日米欧がデフレから脱却しつつあるとする記事が、1日の国際面に掲載された。
日米欧は長年デフレに苦しんできたが、エネルギー価格高騰、失業率低下、低金利政策などにより、インフレの兆しが見えているとして、様々な数値を示している。
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数年間デフレと戦った後、アメリカ、ユーロ圏、日本は、 物価や賃金にかすかな光が示している。 今までに無い程低いインフレの時代が、 世界経済の風景から消えていく兆候だ。
こうした動きの背景には幾つかの要因がある。 エネルギー価格が戻ってきたり、失業率が下落したり、 貸出た経済成長を促す中央銀行による低金利政策などだ。
ユーロ圏では、消費者物価は1年前の1月に比べて1.8%上昇し た。EU統計局によれば、エネルギー製品は復活し、2016年ま での1年間の1.1%から、4年振りの高い上昇を示している。
インフレの市場ベースの測定も上昇した。 トンプソンロイターによれば、ドイツでは、 債券市場で測定した今後10年のインフレ期待率は11月上旬の1 .1%から、火曜日には1.36%に上昇した。日本では、 この時期に0.45%から0.61%に上昇した。
「我々は世界的なリフレ取引を信じます。 それは日本でも起こりうるし、ヨーロッパでも起こりえます。」 とジェイナスキャピタルグループのシニアポートフォリオマネジャ ーのライヤーマイヤーバーグは言う。
米国における賃金や価格への緩やかな上昇圧力は、 先鞭をつけてきた。労働省が火曜日に述べたところでは、 アメリカにおける賃金と便益コストの測定に最もよく使われる指標 である、雇用コストインデックスは、2016年1年間で2.2% 上昇した。賃金上昇のペースは2020年から2014年の年率平 均2%からゆっくりとではあるが上昇した。
もう一つの米国の指標である、民間部門労働者平均時給は、12月 に一年前に比べて2.9%上昇した。 これは現在の拡大の最大に成長であり、 労働者のプールが小さくなる中、 労働者が賃金を上げることによって競争に勝とうとしている印であ る。
多くの要因がこうした傾向を逆転する可能性がある。 グローバルな成長を踏み躙る経済ショックやエネルギー価格の下落 などだ。 インフレが低いレベルから離陸すると考えているエコノミストは殆 どいない。しかし、世界的なデフレの心配は、 経済的な心配事のリストの後ろの方へと移動している。
「現在は、ディスインフレメカニズムやデフレメカニズムより、 インフレメカニズムが優勢だ。」 とリサーチファームであるパンテオンマクロエコノミクスの主任エ コノミストであるイアンシェファードソンは言う。彼は、安定した世界的なエネルギー価格、中国から輸出される工業製品の価格高騰、低いアメリカの失業率が、賃金の高騰を加速させていると指摘する。
連邦準備銀行の高官たちは、火曜日、水曜日に会合を開き、アメリカの短期金利レートを一定に保つことに期待を表明した。彼らは、アメリカの成長が止まることを恐れて、ゆっくりと金利を上げてきており、あまり激しく金利を上げることには躊躇している。
連邦銀行が好む消費者物価インフレ対策は、12月に1年前から1.6%上昇したことだ。これは、2014年以来最大の上げ幅だが、エネルギー価格の回復による。
ヨーロッパと日本では、インフレ率上昇の可能性は、欧州中央銀行と日銀の次なる手にかかっている。連邦準備銀行と異なり、欧州中央銀行と日銀は、成長を更に刺激するために大量の国債買入プログラムに従事したり、マイナス金利を維持したりしている。
インフレ率は目標の2%に近いのに、欧州中央銀行は刺激策を止めようとはしない。
火曜日に日銀はその金融政策を変更せず、インフレ目標を引き上げなかった。デフレと長年戦ってきた日本では、消費者物価を上昇させることが如何に難しいかを示している。
投資家の中には、希望の兆しを見出す者もいる。公共財価格の高騰は、インフレにカンフル剤を与えるかもしれない。円安は、輸入品の価格を高騰させ、輸出と成長を刺激することにより、重要な役割を果たす。