安倍首相が2月10日にトランプ大統領と会談するが、WSJは7日に安倍首相が提案を予定している政策パッケージについて報じた。
安倍首相は、この政策パッケージによって、アメリカに70万人分の雇用を生み出し、4,500億ドルの新しい市場が創設されると主張し、それによってトランプ大統領の貿易不均衡や円安誘導への批判をかわそうとしていると報じている。また、アメリカのTPP離脱宣言によって、日米は2国間交渉へ軸足を移すが、これにより、アメリカはより厳しい要求を日本に突きつけやすくなるとしている。
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安倍首相は、金曜日にワシントンで行われるトランプ大統領との会談において、アメリカへの投資額を増やすビジョンを示す計画だ。政府高官によれば、これにより、トランプ大統領による日本の貿易に対する批判をかわそうという狙いだ。
政府高官によれば、安倍首相の5本柱計画である「日米の成長と雇用のためおイニシアティブ」では、日米は協力して、今後10年間で、アメリカにおいて70万人の雇用を生み出し、4,500億ドルの新しい市場を創設するとある。このプログラムは、特定のプロジェクトや企業投資によって実現されるが、どの様にこの数値を達成するのかという詳細については触れていない。
1月20日に大統領に就任して以来、トランプ氏は日本を何回か批判してきた。彼は、日本はアメリカのために働いておらず、その結果、日本へ自動車を販売することが不可能になっていると述べた。さらに、東京の金融市場は不公正であり、円安誘導により、日本の輸出業者がビジネスをしやすくしているとも述べた。
日本は、重要な米国との関係に悪影響があることに神経質になっており、11月にトランプ氏が大統領に当選後、ニューヨークで初めて会う海外のトップとなった。
安倍氏は、米国に進出している日本企業の投資について協調したい考えだ。2014年現在、日本企業は84万人の米国人の雇用を生み出している。また、最新の米国商務省のデータによれば、2015年までの10年間にの日本が米国に投資した金額は4,110億ドルであり、これは倍増している。
先週、安倍首相は、トランプ大統領に対し、日本企業はアメリカ製造業の競争力と生産性を高めることに貢献してきたことを訴えたいと述べた。彼は、また、米国において雇用と成長を生み出す幾つかのプログラムのパッケージを提案したいと述べた。
日本を批判するアメリカ人は、日本の米国に対する貿易黒字が約600億ドルに上っていることを指摘している。自動車と自動車部品の輸出がその多くの部分を占める。アメリカ車は日本では小さな市場シェアしか取れていない。アメリカの自動車メーカーの幾つかは、日本が目に見えない貿易障壁を設けていると主張する。一方で、日本の政府関係者は、日本は輸入車に関税をかけておらず、単純に消費者がアメリカ車に魅力を感じないだけだと言う。
日本は、12ヶ国の貿易協定であるTPPにアメリカを引き込んで、そうした批判をかわそうとした。しかし、トランプ大統領はその協定から撤退した。アメリカのリーダーは2ヶ国協定を結びたいと表明したのだ。安倍氏は、そうした考え方には柔軟に対応したいとしているが、2ヶ国間での交渉では、アメリカ車の日本での販売や、円に対するドルの価値などについて、厳しい要求がアメリカから突きつけられるだろう。
「他国間協定よりも2ヶ国間協定の方が、アメリカはより多くの譲歩を求めてくるだろう。」とブランデイス国際ビジネススクールの国際金融教授であるピーターペトリ氏は言う。
安倍氏の訪米計画にかかわった日本の高官は、5本柱パッケージを通じて、より協力的な科関係を築きたいと述べた。パッケージの1つは、貿易不均衡の是正について述べているが、これは日本製品を排斥するよりも、アメリカの天然ガスの日本への輸出を増やした方が容易に達成出来る。
パッケージは、日本が1,500億円相当のアメリカのインフラ計画に参画すると述べている。例えば、テキサスやカリフォルニアでの高速鉄道建設などだ。日本は長年にわたり、アメリカが高速鉄道のための援助と資金援助を受け入れる様に求めてきた。このプロジェクトのために、日本のテクノロジーが輸出されることを願って。