Tuesday, July 1, 2014

日本はアジアにおける安全保障上の役割を拡大する準備を整える【A8面(国際面)】

安倍首相が集団的自衛権を閣議決定する当日の朝刊で、この問題が必ずしも世論の支持を受けていないことを、国際面で詳細に報じている。
Yahoo Newsにほぼ完璧な和訳が掲載されていたので、借用させて頂いた。

「日本の安倍晋三首相は1日、60年にわたって続いてきた日本の平和主義政策の歴史的変更を正式に発表する。これにより、安倍氏が抱き続けてきた個人的な目標は実現するが、一方で有権者を遠ざける可能性もある。」
「安倍内閣は1日、日本を取り巻く安全保障環境が『根本的に変容』していると指摘して、憲法解釈の変更を発表し、攻撃を受けている同盟国を自衛隊が支援できるようにする。」
「日本政府はこれまで、米国が作った戦後憲法では、自衛のための限定的なケースを除いて軍事力を行使できないとしてきた。」
「憲法解釈を拡大して、いわゆる集団的自衛権を可能にすることで、日本は米国との同盟関係においてこれまでより重い軍事的負担を受け入れることになるだろう。」
「ウォール・ストリート・ジャーナルが入手した閣議決定案は、新しい憲法解釈によって自衛隊は『密接な関係にある他国』が攻撃された場合に軍事力を行使できるとしている。」
「安倍氏とその側近は、これによって日本は自国が目標になっていなくても、例えば北朝鮮がグアムなどの米軍基地に向けて弾道ミサイルを発射した場合、これを撃ち落とすことができると述べている。」
「閣議決定案は『日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である。』としている。」
「オバマ大統領ら米国の当局者はこの解釈変更を是認している。」
「日本戦略研究フォーラム(JFSS)の防衛研究者グラント・ニューシャム氏は『米国はその時期が来たとみている。』とし、『日本の影響力拡大は、米国の国防予算が縮小し、アジアでのプレゼンスを高めるよう(米軍が)強く求められている時に大いに役立つ。』と述べた。」
「しかし、世論調査ではこの問題での日本人の見方は割れている。日本の三つの新聞―日経、毎日、朝日―が過去1週間に行った調査では、回答者の少なくとも半数が集団的自衛権の行使という考え方に反対し、賛成しているのは3分の1かそれ以下だ。」
「この調査では、憲法改正をせず解釈の変更によって大転換を図る安倍氏の手法に国民が不安を抱いていることが示された。」
「回答者の半分以上は、この政策変更は単なる閣議決定で行われるべきではないとし、目的達成のために受け入れ可能なやり方だとしているのは30%以下だった。」
「安倍氏は2006―07年の第1次政権の時に軍事力の拡大を目指した。同氏は憲法を修正しようとしたが、リベラル派からの反対や国民の不信感に直面し、1年後には退陣に追い込まれた。12年12月に復帰した際、安倍氏は憲法改正を容易にすることを提案したが、弾みはつかななった。」
「安倍氏は、1947年に施行された憲法の文言を修正するというほとんど不可能な作業の代わりに、集団的自衛は憲法の再解釈によって実現できると宣言する道を選んだ。」
「これは連立相手の公明党の反発を招いた。同党は解釈変更は早計であり、不必要だとしていた。しかし、同党の執行部はここ数日の間に主張を後退させ、安倍氏の自民党とともに解釈変更を容認する用意のあることを示唆するようになった。」
「自民党は、集団的自衛権の発動には新しい法律が議会で承認される必要があると指摘している。衆参両院で過半数を制し、16年までは国政選挙がないとみられることから、現政権は政策に広範な裁量を行使できる。」
「テンプル大学現代アジア研究所のジェフ・キングストン所長は『このような大きな政策変更において世論に向き合わなかったことで安倍氏は日本の憲法と民主主義を冷笑しているのだ。』とし、『有権者が彼を選んだのはイデオロギー面での政策ではなく景気政策に期待したからだ。景気が勢いを失えば、人々の忍耐も限界に来るかもしれない。』と語った。」