ての人々に歓迎されている訳ではない。仙台の税務コンサルタントであるフクダ・カズヤ氏によれば、休日の追加により、旅行者が幾つかの週末に集中し、道路は渋滞し、電車は混雑し、ホテルの価格は高騰する。」
「最初は、支持者達は、山の日を6月にしたかった。しかし、その案は、学校のカレンダーに悪影響を与えるとされた。」
「名古屋新聞の幹部であるツネナリ・ヒデヒロ氏は、6月に2日間にわたる山の祭りを企画している。2016年も公式祝日ではない6月に行う予定だ。」
「彼によれば『8月は山登りには暑すぎる。』」
日本を離れて10年になるが、未だに日本のワークライフバランスは、改善していない様だ。何故だろう?
少し長いが全文紹介する。
「日本は、経済的影響力の低下を残念に思うかもしれないが、祝日という重要分野の頂上に向かって進んでおり、まさに分野で世界のリーダーになろうとしている。」
「金曜日に、日本の国会では、山の日という新しい祝日を制定する法律が通過する予定だ。」「日本は既に15日の祝日がある。これは、他のいずれの先進国より多い。フランス、スペイン、イタリアといった、労働者が長期の夏休みを取ることで有名な国々では、祝日はもっと少ない。アメリカには祝日は10日しかない。」
「日本には、高齢者を敬う祝日や、子供を祝う終日、春分と秋分のための祝日、緑のをための祝日がある。そして、海の日といって、海に敬意を払う祝日もある。」
「しかし、山のための祝日は無かった。」
「日本の70%が山に覆われているにもかかわらず、山の祝日は無かったのだ。山は、何百年にもわたって日本の美術や民謡に登場してきた。時には、噴火をして存在を誇示するときもある。日本では山々を敬うが、その中で、最も高いのは富士山だ。」
「金曜日の投票は、山の祝日がないという事態を正すことになる。反対する議員もいないので通過するだろう。国民祝日法の改正案によれば『山の日の意義は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することにある。』」
「日本の隣国で、休日数でもライバルである韓国には15の祝日があるが、日本の16番目の祝日は、それを抜くことになる。」
「この改正の高邁な目的は、日本が祝日数で頂点に立つことではなく、日本のホワイトカラーに職場から離れて休みを取る様にさせるということにある。」
「『日本には、もちろん有給休暇がありますが、人々は取得しません。』と自民党でこの祝日の制定を推進してきたエド・セイシロウ氏は言う。『山の日の制定により、国民がより多くの休暇を取れる様になると良いと思います。』」
「それは非常に高い目標だ。長時間労働と少ない休暇が日本の労働者の規範となっているからだ。政府統計によれば、日本のホワイトカラーは。昨年、平均して、有給休暇を8.6日しか取得していない。これは、与えられた有給休暇の半分以下である。」
「『多くの日本人は、有給休暇は彼らの権利であることを理解していないのです。』と日本労働法・訓練協会のイケゾエ・ヒロクニ氏は言う。」
「非難されるべきは、社会的調和を求める心かもしれないと彼は言う。労働者達は、同僚の仕事の負荷を増やすことを嫌がるし、上司がいる時に自分の席を空けることは嫌がられるのです。」
「『休日を取得するのは難しいです。』と言って、東京で事務職をしているクロサワ・ミズエさんはこの新しい祝日を歓迎している。『たった一日の休日を取っても、次の日には、すみませんでしたと誤らねばならないのです。』」
「安倍内閣は、ワークライフバランスを改善して、より多くの女性に働いてもらいたいと言っている。過去の政府も、残業に対する非公式規制の様な対策を講じた。」
「労働者を確実に仕事から離れさせるための対策は、法律で定められた休日だ。そこでは全員が休むからだ。『事務所を閉めてしまうので、誰も働きません。』とジュネーブの国際労働機関のジョン・メッセンジャー氏は言う。『従って、何の罪の意識もありません。』」
「日本には、元旦、憲法記念日、天皇誕生日の様な、きちんとした祝日もある。」
「それに加えて、体育の日、文化の日、子供の日、成人の日、敬老の日、春分の日、秋分の日がある。さらに最近、2つの祝日が追加になった。ひとつは海の日、もうひとつは緑の日で、これは植物に感謝をする日だ。」
「2年間に渡って支援を得るために奔走してきた国会議員のエド氏にとっては、次は山の日というのは当然の成り行きだった。食品やビールの会社が、山の日制定のための団体を支援してくれた。政党を跨った支援者の集会では、昔懐かしい子供の歌である、ふるさとや我が家の合唱もあった。」
「その制定に何十年もかかった海の日に比べれば、山の日の制定は簡単だったとエド氏は言う。かれは、山の日の制定に向けた努力を、山登りに例えていう。海の日は、幾つものベースキャンプを渡り歩く、エベレスト登山の様なものだ。山の日は、一日で山を登りきった様なものだ。」
「国連は、2003年に12月11日を国際山の日とした。エド氏は日本が他の国に先駆けて、山についての公式な祝日を設定することを誇りに思うと言う。」
「エド氏は、九州をハイキングした子供のころの思い出が好きだ。山の日は、家の中にいてスマートフォンばかり見ている子供達が、山に対する尊敬、愛、感謝を学べる良い機会を提供する。」
「予定通り。金曜日に法案が通過すれば、山の日は2016年8月11日にはじめてカレンダーに登場する。」
「新しい祝日は、何人かの人にとっては、より必死に働かねばならないことを意味する。『絶対に山へは行きませんよ』と輸送会社に勤めるウエノ・ヨウイチ氏は言う。」
「『祝日が増えるということは、消費者がより支出を増やすことを意味します。』と彼は言う。『しかし、それによって、我々はより忙しくなり、休暇が取りにくくなるのです。』」
「休暇の追加は、日本最大のアパレル小売業者であるユニクロの様なグローバルカンパニーにとって、事態を複雑にする。ユニクロは、需要の変化に迅速に対応することを売りにしている。そのために、彼らは、祝日でも本社を開けている。従業員が働かねばならない時に備えて。」
「祝日に働いた場合の代休取得日として、ユニクロは16の指定日を設けている。『流通業という我々のビジネスで仕事をきちんと行うためには、我々は創造的である必要があるのです。』とスポークスマンであるオリバー・オームロッド氏は言う。」
「祝日の増加は全ての人々に歓迎されている訳ではない。仙台の税務コンサルタントであるフクダ・カズヤ氏によれば、休日の追加により、旅行者が幾つかの週末に集中し、道路は渋滞し、電車は混雑し、ホテルの価格は高騰する。」
「最初は、支持者達は、山の日を6月にしたかった。しかし、その案は、学校のカレンダーに悪影響を与えるとされた。」
「名古屋新聞の幹部であるツネナリ・ヒデヒロ氏は、6月に2日間にわたる山の祭りを企画している。2016年も公式祝日ではない6月に行う予定だ。」
「彼によれば『8月は山登りには暑すぎる。』」
日本を離れて10年になるが、未だに日本のワークライフバランスは、改善していない様だ。何故だろう?
Wednesday, May 21, 2014
消費者は店での支出にブレーキをかける【A10面(国際面)】
4月の百貨店売上が前年比で落ち込んだことを、国際面で伝えている。落ち込みは予想の範囲内で、消費増税の影響はそれ程心配する必要は無いとの報道。
「日本の消費者は、消費増税前の狂乱的な買いあさりの後、4月に入って、百貨店での買い物にブレーキをかけた。」
「しかしながら、『増税は、すぐに破壊的な影響を消費にもたらすかもしれない。』という懸念を後押しするほど、その落ち込みはひどくなかった。」
「日本百貨店協会によれば、全国の百貨店の売上は前年の4月に比べて12%落ち込んだ。売上の落ちは6ヶ月振りだ。これは消費税が25%増税された直後のことだ。」
先日、久しぶりに日本に帰って、成田空港で缶コーヒーを買ったら、値上がりしていてびっくりした。(このところ、ずっと値下がりしていたので。)でも、米国に帰る頃にはすっかり慣れてしまった。まあ、影響はその程度なのだろう。
「日本の消費者は、消費増税前の狂乱的な買いあさりの後、4月に入って、百貨店での買い物にブレーキをかけた。」
「しかしながら、『増税は、すぐに破壊的な影響を消費にもたらすかもしれない。』という懸念を後押しするほど、その落ち込みはひどくなかった。」
「日本百貨店協会によれば、全国の百貨店の売上は前年の4月に比べて12%落ち込んだ。売上の落ちは6ヶ月振りだ。これは消費税が25%増税された直後のことだ。」
先日、久しぶりに日本に帰って、成田空港で缶コーヒーを買ったら、値上がりしていてびっくりした。(このところ、ずっと値下がりしていたので。)でも、米国に帰る頃にはすっかり慣れてしまった。まあ、影響はその程度なのだろう。
Monday, May 19, 2014
それは生きている:俳優は侍に斬られるキャリアを歩む【A1面】
第一面で、「ラスト サムライ」にも出演した斬られ役の第一人者で、「5万回斬られた男」とも呼ばれる福本清三が紹介されている。彼が、初主演を務める映画「太秦ライムライト」、そこで主演女優役のカンフー美少女山本千尋、更には時代劇不人気による太秦撮影所の衰退まで取り上げられていて、面白い。
まず、前半部分を翻訳した。
「福本清三は、50年以上、日本刀で、刺され、切りつけられ、切り倒されてきた。」
「彼は、『切られ役俳優』の第一人者の一人だ。切られ役とは、映画やテレビドラマの時代劇で主役の侍に切られることを専門とするスタントマンのことだ。」
「本物の切られ役は、見ている人をすくませることが出来る人のことです。『あの人大丈夫?と視聴者に言わせることが出来る人です。』と福本さんは言う。」
「71歳になるこの役者は、15歳のときに役者業を始めた。そしてすぐに、敵役を演じることに魅せられた。彼は、夜、布団の上で、チャンバラでのより格好のよい殺され方について思いを巡らせた。彼独特の殺され方の一つが『えびぞり』だ。殺された後にえびの様に体を後ろにそらせ、痙攣し、ピクピクし、死ぬ前に何かをつかむのだ。」
「『私の演じる人物がどう死ぬかが、主役が映画に与える印象に、影響を与えるのです。』と福本さんは2012年のエッセイに書いている。彼の意見では、えびぞりは完璧な死に方だ。カメラが、主役の戦いぶりにフォーカスしたままで、切られ役も死ぬ時に視聴者に顔を向けることによってスクリーンの中に入ることが出来るからだ。」
「そして、刀で数千回切られた後、福本氏は、7月に公開される映画で、遂にスポットライトを当てられることになった。太秦ライムライトは、彼の役者人生の中で、初めて主役を演じる映画だ。」
「『私は最初はこのオファーをお断りしました。とても出来ないと申し上げました。とんでもないことだと思いました。』と福本さんは言う。『私は撮影が始まっても緊張していました。私は、私の前にあんなに多くのカメラがセットされて、私にフォーカスするのを、経験したことがなかったからです。』」
「この映画以前で、彼が演じた最大の役は、2003年のトム・クルーズ主演の『ラスト・サムライ』での口数の少ない剣客の役だ。」
「『今回は沢山のせりふがありました。そして、私はちゅくちょくせりふを間違えて、共演者にご迷惑をおかけしました。』と福本さんは語った。」
「太秦ライムライトは、福本さんの準自伝で、監督は落合賢。引退した切られ役が、山本千尋が演じる若い女優の面倒を見るという設定だ。」
「福本さんの役は、侍映画のスターになることが夢の、大志を抱く女優の指導をするという役だ。」
「17歳の山本さんは、タイチという武道の前ジュニア世界チャンピョンで、激しいアクションの連続には慣れている。しかし、彼との刀での立会いは、違いますと彼女は言う。」
「『撮影の後、私の体には痛みが残り、本当に疲れました。福本さんは私の祖父よりもお年を召されていますが、本当に親切です。でも、立会いのシーンが始まると、突然顔の表情が残虐になるのです。』と山本さんは言う。『本当にこわいですよ。』」
そして、福本さんが、切られ役のテクニックをチャーリー・チャップリンの映画からヒントを得て編み出したこと、そして、それは、ジャッキー・チェンやブルース・リーのカンフーの様に、素早くて短い動作の連続であることを伝える。
また、最近の時代劇の人気凋落により、京都の太秦撮影所での時代劇撮影回数の激減し、若い俳優に切られ役のテクニックを教えるチャンスそのものが減っていることを、福本さんが憂いていることを伝えている。
この記事は次の様なコメントで締めくくられる。
「『私の妻ですら、私が殺される場面が入っている時代劇よりも24を見たがるのです。』アメリカの連続テレビドラマ24を引き合いに出して、福本さんは言う。このベテランの切られ役はそのレパートリーを増やしていかねばならず、テレビ番組のナレーター役を始めた。」
「業界通によれば、彼は映画の中で、50,000回斬られたそうだ。福本さんは、それはちょっと大袈裟ですよと言うが。」
「過去50年の中で、最も印象に残った死はどれですかと聞かれ、福本氏は、どれも私にとっては宝物で、一つを選ぶことはで出来ませんと答えた。」
「『私が、スクリーンの隅っこで死のうが、主役に殺されようが、映画が大作だろうが、私には関係ありません。私は、誰かが私の死に気づいてくれることを望みながら、一回一回の死に全力を注ぐだけです。』と福本さんは言う。『きっと誰かが私に気づいてくれたのでしょう。幸運にも、そうした観客の皆さんが、私に主役を演じる機会を与えてくれたのです。』」
こうした記事が、お堅い経済紙の一面を飾っていることが、面白い。
まず、前半部分を翻訳した。
「福本清三は、50年以上、日本刀で、刺され、切りつけられ、切り倒されてきた。」
「彼は、『切られ役俳優』の第一人者の一人だ。切られ役とは、映画やテレビドラマの時代劇で主役の侍に切られることを専門とするスタントマンのことだ。」
「本物の切られ役は、見ている人をすくませることが出来る人のことです。『あの人大丈夫?と視聴者に言わせることが出来る人です。』と福本さんは言う。」
「71歳になるこの役者は、15歳のときに役者業を始めた。そしてすぐに、敵役を演じることに魅せられた。彼は、夜、布団の上で、チャンバラでのより格好のよい殺され方について思いを巡らせた。彼独特の殺され方の一つが『えびぞり』だ。殺された後にえびの様に体を後ろにそらせ、痙攣し、ピクピクし、死ぬ前に何かをつかむのだ。」
「『私の演じる人物がどう死ぬかが、主役が映画に与える印象に、影響を与えるのです。』と福本さんは2012年のエッセイに書いている。彼の意見では、えびぞりは完璧な死に方だ。カメラが、主役の戦いぶりにフォーカスしたままで、切られ役も死ぬ時に視聴者に顔を向けることによってスクリーンの中に入ることが出来るからだ。」
「そして、刀で数千回切られた後、福本氏は、7月に公開される映画で、遂にスポットライトを当てられることになった。太秦ライムライトは、彼の役者人生の中で、初めて主役を演じる映画だ。」
「『私は最初はこのオファーをお断りしました。とても出来ないと申し上げました。とんでもないことだと思いました。』と福本さんは言う。『私は撮影が始まっても緊張していました。私は、私の前にあんなに多くのカメラがセットされて、私にフォーカスするのを、経験したことがなかったからです。』」
「この映画以前で、彼が演じた最大の役は、2003年のトム・クルーズ主演の『ラスト・サムライ』での口数の少ない剣客の役だ。」
「『今回は沢山のせりふがありました。そして、私はちゅくちょくせりふを間違えて、共演者にご迷惑をおかけしました。』と福本さんは語った。」
「太秦ライムライトは、福本さんの準自伝で、監督は落合賢。引退した切られ役が、山本千尋が演じる若い女優の面倒を見るという設定だ。」
「福本さんの役は、侍映画のスターになることが夢の、大志を抱く女優の指導をするという役だ。」
「17歳の山本さんは、タイチという武道の前ジュニア世界チャンピョンで、激しいアクションの連続には慣れている。しかし、彼との刀での立会いは、違いますと彼女は言う。」
「『撮影の後、私の体には痛みが残り、本当に疲れました。福本さんは私の祖父よりもお年を召されていますが、本当に親切です。でも、立会いのシーンが始まると、突然顔の表情が残虐になるのです。』と山本さんは言う。『本当にこわいですよ。』」
そして、福本さんが、切られ役のテクニックをチャーリー・チャップリンの映画からヒントを得て編み出したこと、そして、それは、ジャッキー・チェンやブルース・リーのカンフーの様に、素早くて短い動作の連続であることを伝える。
また、最近の時代劇の人気凋落により、京都の太秦撮影所での時代劇撮影回数の激減し、若い俳優に切られ役のテクニックを教えるチャンスそのものが減っていることを、福本さんが憂いていることを伝えている。
この記事は次の様なコメントで締めくくられる。
「『私の妻ですら、私が殺される場面が入っている時代劇よりも24を見たがるのです。』アメリカの連続テレビドラマ24を引き合いに出して、福本さんは言う。このベテランの切られ役はそのレパートリーを増やしていかねばならず、テレビ番組のナレーター役を始めた。」
「業界通によれば、彼は映画の中で、50,000回斬られたそうだ。福本さんは、それはちょっと大袈裟ですよと言うが。」
「過去50年の中で、最も印象に残った死はどれですかと聞かれ、福本氏は、どれも私にとっては宝物で、一つを選ぶことはで出来ませんと答えた。」
「『私が、スクリーンの隅っこで死のうが、主役に殺されようが、映画が大作だろうが、私には関係ありません。私は、誰かが私の死に気づいてくれることを望みながら、一回一回の死に全力を注ぐだけです。』と福本さんは言う。『きっと誰かが私に気づいてくれたのでしょう。幸運にも、そうした観客の皆さんが、私に主役を演じる機会を与えてくれたのです。』」
こうした記事が、お堅い経済紙の一面を飾っていることが、面白い。
Saturday, May 17, 2014
放射能を防ぐために日本は凍土壁を試す【A8面(国際面)】
福島第一原発で、地下水の流入を防ぐために、凍土壁を作るという計画が、国際面に掲載された。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「地面を凍らせて水の流れを止めようというアイデアは一世紀以上前からあった。しかし、日本は、被災した原子力発電所で、汚染水の流出を防ぐためにこのアイデアを使おうし計画しているが、それ程の規模でこのアイデアは実行されたことは無い。」
「早ければ、来月にも、労働者達は、パイプの設置を開始する。これは、福島第一原子力発電所の4つの原子炉の周りに、幅1.5キロ、深さ30メータの凍土壁を地下に作るためだ。」
長い記事なので、途中を要約する。
凍土壁は、山脈から毎日原子炉に流れ込む、400トンもの水をせき止めるためだ。凍土壁を作ればその3分の2の水の流入を防ぐことが出来る。
凍土壁は、トンネル工事などで水をせき止める際に一般的に使われている。冷却剤の入った鋼鉄管(凍結管)を等間隔(おそらく約1メートル間隔)に埋め込む。凍結管の周りの土は凍り、凍土壁となる。
福島での取組みは、その規模と期間において、これまでに前例がない。維持費用は月に1億円以上かかるし、40年は継続しなければならない。
原子力規制委員会は、この計画に対し、安全性に疑問を抱いており、東京電力はその対応に追われている。
また、凍土壁が安全に作られたとしても、その維持費は莫大だ。継続可能な他の手段も考えねばならない。
東京電力は、他の解決策として、地下水を原子炉から遠いところを通して、太平洋に流すことを考えている。
また、東京電力は、汚染水から放射線物質を取り除く処理システムを開発しているが、大量の汚染水を処理することが出来るようになるまでには、まだ時間がかかる。
この記事は、下記の様なコメントで終わっている。
「現在の計画では、東京電力は、凍結管の建設を来月に開始し、2105年に完了させる予定だ。必要なコストは約460億円だ。」
「凍土壁が無ければ、汚染水を保管する場所が足りなくなることを東京電力は心配している。敷地内には、既に1,000基のタンクが設置されていて、40万トンの汚染水を保管している。」
「これを80万トンまでに増やすために、さらに新しいタンクが設置される。だが、その後は『もう、設置可能なスペースは残されていません。』と経産省の廃棄担当の新川達也室長は言う。」
この計画には、「これだけ大規模な凍土壁の建設が本当に出来るのか?」「莫大なコストを負担可能なのか?」「危険が伴う設置作業が本当に安全に出来るのか?」等々、多くの疑問が寄せられている。
この記事は、次の様な書き出しで始まる。
「地面を凍らせて水の流れを止めようというアイデアは一世紀以上前からあった。しかし、日本は、被災した原子力発電所で、汚染水の流出を防ぐためにこのアイデアを使おうし計画しているが、それ程の規模でこのアイデアは実行されたことは無い。」
「早ければ、来月にも、労働者達は、パイプの設置を開始する。これは、福島第一原子力発電所の4つの原子炉の周りに、幅1.5キロ、深さ30メータの凍土壁を地下に作るためだ。」
長い記事なので、途中を要約する。
凍土壁は、山脈から毎日原子炉に流れ込む、400トンもの水をせき止めるためだ。凍土壁を作ればその3分の2の水の流入を防ぐことが出来る。
凍土壁は、トンネル工事などで水をせき止める際に一般的に使われている。冷却剤の入った鋼鉄管(凍結管)を等間隔(おそらく約1メートル間隔)に埋め込む。凍結管の周りの土は凍り、凍土壁となる。
福島での取組みは、その規模と期間において、これまでに前例がない。維持費用は月に1億円以上かかるし、40年は継続しなければならない。
原子力規制委員会は、この計画に対し、安全性に疑問を抱いており、東京電力はその対応に追われている。
また、凍土壁が安全に作られたとしても、その維持費は莫大だ。継続可能な他の手段も考えねばならない。
東京電力は、他の解決策として、地下水を原子炉から遠いところを通して、太平洋に流すことを考えている。
また、東京電力は、汚染水から放射線物質を取り除く処理システムを開発しているが、大量の汚染水を処理することが出来るようになるまでには、まだ時間がかかる。
この記事は、下記の様なコメントで終わっている。
「現在の計画では、東京電力は、凍結管の建設を来月に開始し、2105年に完了させる予定だ。必要なコストは約460億円だ。」
「凍土壁が無ければ、汚染水を保管する場所が足りなくなることを東京電力は心配している。敷地内には、既に1,000基のタンクが設置されていて、40万トンの汚染水を保管している。」
「これを80万トンまでに増やすために、さらに新しいタンクが設置される。だが、その後は『もう、設置可能なスペースは残されていません。』と経産省の廃棄担当の新川達也室長は言う。」
この計画には、「これだけ大規模な凍土壁の建設が本当に出来るのか?」「莫大なコストを負担可能なのか?」「危険が伴う設置作業が本当に安全に出来るのか?」等々、多くの疑問が寄せられている。
Friday, May 16, 2014
日本の安倍は軍隊強化へ動く【A8面(国際面)】
5月15日の安保法制懇の報告を受けての記者会見で、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を打ち出したというニュースを、国際面で伝えている。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の安倍首相は、日本の軍隊に対する60年間にわたる制約を外すという、極めて重要な一歩を踏み出した。これにより、東京は、緊張の増す東アジアにおいて、より大きな軍事的役割を果たすことが可能となる。」
「最近の南シナ海をめぐる中国のベトナムの紛争に言及して、安倍首相は、日本は、海外での紛争により自由に対応出来ることが重要と述べた。日本は平和憲法を持ってはいるが。」
「『南シナ海では、こうして話をしている間にも、国家間の衝突が続いている。これは軍事力にの一方的な行使によりもたらされている。』と、安倍首相は木曜日に記者会見で述べた。『それは、我々自身の問題でもある。』
その後、安倍首相が、憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使が可能かを議論するつもりであることを述べた上で、米国や東南アジアの国々は賛成しているが、中国と韓国は反対していることに言及する。
最後は、次の様に締めくくる。
「日本の憲法は交戦権を放棄している。自民党の多くは、憲法改正を支持している。しかし、そのためには、国会議員の3分の2の賛成と、国民投票での過半数の賛成が必要だ。委員会は、安倍首相が自らの判断で行える、憲法解釈の変更を指示している。」
「安倍内閣は、今年の夏までに集団自衛権についての結論を出したいとしているが、そうなれば、年末までに関連法案を修正し、新しい解釈を反映させたいとしている。」
ウォールストリートジャーナルは、この問題については、安倍首相に対して、好意的だ。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本の安倍首相は、日本の軍隊に対する60年間にわたる制約を外すという、極めて重要な一歩を踏み出した。これにより、東京は、緊張の増す東アジアにおいて、より大きな軍事的役割を果たすことが可能となる。」
「最近の南シナ海をめぐる中国のベトナムの紛争に言及して、安倍首相は、日本は、海外での紛争により自由に対応出来ることが重要と述べた。日本は平和憲法を持ってはいるが。」
「『南シナ海では、こうして話をしている間にも、国家間の衝突が続いている。これは軍事力にの一方的な行使によりもたらされている。』と、安倍首相は木曜日に記者会見で述べた。『それは、我々自身の問題でもある。』
その後、安倍首相が、憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使が可能かを議論するつもりであることを述べた上で、米国や東南アジアの国々は賛成しているが、中国と韓国は反対していることに言及する。
最後は、次の様に締めくくる。
「日本の憲法は交戦権を放棄している。自民党の多くは、憲法改正を支持している。しかし、そのためには、国会議員の3分の2の賛成と、国民投票での過半数の賛成が必要だ。委員会は、安倍首相が自らの判断で行える、憲法解釈の変更を指示している。」
「安倍内閣は、今年の夏までに集団自衛権についての結論を出したいとしているが、そうなれば、年末までに関連法案を修正し、新しい解釈を反映させたいとしている。」
ウォールストリートジャーナルは、この問題については、安倍首相に対して、好意的だ。
Thursday, May 15, 2014
日本経済は回復を謳歌している【A10面(国際面)】
日本の2014年第一四半期GDPが年率5.9%増だったというニュースが国際面に掲載された。
まず、この記事は次の様な書き出しから始まる。
「世界経済の停滞にもかかわらず、第一四半期の日本経済は勢いを取り戻した。消費増税前で国内需要が急激に伸び、雇用も改善した。」
「木曜日、内閣は、国民総生産は5.7%伸びたと発表した。」
「この数値は、昨年末に向けて減速気味だった成長が、回復したことを意味する。安倍首相がその地位について17ヶ月たったが、消費者は、経済について、明らかに楽観的な見通しを持っている。」
その後、この記事は、この成長が、主に消費増税前の駆け込み需要による、個人消費の伸びに支えられたもので、第二四半期はその反動が懸念されているを述べた上で、この反動を少しでも和らげるために、安倍内閣は、財政支出を増やしていることを強調する。
最後は次の様に締めくくる。
「前日銀総裁の白川方明氏は、木曜日に、その様なアプローチはあまり効果が無いだろうと述べた。政策担当者は、あまりにもデフレ退治にフォーカスしていて、より深い構造的な問題に取組んでいない。」
「『問題は、金融政策が経済の復興に有効が否かです。』ダートマス大学のビジネス学部での講演に白川は述べた。『私の見方では、その効果は極めて限定的です。』」
「安倍氏は。一年程前に、白川氏から日銀総裁を引き継いだ。安倍首相は、10年にわたる価格下落と成長停滞に対して、積極的な対策を打たなかったとして、白川氏を非難した。」
財政政策、金融政策に頼るのではなく、構造改革に取組まないと、経済成長維持は難しいと言っている様だ。いずれにしても、第二四半期のGDPの動向が注目される。
まず、この記事は次の様な書き出しから始まる。
「世界経済の停滞にもかかわらず、第一四半期の日本経済は勢いを取り戻した。消費増税前で国内需要が急激に伸び、雇用も改善した。」
「木曜日、内閣は、国民総生産は5.7%伸びたと発表した。」
「この数値は、昨年末に向けて減速気味だった成長が、回復したことを意味する。安倍首相がその地位について17ヶ月たったが、消費者は、経済について、明らかに楽観的な見通しを持っている。」
その後、この記事は、この成長が、主に消費増税前の駆け込み需要による、個人消費の伸びに支えられたもので、第二四半期はその反動が懸念されているを述べた上で、この反動を少しでも和らげるために、安倍内閣は、財政支出を増やしていることを強調する。
最後は次の様に締めくくる。
「前日銀総裁の白川方明氏は、木曜日に、その様なアプローチはあまり効果が無いだろうと述べた。政策担当者は、あまりにもデフレ退治にフォーカスしていて、より深い構造的な問題に取組んでいない。」
「『問題は、金融政策が経済の復興に有効が否かです。』ダートマス大学のビジネス学部での講演に白川は述べた。『私の見方では、その効果は極めて限定的です。』」
「安倍氏は。一年程前に、白川氏から日銀総裁を引き継いだ。安倍首相は、10年にわたる価格下落と成長停滞に対して、積極的な対策を打たなかったとして、白川氏を非難した。」
財政政策、金融政策に頼るのではなく、構造改革に取組まないと、経済成長維持は難しいと言っている様だ。いずれにしても、第二四半期のGDPの動向が注目される。
Wednesday, May 14, 2014
トヨタのカリフォルニアからの逃亡【A11面(専門家意見欄)】
トヨタが、北米本社をカリフォルニアからテキサスに移転することを決断した主な理由は、カリフォルニア州の指導者達にうんざりしたことだとする意見が、専門家意見欄に掲載された。
カリフォルニア州上院議員、ロサンゼルスタイムズ、カリフォルニア大気資源委員会らの、トヨタに対する対応はあきれるばかり。
翻訳が難しかったので、ニューズウィーク日本語版サイトの和訳をそのまま引用させてもらった。
「カリフォルニア州の一部メディアのだまされやすさは笑えるほどだ。米国本社を5000人分の雇用とともにテキサス州ダラス郊外に移転するというトヨタの決断は、カリフォルニアのビジネスや政治環境を反映したものでは決してないとする主張だ。」
「トヨタの北米事業を統括するジム・レンツ氏はロサンゼルス・タイムズ紙に『カリフォルにアに本社をい置かない理由は地理的なものだ。』と強調した。」
「もちろんカリフォルニアから立ち去る真意はトヨタにしか分からない。現在米国で販売されているトヨタ車のほとんどはミシシッピやテキサスなどの国内で生産されており、もはやロングビーチ港経由で輸入されているわけではない。しかし、トヨタの顧客はカリフォルニアに偏在している。その代表的なハイブリッド車(HV)『プリウス』については特にそうだ。それに、他の企業は人員をさまざまな場所に拡散させる方が有益だと判断している。ボーイングは1000人分の技術職をシアトルからロングビーチに移したばかりだ。」
「本社を置く場所としてはともかく、自動車生産地としてのカリフォルニアへのトヨタの態度は過去にもきっぱりと表れている。トヨタは2009年、フリーモントのGMとの合弁組立工場を維持することを拒否した。ビル・ロッキャー州財務官率いる特別委員会をはじめ、カリフォルニアの政治家から容赦ない圧力を受けたにもかかわらずだ。本社をテキサスのような共和党色の強い州に移転したことは象徴的な行為かどうかは分からない。しかし、トヨタがカリフォルニアの政治にほとほとうんざりする理由は他にもいくつかある。」
「1つはヘンリー・ワックスマン上院議員だ。09年、代車として使用していたレクサスの悲惨な事故で4人が死亡した。サンディエゴのディーラーは、その代車の前の使用者からフロアマットがアクセルペダルに引っかかることを警告されており、不運とも言える事故だった。ワックスマン議員はこの全米に報道された悲劇を下院公聴会のお膳立てに利用し、別の全く異なる欠陥について詰問した。電子システム上のバグで車が暴走する事態が生じていると主張したのだ。ワックスマン氏の公聴会は進行中だったが、米政府はトヨタ車の事故は『ペダルの設置ミス』が原因であることを示す証拠を積み上げていた。電子的欠陥は発見されなかった。バグ原因論は訴訟弁護士の間でだけ支持されており、ワックスマン議員の取り組みの背後にそれら弁護士の利害があったことは明白だ。」
「さらに、やはりカリフォルニアを地元とするロサンゼルス・タイムズ紙がサンディエゴの悲劇を独自の『調査』で追跡取材し、苦情データの短絡的な分析を基に電子的欠陥を主張した。トヨタは同社史上最も深刻で費用の高くついたスキャンダルで基本的にカリフォルニアの重要な指導者や組織の餌食にされたようなものだ。しかし、彼らは自分たちの過ちを認めるどころか、内省さえせず、当事者間でいまだにこの職業的な腕前をたたえ合っている。」
「そしてもう1つが、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)だ。トヨタはガソリンと電気を利用したHVを成功させた草分け的存在。しかし、トヨタはカリフォルニア最大の自動車ブランドとして、州内でのゼロ排出車(ZEV)の一定比率の販売を義務づける空虚な規制によって、最も多額のコストを負担することにもなっている。つい先週、トヨタがテスラとの3年間の契約を静かに終わらせる計画であることが明らかになった。この契約はトヨタの小型スポーツタイプ多目的車(SUV)『RAV4』の電気自動車(EV)版2600台の部品をテスラから調達するというもの。テスラの各種文書によると、部品の開発・供給のためにトヨタが負担する費用は1億6000万ドル(約160億円)と見込まれていた。1台当たり6万1000ドル以上だ。」
「RAV4のガソリン車の値段は2万5000ドル前後。EVモデルの1回の標準的な充電での走行距離はわずか92マイル。この実質ハンドメイドの『規制順守車』が、5万0610ドルというかなり譲歩した価格がつけられているにもかかわらず、売れ行きが芳しくないのも不思議ではない。2年たってもまだトヨタは来年9月までに義務を達成するために、多額の損失をのんで1000台をEVにシフトしなければならない。」
「RAV4のEVモデルは途方もなく高い。その一因は、豊田章男社長がここ20カ月でEV車開発プロジェクトを直接主導し、盛り上げてきたことにある。アクセルペダルの欠陥問題が突発するなか、テスラに有益な恩恵を与える見返りに、カリフォルニアの政治家が多少は愛情を示してくれることを豊田氏が期待していたのは明らかだ。その恩恵には、テスラへの直接出資や巨大なフリーモント工場の魅力的な条件でのテスラへの譲渡なども含まれていた。しかし、目立った形で愛情が示されることはなかった。一方、ZEV規制は見え透いたまねごとの温暖化対策にほかならない。」
「リチウムイオン電池パックの製造と継続的な充電コストを加味した場合、EVの排出抑制効果は誇張されている。液体水素燃料電池車については間違いなくそうだ。液体水素燃料電池車はカリフォルニアの規制でEV以上に大きな恩恵を受けている。また、トヨタは規制順守コストを引き下げようと液体水素燃料電池車に力を入れている。ZEV規制は排気管からの排出のみに配慮し、全体的な環境効果は無視している。なぜなら、そうすることで宣伝になるような自動車の導入が促され、政治家は環境に配慮するイノベーターとして振る舞うことができるからだ。」
「当然ながら、トヨタはカリフォルニアで車を売り続けるために、この皮肉に参加し続けるだろう。カリフォルニアの指導者たちは無思慮の権利意識をかざして業界資本を偽りのポーズに無駄に費やしている。しかし、そうした権利意識に自動車メーカーの経営者が嫌悪感を抱かずにいられるはずはない。少なくともトヨタとカリフォルニアが思い描くものは今や異なっている可能性がある。トヨタがテキサスにピックアップトラック工場を建設したのは米国の非都市部に近い場所に拠点を置きたかったからだ。全米自動車競争協会(NASCAR)に加盟したのも同じ理由だ。米国本社のカリフォルニアからの移転が何を象徴するかをトヨタが慎重に考慮しなかったと思い描いているのであれば、トヨタを分かっていないということだ。」
Monday, May 5, 2014
地震が東京を揺らす。17人が怪我をしたが、大きな被害はない。【A15面(国際面)】
5月5日の早朝、東京を襲った強い地震について、国際面で報道している。短い記事なので、全文掲載する。
「月曜日の早朝、強い地震が東京を揺らした。大きな被害は報告されていないが、窓ガラスを揺らし、人々を動揺させた。全国ネットであるNHKは、当局者の発言として、17人が怪我をし、そのうちの幾つかは地震による落下物によるものであったと報道した。」
「日本の気象庁は、地震は午前5時18分に発生し、マグニチュードは6.0、震源は東京の南に位置する伊豆半島の海底99マイルと伝えた。同庁によれば、揺れは、広い地域で感じられたが、日本の中心部で強い揺れが観測された。」
「2011年にマグニチュード9の地震と津波が襲い、18,500人が死亡もしくは行方不明となったが、今回の地震は、東京でそれ以降感じられた最も強い揺れだった。」
この地震は、職場でも話題になった。南カリフォルニアでも時々地震があるが、私自身は感じたことが無い。日本では、震度2の地震でも敏感に感じ取っていたのに・・・。日本の家の方が、地震の際に揺れるのだろうか?
「月曜日の早朝、強い地震が東京を揺らした。大きな被害は報告されていないが、窓ガラスを揺らし、人々を動揺させた。全国ネットであるNHKは、当局者の発言として、17人が怪我をし、そのうちの幾つかは地震による落下物によるものであったと報道した。」
「日本の気象庁は、地震は午前5時18分に発生し、マグニチュードは6.0、震源は東京の南に位置する伊豆半島の海底99マイルと伝えた。同庁によれば、揺れは、広い地域で感じられたが、日本の中心部で強い揺れが観測された。」
「2011年にマグニチュード9の地震と津波が襲い、18,500人が死亡もしくは行方不明となったが、今回の地震は、東京でそれ以降感じられた最も強い揺れだった。」
この地震は、職場でも話題になった。南カリフォルニアでも時々地震があるが、私自身は感じたことが無い。日本では、震度2の地震でも敏感に感じ取っていたのに・・・。日本の家の方が、地震の際に揺れるのだろうか?
Saturday, May 3, 2014
ジェリー・ブラウンの「小さな負荷」【A12面(社説)】
トヨタの米国本社移転(南カリフォルニア→テキサス)に関する、ブラウン知事の対応について、社説で取り上げている。比較的短い記事なので全文掲載する。
ブラウン知事は、トヨタ米国移転問題に関連して「確かにカリフォルニアでビジネスをやると『小さな負荷』はあるが、解決可能なレベル」との主旨の発言した。この『小さな負荷』がいかにカリフォルニアでのビジネスをやりにくくしているかを、中国の電気自動車メーカBYDのケースを例にあげて丁寧に説明している。
「ジェリー・ブラウンは、月曜日、トヨタがカリフォルニアを離れるというニュースが伝えられた時、高齢者の人たちに回答をしていた。『我々は幾つかの問題を持っている。沢山の小さな負担、規制、税金を抱えている。』と知事は言った。『しかし、頭のよい人達は、どうすれば良いか知っている。』彼がこの発言をした場所が、彼の発言はいかに彼の尊大さを現しているかを如実に示している。彼は、中国の電気自動車メーカーであるBYDの工場で発言をしていた。そして、BYDは彼のいう小さな負担に悩まされてきたのだ。」
「2012年にカリフォルニア州政府は、BYD (Build Your Dreams 貴方の夢を築こうの略)に2百万ドルの補助金を出した。それによりBYDは、ロサンゼルス地区に米国本社を設立した。BYDは、ウォーレン・バフェット氏のバークシャイアー・ハザウェイが一部所有しているが、カリフォルニアに本社を設立した主要な理由は、政府の電気バスに対する手厚い補助金の一部を得るためだ。連邦政府の補助金が、電気バスのコストの80%を削減してくれるが、以前は、バイ・アメリカン条項により、BYDは交通関係の入札に参加出来なかった。カリフォルニア州も数千万の電気補助金を拠出した。」
「しかしながら、カリフォルニアでビジネスをやると、いわゆる『負荷』がついてくる。例えば、カリフォルニア州産業省は、昨年、幾つかの労働関係の違反を理由に、BYDに10万ドルの罰金を課した。罰金を科された理由の一つは、中国国籍の労働者に最低賃金以下の賃金(一日の食事代50ドル以外に)しか払わず、州の休憩時間ルールに従わなかったことだ。カリフォルニア州では、8時間に2回の休憩時間を労働者に与えることが義務付けられている。『我々は、カリフォルニア州では比較的新しい会社であり、大変に複雑で専門的な賃金と労働時間を学んでいるところです。』とBYDはコメントした。」
「カリフォルニアは最低賃金に関する罰金はあきらめたが、BYDの規制に関する問題はこれだけでは終わらない。連邦交通局は、ロングビーチ交通局のBYDとの10台の電気バスに関する契約を無効とした。この契約は連邦政府の1,211万ドルの補助金とカリフォルニア州政府の2006年の債権によって賄われている。無効になった理由は、BYDが、Disadvantaged Business Enterprise Program (恵まれない人々に対して企業が実施すべきプログラム)を満たしていることを十分に示した書類を提出していなかったことだ。このプラグラムでは、補助金を受けた企業は、少数民族、女性、退役軍人、身体障害者等によって所有されている企業に、入札に参加する機会を与えねばならない。本当のところは、カリフォルニアでビジネスを行っている企業であれば誰でも、恵まれない人々の会社としての条件を満たす必要があるのだ。」
「ブラウン知事は、BYDを『来るべき将来の先駆者』として褒め称えた。しかしこの場合、彼のこの発言は脅しの様に聞こえる。多分BYDもテキサスへの移転を考えるべきだろう。」
2012年のBYDのカリフォルニア進出は、いよいよ中国の時代が来たという印象を、我々日本人に与えた。「日本企業や日本人ももっと団結して、そのプレゼンスを高めていかねば。」という危機感を、多くの日本人の方々と共有したのを覚えている。
ブラウン知事は、トヨタ米国移転問題に関連して「確かにカリフォルニアでビジネスをやると『小さな負荷』はあるが、解決可能なレベル」との主旨の発言した。この『小さな負荷』がいかにカリフォルニアでのビジネスをやりにくくしているかを、中国の電気自動車メーカBYDのケースを例にあげて丁寧に説明している。
「ジェリー・ブラウンは、月曜日、トヨタがカリフォルニアを離れるというニュースが伝えられた時、高齢者の人たちに回答をしていた。『我々は幾つかの問題を持っている。沢山の小さな負担、規制、税金を抱えている。』と知事は言った。『しかし、頭のよい人達は、どうすれば良いか知っている。』彼がこの発言をした場所が、彼の発言はいかに彼の尊大さを現しているかを如実に示している。彼は、中国の電気自動車メーカーであるBYDの工場で発言をしていた。そして、BYDは彼のいう小さな負担に悩まされてきたのだ。」
「2012年にカリフォルニア州政府は、BYD (Build Your Dreams 貴方の夢を築こうの略)に2百万ドルの補助金を出した。それによりBYDは、ロサンゼルス地区に米国本社を設立した。BYDは、ウォーレン・バフェット氏のバークシャイアー・ハザウェイが一部所有しているが、カリフォルニアに本社を設立した主要な理由は、政府の電気バスに対する手厚い補助金の一部を得るためだ。連邦政府の補助金が、電気バスのコストの80%を削減してくれるが、以前は、バイ・アメリカン条項により、BYDは交通関係の入札に参加出来なかった。カリフォルニア州も数千万の電気補助金を拠出した。」
「しかしながら、カリフォルニアでビジネスをやると、いわゆる『負荷』がついてくる。例えば、カリフォルニア州産業省は、昨年、幾つかの労働関係の違反を理由に、BYDに10万ドルの罰金を課した。罰金を科された理由の一つは、中国国籍の労働者に最低賃金以下の賃金(一日の食事代50ドル以外に)しか払わず、州の休憩時間ルールに従わなかったことだ。カリフォルニア州では、8時間に2回の休憩時間を労働者に与えることが義務付けられている。『我々は、カリフォルニア州では比較的新しい会社であり、大変に複雑で専門的な賃金と労働時間を学んでいるところです。』とBYDはコメントした。」
「カリフォルニアは最低賃金に関する罰金はあきらめたが、BYDの規制に関する問題はこれだけでは終わらない。連邦交通局は、ロングビーチ交通局のBYDとの10台の電気バスに関する契約を無効とした。この契約は連邦政府の1,211万ドルの補助金とカリフォルニア州政府の2006年の債権によって賄われている。無効になった理由は、BYDが、Disadvantaged Business Enterprise Program (恵まれない人々に対して企業が実施すべきプログラム)を満たしていることを十分に示した書類を提出していなかったことだ。このプラグラムでは、補助金を受けた企業は、少数民族、女性、退役軍人、身体障害者等によって所有されている企業に、入札に参加する機会を与えねばならない。本当のところは、カリフォルニアでビジネスを行っている企業であれば誰でも、恵まれない人々の会社としての条件を満たす必要があるのだ。」
「ブラウン知事は、BYDを『来るべき将来の先駆者』として褒め称えた。しかしこの場合、彼のこの発言は脅しの様に聞こえる。多分BYDもテキサスへの移転を考えるべきだろう。」
2012年のBYDのカリフォルニア進出は、いよいよ中国の時代が来たという印象を、我々日本人に与えた。「日本企業や日本人ももっと団結して、そのプレゼンスを高めていかねば。」という危機感を、多くの日本人の方々と共有したのを覚えている。
Friday, May 2, 2014
トヨタはテキサスに逃げる【A12面(社説)】
トヨタの北米本社移転問題について、社説で取り上げている。少し長いが全文掲載する。
カルフォルニア州は、労働組合が強く、税金、不動産、電気代、ガソリン等が高い。何らかの対策を打たないと、労働力やエネルギーに依存する産業は逃げていくという主旨。特に、ロスアンゼルスは、こうしたカリフォルニアの悪い面が凝縮された悪い町として取り上げられている。
南カリフォルニア在住者である私には、ロサンゼルスは、気候も良く、活気に満ち溢れ、常に世界で最も新しいことが起きている魅力的な町に移るが・・・。
「ブラウン知事のカリフォルニア復帰ツアーは、トーランス市に本社を置くトヨタがテキサス州プラト市に移転するというニュースによって、今週、突然打ち切られてしまった。トヨタのカリフォルニアからの逃亡は、商業、工業の分野で、米国南部がカリフォルニアを凌駕しつつあることを、如実に示している。」
「トヨタは、販売部門本社に加え、3,000人分の仕事をダラス郊外へ移し、機能を統合させることにより、効率改善を図る。トヨタは、南カリフォルニアの主要な港に近いという理由で、1957年に米国で最初の事務所をロサンゼルスに構えた。しかし、米国で販売されるトヨタ車の大半が、北米、特に米国南部で製造される様になるにつれ、港の重要性が低下していった。」
「2006年には、日産が、その本社機構を、トーランス市の北隣に位置するガーデナ市から、テネシー州のフランクリン市へ移転させた。カルロス・ゴーンCEOは、テネシー州では安いコストでビジネスが出来ることを強調した。テキサス州は、移転費用の一部に当たる4,000万ドルを補助金としてトヨタに支払うことを約束したが、北米トヨタのCEOであるジム・レンツ氏は、今回の移転先の決定にはこうしたインセンティブは影響を与えていないと言っている。彼は、テキサス州がビジネス・フレンドリーであること、他のトヨタのオペレーションに近いこと、大きな空港が2つあることに加え、家の値段があまり高くないこと、所得税が無いことなど生活面でのメリットも、テキサスを移転先として選んだ理由にあげている。」
「この選択を大きな視点からみると、テキサスが経済的な競争力を強めている一方で、カリフォルニア州が競争力を弱めていることを意味している。特に、エネルギーや労働力を多く必要とする事業について。幾つか例をあげよう。」
「まず、米国南部諸州で制定されている労働権法は、労働組合を作ることに規制を加えており、これが労働コストを押し下げることに寄与している。労働者に占める組合員の割合は、テキサス州ではわずか4.8%、テネシー州では6.1% であるのに対し、カリフォルニア州では16.4%だ。不動産価格も、区画規制や環境規制が緩いことから、南部の方が安い。税金もそうだ。税金ファウンデーションによれば、カリフォルニア州では、テネシー州やテキサス州に比べて、州税が50%以上も重い。テネシー州やテキサス州では。個人所得税は無いが、カリフォルニア州では最大化税率は13.3%で全米最悪だ。」
「電気代も、カリフォルニア州では再生可能エネルギーを推進しているため、南部に比べて50%高い。ガソリン代も、税金やブレンディングの要求により、1ガロン当たり、70-80セント程度高い。」
「化石燃料への敵対心から、カリフォルニア州での石油生産量は、1985年のピーク時の半分になってしまった。一方、テキサス州の生産量は、過去3年で倍増し、所得を押し上げた。経済分析協会によれば、過去3年間の所得増加という観点でみると、ミッドランド市がもっとも早く成長している都市だ。そしてその近くにあるオデッサ市が第2位だ。2008年から2012年の間の個人所得の増加率は、ミッドランド市が8.05%、オデッサ市が4.48%であるのに対し、サンノゼ市は4.48%、ロサンゼルス市は1.81%だ。3月の失業率は、オデッサ市の3.2%に対し、サンノゼ市は6.8%、ロサンゼルス市は9.7%だ。」
「こうしたカリフォルニアの悪い状況が、最も如実に現れているのがロサンゼルス市だ。冷戦後に航空機産業が無くなって以来、力を取り戻していない。1990年以降、その雇用力は3.1%も落ちてしまった。デトロイトの2.8%減少よりも、減少幅が大きいのだ。ダラス、ヒューストン、サンアントニオでは、その間に、雇用は50%以上も伸びた。」
「ミッキー・カンター、グレイ・デービス、ヒルダ・ソリスといった民主党の大物が代表を務めるロサンゼルス2020コミッションという団体がある。この団体の報告書によれば、ロサンゼルスは、1980年から2010年の間に百万人人口が増えたが、16万5千の職を失った。ロサンゼルスの貧困率は17.6%で、全米のいかなる都市よりも高い。レポートはまた、ロサンゼルスは、サンパウロの様な発展途上国に典型的にみられる『バーベル経済』と言われるものを築き上げた。そこでは、上流階級と貧困階級だけが増加し、中間階級が毎年縮小し続ける。」
「これは、この町の産業が内部爆発を起こし、中間階級が血を流しているという事実を示している。ノースロープグラマンは、その本社を、センチュリーシティからバージニア州ウェストフォールチャーチ市へ移した。レイシオンは、その宇宙航空システムを、エル・セグンドからテキサス州マキニー市へ移した。」
「2011年以降、24社以上の企業がカリフォルニアからテキサスへ移動した。例をあげれば、タイタン研究所、ぜリス薬品、スーパーコンダクターテクノロジー、パシフィックユニオンファイナンシャル、メッドロジックス等。また、ロク、パンドラ、オラクル等はテキサス州で拡張した。テックアメリカファウンデーションによれば、2012年にハイテク製品の輸出で、テキサス州はカリフォルニア州を凌駕した。来年に予定されているパナマ運河の拡張は、カリフォルニアに残されている競合優位性を更に弱めることになる。」
「何人かの人は、シリコンバレーは繁栄してるじゃないかというかもしれない。確かにその通りなのだが、その繁栄は煮えたぎる程のものではない。失業率は、セントラルバレーで13%、南カリフォルニアエンパイアで9.4%、ロサンゼルス大都市圏で8%だ。ロサンゼルス大都市圏には、ウェストサイドやオレンジ・カウンティといった上流階級が住む町が含まれているのに。一方、ナッシュビル大都市圏の失業率は5.4%、ダラスでは5.3%だ。」
「ブラウン知事は、再選キャンペーン中だが、カリフォルニアから中間層の職が逃げていくことをそれ程問題にしていない様に見える。『幾つかの問題はある。規制や税金で小さな問題が沢山ある。』と知事は月曜日に述べた。『しかし、頭の良い人たちは、どの様に解決するかを知っているのだ。』カリフォルニアの問題は、その頭の良い人たちが知っているのが、カリフォルニア以外の場所をより良くすることということだ。」
カルフォルニア州は、労働組合が強く、税金、不動産、電気代、ガソリン等が高い。何らかの対策を打たないと、労働力やエネルギーに依存する産業は逃げていくという主旨。特に、ロスアンゼルスは、こうしたカリフォルニアの悪い面が凝縮された悪い町として取り上げられている。
南カリフォルニア在住者である私には、ロサンゼルスは、気候も良く、活気に満ち溢れ、常に世界で最も新しいことが起きている魅力的な町に移るが・・・。
「ブラウン知事のカリフォルニア復帰ツアーは、トーランス市に本社を置くトヨタがテキサス州プラト市に移転するというニュースによって、今週、突然打ち切られてしまった。トヨタのカリフォルニアからの逃亡は、商業、工業の分野で、米国南部がカリフォルニアを凌駕しつつあることを、如実に示している。」
「トヨタは、販売部門本社に加え、3,000人分の仕事をダラス郊外へ移し、機能を統合させることにより、効率改善を図る。トヨタは、南カリフォルニアの主要な港に近いという理由で、1957年に米国で最初の事務所をロサンゼルスに構えた。しかし、米国で販売されるトヨタ車の大半が、北米、特に米国南部で製造される様になるにつれ、港の重要性が低下していった。」
「2006年には、日産が、その本社機構を、トーランス市の北隣に位置するガーデナ市から、テネシー州のフランクリン市へ移転させた。カルロス・ゴーンCEOは、テネシー州では安いコストでビジネスが出来ることを強調した。テキサス州は、移転費用の一部に当たる4,000万ドルを補助金としてトヨタに支払うことを約束したが、北米トヨタのCEOであるジム・レンツ氏は、今回の移転先の決定にはこうしたインセンティブは影響を与えていないと言っている。彼は、テキサス州がビジネス・フレンドリーであること、他のトヨタのオペレーションに近いこと、大きな空港が2つあることに加え、家の値段があまり高くないこと、所得税が無いことなど生活面でのメリットも、テキサスを移転先として選んだ理由にあげている。」
「この選択を大きな視点からみると、テキサスが経済的な競争力を強めている一方で、カリフォルニア州が競争力を弱めていることを意味している。特に、エネルギーや労働力を多く必要とする事業について。幾つか例をあげよう。」
「まず、米国南部諸州で制定されている労働権法は、労働組合を作ることに規制を加えており、これが労働コストを押し下げることに寄与している。労働者に占める組合員の割合は、テキサス州ではわずか4.8%、テネシー州では6.1% であるのに対し、カリフォルニア州では16.4%だ。不動産価格も、区画規制や環境規制が緩いことから、南部の方が安い。税金もそうだ。税金ファウンデーションによれば、カリフォルニア州では、テネシー州やテキサス州に比べて、州税が50%以上も重い。テネシー州やテキサス州では。個人所得税は無いが、カリフォルニア州では最大化税率は13.3%で全米最悪だ。」
「電気代も、カリフォルニア州では再生可能エネルギーを推進しているため、南部に比べて50%高い。ガソリン代も、税金やブレンディングの要求により、1ガロン当たり、70-80セント程度高い。」
「化石燃料への敵対心から、カリフォルニア州での石油生産量は、1985年のピーク時の半分になってしまった。一方、テキサス州の生産量は、過去3年で倍増し、所得を押し上げた。経済分析協会によれば、過去3年間の所得増加という観点でみると、ミッドランド市がもっとも早く成長している都市だ。そしてその近くにあるオデッサ市が第2位だ。2008年から2012年の間の個人所得の増加率は、ミッドランド市が8.05%、オデッサ市が4.48%であるのに対し、サンノゼ市は4.48%、ロサンゼルス市は1.81%だ。3月の失業率は、オデッサ市の3.2%に対し、サンノゼ市は6.8%、ロサンゼルス市は9.7%だ。」
「こうしたカリフォルニアの悪い状況が、最も如実に現れているのがロサンゼルス市だ。冷戦後に航空機産業が無くなって以来、力を取り戻していない。1990年以降、その雇用力は3.1%も落ちてしまった。デトロイトの2.8%減少よりも、減少幅が大きいのだ。ダラス、ヒューストン、サンアントニオでは、その間に、雇用は50%以上も伸びた。」
「ミッキー・カンター、グレイ・デービス、ヒルダ・ソリスといった民主党の大物が代表を務めるロサンゼルス2020コミッションという団体がある。この団体の報告書によれば、ロサンゼルスは、1980年から2010年の間に百万人人口が増えたが、16万5千の職を失った。ロサンゼルスの貧困率は17.6%で、全米のいかなる都市よりも高い。レポートはまた、ロサンゼルスは、サンパウロの様な発展途上国に典型的にみられる『バーベル経済』と言われるものを築き上げた。そこでは、上流階級と貧困階級だけが増加し、中間階級が毎年縮小し続ける。」
「これは、この町の産業が内部爆発を起こし、中間階級が血を流しているという事実を示している。ノースロープグラマンは、その本社を、センチュリーシティからバージニア州ウェストフォールチャーチ市へ移した。レイシオンは、その宇宙航空システムを、エル・セグンドからテキサス州マキニー市へ移した。」
「2011年以降、24社以上の企業がカリフォルニアからテキサスへ移動した。例をあげれば、タイタン研究所、ぜリス薬品、スーパーコンダクターテクノロジー、パシフィックユニオンファイナンシャル、メッドロジックス等。また、ロク、パンドラ、オラクル等はテキサス州で拡張した。テックアメリカファウンデーションによれば、2012年にハイテク製品の輸出で、テキサス州はカリフォルニア州を凌駕した。来年に予定されているパナマ運河の拡張は、カリフォルニアに残されている競合優位性を更に弱めることになる。」
「何人かの人は、シリコンバレーは繁栄してるじゃないかというかもしれない。確かにその通りなのだが、その繁栄は煮えたぎる程のものではない。失業率は、セントラルバレーで13%、南カリフォルニアエンパイアで9.4%、ロサンゼルス大都市圏で8%だ。ロサンゼルス大都市圏には、ウェストサイドやオレンジ・カウンティといった上流階級が住む町が含まれているのに。一方、ナッシュビル大都市圏の失業率は5.4%、ダラスでは5.3%だ。」
「ブラウン知事は、再選キャンペーン中だが、カリフォルニアから中間層の職が逃げていくことをそれ程問題にしていない様に見える。『幾つかの問題はある。規制や税金で小さな問題が沢山ある。』と知事は月曜日に述べた。『しかし、頭の良い人たちは、どの様に解決するかを知っているのだ。』カリフォルニアの問題は、その頭の良い人たちが知っているのが、カリフォルニア以外の場所をより良くすることということだ。」
日本経済は最近の消費増税にさらされる【A8面(国際面)】
消費増税による消費落ち込みが想定内であったとのニュースを、国際面で掲載している。
「新車や百貨店の4月売上実績報告(5月1日発表)によれば、消費の減少率はエコノミスト予測を下回り、アベノミクスは大きな試練を乗り越えた。」という主旨。
3%の消費税で、280円だった吉野家の牛丼が何故20円も値上がりするのかも、説明している。
この記事は次の様なコメントで始まる。
「日本のファストフードチェインである吉野家では、日本の消費税が4月1日にあがったため、薄切り牛肉がのった丼入りご飯の値段が20円上がって300円になった。吉野家ホールディングズのスポークスウーマンによれば、レストランの客足は衰えていない。」
「消費税が8%に上がってから、エコノミスト予測よりも多くの消費者が、車や服などの高額商品を購入している。自動車メーカーや主要百貨店は、木曜日、予想していた程、売上が落ちていないと報告した。」
「報告書によれば、アベノミクスとして知られる安倍晋三首相の経済再生プログラムは重大な試練を乗り越えた。『この税金は日本経済が今年直面した最大の試練だ。』と野村證券のキノシタトモチーフエコノミストは言う。『私は、そのネガティブな影響から逃れられたのは、よいニュースだと思います。』」
その後、4月売上の前年同期比減少率について、自動車がエコノミスト予測の15%に対して5.5%、百貨店がエコノミスト予測の20%に対して、阪急阪神が7.9%、高島屋が13.2%、伊勢丹三越が7.9%と、いずれも予測を下回ったことを具体的数値で示す。また、これらの報告は、経済全体を俯瞰しているものではなく、中小企業や輸出企業は厳しい見方をしていることを紹介する。
最後は、便乗値上げの可能性を示唆する様なコメントで締めくくる。
「値札ショックを和らげるために、政府は、2017年3月までは、店が値札から消費税を除外することを認めている。これは、一部の消費者に混乱を招いている。チェックアウトカウンターに行くまで、一部の価格が低く見えるからだ。」
「『私は価格が思っていたよりも高いことが分かりました。ちょっとびっくりしました。』ち46才のパートタイムワーカーであるアビコクミコさんは言う。彼女は東京の三越百貨店で3斤のパンを購入した。」
「一部の企業は、消費増税に乗じて、価格全般を値上げした。吉野家では、牛丼の価格を20円値上げしたが、増税による負担増は、その半分にすぎない。残りの半分は、スポークスウーマンによれば、素材の高級化のために当てられた。」
日本経済新聞によれば、自動車や洋服等高額商品の消費落ち込みが想定内である一方、日用品については既に前年を上回る店舗も出てきたということで、消費増税の影響は思っていた程、深刻では無い様だ。
「新車や百貨店の4月売上実績報告(5月1日発表)によれば、消費の減少率はエコノミスト予測を下回り、アベノミクスは大きな試練を乗り越えた。」という主旨。
3%の消費税で、280円だった吉野家の牛丼が何故20円も値上がりするのかも、説明している。
この記事は次の様なコメントで始まる。
「日本のファストフードチェインである吉野家では、日本の消費税が4月1日にあがったため、薄切り牛肉がのった丼入りご飯の値段が20円上がって300円になった。吉野家ホールディングズのスポークスウーマンによれば、レストランの客足は衰えていない。」
「消費税が8%に上がってから、エコノミスト予測よりも多くの消費者が、車や服などの高額商品を購入している。自動車メーカーや主要百貨店は、木曜日、予想していた程、売上が落ちていないと報告した。」
「報告書によれば、アベノミクスとして知られる安倍晋三首相の経済再生プログラムは重大な試練を乗り越えた。『この税金は日本経済が今年直面した最大の試練だ。』と野村證券のキノシタトモチーフエコノミストは言う。『私は、そのネガティブな影響から逃れられたのは、よいニュースだと思います。』」
その後、4月売上の前年同期比減少率について、自動車がエコノミスト予測の15%に対して5.5%、百貨店がエコノミスト予測の20%に対して、阪急阪神が7.9%、高島屋が13.2%、伊勢丹三越が7.9%と、いずれも予測を下回ったことを具体的数値で示す。また、これらの報告は、経済全体を俯瞰しているものではなく、中小企業や輸出企業は厳しい見方をしていることを紹介する。
最後は、便乗値上げの可能性を示唆する様なコメントで締めくくる。
「値札ショックを和らげるために、政府は、2017年3月までは、店が値札から消費税を除外することを認めている。これは、一部の消費者に混乱を招いている。チェックアウトカウンターに行くまで、一部の価格が低く見えるからだ。」
「『私は価格が思っていたよりも高いことが分かりました。ちょっとびっくりしました。』ち46才のパートタイムワーカーであるアビコクミコさんは言う。彼女は東京の三越百貨店で3斤のパンを購入した。」
「一部の企業は、消費増税に乗じて、価格全般を値上げした。吉野家では、牛丼の価格を20円値上げしたが、増税による負担増は、その半分にすぎない。残りの半分は、スポークスウーマンによれば、素材の高級化のために当てられた。」
日本経済新聞によれば、自動車や洋服等高額商品の消費落ち込みが想定内である一方、日用品については既に前年を上回る店舗も出てきたということで、消費増税の影響は思っていた程、深刻では無い様だ。
Thursday, May 1, 2014
トヨタの出発は市を揺さぶる【A3面(国内面)】
トヨタが北米本社をカリフォルニア州トーランス市から、テキサス州プラノ市に移転させるという記事。
私が住む、南カリフォルニアでは、トヨタの存在感は大きく、このニュースは地元もメディアでは大々的に取り上げられ、人々の間でも大きな話題となった。
トーランス市には、多くの日本人が居住し、日本食レストラン、日系スーパーマーケット、日本人向け病院等々が集まる。南カリフォルニアに住んでいる日本人なら、誰でも行ったことのある町だ。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「5週間前、カリフォルニア州トーランス市のフランク・スコット市長は、トヨタ自動車の幹部とともに、新市営競技場の開会式を、祝った。トーランス市にとって、最大の雇用主であり、主要な後援者であるトヨタ自動車は、このプロジェクトに50万ドルを寄贈した。」
「今週、スコット市長は、あまり嬉しくない仕事をせねばならなかった。トーランス市が、巨大自動車メーカーであるトヨタが残していく101エーカーもの巨大な空き地をどの様にして再活用するかを考えねばならないのだ。トヨタは。その広大な敷地から引越し、3,000人分の職をテキサスの新しい本社に移す計画だ。」
「2017年までにその米国オペレーションの殆どを、テキサス州プラノ市に移すという、トヨタの決断は、月曜日に正式に発表され、スコット市長を驚かせた。トヨタの従業員への発表は、スコット市長に儀礼の電話があった後に、実施された。カリフォルニア州の役人達は。トヨタが昨年から模索していたこの計画を全く知らされていなかった。」
「『これはショックです。』とスコット市長は言う。彼は、移転の噂は聞いていたが『まさかこれ程の規模になるとは思ってもみなかった。』」」
「関係者によれば、トヨタは、新しい北米本社の場所探しを秘密裏に行ってきた。トップレベルの会社幹部ですら、発表の一日前まで、全く知らなかった。」
その後、この記事は、トヨタがどの様な考え方で、ダラス郊外に白羽の矢を立てたのかを詳細に述べる。長いので要約する。
米国トヨタのレンツCEOによれば、カリフォルニアを離れることになったのは、そのビジネス環境とは関係ない。現在部門本社がある場所は新本社候補地からは外す方針で、そうした方針がらカリフォルニア、ミシガン、ケンタッキーが最初に候補地からはずされた。
便利な空港、良好な生活環境、トヨタの他のオペレーションへの近さ、デトロイトの影響が無いこと、適切な住宅価格、水準の高い学校等が、考慮され、アトランタ、シャーロット、デンバー、ダラス郊外が最終候補として絞られた。
最後は、空港の便利さが決め手となって、ダラス郊外に決定した。レンツCEOは、テキサス州がビジネスフレンドーであること、個人所得税が無いこと等を決定の決め手としてあげている。
そして、カリフォルニア州の主要な人物のコメントを引用する。この部分も要約する。
カリフォルニア州のブラウン知事は、同州には企業が直面する難しい課題があることを認める一方で、「アマゾン等がオペレーションを拡大している。」とも言っている。
一部の批評家は「これを機会にカリフォルニアは、企業のカリフォルニア離れに歯止めをかけ、ビジネスを呼び込み、生活費を安くする対策を至急とらねばならない。」と言う。
カリフォルニア商工会議所長は「カリフォルニア州の訴訟の多さや、税金の高さが、企業の場所選びに影響を与えている。」と言う。
記事は下記の様なコメントで締めくくられている。
「トヨタの米国販売部門は、1957年以来、南カリフォルニアにベースをおいている。最初は、日本からの車が陸揚げされる、ロングビーチ港の近くにあった。その当時は、従業員の殆どが日本人だったこともあり、日本から近いことは、重要だった。1982年に、101エーカーある現在のトーランスキャンパスに移転した。」
「それ以降、トヨタは、この15万人の人口を擁する、ロサンゼルス南部の市にとって、無くてはならない存在だ。慈善事業や学校関係の活動でも非常に活発だ。トヨタ・ミーティング・ホールは、結婚式や誕生会の会場として最も人気がある会場のひとつだ。これは、市の文化センターの一部を占めるボール・ルームだ。」
「『市の役人は、トヨタ移転の影響の全貌を把握するのに精一杯だ。』と市の経済開発部長のフラン・フルトン氏は言う。」
「最新のビジネスライセンス申請によれば、トヨタは3,929名の従業員をトーランス市で採用しており、120万ドルの税金を納めている。トーランス市で次に大きい雇用主は、ライバルのホンダ自動車で、1,615名雇っている。」
「スコット市長は、市がすぐにやらなければならないのは、トヨタの広大なキャンパスの借り手を探すことだ。発表後、市が準備したセールストークの一番は『トーランスはビジネスフレンドリーな市です。』だ。」
私の様な、メーカーの米国駐在員には他人事とは思えない記事だ。「米国に散らばる事務所を統合しようとか、その統合先がダラスが良い。」というのは、トヨタ駐在員以外でも、在米の様々なメーカーの駐在員の間で話されたことがあるのではないか?
私が住む、南カリフォルニアでは、トヨタの存在感は大きく、このニュースは地元もメディアでは大々的に取り上げられ、人々の間でも大きな話題となった。
トーランス市には、多くの日本人が居住し、日本食レストラン、日系スーパーマーケット、日本人向け病院等々が集まる。南カリフォルニアに住んでいる日本人なら、誰でも行ったことのある町だ。
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「5週間前、カリフォルニア州トーランス市のフランク・スコット市長は、トヨタ自動車の幹部とともに、新市営競技場の開会式を、祝った。トーランス市にとって、最大の雇用主であり、主要な後援者であるトヨタ自動車は、このプロジェクトに50万ドルを寄贈した。」
「今週、スコット市長は、あまり嬉しくない仕事をせねばならなかった。トーランス市が、巨大自動車メーカーであるトヨタが残していく101エーカーもの巨大な空き地をどの様にして再活用するかを考えねばならないのだ。トヨタは。その広大な敷地から引越し、3,000人分の職をテキサスの新しい本社に移す計画だ。」
「2017年までにその米国オペレーションの殆どを、テキサス州プラノ市に移すという、トヨタの決断は、月曜日に正式に発表され、スコット市長を驚かせた。トヨタの従業員への発表は、スコット市長に儀礼の電話があった後に、実施された。カリフォルニア州の役人達は。トヨタが昨年から模索していたこの計画を全く知らされていなかった。」
「『これはショックです。』とスコット市長は言う。彼は、移転の噂は聞いていたが『まさかこれ程の規模になるとは思ってもみなかった。』」」
「関係者によれば、トヨタは、新しい北米本社の場所探しを秘密裏に行ってきた。トップレベルの会社幹部ですら、発表の一日前まで、全く知らなかった。」
その後、この記事は、トヨタがどの様な考え方で、ダラス郊外に白羽の矢を立てたのかを詳細に述べる。長いので要約する。
米国トヨタのレンツCEOによれば、カリフォルニアを離れることになったのは、そのビジネス環境とは関係ない。現在部門本社がある場所は新本社候補地からは外す方針で、そうした方針がらカリフォルニア、ミシガン、ケンタッキーが最初に候補地からはずされた。
便利な空港、良好な生活環境、トヨタの他のオペレーションへの近さ、デトロイトの影響が無いこと、適切な住宅価格、水準の高い学校等が、考慮され、アトランタ、シャーロット、デンバー、ダラス郊外が最終候補として絞られた。
最後は、空港の便利さが決め手となって、ダラス郊外に決定した。レンツCEOは、テキサス州がビジネスフレンドーであること、個人所得税が無いこと等を決定の決め手としてあげている。
そして、カリフォルニア州の主要な人物のコメントを引用する。この部分も要約する。
カリフォルニア州のブラウン知事は、同州には企業が直面する難しい課題があることを認める一方で、「アマゾン等がオペレーションを拡大している。」とも言っている。
一部の批評家は「これを機会にカリフォルニアは、企業のカリフォルニア離れに歯止めをかけ、ビジネスを呼び込み、生活費を安くする対策を至急とらねばならない。」と言う。
カリフォルニア商工会議所長は「カリフォルニア州の訴訟の多さや、税金の高さが、企業の場所選びに影響を与えている。」と言う。
記事は下記の様なコメントで締めくくられている。
「トヨタの米国販売部門は、1957年以来、南カリフォルニアにベースをおいている。最初は、日本からの車が陸揚げされる、ロングビーチ港の近くにあった。その当時は、従業員の殆どが日本人だったこともあり、日本から近いことは、重要だった。1982年に、101エーカーある現在のトーランスキャンパスに移転した。」
「それ以降、トヨタは、この15万人の人口を擁する、ロサンゼルス南部の市にとって、無くてはならない存在だ。慈善事業や学校関係の活動でも非常に活発だ。トヨタ・ミーティング・ホールは、結婚式や誕生会の会場として最も人気がある会場のひとつだ。これは、市の文化センターの一部を占めるボール・ルームだ。」
「『市の役人は、トヨタ移転の影響の全貌を把握するのに精一杯だ。』と市の経済開発部長のフラン・フルトン氏は言う。」
「最新のビジネスライセンス申請によれば、トヨタは3,929名の従業員をトーランス市で採用しており、120万ドルの税金を納めている。トーランス市で次に大きい雇用主は、ライバルのホンダ自動車で、1,615名雇っている。」
「スコット市長は、市がすぐにやらなければならないのは、トヨタの広大なキャンパスの借り手を探すことだ。発表後、市が準備したセールストークの一番は『トーランスはビジネスフレンドリーな市です。』だ。」
私の様な、メーカーの米国駐在員には他人事とは思えない記事だ。「米国に散らばる事務所を統合しようとか、その統合先がダラスが良い。」というのは、トヨタ駐在員以外でも、在米の様々なメーカーの駐在員の間で話されたことがあるのではないか?
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