10日に安倍首相がトランプ大統領と会談するが、WSJは会談当日の国際面で会談の意義などを紹介する記事を掲載した。
イギリスのメイ首相が、トランプ大統領と会った最初の海外首脳であり、安倍首相は2人目となるが、安倍首相への対応はメイ首相への対応を越え、破格の扱いだとしている。
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トランプ大統領は、金曜日に予定されいる日本の安倍首相のホワイトハウス訪問を、アジア太平洋地域の同盟国に対して、トランプ政権が同地域の同盟国を重要視しているというということを再確認する機会にしたいと考えている。トランプ大統領のこれまでの発言によって、同盟国は彼のサポートに対する疑念を抱いている。
「新大統領は、同盟をアメリカと世界にとっての安全保障上の要と考えており、安倍首相の滞在中に、アジアの同盟国が、地域の安全保障と繁栄にとって重要と認識していることを明確にするだろう。」と政府高官は述べた。
高官は「トランプ大統領の同盟国へのコミットメントに対する疑問を、完全に払拭するには時間がかかるだろう。」とも述べた。
トランプ大統領は、選挙運動中に、アジアでの米軍のプレゼンスを低下させ、日本や韓国に核兵器を保有させ、彼らの役割を増強させることにより、アメリカのここ数10年の外交政策を変更すると述べたが、そうした発言から生じた不安を払拭するために努力が払われている。
トランプ氏の選挙戦の勝利は、特に日本において、第二次世界大戦後の平和と繁栄を保障してきた国際秩序が乱されるのではないかという心配を巻き起こした。
アメリカが、最大の輸出先であり、安全保障を与えてくれる国家であるという意味で、日本ではそうした危険が高い。日本には50,000人の米軍兵が駐留しており、アジアで最大だ。
アメリカがアジアから手を引くのではないかという心配は、1月にトランプ氏がTPPから撤退すると決定したことにより、さらに高まった。TPPは、12ヶ国にによる貿易協定で、この12ヶ国には日本を含む7ヶ国のアジア諸国が含まれる。
最近、国防長官のジム・マティスが日本を訪れ、日米関係の重要性を再確認した。彼は、新政権は、北朝鮮の核増強プログラムや中国の軍事強化に対応するために、日本を重要なパートナーとみていると述べた。日本の高官によれば、マティス氏は、日本の同盟への貢献を絶賛し、米軍の駐留費問題には言及しなかった。
マティス氏のコメントは日本の緊迫した雰囲気を和らげたが、日本の政府関係者は、トランプ大統領とその側近との間の矛盾した見解について、非常に気にしている。従って、トランプ大統領自らが、安倍首相に対して日米関係が重要であると述べることが、非常に重要だ。
安倍氏の訪問は、トランプ氏が大統領に就任して、2件目の海外首脳による訪問だ。最初は、1月末のイギリスのメイ首相による訪問だった。カナダのトルドー首相が来週の月曜日にワシントンにトランプ大統領を訪問する。しかし、日本のリーダーとの会談は、この2人よりも、広範にわたるものだ。
貿易については、この2人の首脳は、トランプ氏がTPP離脱を表明して、その代りに2ヶ国間協議をしたいと言っている中で、今後どの様な道筋があるのか話し合うだろう。
「多国間協定では、協定の最も弱い国の標準に合わせなければならなくなるが、2国間協定であれば、アメリカにとって有利な条件について交渉することが出来る。」とアメリカの高官は言う。
日本の政府関係者は、出来ればTPPを締結したいが、2ヶ国間交渉にも柔軟に対応する用意があると述べた。