3月31日に米ワシントンで開幕した核安全保障サミットに先立って、日米韓首脳会談などが行われたことを、翌日の国際面で速報した。
共和党大統領候補であるトランプ氏が日韓の核武装を認める発言をしているが、日米韓会談においては、その点については触れられなかったとしている。また、オバマ大統領は早い段階から核不拡散に取り組んできたが、ここにきて北朝鮮が核武装の動きを強めていることから、彼の政策の成否については意見が分かれることになるだろうとしている。米中、米仏の会談が行われたことにも、言及している。
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「オバマ大統領はアメリカとその同盟国に北朝鮮の核の恐怖に一緒に立ち向かおうと呼びかけた。50 ヶ国を越える国々のリーダーがここワシントンに集まって、核の拡散を防ぐための2日間のサミットに参加している。」
「オバマ大統領は、木曜日に、サミットの開始に当たって、中国の習近平主席と会談し、米中両国は朝鮮半島の非核化にコミットしていると述べた。」
「北朝鮮からの挑発行為の増加は、この核安全保障会議でのメインのテーマとなっている。この会議のもう一つのメインテーマは、イスラム国等のテロ集団が核兵器や放射性物質を狙っていることだ。」
「オバマ大統領は、韓国の朴槿恵大統領、日本の安倍晋三首相とも会い、地域の平和と安定を守り、北朝鮮の行為による核の拡散を防ぐためには安全保障面での協力が不可欠だと述べた。」
「2016年の大統領選挙でも核の拡散がテーマになっている。共和党の有力候補であるドナルドトランプは、韓国、日本などのアメリカの同盟国は自由に核兵器を持っても良いと述べた。こうした立場は、長い間のアメリカの政策とは相いれないものだ。」
「共和党におけるトランプ氏の有力な対抗馬であるテッドクルーズテキサス州知事はこの発言に異を唱える。木曜日にクルーズ氏は『核拡散は、仮に我々の同盟国においてであっても、好ましい政策ではない。』と述べた。」
「ホワイトハウス高官によれば、トランプ氏の提案は、オバマ大統領と日韓首脳のミーティングの中では取り上げられられなかった。国家安全副顧問のベンロードは、トランプ氏の発言は、何十年にもおよぶ超党派での安全保障ドクトリンに真っ向から対立するものだと述べた。」
「核の拡散を縮小させることは、オバマ大統領が外交政策の中で早い段階から取り組んできたことだ。しかしながら、彼のこうした努力は、最近大きな試練に直面しており、このままでは彼がこの問題で良い仕事をしたかどうかについては意見が分かれることになるだろう。」
「彼は昨年イランとの間で、経済的制裁の解除と交換に核プログラムを縮小することを目指す、歴史的な合意にこぎつけた。しかし、その合意については様々な意見があり、将来共和党政府が出来たらひっくり返されることもあり得る。」
「一方で、北朝鮮の脅威は最近の数発のミサイルテストによって増加した。さらに、かつては、世界レベルで核兵器の削減を行うための重要なパートナーと見られていたロシアが、ここ数年のアメリカとの関係悪化により、このサミットをボイコットしている。」
「ホワイトハウスの高官はオバマ大統領の習主席との会談は、北朝鮮に対峙するために重要だと述べた。中国は北朝鮮のリーダへもっとも影響力を及ぼすことが出来るからだ。」
「会談に先立ち、12月にパリで190ヶ国により合意に至った気候協定(パリ協定)に米中両国が4月22日にサインすると発表した。オバマ政府の高官はこの動きは他の国々にも、正式にこの協定に参加し二酸化炭素削減のために前進することを促すことになるだろうと述べた。」
「今回の核安全保障サミットは来年1月に大統領任期が完了するオバマ大統領にとっては最後のものになるが、核拡散問題を主要議題とする一方で、金曜日の議論はテロの脅威に大きく影響を受けそうだ。」
「オバマ氏は、世界の国々のリーダーとの打合せの冒頭で、イスラム国の軍隊が核兵器またはいわゆるダーティボム(使用後に周辺への放射能汚染をともなう爆弾)を作るための放射性物質を入手して、それらを攻撃に使用することへの懸念を表明することを計画している。」
「イスラム国のテロによりブリュッセルで32人が死亡し、300人以上が負傷してから数週間が経過したばかりだ。また、11月にはパリでも悲惨なテロが起きている。」
「オバマ大統領は、フランスのフランソワオランド大統領とも面会した。その席で、オランド大統領が欧州でのとのテロ組織との戦いにおいて、EUを奮い立たせたことを称賛した。」