Tuesday, February 7, 2017

マティス国防長官の太平洋地域での約束【A14面(社説)】

234日にマティス国防長官が日本を訪問したが、WSJ7日の社説でこの訪問を取り上げた。



マティス国防長官が、日米関係の重要性を確認した上で、日米安保条約が尖閣諸島にも適用されること、日米同盟は他国が従うべき見本であることなどを述べ、トランプ大統領の選挙期間中の発言に対する懸念はひとまずおさまったとしている。しかし、トランプ氏の発言はコロコロ変わるので、トランプ大統領と安倍首相の直接会談に、日本及び近隣諸国が期待を寄せているとする。もし、トランプ大統領が、マティス国防長官と同様の発言をするなら、それは、米国が今後とも世界の警察官であり続けることを内外に宣言することになるとも言っている。

***** 以下本文 *****

マティス国防長官は、週末に行われた韓国と日本への訪問を無事に完了した。これは、トランプ政権の閣僚による最初の海外訪問であり、北朝鮮と中国の脅威に晒されているアジアの同盟国との強固な関係維持を示すものだ。
マティス氏はソウルにおいて「アメリカの韓国に対するコミットメントは鉄の様に強く、トランプ政権にとって北西太平洋地域に注意を払うことは優先事項だ。」と述べた。彼は北朝鮮に対し「アメリカもしくはその同盟国に対するいかなる攻撃も打ち負かされる。いかなる核兵器の使用も、有効で圧倒的な反撃に会うだろう。」と警告した。
彼はまた、今年、韓国にサードと呼ばれる最新鋭の米国製ミサイル防衛システムを展開する計画を再確認した。このシステムは、北朝鮮に対する防衛力を向上させ、韓国、日本、米国の間の協力を実現させる。中国は、この計画に反対しており、非公式な経済制裁により、韓国にこの計画を諦めさせようとしている。
トランプ政権がその足場を築き、韓国が長引く大統領弾劾スキャンダルを乗り越え、今年の後半に新しいリーダーの選挙をしようとするこの時期に、韓国が持ちこたえられるかどうかが、米国の同盟国である韓国にとって大きな試練だ。
日本では、政治のリーダーシップはより安定しているが、東シナ海での中国のいやがらせが大きな懸念となっている。マティス氏は、ここでも韓国同様、幅広い分野での同盟関係を確認した。最も重要なことは、彼が、日米安保条約が日本が統治する尖閣諸島にも適用されると再確認したことだ。中国は、尖閣諸島は自分の領土だと主張し、民間船や政府船を使って頻繁に脅しをかけている。
マティス氏はまた、日本政府が防衛支出を増強させていることを称賛した。彼は「日米同盟は、費用分担と負担分担のモデルケースであり、他の国々が従うべき手本だ。」と述べた。トランプ大統領は、選挙運動中に、日本はアメリカの安全保障への取組みにただ乗りしていると述べた。こうした見方は、日本の同地域の安全保障への貢献やアジアの多くの重要地点に米軍が安い費用で駐留出来ると言う価値を過小評価するものだ。こうした意味で、今回のマティス氏にこうした発言は極めて重要だ。
トランプ氏のコメントは未だに行ったり来たりしている。従って、今週開催されるトランプ大統領と安倍首相とのトップ会談が、日本そして他の同盟国から待たれている。この2人は、11月の選挙以来、電話やトランプタワーでの会談で、何回か将来について意見交換している。しかし、こうした意見交換では、2国間関係の限られた課題についてしか語られなかった。
もしトランプ氏が今週、マティス氏と同様に、日本領の尖閣諸島に対するアメリカのコミットメントを再確認すれば、日米同盟の心配事をなくすための大きな一歩を踏み出すことになる。それは、アメリカが権威主義の挑戦が続く中、これまで通り世界秩序の保証人で居続けるということを宣言することにもなる。