教科書検定と外交青書についての速報が、国際面に掲載された。
教科書検定の結果、「南京事件の記述が削除」されたり、「慰安婦について強制性が無かったという記述の追加」されたりしたこと、また、外交青書で「韓国について基本的価値を共有」という記述が削除されたこと等が詳しく報道されている。この記事は、「日本は、米国のマグロウヒル社に対し、同社が発行する米国の高校生向けの歴史教科書の中の慰安婦に対する記述の変更を要求したが、マグロウヒル社は毅然としてそうした要求を受け入れなかった。」というエピソードの紹介で終わっており、WSJは教科書の内容い政府が関与することへの不快感を示している様に読める。日本でも、教科書検定の結果について、読売、産経が肯定的、朝日、毎日が否定的なコメントを掲載し、世論を2分している。韓国の朝鮮日報は、「外交青書は、米国、オーストラリア、インドの3ヶ国について基本的価値を共有していると述べており、日本は韓国をこれらの国よりも下に位置づけた。」として不快感を表明している。
***** 以下本文 *****
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「日本は、教科書の中の戦争時の侵略に関する記述を和らげ、2015年版外交青書の中では、近隣国との間で紛争になっている領土問題について、より厳しい表現を使った。こうした動きは、中国と韓国からの新たな非難を生んでいる。」
「文部科学省は、月曜日に、中学校の教科書検定の結果を公表した。2012年に安倍晋三氏が首相になってから初めての検定だ。安倍氏は、日本の教科書は、自虐的な歴史観を助長しているとして、非難してきた。」
暫く要約する。
朝日新聞によれば、ある教科書では、南京虐殺の記述が削除された。また、ある編集者によれば、慰安婦の記述について、「連れ去られた。」という記述が削除され、「強制的に連れ去られたことを示す証拠は見つかっていない。」という記述が附記された。
下村文部科学大臣は「グローバル社会においては、子供達が、領土含めて、自国について正しい知識を持つち、その上で海外の人達を付き合うことが重要だ。」と述べた。
教科書検定の結果、中国や韓国と係争中の領土問題についての記述もより強調されたが、2015年版外交青書の中でもこの問題が触れられた。教書の中で、日本はより激しい言葉を使用し、「韓国とは自由、民主主義、基本的人権といった基本的価値を共有している。」という記述が削除された。
中国の報道官は「歴史は歴史だ。意図的に改ざんすることは出来ないし、またすべきではない。」と述べた。韓国の外務省は「日本は、歴史的事実を歪曲し、極小化し、抹消しようとしている。」と述べた。韓国は日本大使を呼んで非難し、日本の菅官房長官は韓国のこうした動きは受け入れ難いと述べた。
こうした動きは、安倍首相が米国を訪問し、議会で演説を行う数週間前に起きた。米国は、安倍首相に対し、演説において近隣諸国を怒らせる様な発言を控える様に求めている。
教科書検定は、昨年採用された学習指導要領の解説書に従って実施された。検定で変更を要求された編集者は急いで、戦争時の問題や、原発事故に関する記述の修正に追われた。中学校の20の教科書の中で、2つが、「戦争時の日本の悪行について、コンセンサスの取れた見方が形成されてないことの指摘が不十分。」として、修正を要求された。また、全ての教科書が領土問題について言及した。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「2010年の検定においては、幾つかの教科書は、中国や韓国との領土紛争について全く述べていなかったし、述べていたといてもいずれか一国との紛争についてだけ述べていたと文部科学省の役人は述べた。」
「新しい教科書が発行されたが、その3ヶ月前に日本は、米国のMcGraw-Hill Education社に対し、同社が米国の高校生向けの歴史教科書の中の慰安婦に関する表記を変更する様に要請していた。ニューヨークの出版社である同社は、変更を拒否した。」