TPPの交渉状況について国際面で報じた。
TPPの日米間の交渉が進展していない。昨年のオバマ大統領の訪日時にも両者で大変な努力をしたが、大きな進展がなかった。今回の安倍首相訪米に際しても同様の努力が行われているが大きな進展は期待出来そうにない。AIIBで中国主導の枠組みが支持を受けられることが証明されており、このまま日米間がぐずぐずしていると、自由貿易の枠組みでも中国に主導権を握られかねないというあせりが表れている記事の様に読める。
***** 以下本文 *****
この記事は次の様な書き出しで始まる。
「ワシントンが、合意の難しいTPPを推し進めようとしているが、それが中国のアジアにおける影響力に対抗しようという米日のキャンペーンに新たなエネルギーを投じている。」
「北京は、米国が反対し、日本が抵抗したにも関わらず、ワシントンの最も親しい同盟国を含む50ヶ国を説得して、地域のインフラ銀行への参加を表明させた。それから1ヶ月もたたないうちに、キャピタルヒルでの取引は行われた。」
長い記事なので暫く要約する。
安倍首相は4月28日にワシントン訪問を予定しているが、その際にTPPの基本部分についてオバマ氏と合意したことを発表したがっている。上下院に提出された法案は、オバマ氏に通商交渉権限を与える。甘利TPP担当大臣はこの動きを歓迎した。
世界第一位の経済大国である米国は、中国主導のAIIBの設立メンバーに応募しなかった。世界第二位の経済大国である中国はTPPに招待されなかった。オバマ氏は「中国はアジアのルールを書きたがっているが、そうしたルールは我々が書くべきだ。」と述べた。
一方、中国外務省広報官は、アジア太平洋地域には貿易自由化の機運が高まっているが、TPPとは違った形で実施される可能性もあると述べた。新華社通信は、中国は、米国が中国をTPPに入れようとする動きには応じないし、アジア地域の国家間のバランスを再構築しようとする米国の動きは成功しないだろうと述べた。その上で、中国はTPPの行方に注目しているし、同様の条約が米国と欧州の間で交渉されていることに関心を持っていると述べた。
中国はTPPに対抗してアジア太平洋自由貿易地域を提唱しているが、今の所、注目を集めていない。昨年のAPAC総会でも、TPP交渉を遅らせるとして、主要国はこうした中国の動きを牽制した。
中国は、結果が全てだという余裕がある。AIIBは、アジア諸国だけでなく、イギリス、イスラエル、ドイツといった米国の同盟国が参加を表明したのだ。これは、中国ですらびっくりする結果だった。
構想から10年かかっているいが、TPPは、欧州に比べてまとまりのない、アジアの国々を結び付けるのに貢献するだろう。関税を引き下げるだけでなく、知的所有権、サービス、国家間の競争について新しいルールを制定しようとしている。しかし、大きな問題が残っている。日本は日本車の輸入にかかる2.5%の関税の即時撤廃を要求しているし、米国はそれを何十年も先送りしたいと考えている。
この記事は次の様なコメントで締めくくられている。
「農産物については、米国は日本に対して牛肉と豚肉市場を完全に解放する様に強く求めている。」
「オバマ氏は、一年前に東京を訪問した際にこの件で合意にごぎつけたかった。両国は何日も話し合った。進展はあったが、合意はしなかった。」